最後の希望を目指す転生者 え、俺の事? 作:x-フィリップ-x
『超イイネ!キックストライク…サイコー!!』
「おらぁ!」
「グギャァァ!!」
巨大な声をあげながら倒れる怪鳥。その姿を見ている俺とザフィーラ。
「よっし! 蒐集よろしくザフィーラ」
「おう」
そう言い、闇の書を開き蒐集を完了する。
現在12月頭、はやてとの話し合い及び俺が加わっての蒐集から1月半経った。あれからも順調に蒐集は進み、魔導師からの蒐集をしていない以外は原作と概ね大きい違いはない状況である。
今も蒐集のためにザフィーラと共に無人世界にやってきている。
「お疲れザフィーラ」
「あぁ。しかし相変わらずシュウの魔法は凄まじいな」
「サンキュ。でもまだまだ接近されてからがダメなんだよな……。何度かザフィーラの障壁に守ってもらったし」
「そう言うな、シグナムも成長してると言っていたぞ」
「そうか? まぁーありがと」
「あぁ」
このような感じでザフィーラを含めたヴォルケンリッターの4人とはさらに話すようになった。主に魔法についてだが。
以前の勝負は不意打ちばかりなので、素の実力ではまだ勝てないと俺自身納得していなく、時間がある時には接近戦のトレーニングに付き合ってもらうこともある。
シグナムとヴィータの猛攻で改めて理解したが、ウィザードリングの特性上、指輪の付け替えの隙がない時は俺の近接技術でなんとかするしかないのだ。所詮は前世の不良との喧嘩程度の技術では騎士とまで言われる人が相手だと話にならないのが現状である。
「さてと、そろそろ帰るか」
「そうだな、今日はこれで十分だろう」
「よし、んじゃ飛ぶぜ」
『テレポート・プリーズ!」
ザフィーラとのたわいない話を終え、リングを右手に付け地球の海鳴市に戻る。
海鳴に着いてすぐに違和感を感じる。
「あれ? ザフィーラ、これシャマルの結界だよな?」
「あぁ。確かにそうだ……」
「なんで結界が……。何か聞いてる?」
「いや、私は何も聞いていないが……」
何かとてつもなく嫌な予感がする……。そしてこういう時の俺の予感は後々面倒事に発展することが多い……。
「とりあえず、俺が中の様子を見てくるから、ザフィーラはシャマルの事を探してみてくれ」
「わかった」
俺とザフィーラは二手に分かれ行動を開始する。
結界の中に入り魔力反応を探ってみると、俺の嫌な予感は的中していたようだ。
「ちょ! マジかよ!」
どうしてこうなった! あぁー! もう!
『テレポート・プリーズ!』
テレポートで飛んだ先には5人の魔導師が交戦していた。
「ストーップ!? マジでお願いだからストップ!?」
「「シュウ!?」
「「「ウィザードさん!?」」」
そう、ヴィータとシグナム。そして、なのは、フェイト、ユーノだ。
「おいシュウ! 邪魔すんな!」
「お前こそ何やってんの!? シグナムも止めないで何で戦ってんの!?」
「いや、それは……つい。すまない……」
「あぁーもう! いいから一度戻るぞ! 話は後だ!」
これ間違いなくA's1話に近い状況だよね!? できるだけ原作から乖離しすぎないように進めたのがまさかここで裏目に出るなんて。クソ!
「待って、ウィザードさん! その人たちは!」
「そうです! その人は急になのはを襲ってきたんですよ!」
「どうして、ウィザードさん……」
なのは、ユーノ、フェイトの順に俺に聞いてくる。
やっぱり原作と一緒でヴィータからかよ! あぁ~! どうする。まだ、外堀を埋める段階でこの3人には一切話は通ってないはずだし……。
「ごめん! 近いうちにちゃんと話すから! 本当にごめん!」
『テレポート・プリーズ!』
逃げるように結界から出て、はやての家に急いで帰宅する。しばらくするとシャマルを連れてザフィーラが帰ってくる。
3人をリビングに正座させ並ばせる。こめかみがピクピク動いているのがわかるほど怒っていますよ。
「さて……。どういう事か説明してもらおうか」
声に怒気を含み、仁王立ちをして上から問いかける。
「それは……その……」
幾分か冷静になり、先ほどの行動を反省しているのかどう答えるか考えているヴィータ。残りの2人も反省しているのか潔く黙って座っている。と言ってもこれでは話が進まない……。
ふぅーと息を吐き、自分自身も落ち着こうとする。先ほどより幾分かましになり、会話を進める。
「ヴィータ。とりあえず、どうしてああなったかを教えてくれないか?」
「あ、あぁ」
話を聞くと、前々から巨大な(なのはの)魔力を近くで感じており、昼間に今日の蒐集を終え帰って来てからしばらくし、その反応が急に2つ増え(フェイトとユーノだろう)、管理局の人間が来たと勘違いし襲撃した。それに、シグナムとシャマルも同意見らしい。
なんと言う盛大な勘違い……。確かにここは管理外世界なのに2人の魔導師、それがフェイトのように大きな魔力持ち、さらにちょうど海鳴市に来たとなれば焦るのも致し方ないものがある。許す、許さないは別だけど……。
「はぁ~。大体わかった。3人とも少し軽率だ。少なくとも俺とザフィーラが帰ってくるまで待ってくれよ……」
「ごめん……」
「すまない……」
「ごめんなさい……」
謝罪をする3人を見て、これ以上責めても時間の無駄だ。起きてしまった事はもう仕方がない。とにかく後でこっちから連絡入れないとな……。
「なぁー、シュウ。1ついいか?」
「ん? なんだヴィータ?」
「さっきの3人がシュウの事、ウィザードって呼んだだろ? あいつらと知り合いなのか?」
あ~、そういえば聞かれたんだっけ? まあいいか。
「まぁー、ちょっとした知り合いだよ。と言っても変身した姿でしかあったことないけ……あぁ!?」
「わぁ!? 急にどうしたんだよ! ビックリするだろ!」
そうだあの時ヴィータとシグナムは俺の事『シュウ』って呼んだじゃん! どうしよう、そこからもしばれたら!?
って大丈夫か……。学校違うし、俺の名前は知らないし、第一に俺の名前は修也だし。後、どちらにしろ近いうちに会うことになるだろう。
「悪い。少し混乱しただけだ」
「?」
「シュウ君どうしたん? おっきい声出して?」
ヴィータがよくわからないと言う顔をしていると、キッチンにいるはやてが先ほどの俺の声を聞き、気になり出てきたようだ。
「いや、なんでもないよ。はやて、料理手伝うよ」
「ありがとうシュウ君。もうお説教はいいん?」
「あぁ、もう終わったよ」
正座している3人にもういいよと合図をし、俺も立ち上がる。はやての車椅子を押しキッチンに戻り、2人並んで料理の準備を進める。
「なぁなぁシュウ君、聞いてーや」
「ん? どうしたんだ?」
俺が野菜を包丁で切っていると、はやてが嬉しそうに話しかけてくる。
「今日な、新しい友達ができたんよ」
「え? マジで?」
「うん、図書館で会ってな。とっても仲良くなったんよ」
それって月村すずかじゃね? たしか原作でもこのぐらいの時期にあったんじゃなかったっけ? ともあれ、はやてが喜んでいるならそれでいい。
「へぇ~。よかったな」
「うん。最近シュウ君が一緒に図書館に行ってくれへんから寂しかったんよ」
「グハ!? ちょ!? いや、それは!?」
「ふふ。冗談やんか」
いきなりのはやての言葉に俺が本気で動揺すると、いたずらが成功したとばかりに笑ってくる。いや、マジで勘弁して! 割と本気で心が折れるから!
「シュウ君が私のために必死に頑張ってくれてるの知ってるから……。ホンマにありがとうな」
少し目元に涙を溜め、笑いかけてくるはやて。不意のかわいいと思ってしまい、顔が赤くなりそうだ。
「言っただろ。俺が最後の希望になるって」
顔が赤いのを悟られたくなく、そっぽを向きながらそう答える。
なんというか、計算じゃないはやての何気ない行動が一番卑怯だと思う。いや、それははやてだけじゃなく女性全体に言えることだと思うが……。
ホント、女性への免疫ないよな俺……。