最後の希望を目指す転生者 え、俺の事? 作:x-フィリップ-x
今俺はとても困惑している。
理由は簡単だ。目の前にいる存在、仮面ライダーディケイドのせいだ。
第一なぜこの世界にいる? 俺がいるせいでこの世界も仮面ライダーの世界と認識されたのか?どちらにしろ訳が分からない……。
「「士(くん)」」
どこかから声が聞こえてくる。しばらくすると声の主であるであろう、男性と女性が1人づつやってくる。その2人も俺が知識と知っている人物、小野寺 ユウスケと光 夏海であった。となるとやっぱり目の前のディケイドも門矢 士だろう。丁度さっき士と呼ばれていたしな……。
2人が近づいたのに気づいて変身を解くディケイド。
「お前ら……、どこ行ってたんだ?」
「士君こそどこ行ってたんですか?」
「そうだよ、急にどこかいなくなって……」
「見ての通りだ」
ディケイド、いや門矢 士が俺の事を指さしてくる。
「あ! もしかしてこの世界の仮面ライダーですか?」
「「「仮面ライダー?」」」
夏海さんが俺にそう聞いてきたのだが、アリサ、すずか、アリシアの3人は『仮面ライダー』と言う単語を聞いた事がないため疑問に思ったようだ。
「あ~……、その事も含めていろいろ話しをしたいんで、できればどこかで話し合いませんか?」
「それなら光写真館に行かない?」
「わかりました。案内をお願いしてもいいですか?」
「よし! 早速行こう! ほら士も夏美ちゃんも早く!」
ユウスケさんが2人の手を引いて早速移動を開始しようとする。だが、士さんがその手を振り払う。
「落ち着け。行くのはいいが、まずはそっちも変身を解いたらどうだ?」
「あ……。そう言えば」
士さんに言われ、変身を解いていないことに気づき、早速元の姿に戻る。
「「学生?」」
「はぁ……。ファイズと言い、フォーゼと言い、学生ライダーが流行ってるのか?」
「よくわからないですけど、早速行きましょうか」
3人の案内で早速移動を開始する。それに俺はもちろん、アリサ、すずか、アリシアの3人も着いてくる。先ほどの事を見たんだ、隠し事にする必要もないからな。それに3人は魔法などの事への理解もあるから、話しがこじれることもないだろう。
少し歩いたところにあった光写真館に着き、中に入る。中に入ると、カメラを触っているおじいさんがいた。
……大丈夫。予想通りだ。少しは落ち着いてきた。
「あ、お帰り。おや? そちらの人たちは?」
「初めまして、小野修也です」
「アリサ・バニングスです」
「月村すずかです」
「アリシア・テスタロッサです!」
「ご親切にどうも。光 栄次郎です。あ! 今コーヒー入れますね」
「ありがとうございます」
そう言いコーヒーを入れるために奥に行く栄次郎さん。
その後、空いているソファーに並んで座る。
「えっと、今更だけど小野寺 ユウスケです」
「私は光 夏海です」
「この不愛想なのは門矢 士」
「不愛想は余計だ」
「で、俺たちはいろんな世界を旅してる途中なんだ」
肩に手を回し、指をさしながら紹介をしてくれるユウスケさん。それに対し、鬱陶しそうに刺された指を払い下す士さん。
どうやら俺の知っている人たちで間違いはないようだ。
「で、早速だがさっきのあれはなんだ?」
士さんの言葉に一同が俺の方を見てくる。
なんて答えればいいのだろうか……。とりあえず、本当の事を踏まえつつごまかすしかないかな……。
「さっきの怪物はファントム。人間の絶望から生まれる存在です」
「えっと……、俺と夏美ちゃんは見てないけど、そのファントム? って言うのがこの世界の敵なのかな?」
「そうとも言えますし、そうとも言えないのが今の現状ですかね」
「どういう事です?」
俺の言葉に全員が疑問を顔に浮かべる。
「簡単に言うと今のこの世界にファントムは存在しなかったんです」
「どういうことだ?」
「まず、俺はそちらの言う仮面ライダーで間違いはありません。仮面ライダーウィザード。それが俺の正式な名称です。そして、俺はそのウィザードの力を得た時にそのあたりの知識についてもある程度知りました。その知識の中にはそちらの、ディケイドとクウガについても少なからず知っています」
「えぇ!? 知ってたの?」
「……」
士さんとユウスケさんの方を目で見る。ユウスケさんの方は見るからに驚き、士さんの方は少し眉を動かしただけで、顔にはあまり変化がなかった。
「あくまで、知識としてだけです。ファントムについても知識でだけしってました。そして、この世界にはもうファントムは存在しないと言う事も知りました」
「じゃあなんで、そのファントムが現れたんでしょうか?」
「決まっている。士が、ディケイドがこの世界に来たからさ」
「「海東さん!」」
当然入口の方から声が聞こえ、全員が一斉にそちらを向く。そこにいたのは間違いがなく、海東 大樹その人だった。
大丈夫だ……。士さんがいる時点でこの人がいることは分かっていたんだ。もう驚かないぞ……。
「相変わらず、コソ泥か? 海東」
「失礼だね士。だけど、もうこの世界のお宝は手に入れたんでね」
そう言い紙袋を掲げる海東。だが、その紙袋は俺たち4人はもはや見慣れたものであった。
「それって翠屋の?」
「あぁ。この世界のお宝、喫茶翠屋のシュークリームさ」
「「「はぁ?」」」
やはり間違いではなかった。だけどお宝なのか? 現に付き合いが長いはずの3人も何言ってんだと言う顔をしている。
「海東……、お前……」
「士。なんだいその顔は?」
「海東さん、その……シュークリームがお宝って言うのはちょっと……」
「無茶があるような……」
「わかってないな君たちは。だったら食べてみるといい」
そう言いテーブルにシュークリームを並べる海東。
あの~、すごく話がそれているんですが……。
「おいしい!? なにこれ、超おいしい!?」
「たしかに、こんなにおいしいシュークリームは初めてです!?」
「……悪くないな」
「コーヒー入りましたよー。あれ? おいしそうなシュークリームだね。私ももらっていいかな?」
「あぁ、もちろん」
コーヒーをそれぞれに配り終え、自身もシュークリームを食べる栄次郎さん。
なんだろう……。俺たち完全に、
「私たち、完全に蚊帳の外ね……」
「「「あぁ(うん)」」」
俺の思っていたことをアリサも思ったらしく声に出す。
それから俺たち4人は出してもらったコーヒーを飲みながら少し待つことにした。ただ、なじみ深い翠屋が評価されているからか、悪い気はしない。
「ごめん……、話しがそれちゃって……」
「いえ。気にしないでください」
「それで海東さん、士君が来たからってどういう意味ですか?」
「もう気づいているんだろ?」
「大体わかってる。つまり今までと一緒。俺が来たせいでこの世界が壊れたって事だろ」
「そんな!?」
「あ~、とりあえずいいですか?」
士さんの自傷とも取れる言葉に夏美さんが声を荒げる。
何はともあれ俺は俺の意思を伝える事にする。
「皆さんはこの世界にしばらくいるんですよね? だったら協力してもらえませんか?」
「聞いてなかったのか? 俺が来たせいでこうなったんだぞ?」
士さんは表情を一切変えずにそう言ってくるが、どこか悲しい雰囲気を感じてしまった。
「まぁー、もしそうだとしても起きてしまった事は仕方がないですし、これからどうするかが大事なので、だったら力を貸してもらいたいなと」
今まで、それなりにいろいろな事件に巻き込まれたせいか、どうすれば一番安全に問題が解決できるかを考えるようになったようだ。
「それに……」
俺の隣に座る3人を見渡し、再び士さんたちに向き直し
「仲間がいるのは心強いもんなんで」
「「「「……」」」」
士さんら4人も顔を見合わせる。後、何故か横に座る3人の頬が少し赤い気がする……。
「それに、どうせ信じるなら絶望より希望の方がいいでしょ」
俺の座右の銘であるこの言葉を言って少しして俺の携帯電話がなる。
「すみません、少し失礼します」
そう言い、席を立ち部屋の隅に移動して電話に出る。
「はい、小野で『アリシアは!? アリシアはどこにいるの!?』うぉ!?」
ヤバイ……、耳が超キ~ンとなる。
電話の相手はプレシアさんであり、どうやらいつまでも帰ってこないアリシアが心配になり俺に電話をしてきたようだ。
「今は一緒にいますよ。大体俺にじゃなくてアリシア本人に電話すればいいでしょうに……」
『いくらかけても出ないからよ! それよりアリシアに変な事してないでしょうね! いくらあなたでもアリシアに変な事したらただじゃおかないわよ!』
「ちょ、ちょっとお母さん!? 変な事言わないでよ!」
プレシアさんの声が携帯から漏れていたようで、俺から携帯を取り焦った様子で答えるアリシア。その時の顔は完全に赤くなっている。
「大体シュウがそんな大胆な事するはずないよ!」
「おい」
アリシアの言葉にアリサとすずかもうんうんと首を縦に振っている。人をなんだと思っているんだ。大体近頃は幼馴染の方々がどんどんと体つきが大人らしくなってきて……。失礼。
アリシアから携帯を返してもらう。
「もう少ししたらちゃんと送っていくので家で待っていてください」
『絶対よ!? そして早く! 早くアリシアを連れてk』
話しの途中だが電話を切らせてもらった。だってこの後、いつものパターンだとアリシアとフェイトがいかにかわいいかを永遠と語って来るんだもん……。特にフェイトがミッドに移ってからは完全に暴走している始末。
「はぁ~……。すみません、そろそろ俺たちは失礼します。何かあったらこの番号に連絡お願いします」
「あぁ、わかった! こちっもよろしくね修也くん!」
そして向こう側からはユウスケさんが連絡先を教えてくれ、本日は解散となった。
光写真館から出て、翠屋に向かい歩き出す。その間にもさっきの話の確認などをする。
「それじゃあ、最近の行方不明事件はあのファントムとか言うのが関係してるのね?」
「あぁ、十中八九そうだろうな」
「その人たちは、その……何に絶望したのかな?」
「……どうなんだろうな」
それこそひとそれぞれ、怪我をした時、夢が破れた時、失恋した時、大事な人に裏切られた時、そして誰かが死んだ時。本当に千差万別。
「ねぇねぇシュウ。話は変わっちゃうんだけど、士さんたちの言ってたいろんな世界を旅してる? て言ってたけど、それってミッドチルダとか、管理世界の事なのかな?」
「いや、士さんたちの言っている世界って言うのは根本的に違う世界の事だな」
「「「?」」」
3人は理解できないのか顔に疑問を浮かべている。さてなんて言えばうまく伝わるだろうか……。
「えっと……、なんと言うか……。彼らは、並行世界に近いさまざまな地球を旅しているんだよ」
「並行世界ってあれよね、とても酷似してはいるけど全く違う世界。俗にいうパラレルワールドってやつよね?」
「?」
アリサが答えてくれたのだが、アリシアはどうやら理解できなかったようだ。う~ん……。
「えっと、アリシアちゃん。『もし』とか『~だったら』の世界の事なんだけど」
すずかが分かりやすく噛み砕いて説明してくれたので俺がそれに付属して答える。
「要するに、『もし』俺とアリシアが出会わなかった世界とかだな」
「そんなの嫌だよ!?」
「あくまでたとえばだよ。つまり、そうだな……。最も近くて最も遠い世界ってところか?」
あれは本当になんて言っていいのかわかりづらいんだよな。
「つまり、あの人たちはその平行世界を旅してるって事?」
「大体そんな感じだな」
「でもどうやって並行世界なんて移動してるのよ?」
「それは士さんの、ディケイドの力ってところだな。後はあの海東さんの方もできるだろうし」
「それじゃあ、この世界に来たのはたまたまなのかな?」
「さぁ? そこまでは俺にもわからないな」
結局聞くことができなかったけど、恐らくだけど、俺の仮面ライダーの力に引っ張られて来たんだろう。本当に予想外の出来事だ。だけど正直な話、ディケイドが来たのは切っ掛けにすぎず、ディケイドが来なくてもいずれ起きていたかもしれないんだ。だったらむしろ士さんたちが協力してくれる今の方が助かる。
そんな話をしているうちに翠屋に到着し、時間も時間なのでアリサとすずかは迎えの車を呼び、俺はお宝とまで言われたシュークリームを購入し、アリシアを家に送る。
その後、家に帰りこれからの事を考えつつ、休むことにした。