最後の希望を目指す転生者 え、俺の事?   作:x-フィリップ-x

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28話 指輪VS本

 更に数日が過ぎ現在12月20日。

 あれからも蒐集を続け、後少しで完成という段階まで来ているのだが、ここで少し問題が起きた。原作通りはやてが入院したことである。

 正直はやてが入院するまでに終わらせるつもりだったので、軽く落ち込んだ。

 後、はやてを基点に闇の書を暴走させるので場所を大きく動けずに、この海鳴で暴走させないといけない。まぁ、それはユーノとアルフ、シャマルにしっかりと結界を張ってもらって街に被害が無いように最終の注意を払うことにする。

 そして、クロノの方も無事ギル・グレアムを説得できたらしい。聞くと俺の名前を言ったとたんに信じてくれると言ったらしい。俺は1度もグレアムさんと会ったことないんだけどなんでだ? ともかく問題ないとのことだ。

 その際にストレージデバイスのデュランダルを貰ったようだ。戦力が増えるのは正直助かるのでとてもありがたい。

 

「さて、んじゃ始めるか」

 

「うん」

 

 今は夜の病院、屋上に集まっている。

 この場にいるのは俺とはやてを含め、なのはとユーノ、フェイトとアルフ、ヴォルケンリッターの4人にクロノ、そしてプレシアである。

 今から行う手順はこうだ。プレシアから最後の蒐集を行い闇の書を完成させる。その後、クロノにプレシアをアースラに送ってもらい、そのままクロノは待機。闇の書の暴走に伴い出てくる管制人格(のちのリンフォース)を俺、なのは、フェイトの3人で時間稼ぎの戦闘をする。ユーノとアルフには俺らの後方で結界を張りつつのサポートをしてもらう。そして、ヴォルケンリッターの4人はこの戦闘には外れてもらい、何か異変がないかを探索してもらう。とりあえずはこれが前半戦だ。

 ヴォルケンリッターを外したのは、なんだかんだ言っても主であるはやてを攻撃するのに躊躇される可能性があったので、見回りをしてもらうことにした。

 

「はやて……、恐らくだが、闇の書が完成するとはやては取り込まれる。かわりにはやての体を使って、暴走した管制人格が出てくるはずだ。それを俺たちが抑え込むから、その間にはやてが表に戻ってくる……。と、軽く言ったが本当に大丈夫か? 今までの持ち主がどんな奴だったかは知らないが、今まで誰一人として闇の書を制御できなかったんだ……」

 

「大丈夫やって、シュウ君。取り込まれるってどういう事かはようわからんけど、絶対に私は戻ってくるから。な? 信じて」

 

「……」

 

 はやてがまっすぐな瞳で俺の事を見つめてくる。

 正直このやり方は結構したくなかった……。原作ではこれに近い方法ではやては戻ってくることができたが、やはりそれはかなり奇跡的な事だと言えるだろう。

 なんとか他の方法も無いのか考えたのだが、どうしてもこれ以外考え付かなかった。1つだけ、考えがなかったわけではないのだが、正直はやてへの負担はほぼないが、その分成功率が今行おうとしているものよりも低い。てか無理。

 そして、この作戦をどうしても決行しないといけない理由が2つある。1つは、管理人格を表に出し、しっかりと自意識をはっきりさせる。2つ目は、防衛プログラムの破壊。この2つを成功させないと俺の目指すハッピーエンドにはたどり着けない。

 

「わかった。30分だ。30分経ってもはやてが戻ってこれなかったら、どんな方法を使っても無理やり連れ戻すからな」

 

「うん、わかった。でも私は絶対に戻って来るよ」

 

 何故かはやては自信満々に答えてくる。どこにそのような根拠があるのか分からないが、何故か俺はその自信を信じてみたいと思っている。

 

「よし……。それじゃ俺たちは少し離れるから、確認できたらプレシアさんから蒐集をして、クロノは闇の書に攻撃を加え、暴走を確認したらアースラへ」

 

「わかった。修也、頼むぞ」

 

「フェイトの事を頼むわね」

 

「もちろん!」

 

 クロノとの確認とプレシアさんからのお願いをすまし、距離をとるように動く。

 

「なのは、フェイト、ユーノ、アルフ、行くぞ」

 

「「「「うん(あぁ)」」」」

 

「レイジングハート」

 

「バルディッシュ」

 

「「セットアップ!」」

 

 2人はバリアジャケットに身を包み、俺らと共に移動する。

 距離をとり終え、俺も左手にウィザードリングを付け変身準備をする。今回は出し惜しみ無しで行くが、あくまで時間稼ぎ重視で行くつもりだ。

 

『シャバドゥビタッチヘーンシーン!! ウォーター・ドラゴン……。ジャバジャババシャーン・サブーン!・ザブーン!!』

 

 青い色のウィザードラゴンと一体化し変身する形態、ウォータードラゴン。魔力を扱うのに一番適しているこのスタイルを選択した。

 

「あれ? シュウ君、いつもと違う?」

 

「たしかに全体的に違うよね? 色も逆だし……」

 

 そう言えばドラゴンスタイルはなのはたちには見したことなかったっけ? 蒐集の時は一切使わなかったからそう言えばそうだよな。

 

「まぁ、いつもより本気って事だ」

 

「シュウ、あんた今までの蒐集の時は本気じゃなかったのかい!?」

 

「あれだけ強くても本気じゃないって……」

 

 アルフとユーノが驚きと驚愕といった顔をして俺に聞いてくる。そんなに強いと言われるほどではないんだけどな……。ぶっちゃけ、知能の低い生き物ならビックウィザードリングで叩き付ければ大ダメージ与えたりできるし。ワンパターン的な戦い方になるんだよな……。あれ? 言っててすごく悲しくなってきた……。

 それに、う~ん……、本気っちゃ本気なんだが、なんて言ったらいいんだろうな。

 

「あ~……。一応これ奥の手だからあんまり使いたくなかったんだよ。今はそんな事言ってる場合じゃないしな」

 

 そんなことを話しているうちにプレシアさんから最後の蒐集を終わらせたのか、辺り一面にとてつもない轟音が鳴り響く。その中心地からはおびただしい魔力があふれている。

 そこにははやての姿はなく、黒いバリアジャケットに身を包み、同じく黒の翼が生え、長く伸ばされた綺麗な銀髪、そして赤い瞳が印象的な姿がそこにはあった。

 

「それじゃ、時間稼ぎ頑張りますか」

 

『バインド・プリーズ!』

 

 現れた管制人格……、面倒だから心の中ではリインフォースと呼ばしてもらおう。

 とにかく、リインフォースの周りに6つの青い魔方陣を展開し、そこから同じ青い色の鎖が飛び出し、身動きができないように縛り付ける。

 さて、どう出るか……。

 

「……」

 

 リインフォースは顔を一切変えることがなく、何事も無いかのようにこちらを見てくる。その眼にははっきりと俺らを敵と認識したように思えるほど強い視線だった。 だがその眼からは涙が流れている……。やはりどうなるのかを悟ってか悲しんでいるのだろう……。

 大丈夫。君の事も絶対に助けて見せるから。

 

「……無駄だ。もうすべてが終わる……」

 

 そう言うと、俺のバインドを引きちぎる。恐らく闇の書の魔力を使い破壊したのだろう。分かっていたとは言えこうも簡単に破られるとへこむな……。

 そして、ゆっくりと右手を挙げ、そこに魔力が球体のように圧縮されていく。

 

「……ディアボリック・エミッション」

 

 圧縮された魔力が一気に解放され俺たちに襲い掛かる。

 

「あれは空間攻撃!」

 

「ユーノ、アルフ、防御頼めるか?」

 

「任せて!」

 

「もちろん!」

 

 俺は冷静にどうするかを考え、支援特化の2人に防御を頼み、前に立ってもらう。

 2人の防御魔法によって防御には成功するが、結構後退してしまった。とりあえず今のうちにどうするかを話し合いますか。

 

「2人ともどうだった?」

 

「とんでもなく重たい攻撃だったよ」

 

「同じく。あんなの何発も撃たれちゃやってらんないよ……」

 

「ふむ……」

 

 やはりだが、さすがの攻撃力だな……。

 たしかさっきの攻撃は原作にもあった気がする……。次に結構大事な事があったような……。

 そんなことを考えていると、突如強風が吹いたように体に衝撃が当たる。

 そうだ、逃げれないようにする結界だ。とは言え、逃げる気もさらさらないので別に問題ないが。

 

〈そんなマスターに悲報だよ〉

 

 突如ホープから話しかけてきて驚く。いったい何事だと思いすぐに返事をする。

 

〈どうしたんだホープ?〉

 

〈どうやら日時をずらしてもこの出来事は必然のようだ〉

 

〈だからどういう事?〉

 

〈なに、結界内にアリサ・バニングスと月村すずかが取り残されているようだ〉

 

「はぁ!?」

 

「「「!?」」」

 

「!? 急になんだい! びっくりするじゃないかい!」

 

 4人も急に俺が叫んだのに驚いているが、俺もとんでもなく驚いている。いや、マジでなんでだよ……。

 仕方がない、起きてしまったのなら次にどうするかだ。とりあえずは……。

 

「緊急事態だ。結界内に一般人が取り残されているみたいだ」

 

「そんな!?」

 

「どうして……」

 

「ここから近いみたいだから、4人でそこに向かい無事を確認したらヴォルケンリッターの誰でもいいから連絡して安全な場所に連れて行くように頼んでくれ」

 

「待ってシュウ。どうしてシュウ以外の全員で行くんだ?」

 

 ユーノの言い分はもっともなのだが、取り残されているのがあの2人だと言うことを考えれば行くのはなのはとフェイトの2人がいた方がいいだろう。後、なのはは何かきっかけがないと2人に話さないだろうからせっかくだから今回バレたらいいんじゃないかな?

 

「一応俺が足止めするけど、もしそっちにあの管制人格が行ってもいいようにだよ。俺一人でも少しぐらいなら大丈夫だし。後、少しあの管制人格に聞きたいことがあってな……」

 

「……そういう事なら、わかったよ」

 

 結構無茶な説得だったけどユーノも納得してくれたようだしよしとする。

 

「よし、じゃ4人は行ってくれ」

 

「「「「うん(あぁ)」」」」

 

 俺の指示した方向へ飛んでいく4人を見送り、俺はリインフォースの前に移動する。

 

「さてと、できればはやてが戻って来るまでおとなしくしていて欲しいんだけど」

 

「……」

 

 無言で俺の方に手を向けてくる。そこから魔力弾が放たれる。俺はそれを体をひねり最低限の動きで回避する。

 

「おとなしくする気はないと……」

 

「私は主の夢のために……」

 

「はやての夢ね~。少なくとも何かを破壊することではないと思うけどな」

 

 さてと……。どうやって時間を稼ごうか……。

 バインドはすぐに破壊される。だからと言って接近しすぎると闇の書の中に閉じ込められる可能性がある……。とりあえずは、距離を取りつつってところか。

 

『コネクト・プリーズ!』

 

 魔法陣に手を入れウィザーソードガンを取り出す。

 

「はやて! 早く起きて来い!」

 

「無駄だ……。主は今、穏やかな夢の中にいる」

 

「夢の中ねえ……。だったらさっさと起こさないとな!」

 

 ウィザーソードガンをガンモードにし、数発をリインフォースに向けて放つ。だが、軽々と防がれる。

 仕返しとばかりに、俺に向けて血のような色をした短剣が数発放たれる。数は目測で16といったところだ。それにウィザーソードガンで撃ち落とそうと弾を放つが、リインフォース自身が制御しているのか避けるような動きで俺が撃った弾を避け、俺に向かってくる。

 

「チッ!」

 

 ウィザードリングを発動する時間がないと思うや否やすぐさま防御態勢に入り、衝撃に備える。1発が当たると、それに連鎖されたようにすべてが爆発する。

爆風で俺の周りが煙が立ち上がる。煙がない後方に移動する。

 

「いって~。いくらドラゴンとは言え、やっぱりウォーターは防御に難ありだよな~」

 

 やっぱり右手にリキッド常備しておいた方がいいかも……。

 それはともかくリインフォースの方を見るとまた目から涙を流していた。

 

「……涙を流すほど嫌なんだったら、こんな事やめろよ」

 

「私は主の願いを叶えるだけだ。所詮私は魔導書。ただの道具だ」

 

 所詮魔導書? ただの道具?

 

「ふざけんじゃねぇ!」

 

「……」

 

「お前にはしっかりと感情があるんだろうが! だからそうやって涙が出るんだろ! お前は本気で主を、はやての事を思っているんだろ。だったらはやてを悲しませるようなことしてんじゃねぇ!」

 

「……もう遅いんだ」

 

 言い終わると同時に地面が割れ、巨大なサソリの尻尾のようなものを基点に触手のようなものが複数出てくる。

 

「そうかい。だったら!」

 

『超イイネ!ブリザード…サイコー!』

 

 地面に巨大な魔方陣を展開し、その範囲内にある触手を含め辺り一面すべてを凍らせる。

 

「俺が救ってやる! 何も遅い事なんてないんだ。はやてもお前も絶対に助けて見せる! 俺がお前たちの最後の希望だ!」

 

「どうしてそこまでして主の事を……」

 

 どうして、か……。たしかに痛いし、疲れるしでいい事なんてない。ここ最近は考えることや、やる事が多くてゆっくりする時間もない。本当にめんどくさい事この上ない。

 だからって何もしないでいれるほど知らない仲じゃないんだよ!

 

「他人事みたいに言ってるんじゃねーよ。お前の事も絶対に助けるからな! 俺の前で絶対に絶望なんかさせないからな! 闇の書、いや、夜天の書の管制人格さんよ!」

 

「!? どうしてその名前を!」

 

「お、やっと無表情じゃなくなったな」

 

 俺の突然の言葉に一気に驚いた顔に変わる。やっぱり感情あるんじゃんか。きっと俺は俺でニヤッと笑っていると思う。

 さて、今で大体10分ってところか……。

 

「さぁ、まだまだ行くぜ!」

 

 

 

 

「ハァ、ハァ、いや~強いね……」

 

「……」

 

 更に戦闘は続き、5分といったところか……。

 ぶっちゃけた話、強すぎじゃね? さすがに勝てるとまでは思っていなかったけど、少しは対抗できるとか思っていた。だが、戦えば戦うほど実力に差があるのを思い知らされる。

 ホント溜息が出ちまうよ……。リキッドも使ったけど、ありえないほどの量の攻撃を立て続けにされて魔力ガリガリ削られかけるわ。いや~、666ページ分の魔力は伊達じゃないってことですね。

 あれだね、格好つけて4人ともあっちに向かわせたけど、早く戻ってきてくれないかな……。なんて……。それ以上に5分前の自分の発言が恥ずかしい……。

 てか、原作でなのは1人でよく接戦できたよな……。

 

「もう諦めて眠れ……」

 

「眠れって……。だったらおとなしくしてくれよ……」

 

 本当にゆっくり寝たい……。だから全部終わらせて、早く明日を迎えるために。

 

「「「「シュウ(君)!」」」」

 

 俺の祈りが通じたのか4人が戻ってきてくれた。この世に神はいた! まぁー、会ったことあるんだけど……。

 だがなのはとフェイトの顔は少しばかし暗くなっている。

 

「よ、お帰り。どうだった?」

 

「えっと、その……」

 

「なんて言ったらいいのか……」

 

 なんて言ったらいいのかわからないのかなのはとフェイトは返答に困っている。

 わかってるのに聞いているから意地が悪いとは思った。

 

「どうした? まるで、取り残された一般人は今まで魔法の事を黙っていた友達で、魔法の事見られたからどうしたらいいのかわからないって顔をして」

 

「「!?」」

 

「シュウ、アンタ……」

 

「もしかして見てた?」

 

「いや、勘だけど?」

 

「「「「……」」」」

 

 なのはとフェイトは驚きを、アルフとユーノは何で知っているんだ? という表情で見てきた。その前にユーノ、見てたってなに? どんだけ離れていても俺なら見れるとでも思ってるの? さすがにそれは無理だよ。……無理だよね?

 

「さてと、戻ってきてそうそうで悪いけど手伝ってくれる? 1人だと思いのほか辛くて」

 

「うん!」

 

「任せて」

 

 さてとはやてはまだか? 原作と違って絶望が暴走の発動トリガーじゃない分早く戻ってきてもおかしくないと思うんだが……。ただ、あくまで無事戻ってくることが前提の話だけど。

 

「余所見とはずいぶんと余裕だな……」

 

「へぇ?」

 

 突如リインフォースの声が聞こえたと思い、振り返ると手を伸ばせば触れれるほど近くに彼女はいた。

 それに本当に間の抜けた声が出てしまった。

 

「お前も眠れ……。永久の眠りを……」

 

「ちょ!? 待て! 待って! お願い! それは勘弁! あぁー!」

 

 闇の書が開かれ、眩く光る。それに引きずられるように体が引き寄せられる。

 ちょ、ダメだって! フェイトが入らないからって俺入れようとしちゃ駄目だって! ちゃんと警戒して今まで近づかなかったのに何で急にそっちから近づいてくるの!

 そして俺の意識はそこで途切れてしまった……。

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