最後の希望を目指す転生者 え、俺の事? 作:x-フィリップ-x
前回までの3つの出来事。
1つ、闇の書の防衛プログラムを完全に破壊する。
2つ、翠屋でのクリスマスパーティーに呼ばれ、そこでクリスマスウィザードリングを使う。
3つ、無事はやての足が動き喜んだのもつかの間、アリシアのプリーズウィザードリングが壊れた。
…………
あれ? 3つ目の、特に最後のが理解できないぞ?
ふぅ……。よし、落ち着け……。まずは落ち着くんだ……。冷静に考えるんだ……。
何が起きたんだ? えっと……。まず、翠屋について皆と話す。次に初めての人に挨拶をする。で、クリスマスウィザードリングを使って、皆に元気になってもらおうとする。無事成功したようで、はやても立つことができ、うれしかったのか俺を押し倒すような形になり、下敷きになる俺。よかったと思っていたらアリシアにあげたプリーズウィザードリングが壊れてしまったらしい。
……あれぇ~? ちょっと意味が解らないぞ? まだ冷静になれてないのかな?
とりあえず、はやてをどかすか。
俺のリンカーコアでの魔力で使える数少ない魔法の1つ、変身魔法を応用した大人モードを発動させる。はやての下敷きになっている俺の体が大きくなり、そのままはやてを抱っこするように抱え上げ、車椅子に座らせる。そして、何かを飲んで一息つこうと考え、一番近くにいるなのはの兄、高町恭弥さんがコーヒーを持っているのが見える。
「すみません。えっと……なのはのお兄さん。そのコーヒーもらってもいいですか?」
「あ、あぁ。俺の飲みかけでいいなら……」
「かまいません。ありがとうございます」
コーヒーをくれた恭弥さんはいろいろありすぎたせいかなにが起きたのかいまいち理解していない、といった顔をしている。それは恭弥さんだけでなく、俺の魔法初見の人はもちろん、クロノ達俺の魔法について知っているメンツも今度は何をするんだ? という感じで、つまり全員が困惑している。
ともあれ、いただいたコーヒーに口をつける。
うげぇ~、ブラック、いやBLACKだこれ……。
体を大人にしても何故か子供舌のままだからBLACKはきつい……。丁度、手の届くところにミルクが置いてある。
こ、これは! BLACKでは飲めない、否、勝てないなら進化すればいい! そう! このミルクを入れることによってこのコーヒーはBLACKからBLACK RXに進化するのだ!
そうと決まれば俺の行動は早い。すぐさま真っ黒のコーヒーにミルクを入れる。コーヒーの色がミルクが入ったことにより子供にやさしいマイルドな色になっていく。
それに改めて口をつける。うん、今度は飲みやすい。いや~落ち着く。翠屋のコーヒーも絶品だと思うので、是非俺がもう少し大きくなったら頻繁に飲みに来たいと思う。もちろん毎回シュークリームと共に。
…………
「って! ちがーう!」
『!?』
何を完全にリラックスしてんだよ俺! 落ち着かないといけないとはいってもこれは違うでしょ! 後皆さん急に大きな声出してすみません!
手に持っているコーヒーカップをテーブルに置き、アリシアに近ずく。アリシアの右手を取り、プリーズウィザードリングを見てみるが、完全に粉々になっており、修復不可能。一体なぜだ?
『なるほど……。実に興味深い』
俺がまったく理解出来なくて困惑していると、ホープが何かわかったのか1人で納得している。
「おいホープ。なにかわかったのか?」
『あぁ、まったくマスターはとんでもないことをする。そこが面白い。ゾクゾクするよ』
おいホープさん、焦らさないで早く教えてくださいよ。AIの元がWのフィリップのおかげか、星の本棚が無いとはいえ、知能が最早チートのレベルです。だから俺でもわかるように説明お願いします。
俺の意思が伝わったのかホープが説明をしてくれる。
えっと……、ごめん意味が解らない。聞いた話を簡単にまとめるとこうだ。今までクリスマスウィザードリングが発動しなかったのは魔力不足ではなく、思いの強さが足りなかった。ここまではすぐに理解。問題はここからだ。まず、ここには魔法使いがたくさんいる。それこそなのはやフェイト、クロノのとんでも魔力持ち。更には闇の書、じゃなくて夜天の書持ちのはやてと、プレシアさんの超異常魔力持ちまでいる。ヴォルケンリッターの4人とユーノにアルフ、リンディさんだっている。そこでさっき使ったクリスマスウィザードリングだ。俺の願い『この場に居る皆が元気になりますように』だった。
だがこの効果は俺の予想の斜め上をいっていた。効果によって回復したのは怪我だけでなく体力、そして魔力もだ。しかも限界までじゃなく、0からMAXになる分だ。そこで1つ疑問が生まれる。それは元からあった魔力はどうなったのか。それはこの部屋に霧散された、らしい。例えになるが、100入る器があり、そこにすでに50入っていたとする。そこに限界値の100が追加されたら元あった50はどうなるか。それは消えて無くなるのではなく、外に押し出されるということだ。
ここまではギリギリ理解できた。本当にギリギリだけど。だってホープ超難しい言葉つかって来るも。俺がなんとか自分で理解できるようにしているが、本当に頭が痛い……。
さて、ラストスパート。その霧散された魔力がどうなったか。簡潔に言おう、プリーズウィザードリングを経由してアリシアの体内に入った。何とも都合のいいことにリンカーコアの魔力を、わざわざ俺と同系統の魔力に変換してだ。だが、それでプリーズウィザードリングが壊れた説明にはならない。そこにホープの止めの一言だ。
『アリシア・テスタロッサの体内にマスターと同じ魔力で出来たモンスターが生まれた』
これを聞いて俺は完全にフリーズした。
俺と同じ? アリシアの中に?
本当に意味が解らなくなった。つまりあれか? プリーズウィザードリングが壊れたのは耐久値を超えたなどの理由ではなく、もう俺からの魔力供給無しでも大丈夫ってことか? それって生きていくのに制限がなくなったのか?
ダメだ、本当に意味が理解できない……。もう一度言っておく、ごめん意味が解らない。
残っていたコーヒーを飲み切って、落ち着こうとするがやはり無理だった。
『…………』
回りを見てみるが、全員ぽか~んとした顔をしている。いや、わかるよ。俺も実質同じような顔してるもん。
「ねぇーシュウ。つまりどういうこと?」
アリシアが無邪気に聞いて来るけど、一体どう答えればいいんだ? だって俺自身全く理解できていないのだ。
「えっと……。アリシア……。つまりだな……。そう! 自由! アリシアはもう体に問題がなくなったからなにやっても大丈夫だ!」
何言ってんだ俺!? 確証ないのに何言ってんだよ! 無責任にも程があるだろ!
〈ど、ど、ど、どうしよホープ!〉
〈落ち着きなよマスター。マスターが言ったことで問題ない。彼女が魔法を使わずに生きていれば、約100年近く持つだろう〉
ホープの言葉を聞き一気にホッとした。つまりアリシアは本当の意味で助かったと言う事だ。ホープにも説明ありがとうと伝る。でもよかった。はやてだけでなくアリシアの問題も解決できるとは思っていなかった。本当によかった。
「本当! ありがとうシュウ!」
「うぉ!」
はやての次はアリシアが抱き付いて来る。さっきと違い、大人モードなので倒れることはないので、腰辺りにアリシアがひっついている状態だ。
はやてにしろアリシアにしろもう少し自重した方がいいと思うぞ。今はいいが数年後同じことをされると男として変な誤解をしてしまうかもしれないよ?
「ッハ! アリシアちゃん、シュウ君から離れて!」
「そ、そうだよ姉さん! シュウが困ってるよ!」
「せ、せや! アリシアちゃん、ずるいで!」
「ぶぅー! いいじゃん別に! はやてだってさっきしてたし!」
情報処理が終わったのか、なのは、フェイト、はやてが俺に引っ付いているアリシアを引きはがそうとしている。あの~みなさん? 俺の意思は無視ですか? てかはやて、ずるいってなに?
俺がそんなことを考えている間も4人は俺の腰元でごちゃごちゃ騒いでいる。ハァ……。
子供4人が騒いだおかげか、他の面々もいつも通りに戻ってきている。
「まったく……修也。君はいつもとんでもないことをしてくれる……」
「そう言うなよクロノ……。俺だってこれには驚いてるから……」
代表してクロノが言ってくるが、おそらく全員思っている事だろう。
「でも」
でも本当によかった。アリシアのことはいつかどうにかするつもりだったが、今すぐにはできないと思っていたのだ。予想外で理解できない事ばかりだけど、うれしい事に違いない。
「クリスマスだしありってことで。サンタクロースに感謝だな」
「サンタクロース?」
「そ、サンタクロース。魔法使いがいるんだ、サンタクロースがいてもおかしくないだろ?」
「いや、そもそもサンタクロースってなんなんだ?」
あ、知らないのね。文化の違いですか……。
その後、腰に引っ付いたアリシアを引き離し、俺、ユーノ、クロノ、ザフィーラの男4人で固まって話している。理由は簡単、女性組のところに居づらい。
ユーノがどうしてやつれているのか聞いたり、クロノの事件処理の愚痴を聞いたり、俺とザフィーラで聞いている。ちなみにユーノのやつれていた理由は、人間であることがアリサたちに知られて、ずっと説教されていたらしい。ご愁傷様です。
「シュウ君? でいいかな? ちょっといいかな?」
こっちで話していると、なのはの父、高町士郎さんが声をかけてきた。そして、士郎さんに連れられ大人たちが集まる大人ゾーンに連れていかれる。ま、俺も大人のままなんだけどね。
ここにいるのは高町夫妻に兄の恭弥さん、月村姉の忍さん、プレシアさん、リンディさん。他は女性で集まって皆でケーキ食べてるよ。男はアリサの執事の鮫島さんぐらいだね。
「どうしたんですか? なのはのお父さん?」
「それじゃ呼びずらいだろ? 名前でいいよ」
「わかりました、えっと……、士郎さん。で大丈夫ですか?」
「うん。改めてよろしく」
「よろしくお願いします」
いい人だ~。正直呼びにくいんだよね、なのはのお父さんとかお母さんとか。
さて、なぜ俺は呼ばれたのでしょうか? ハッ! まさか家の娘に手を出すな的な! ……ないな。
「うん。それで、お礼が言いたくて」
「お礼?」
はて? なんのことだ? 魔法関係かな?
「昔、なのはの事を気にかけてくれた事のかな」
「あぁ、そのこと」
この世界に来てすぐの時の事だろう。
そんなに気にする事でもないとでもないと思うんだけどな……。たいしたこと言ってあげられなかったし。
「気にしないでください。一緒にアイス食べた程度ですよ」
「それでもありがとう」
士郎さんのお礼の後に、他の高町家の皆にもお礼を言われた。内心とても照れているが、必死にポーカーフェイスですよ。うれしいけど、恥ずかしい……。
後、高町家の皆さん(美由紀さん以外)に名前で呼んでいいと言ってもらったよ。やったね。
その後も少し話していたんだが、士郎さんのある一言で悩んでしまった。
「修也君のご両親にも、1度挨拶したいんだけど」
この言葉である。
知っての通り、今は一人暮らしだ。両親がいないのには仕方がない。だがそれを今言うかどうするか……。せっかくのパーティーでこの手の話は空気が悪くなるから嫌なんだが……。
あぁ……、俺に親がいない事を知ってるリンディさんがどうするか悩んでるよ……。
仕方がない。出来るだけ重くならないように話すか。後回しにするのもめんどくさいしな……。
「あ~……、すみません。俺両親いないんですよ」
「「「「え?」」」」
高町家の3人とプレシアさんが理解できないと言う声を出す。
「物心ついた時には俺1人だったんですよ~。つまり俺が小野家の代表です」
できるだけおどけてみせるが、皆さんの顔が暗くなっている。後、何で皆しーんとして聞いてるの? 女性陣はワイワイとケーキ食べときなさいよ!
「その……、親戚とかは?」
「いないですよ」
さらに空気が重くなった!? どうすりゃいいんだよ!
さっきまでの楽しい雰囲気はどこにやら、ズーンと言う擬音が見えそうなほど空気が重くなってしまった。
「……辛くないのかい?」
俺がどうするか迷っていた時に、士郎さんがそう言う。
これだ! ここで一気にこの重い空気を払拭する! そう『ピンチはチャンス』だ!
「まぁ、辛くないと言えば嘘になりますね。でも、今は全然辛いとは思わないですね」
正直な話、今の俺は前世含めて22、3歳になる。この年になると独り立ちするのが早いか遅いかの差しかない。俺はそれが少し早かっただけなんだろう。確かに一生両親に会えないと思うと辛いものがあるが、それを言ったら、リアル9歳のはやてはどうなるんだと言う話である。
それに、言った通り、今は何も辛いことはない。
「正直、最初は魔法絡みの事件に自分から関わるつもりは一切なかったんですよね。自分に降りかかる火の粉を払えばいいや程度の考えだったんで。でも今は関わってよかったと思ってますよ。いろんな人と知り合いになって、それに大事な友達もできた。ありきたりですけど、俺は1人じゃないんで」
これが俺の今の感想だ。それと忘れてはいけないよな。
「それに」、と言い話続ける。
「俺には家族であり、相棒のこいつがいるんで。な、ホープ」
『やれやれ、うれしい事を言ってくれるねマスターは』
首元からドライバーオンウィザードリングの形状をした相棒、ホープを服の中から取り出しながら言う。
「だから! 今日のパーティーは超楽しんでます!」
「そうか……」
さっきとは打って変わって士郎さんの顔は微笑みに変わり、そう言ってくる。
そして周りの空気も先ほどよりましになったのでそれでよしとする。
その後もパーティーは続き、とても楽しませてもらった。シュークリーム超うめぇ~。
こうして本当の意味で原作2期、A'sが終わったんだと思った。
次の問題はStrikerSか……。あれ? 何か忘れてね?
なんと言う無理矢理感……。
一応アリシアは指輪の魔法を使うことができるようになりましたが、寿命を削る事になるので使うことはないかな?
でもフェイトと黒つながりで黒の魔法使いになるのも面白そうかもとか思ったり……。
これで、A'sも終わりになります。
次はゲーム、ではなく空白期と言う名の作者の息抜きや、フラグ回収したり、フラグ立てたりになります。
よろしくお願いします。