最後の希望を目指す転生者 え、俺の事? 作:x-フィリップ-x
前回の後書き通り、これから数話はゲームまでの空白期になります。
よろしくお願いします。
34話 T/過去?今?未来? 前編
困った……。非常に困った……。どうしてこうなった……。
現在、俺は全く知らない倉庫の中におり、目の前にはどう見ても危険と分かる程の血を流した青年が横たわっている。
そして、俺はすでにフレイムドラゴンに変身しており、ドラゴタイマーを使い、一度だけレバーを押し、ウォータードラゴンの俺を出し、この青年の治療をさせている。
俺の方は、ウィザードソードガンをソードモードにし構え、違法改造されたであろう血の付いたデバイスを持った3人の魔導師と対峙している。
本当にどうしてこうなった……。
闇の書の一件が終わり一段落し、クリスマスパーティーから3日たち、現在12月28日。なんだかんっで楽しかったな。この世界に来て、初めてのパーティーだったもんな。
そして、今は打って変わってただいま大掃除中です。いくら住んでいるのが俺一人で誰にも何も言われない状態だとはいえ、年の終わりにはきっちりしておきたい。てか、明日やるとか言ってるとズルズル引きずって、最終的にめんどくさがってやらなくなりそう……。そう、明日って今さ!
そして明日からは家でゆっくりだ! 年越しそばにおせち、今からよだれが出そうだぜ! あ、勿論出前ですよ。
「ん? あれ? なんでこれがここにあるんだ?」
そんなことを考えながら掃除を続けているとあるものを見つける。場所はテレビの裏。
ウィザードリングのの1つである、タイムウィザードリングである。
「あぁ~、そういえば作ったんだっけか……」
作ったはいいが、結局使うことがなく今の今まで忘れてしまっていた。いや、テレビの裏って扱いがひどすぎるだろ……。
たしかあれははやての誕生日、ヴォルケンリッターの4人がはやての家に住み始めて少し経った頃、ふとある事が頭をよぎり、勢いで作ったのだ。
その思いついた事は、『タイムウィザードリングの能力で過去に飛んで闇の書が改変され、暴走する前に行き、闇の書がなかったことにすればよくね?』と言うものだった。
それから空き時間でちまちま作り、1ヶ月ほどたちリングを完成させることができた。
早速過去に飛ぼうとしたのだが、ホープにそのことを伝え実行しようとした時に『そこまでの大掛かりな事をしてしまうと、現在が無茶苦茶になってしまいどうなるかわからない』と言われる。冷静に考えれば当たり前の事だったのだが、何故かその大事な事を懸念していた……。
そして結局タイムウィザードリングは使う事のないまま、今の今まで埃を被っていた。
「う~ん……、もう特にこれを使う要件が思いつかないんだよな~」
『だったら壊してしまうかい?』
「できれば壊したくはないな……」
理由としては2つある。1つは自分で作った物で愛着がある事。2つ目はウィザードリングの種類が全体的に少ないことだ。
基本俺が持っているウィザードリングは作中に登場したものばかりである。一応ではあるが、もらった特典的に、作ろうと思えば好きな能力のウィザードリングを作ることが可能と言えば可能である。ただ、大きな難点がある。ウィザードリングを作るにはその魔法の発動に必要な情報をすべて詰め込まないといけない。原作に出てきたものに関してはすでに情報開示されている状態なので案外すぐ作れるのだが、1から作るとなるととんでもなく大変なのだ。
例えに出すと、奇跡的なレベルの状況で生まれたインフィニティウィザードリングとスペシャルラッシュウィザードリングは現状作れないし、ジュエルシードの時には結局使いはしなかったが、ジュエルシードを封印するだけのウィザードリングを作るのに4ヶ月半近くかかった。レイジングハートやバルディッシュに初期状態でついている機能の封印をウィザードリング化するのに4ヵ月ですよ? もっと複雑な魔法のウィザードリングを作ろうと思うと何ヶ月、いや何年かかるか分かったもんじゃない……。まさか俺が貰った特典にこんな落とし穴があるとは思っていなかった……。
いや、正確には俺の頭で魔法を細かく理解できていないのが問題なんだろうが。ただ、近いうちにホープに魔法の知識を多量に詰め込んで、リング作りに協力してもらう予定だけど……。
つまり何が言いたいかと言うと、せっかく作ったのだから使いたいという事だ。
「と言う訳で、1度使おうと思う」
『どう言う訳かはわからないけど、あまり推奨はできないね……』
「そう言うなって、ちょっと過去と未来の自分に会いに行くだけにするから」
『はぁ……。こうなったマスターは話をちゃんと聞かないからね……。嫌な予感しかしないが……』
よし! ホープの許可も下りたし早速使ってみるぜ!
それじゃあ、まずは過去から。とりあえず、そうだな……、よし! この世界に来てすぐくらいにしよう。そう強くイメージし、バックルにウィザードリングをかざす。
『タイム・プリーズ!』
発動を確認すると目の前に空間の歪みが発生する。その中に入ればおそらく過去に飛べるであろう。
……結構怖いなこれ。
目をつぶり、意を決して歪みの中に入ると、次の瞬間周りの景色は室内から公園に変わった。
「成功かな? ホープわかる?」
『少し待ってくれ……。無事成功したみたいだ、月日を確認してみたけど、今はマスターがここに来て約4ヵ月といったくらいかな』
あれ? 思った通りの時間丁度じゃないのか?
「まぁ、いいか。なら早速この時間の俺をさがs……ん?」
少し離れてはいるが、今小さい女の子が黒いスーツを着た男に車に押し込まれるのが見えたような……。
「なぁーホープ。あれ……」
『十中八九、誘拐だろう』
「ですよね~……」
なんか昔もこんな事なかったっけ?
……あ! そうだよ! 転生して4ヵ月と言えばアリサの誘拐に首を突っ込んだ時じゃないか!懐かしいな……。
あれ? でも。今車に乗せられた子はチラッと見えた程度だが、金髪ではなかった。
つまりアリサとは別の子ではあるはずだ。
「取り合えず、見過ごすわけには行かないよな」
アリサの時と違い、ウィザードリングの種類も増えているので探すのにはそこまで苦労することはなく見つけることができた。探し物にはこれ、プラモンスター! 今回はレッドガルーダのガルちゃんと、グリーングリフォンのグリフォンちゃんの2体。
「サンキュー、ガルちゃんにグリフォンちゃん。さて……、なに? 誘拐にはここらへんを使うのがデフォなの海鳴は……」
場所は町はずれの大型倉庫。以前アリサの誘拐の時にも使われた倉庫のすぐ隣だ。
「まぁーいいか。んじゃホープよろしく」
『あぁ、了解』
ウィザードライバー形態になるホープ、変身待機状態にし、すぐにフレイムウィザードリングをかざす。
『シャバドゥビタッチヘーンシーン!!フレイム!プリーズ……。ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!!!』
早速ウィザードリングを発動し、魔法陣を通過しフレイムスタイルに変身する。
「ホープ中の反応は?」
〈大人が4人に、子供が1人だけのようだ〉
「了解!」
「「「「「!?」」」」」
ホープの返答を聞き、すぐさま前回と同じく扉をぶち壊す。
やはりといっていいのか、一ヶ所に集まっていた黒服の男性4人に、紐で縛られている少女が1人。それを見て俺は少し、いやかなり驚く。どこかで見たことのある紫色の長い髪の少女。幼いが、俺の友達の1人の月村すずかで間違いない。
……これか。すずかが俺の変身時の姿、ウィザードを知っていて、助けてもらった発言はこれの事だったのか……。まぁーいいか。
「何者だ!?」
1人の黒服が聞いてくる。それはなに? 聞かないといけない決まりでもあるの? デフォですか?
その間に周りの3人も拳銃を構える。だから、そんなためらいなく拳銃なんか出さないでほしいんだけど……。基本魔法は非殺傷設定だから、質量兵器はマジで怖いんだって……。
「通りすがりの魔法使いだよ。まぁー覚えなくていいよ……」
「ふざけてんじゃねぇ!」
「ちょ!?」
ためらいなく拳銃の引き金を引く4人。マジで怖いんだって!
その弾丸を体をひねり躱しつつ、右手で持っているウィザーソードガンをガンモードにし、魔力で生成した弾丸を4発撃つ。
その4発は的確に黒服4人が持つ拳銃に直撃し、弾き飛ばす。それにより自分の手を押さえながら痛がる4人。その間に、右手にバインドウィザードリングをはめる。
『バインド・プリーズ!』
2つの魔方陣を出し、4人をまとめてグルグルに縛る。前回に比べて、ずいぶんとスムーズに進んだ。
「おい! なんだよこれ!?」
「全然外れねーぞ!?」
「痛ッ! おい! あんまり動くんじゃねー!」
「てめぇ! これ外しやがれ!」
4人さまざまな反応を見せてくれるがそれを無視して、すずかの方に近づく。
近づいてわかったが、すずかの目元が赤く腫れている。今もだがずっと泣いているのだ。
「大丈夫。もう怖くないよ」
「グス……あの……」
「てめぇー、何やってんだ!」
縛っている紐をほどこうと近づくと黒服の1人が怒気を含んだ声で叫んでくる。
「何って見ての通りだけど?」
「てめぇーはそいつがどんな化け物かわかってんのか!」
「化け物?」
なんのこっちゃ?
「!? やめて! 言わないで!」
「そいつはな『夜の一族』と言う人外、化け物なんだよ!」
「!?」
その言葉に俺ではなくすずかが反応し、さらに泣き続ける。
俺はと言うと、そんなのもあったっけ? や、それって『リリなの』でもそうなの? 程度にしか思っていなかったけど。
「はぁ……、で?」
「「はぁ(え)?」」
黒服とすずかが同じタイミングで驚きの声をあげる。
「もういいから少し黙ってろ」
バインドに込める力を強め4人を無理やり気絶させる。おぉ、口から泡吹いてるよ。
すずかを縛っている紐を切り、手を取り立たせてあげる。後、軽く服についた埃などを払う。
「これでよし、大丈夫?」
「……どうして」
「ん?」
「どうして……。怖くないんですか私の事!」
顔をぐしゃぐしゃにしながら俺に問いただしてくる。きっとすずかにとってこのことはとても辛い話なんだろう。
俺は彼女の目線に合うようにしゃがみ、向かい合い話し出す。
「怖くないよ。君がどんな存在であろうと俺は君を怖がったりしない」
「なんで……どうして?」
「どうしてか……。まぁー俺も魔法使いっていう存在だから」
「魔法使い?」
「そ、魔法使い」
右手のリングをコネクトに替える。
『コネクト・プリーズ!』
発生した魔方陣の中に手を入れ、中からシュークリームを取り出しすずかにあげる。
「こんな感じ。ともあれそれ食べて元気だしな」
「いいんですか?」
シュークリームをすずかに渡し、頭を軽く撫でる。
「もちろん。魔法は誰かに希望を与えるものだから」
「希望を……」
「それに君みたいにかわいい子は笑っているのが一番だよ」
「えぇ!?」
突如慌てだすすずか。あれ? 俺変なこと言った? 子供は笑っていた方がいいに決まっているだろ。子供は風の子、元気の子ってね。
しばらくすると、サイレンの音が聞こえてくる。警察かな? いや~、相変わらず日本の警察は優秀だね~。
「それじゃ、人も来たみたいだし俺は行くよ」
「はい。その……、本当にありがとうございました」
「どういたしまして」
俺は立ち上がり、すずかから少し離れる。
「あの……名前を聞かせてもらってもいいですか?」
「ん? あぁ、絶望を希望に変える魔法使い、ウィザードだよ」
「ウィザードさん……」
なんだか、最近この名乗りしても恥ずかしいって気持ちが薄れてきている気がする。少し早めの(いや前世含めると遅めか?)中二病かな?
もう一度右手にタイムのウィザードリングをつけ発動する。
『タイム・プリーズ!』
また目の前に空間が歪む。
「それじゃ、また今度」
「え?」
そう言い残し、俺は歪みの中に入って行った。
次こそは、ちゃんと過去に行くぞ! そう思い、過去への道を作る。あれ? 大事な事を忘れているような……。
タイトルのTはタイムのTです。
一応このTシリーズは3話完結の予定で冒頭は3話目の話です。次はまた別の話です。