最後の希望を目指す転生者 え、俺の事? 作:x-フィリップ-x
パソコンが壊れた。
下書きが死んだ。
心が折れそうだ……。
姉さんに連れられて、翠屋を飛び出し、今はアルフと3人(?)でデパートの中にいます。
理由は、先ほど知らされたシュウの誕生日プレゼントを買うためです。
姉さんにつれられるようにデパートに来たけど、何を買うかは全く決まっていません……。
「う~ん……、シュウは何だったら喜ぶかなフェイト?」
「え? えっと……」
「やっぱり考えなしだったんだねぇ……」
姉さんに聞かれた質問に言いよどんでしまう。アルフもどうしようかと、うーんと頭を捻っている。
現にシュウは何をあげたら喜んでくれるんだろう。
誕生日だった事は今日唐突に知らされて、驚きもした。でも、それ以上に、この機会に少しでもシュウに恩返しできるなら頑張りたいと思う。
今まではシュウにはとても感謝してばかりだ。それこそ言葉でどう表したらいいのかわからないくらい。
でも、本当にシュウはなにだったら喜んでくれるかな? よくよく考えると、シュウの趣味とかについてよく知らない。うぅ……、どうしよう……。
とりあえず、今までの事を思い出してみようと思う。そうしたら、少しはいいアイデアが思い浮かぶかも。
初めてシュウに会ったのは、たしかジュエルシードを探している時だった。でも、あの時のシュウは大人モードだったかな。
いつものように、ジュエルシードの反応を見つけて、その場所に向かってみると、ジュエルシードを手にしたお兄さん、小野修也がいた。改めて考えると、これが私とシュウの初めての出会いだったんだよね……。第一印象としては、カッコいいお兄さん。だったと思う。
その時は魔力反応などが全く感じられなかったから、どうして? や、なんで? と言った考えが浮かんでいた。それに、初めて会った人に話しかけるのは、その……緊張する。
「すいません、その石を私に渡してください……」
「ん?」
なんとか声を振り絞り、声を出す。
私の声に振り返ったシュウは、とても驚いた顔をしていた。うぅ……不愛想に思われたりしたのかな?
でも、この時は私もかなり切羽詰まった状況だったから仕方がなかった。と思いたい……。
「それを渡してください。お願いします」
そう言いながら、シュウに近づく。
「これは君のなのかい?」
何考えていたのか、少し黙っていたのだが、シュウが声を出す。
そこから、シュウにボロボロにされた。言葉でだけど……。あの時、最後の方は少し泣いちゃった……。たしかに、私の言い分にも無茶は会ったとは思うけど、それでもあの時のシュウは酷いと思う。
その後、また何かを考えたのかだんまりしてしまった。そして急に頭を撫でられ、どうしたのだろう首を傾げた。
その後に、いろいろと話、最終的に私にジュエルシードくれた。一応預けるって言って渡してくれたんだけど……。そして渡し際にこう言われた。
――だけどもうこんな時間にかわいい女の子1人で外を出歩いちゃいけないよ――
「はぅ!」
「ビックリした!? どうしたのフェイト? 顔赤いよ?」
「ホントだ!? 大丈夫かいフェイト?」
「う、うん! 大丈夫だよ!」
う~。今思い出しても顔が熱いよ。そんな風に言われたのも初めてだったし……。
そう言えば、今日も着物を着た時に似合ってるって。ずるいよシュウ……。
って、そうじゃないよ! シュウが欲しそうなものだった。えっと次は……。アースラの医務室かな?
母さんから、知りたくない事実を突き付けられ、その現実を受け止めきれずに倒れてしまい、アースラの医務室に運ばれた。
意識がボーとし、何があったのかわからない。ううん、わかりたくなかった。
もう何もしたくない……。
「はじめまして」
「……誰?」
声をかけられ、誰かがこの部屋にいる事に気づいた。
聞き覚えのない声だったので、半分無意識にこの言葉が出た。
「俺のことはウィザードとでも呼んでくれ」
「……ウィザード?」
意味はよくわからなかったけど、それもどうでもいいかな。と思っていた。
「君はこのままここにいるのかい?」
「……」
すぐにはこの言葉の意味が分からなかった。
でも我慢できなかった。自分の心に溜まった何かを。不満を、悲しみを、何より本心を。
「母さんは私に笑いかけてくれなかった……。私の生きる意味だった母さんにも認めてもらえなかった。どんなにひどいことを言われても、どんなにひどいことをされても私は母さんの事が大好きです……。今でも……それは変わらない……」
「……」
顔は見えないけど、私の話を真剣に聞いてくれている。
ただ無言で私の顔を見つめている。
「……私は、どうしたら……いいの?」
涙が止まらない……。
もうどうしたらいいかが分からない。何が正しいのかわからない。
「それは俺が決めることじゃない。君自身が決めることだ」
「私……自身が?」
その言葉が胸に突き刺さったかのように感じた。
「あぁ。どんなに辛くても、自分で決めた道を進むしかない」
「……」
そうか……。いつまでも迷ってられないよね。いつまでも寝ていられないよね。
大好きな母さんが間違ったことをしている。だったら私が母さんの事を止める。
「私、行きます。うまくできるかわからないけど、今私にできることを全力で……。今できることを全力で…」
――だって母さんの事が大好きだから。
あの後、シュウには本当に驚かされた。だっていきなり腕を巨大化する魔法なんて……。
他にもいろいろと言いたいことはあるけど、何より驚いたのは母さんが落ちて行った虚数空間にシュウが自分から落ちて行ったことだ。本当にあの時は驚いた。
どうやったかはまったくわからなかったけど、3人そろってアースラに突然現れた時は驚いた以上に嬉しく思った。
それにその後も……。
「食べ物とかってどうかなフェイト? あれ? おーい、フェイトー?」
「……」
「もう! 聞いてるフェイト!」
「えっ!? う、うん聞いてるよ姉さん」
昔の事を思い出すことに集中しすぎて、話しかけていた姉さんに反応しなかったことを怒られてしまった。
えっと……。なんて言ったんだっけ……。うぅ……ごめんなさい姉さん。
「さっきからどうしたんだいフェイト? 赤くなったり、黙り込んだり」
アルフも私を心配してくれているみたい。せっかくだから2人にも話して一緒に考えてもらおうかな?
「うん、シュウとの今までの事を思い出していて」
2人はどうして? と言いたげな顔をしている。
「シュウってまんまり自分の事話さないから、今までの事を思い出せば何かいいプレゼントが思いつくかなって思って」
「なるほどねぇ。で、いい案は思い浮かんだかいフェイト?」
「ううん。まだ何も」
アルフに答えて、自分でも改めてシュウの事をあまり多く知らないと思った。
ふと姉さんの方を見ると、姉さんも何かを考えているのか難しい顔をしていた。
「そうだ、それだよ!」
だが、姉さんの考え事はそう長くはなく、勢いよく声を出す。
「どうしたの姉さん?」
「フェイトの言った通り、昔のシュウの発言にヒントはあったんだよ!」
両手を腰に当て、少し体を反らして、自信満々に答える。
ヒント? そんなに早く思い出せることであったのかな?
「で、それはなんなのさアリシア?」
「歌だよ歌!」
「「歌?」」
私とアルフが首を傾げて声を出してしまう。
歌ってどう言った意味なんだろう……。
「ほら、昨日のえっと……あれ? なんだっけ? あの歌のテレビ……」
「紅白?」
「そう、それ! それの途中で、シュウが『フェイトとアリシアでユニット組んだら出れるんじゃね? てか、俺が見たいし聞きたい』って言ってたんだよ」
そんなこと言ってたんだ。私には聞こえなかったから、そんな大きな声で言ったわけじゃないのかな?
ちょっと嬉しいかも。
でも歌か……。
「歌をプレゼントってどうするのさ?」
私も思った疑問をアルフが聞いてくれる。
シュウの前で歌ってあげるのかな? それはちょっと……恥ずかしい……。
「それはあれだよ。前になのはたちとしてたみたいにビデオにとるとか」
なるほど、それならそこまで恥ずかしくないかも。
あ、でもプレゼントであげるってことは家とかでシュウが見るってことだよね……。1年後も2年後も、もしかしたら10年後も……。
「ッ!? ダ、ダメ!」
「え~、なんで!」
「だってその……」
大人になった時にその話を出されたら、私……。直接歌うより恥ずかしいよ。
その後姉さんと話し合い、結果音だけを録音し、CDにして渡すことになった。
デパートでは空のCDと一番安い録音器だけを買い、3人でカラオケに行った。少し前に皆で来たことがあったから焦らずに済んだ。その時はシュウとはやてはいなかったから今度は2人も一緒に行きたいな。
なにより、シュウには喜んでもらいたい。
だって。
――今、母さんと一緒に生活出来る事も
――こうして姉さんと一緒にいて、話をできるのも
――全部シュウのおかげだから
本当に遅くなってすみません。
そろそろ更新が遅い旨のタグを追加するかも……。