最後の希望を目指す転生者 え、俺の事?   作:x-フィリップ-x

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流石に月1更新はまずいと思う……。


42話 ビギンズナイト#はやて

 う~ん、皆で一緒に商店街の方へ来たけど、どこから見て回ろか……。

 車椅子を押してくれてるリインフォースはあたりをきょろきょろと見ている。まだこういった生活に慣れへんのかな? でもこういうのええなぁ~。

 っと、そうやないわ。今日の目的はシュウ君の誕生日プレゼントや。全く、なんで当日まで黙ってるんや。ホンマやったらちゃんと時間かけて考えたいのに。

 ま、今まで聞かなかった私も私か。あれ? でもそれやったらなんでシュウは私の誕生日を知ってたんや?

 よくよく考えると、謎の多い男やなシュウ君って。会った当初から私の話はよく聞いてくれるけど、あんまし自分の事は話したりせーへんし。

 そうなってくるとプレゼントも何がええのか悩むなぁ。皆もあんましいい案はないみたいやし。う~ん、どうしよか?

 

 

 

 

 シュウ君に会う前の私は、何て言ったらいいんやろ……。つまらない生活? 何もない毎日? なんかしっくりこないけど、まぁーそんな感じやった。

 朝起きて、ご飯食べて、病院に行って、図書館に行って、家に帰って晩御飯、ちょっとしたことをして寝て。変わり映えのない毎日を無意味に過ごしていた。

 商店街に買い物に行き、家族連れの同い年くらいの子を見る度にどうして私が……、みたいな考えが何度も頭をよぎった。

 シュウ君に初めて会った日も、私の日課と言っていいほどにまでなった図書館での読書をしに行った時だった。

 車椅子に座っている都合上、やはり手の届く範囲が他の人より低く、5段目辺りは手を必死に伸ばしてギリギリ届くかどうかの高さにある。それを係りの人を呼んで取ってもらうのも悪い気がするし、なによりもしかしたら私の身長が少しでも伸びて、届くようになってるかもしれへん。

 

「はぁ……今日もあかんなぁ」

 

 頑張ってみたが、今回も目当ての本に手が届かなかった。ホンマに5段目は鬼門やわ……。

 諦めて係りの人にお願いしようとした時に、ちょうど目が合った人がいた。 自分より少し大人びて見える男の子。シュウ君との出会いだった。あの時の苦虫を噛み潰したような顔は今でもよく覚えてるわ。

 

「どの本?」

 

「え? いや、そんな、大丈夫ですよ」

 

 いきなり声をかけられ驚き、反射的に断ってしまう。

 今まで私に声をかけてくれる人なんていなかった。皆車椅子に乗っている私を道を封鎖してる邪魔者を見るような目で見てくる人ばかりだった。

 

「いいからどれ?」

 

「あ、はい。そこの本です」

 

 それでも答えを聞かれ、焦って指をさし目当ての本を答える。私が指をさした本にすぐに近づき、本棚からその1冊を抜き取る。その本の表紙を軽く確認し、私に本を渡してくれる。

 

「ありがとうございます。あの、私八神はやて言います」

 

 つい嬉しくてお礼だけではなく、つい名前まで名乗ってしまう。

 初めて係りの人以外に本を取ってもらった事。私に声をかけてくれた事。なにより誰かに優しくしてもらった事が嬉しかった。

 ふと顔を見ると、先程と違い表情の変化が激しかった。

 唖然とした顔。決意を固めた顔。考えているような顔。最後にあきらめたような顔。この一瞬にどんな事を考えたんやろ?

 

「小野修也。よろしく」

 

「小野さんか……」

 

 ぶっきらぼうにだが、しっかりと名前を教えてくれる。つい嬉しくて復唱してしまう。

 

「同い年くらいだろうから敬語いらないぞ?」

 

「え!? 小野さん何歳なん?」

 

「……8歳だけど」

 

 正直信じられへんかった。老けてる……とは違うけど、やっぱり同い年には見えへん程大人びているように感じる。病院とかにいる同い年の男子とは違いとても落ち着いているからかな?

 

「ホンマに同い年なんや……。えっと、じゃあよろしくな、シュウ君! うちの事ははやてって名前で呼んでな」

 

「シュウ君!?」

 

 敬語もいらないと言われたので、それに従い固くない話し方を意識して話す。

 同い年の人と話すのが久しぶり過ぎて、勢いであだ名をつけてもーたし……。いや、私的にはかなり気にいってるからええんやけど、ここまで定着するとは思ってなかったと言いますか……。

 その後、一緒に本を読むことになり、私の車椅子をテーブルまで押してくれる。場所が場所なのであまり大きな声は出せないけど、小さな声でお喋りを楽しんだ。まぁ、私が一方的に話した感はあるけど……

。シュウ君てほんとに聞き上手やな。

 話に夢中になりすぎて時間をついつい忘れてしまい、ふと目に入って来た時計には子供が遊びまわるには遅い時間をさしていた。

 

「シュウ君はまだ帰らんでいいん?」

 

 本当はもっとたくさん話をしたかったけど、シュウ君にも事情があると思い時間の話を私の方から聞く。

 

「まだ? ってもう5時過ぎか……」

 

 シュウ君も気づいていなかったのか、時計を見て意外そうな顔をしていた。

 

「俺は大丈夫。そう言うはやては?」

 

「うん、私も大丈夫。どうせ家に帰っても誰もおらへんし……」

 

 なんでかはわからなかったが、初めて会ったばかりのシュウ君に自分の弱みを見せてしまう。初めて会ったばかりの人に何を言ってるんやろとも思った。

 ついつい自分が言った事実に俯いてしまう。

 

「家どっち?」

 

「え? いやでも」

 

 シュウ君から言われた言葉がすぐには理解できなかった。

 

「俺も家に帰っても誰もいないからたまには誰かと一緒にいたいんだよ」

 

「シュウ君……」

 

 一瞬、私と同じ境遇なんかな? と思ってしまった。

 深く聞かれることが嫌だってことは私がよく知ってるので聞きはしなかったけれども、自分に近い人がいると思うといろいろと思う所はあった。

 図書館から自宅までの道のりをシュウ君が車椅子を押してくれる。誰かに押してもらう事が少しうれしい。

 

「もうついてもうた……」

 

「そうか、ここか」

 

 話しながら歩いていたせいか、あっという間に私の家についてしまった。本当に早く感じてしまうほど、私にとっては楽しい時間だった。もっとこの時間が続いてほしいと望んだ。

 

「なぁー、シュウ君。中に上がっていかへん?」

 

 答えはわかっている。でも我慢できなかった。

 今日初めて会った男の子だけど、いやだからもっとたくさん話をしたい。ここで別れてしまって、今までの人みたいに疎遠になってしまう事が怖い。

 

「いや、今日は遠慮しとくよ」

 

「そうか……」

 

 予想通りの返答や。けど、すごく悲しいな……。

 どうしても気持ちが落ちてしまい、少し俯いてしまう。

 

「また明日、学校が終わったら図書館に行くよ」

 

「え?」

 

 シュウ君がなんて言ったのかすぐに理解できなかった。

 

「だから……、また明日」

 

 また明日。また明日も会える。

 うれしかった。シュウ君が明日も会おうと言ってくれたこと。

 だから私は……。

 

「シュウ君……。うん! また明日!」

 

 だから私は自分ができる一番の笑顔で返事をした。

 

 

 

 

 どないしよ、やっぱしいいプレゼントが思いつかんなぁ……。

 皆もいろいろと探してくれてるけど、ピンとくるもんがないんよな。ホンマどうしたもんか。こんな事なら、遠回やなくて直球にでも聞いておくべきやった。

 

「どないしよか……。あっ、ごめんリインフォース、ちょっとあっちに行ってくれへん?」

 

「はい、わかりました」

 

 あたりを見回していると興味を惹かれるものが目に入り、リインフォースに頼み、そちらのほうに近づいてもらう。

 

「うん、これええんちゃうかな。リンフォースはどう思う?」

 

「すみません、私にはよく……」

 

 私に質問にうつむいてしまうリインフォース。

 

「あ、ごめんな。これからちゃんと分かるようになるから大丈夫よ」

 

 リインフォースが、今までの生活というか環境がそうだったためこういったことにはかなり疎い事はここ最近の生活で分かっていた。だからこういった誰かへのプレゼントみたいなのはよくわからないのだろう。

 でも、これからはリインフォースにも楽しく生きてもらいたいから、こういったことも分かるようになってもらいたい。

 

「ありがとうございます、我が主」

 

 そう言ってほほ笑むリインフォース。うん、家族が笑っていてくれることが本当にうれしい。

 だから、って言い方も変やけどシュウ君にも笑ってほしい。せっかくの誕生日やのに、今日シュウ君が笑ってるのを1度見てへん。

 今年(いやもう去年か)、の私の誕生日はヴォルケンリッターの4人がいて、シュウ君がいる。本当に久しぶりにうれしいと思った誕生日だった。

 たぶんシュウ君も今までの誕生日が楽しくないものばっかりやったんじゃないかと思う。完全に私の憶測やけど……。

 

(渡すからには笑ってほしいしな)

 

 とりあえず自分的にはええのが見つかったから、ヴィータたちも各々探してくれてるから、一度これを見てもらおうと思う。

 喜んでもらえるとええな。

 

 

 

 ――シュウ君が私にしてくれたみたいに、私もシュウ君に喜んでもらいたい。

 

 ――私にとっての初めてのお友達で。

 

 ――初めて好きになった人だから。 

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