最後の希望を目指す転生者 え、俺の事?   作:x-フィリップ-x

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 皆さん、あけましておめでとうございます。今年もこの小説をよろしくお願いします。



43話 ビギンズナイト#なのは

 

 現在私はアリサちゃん、すずかちゃんと一緒に車に乗って移動してます。

 行先は、……どこなんだろう?

 

「まったく! なんでこんなに急に言うのよあいつは!」

 

「まぁーまぁー、落ち着いてよアリサちゃん」

 

 かなりご立腹のアリサちゃんをすずかちゃんがなだめてくれている。でもアリサちゃんが怒っている気持ちもわからなくもない。シュウ君はなんで教えてくれなかったんだろ? 教えてくれたのはホープ(さん?)だけど……。誕生日を教えたくない理由でもあったのかな?

 でもシュウ君のことで知ってる事ってとても少ないんだと思った。

 

「アリサちゃん、すずかちゃん、シュウ君についてどのくらい知ってる?」

 

「? どうしたのよなのは、藪から棒に?」

 

「知ってるってどう言った事についてかな?」

 

 すずかちゃんの疑問ももっともだ。

 なんて言ったら分かりやすいかな?

 

「えっと、シュウ君って今日の誕生日の事もそうだけど、あんまり自分のことを話さないから」

 

「「あぁ……」」

 

 2人とも思い当たるのか、少し考えを巡らせる。

 

「確かにシュウについて全然知らないわね」

 

 先に口を開いたのはアリサちゃんだった。どうやらアリサちゃんも私と同じようだった。

 すずかちゃんももう少しだけ考えたようだけど、首を横に振り「私もかな」と答えてくれた。

 

「私とアリサちゃんはちゃんと知り合ってからとても短いしね」

 

 そう付け加えるすずかちゃんにそう言えばそうだと、今更ながらに思い出した。

 2人ともすでにシュウ君と仲良くなっているから、つい忘れてしまっていた。

 

「この中で1番付き合いの長いなのはでもシュウの事は知らないんでしょ?」

 

「うん、少し前までは魔法関係の事ばっかりだったから」

 

 ウィザードさんがシュウ君だって知った時は闇の書の事でバタバタとしていたこともあって、あんまりゆっくりお話しできなかったし。

 あ、でも昨日は嬉しかったな。ずっと昔の約束。私にとってはとても大切な記憶。その事をシュウ君も覚えていてくれた事が本当にうれしかった。

 

 

 

 

 お父さんが入院してしまった。

 幼い私はその事を漠然にしか理解していなかった。ただただとても悲しんだ。お父さんと一緒に入れない事がとても悲しかった。

 でもそれだけではなかった。最初はお母さん、そしてお兄ちゃんお姉ちゃんも翠屋のお仕事とお父さんの看病でとても忙しくなった。 3人ともそんな生活が続き、日に日に疲れているように思えた。

 そんな3人を見ていると、せめて私だけでもいい子にして迷惑をかけないようにしないといけないと思うようになった。

 それからの私は家にいる事が極端に減った。家にいると皆が心配すると思い、公園でみんなで遊ぶなどと言い外に出るようになった。

 毎日毎日近くの公園に行き、日が暮れるまでただただベンチに座り、悲しいや寂しいなどの感情を少しでも忘れたくて俯いていた。

 最初のうちは私の事を遊びに誘ってくれる人もいた。でもそれに対し私が毎回そっけなく断ってた事もあり、1週間経った時には私を遊びに誘ってくる人はいなくなった。

 そんな日が続いたある日。その日も公園のベンチで過ごし、日も暮れた遅い時間になっていた。

 公園には私1人しかいない。そんな時に鼻歌を歌った男の子が公園に入ってきたのがチラッと目に入った。でもそれも私には関係ないと、いつも通り俯く。

 少しするとその男の子が私に近づいてき、こっちを見ているのが分かった。

 

「……何か……私に用事……?」

 

「ッ!」

 

 ふと私の口から言葉が漏れた。 まじましとずっと見つめられるのが嫌だった。

 その男の子が私の声を聞いてとても驚いているように見えた。

 その後、少し何かを考えたのか突然私の横に腰を下ろした。

 

「……何?」

 

「別に……食うか?」

 

「え?」

 

 そう言って差し出されたのはカップアイスだった。一緒に木のスプーンを差し出される。

 私が戸惑っていると、男の子が同じカップアイスの蓋を素早くはがし、木のスプーンを使いおいしそうに食べ始める。

 それを見た私も、アイスの蓋をはがし食べ始める。その時にさりげなく蓋のゴミなどを受け取ってくれた事、見た目と雰囲気も相まって少し年上の人のように思えた。

 

「ありがとう」

 

「ん。別に気にしなくていいよ」

 

 食べ終わった後にお礼をする。

 本当は食べる前にお礼を言うべきだったと今更ながらに後悔した。

 でもそれよりも気になったことがあり、それを聞くことにした。

 

「どうして私に?」

 

「寂しそうだったから」

 

「……わかるの?」

 

「まぁーなんとなくだけど」

 

 周りから見たらやっぱりそう見えるのかな? でも今までの皆は強引に遊びに誘ってきた人ばかりだった。

 それを聞いてなんとなく、本当になんとなくだがこの人になら相談してもいい、ううん相談したいと思った。

 

「そうなんだ……。私の話聞いてくれる?」

 

「俺でいいなら」

 

「ありがと」

 

 そして私は自分が抱えてる事、悩んでる事を全部話した。なんで初対面のはずの人にこんなに喋ってるんだ? とも少し思ったけど、なんとなくとても話が聞くのがうまい人なんだと思う。

 

「たか、君はそのこと、寂しいや悲しいってこと家族に言ったの?」

 

 たか? 何のことだろ?

 それよりも質問の返答だよね。

 

「ううん。だって迷惑かけちゃうから」

 

「はぁ~。まぁー確かに黙ってた方がいいことももちろんある。だけどな、寂しい時には寂しいって、悲しい時には悲しいって、しっかり伝えることも大事なんだと思う」

 

「でも、私どうしたらいいのかわからなくて……」

 

 おとなしくし、迷惑をかけないようにすることが大事なんだと思っている私には本当にどうしたらいいのかがわからない。

 

「だったら一言『一緒にいて』って言いな」

 

「でも……」

 

 それじゃあ皆に迷惑がかかる……。

 

「もう少し自分の気持ちにも正直になってもいいと思うぜ」

 

「正直に……」

 

 今まで押し殺した感情を言っていいの……?

 誰にも話しちゃいけないと思ってたけどいいの……?

 

「まぁー頑張りなよ」

 

 ゆっくりとベンチから立ち上がり、買い物袋を持って立ち去ろうとする男の子。

 

「待って!」

 

 最後に聞いてほしいことがある。

 私の言葉を聞き、ゆっくりとこちらを振り向く。

 

「私帰ったら言ってみる! 勇気を出して言ってみる!」

 

「そうか」

 

 そう言って男の子は公園から去って行った。

 

 

 

 

 一緒に食べたアイスがとても暖かく感じた。あれアイスは冷たいよね? でもとっても胸がポカポカしたし。あれ? あれ? とにかく! とてもうれしかったの!

 それに他の皆が寝ちゃったの残念だったけど、シュウ君と2人で年越しできたのはとてもうれしかった。

 

「なのはちゃん、さっきからどうしたの?」 

 

「ニヤニヤして気持ち悪いわね」

 

「えぇ!? 酷いよアリサちゃん!」

 

 確かに顔に出てたのなら少し……うん少し、絶対に少し! 変だったかもしれないけど、気持ち悪いは酷いと思う。

 

「それよりシュウよ! シュウ!」

 

「確かにそうだね、この中で1番付き合いが長いなのはちゃんがあんまり知らないみたいだし」

 

「どんなものだったら喜んでくれるだろシュウ君」

 

「「「うーん……」」」

 

 3人そろって首をひねって悩んでしまう。

 こんなことならもっといろんなことをシュウ君に聞いておけばよかった……。いつも話を聞いてもらってばかりだもん。

 3人で悩んでいると、どうやら車の目的地だった(らしい)大型のショッピングモールに到着した。

 私たち3人と、少し後ろにアリサちゃんの執事の鮫島さんの4人でショッピングモール内を周る。

 普段と違い男の子が喜びそうな物を中心にお店を周る。でもシュウ君って私たちや学校のクラスの皆より大人びえて見えるし、よく大人モード(?)になってるせいかお兄ちゃんと同い年くらいに思える時もある。

 その後も3人でいろいろと意見を出し合い、あるものに決めることができた。

 

 

 

 ――俯いてた私に勇気をくれた人。

 

 ――ただ一緒にいるだけでとてもうれしくなれる。

 

 ――そんなシュウ君だから喜んでもらいたいから。




 
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