最後の希望を目指す転生者 え、俺の事? 作:x-フィリップ-x
さて、翠屋から追い出さ……もとい一時帰宅をし早数時間、改めて翠屋に向かっている。なぜかは知らないが、一日の内に同じ道を何度も往復すると気持ち的にだれる。きっとあれだ、道のりの風景に飽きてるんだよ。マラソン大会では目新しさもありましになるけど、体育でのマラソンはだれる、あれ的な。
そんなことはどうでもいい。そんなことよりも大事なことがある。おそらく、いや確実に今から翠屋で俺の誕生日パーティーが開かれるのだろう。後ろに(笑)とかつかないよね……? ただそれに対して俺はどういった反応をすればいいのだろう?
誕生日パーティーというものを俺のため、他人のためを含め碌に体感したことがない。もしかしたら1度か2度程度は参加したことがあるかもしれないが、記憶に残っている分では0だ。あ、はやてのは別ね。なんつーの? あれは……小規模だけど誕生日パーティーだね、うん。はい1カウントです。ワスレテナイヨ……。
きっとうれしいのだろう。だが、どのぐらい喜べば正解なんだろうか?
「ホープさんや? 誕生日パーティーとやらはどのぐらい感動するものなんかね?」
『マスター、ないだいそのしゃべり方は? それは置いといて、誕生日パーティーでの感動度合。そういったものはパーティーの規模、参加人数、その他多くの状況によって変わるだろう』
「要するに受け手の感じ方次第ってこと?」
『簡潔に言うならそうだね』
「ウェ……」
変な声出ちゃったよ。
しかしあれだな。受け手の感じ方次第となると、もし俺の感動的な気持ちが死んでいたら悲惨なことになる気がする。感動的だな、だが無意味だ。
いやいやいや、それはないでしょ。仮にも美人&美少女の多くが俺を祝ってくれる! そう考えると素晴らしいではないか!
そう考えると足が速くなるじゃないか! って言ってるうちに翠屋の前です!
入口のドアの前に立ち呼吸を整える。
「あ、開けるぞホープ」
『早くしたまえマスター……』
ドアノブに手をかけた状態でホープに声をかけるが、帰ってきた答えはそっけなく、そしてあきれるようなものだった。
てか冷静にドアの前に立っている俺のことって中から丸見えなんじゃね? 来た時に中の窓から見られてるだろうし……。俺はあれだ、下を向いてたからあれなんだよ……。
だがいつまでもこうしているわけにはいかない。修也! 気合い! 入れて! 行きます!
「失礼し『パァーン!』ウェ!?」
「「「「「シュウ(君)! お誕生日おめでとー!」」」」」
「……」
…………あ~、ヤバイ泣きそう……。おめでとうの一言でもう泣きそう。俺って「ありがとう」とかの感謝の言葉にも弱いけど、「おめでとう」的なお祝いの言葉にも弱いようだ。愛情に飢えてるのかな?
一瞬頭が真っ白になったがあれだ、誕生日にクラッカーを鳴らすってアニメや漫画の中だけで、現実では都市伝説だと思っていたよ。
「シュウ君、こっちに座って」
なのはに手を引かれ、一番目立つであろう席に連行される。所謂ど真ん中。
性格の問題だろうか、全員の目に留まる場所に座るのは背中がムズムズしてしまう。部屋の隅が遠い……。
「なのはさん? できればもっと端のほうが」
「何言ってるのよ。あんたは今日の主役でしょうが」
なぜかアリサに呆れられたような目で見られる。今日だけとはいえ俺が主役……。
主役? 俺が? いやーないわぁ……。外見的には日朝ヒーロータイムですけど。主役の席はなのはさんに任せますよ。俺は……あれだ、主人公がピンチになった時に颯爽と助けに現れる的な……あ、それフェイトだわ。う~ん……じゃあ俺は壁から顔を半分だけ覗かせてみんなを見守っているよ。裏切りはしないよ。
「それじゃあ、主役も来たことなので」
士郎さんがそう言うと、室内の電気が消えキッチンの方からかなり大型のケーキが運ばれてくる。そのケーキには蝋燭が9本刺さっており、すでに火がついている。
俺の目の前にケーキが置かれ、皆がハッピバースデー的な歌を歌ってくれる。
「さぁ、シュウ君」
「……」
士郎さんに火を消すように促され、首を縦に振り答える。
やったことがなかったが案外簡単に火は消える。それを確認した一同が拍手をし、おめでとうなどと声をかけてくれる。
「それじゃあ早速プレゼントターイム!」
ケーキの火が消え、室内が真っ暗に戻り電気を改めてつけると、アリシアが勢いよくそう宣言する。
プレゼントをくれるのであろう6人3組が昼間に翠屋を出ていった順で俺の向かいに並ぶ。
「まずは私とフェイトから」
「シュウ、お誕生日おめでとう」
「……」
アリシアとフェイトから手渡されたものは、四角い形をし、平べったいものをラッピングしたものだった。
2人から開けてくれと言われ、それに従いこの場であけることにする。中から出てきたのはケースに入った1枚のCDだった。
「シュウが昨日、私と姉さんの歌が聞きたいって言ったみたいだから」
フェイトは少し恥ずかしそうにし、アリシアは自信満々で早く聞いてほしいと言っているように思えた。
マジでか! フェイトとアリシアのデュエット曲がこのCDの中に入っていると! これはお宝だよ。我が家の家宝にしよう。後このCDを外出先でも聞きたいのでiPodでも買おう。あ、まだこの年代的にiPod売ってないんだった。ウォークマンかな? なんだっていいさ!
プレゼントを渡し終わった2人が後ろに下がり、次ははやてが目の前に来る。
「それじゃ次は私やね。はい、おめでとうなシュウ君」
「……」
はやてから渡されたのはリボンでラッピングされた本だった。いや、本と言っていいのかこれは……。なんて言うかこれははやてが持っている闇の書もとい夜天の書。それと同じ部類にカテゴリーされそうな、所謂魔導書のようなものだ。
だが一切魔力の反応がないので、あくまで魔道書っぽい本ってことかな?
「それ中身は日記帳なんよ」
俺が中身が何かと気になっていると分かったのかはやてが教えてくれる。
これ日記帳なんだ……。おしゃれ……とはちょっと違うけど、なんかかっこいい。日記か……今までつけた事ないけど、これを機につけてみようかな。後少し面白いと思ったのが、ホープと一緒に改造して、擬似的な『星の本棚』を作るとか。ホープに大量の情報を入れて、それを本に提示させる。いや、普通にホープが喋って教えてくれるし、なによりはやてからもらったプレゼントを改造するのはダメだろ。
「最後は私たちね!」
「シュウ君、お誕生日おめでとう!」
「「おめでとう」」
「……」
3人から差し出されたのは包装された小さな箱だ。またもその場で開けてくれと言われたので、開けさせてもらう。
包装をきれいに取り、出てきた箱を開ける。そこに入っていたのは二つ折りの財布だった。全体的に黒色のレザー製の少し大人っぽい財布だ。
「シュウ君大人っぽいからこうゆうのがいいかなと思って」
なのはがそう言ってくれるが、そうなのだろうか? 頻繁に大人モードになったり、変身して大人サイズになっているからなのはたちから見たら大人っぽく見えてるかもしれないけど、中身の年齢的には完全に大人だし、でもめんどいめんどい言ってるダラダラ人間ですし……。
でも今使ってるのはスーパーで売っている安っぽい財布だから、こういった格好いい財布うれしい。今日から早速使わせてもらおう。
「それじゃあ改めて」
「「「「「「シュウ(君)、誕生日おめでとう」」」」」」
士郎さんの合図に合わせて、この場にいる全員がお祝いの言葉を言ってくれる。恭弥さんや美由紀さん、忍さんも俺に近づきお祝いの言葉を言ってくれる。小さい声で『プレゼントがなくてすまないな』と苦笑いをしながら言ってくれる。それに首を横に振り、全然気にしていないことを伝える。
士郎さんと桃子さん、プレシアさんにも改めておめでとうと言われる。その後にもアルフにヴォルケンリッターの4人、リインフォース、さらには鮫島さんにも言葉をかけてもらった。
最後に今日来れなかったアースラにいるクロノとユーノ、リンディさんにエイミィさんからも連絡をくれた。どうやらなのはがユーノに、フェイトとアリシアがクロノに連絡を入れていたみたいだ。
さて、もういいかな?
「オ……」
「「「「「お?」」」」」
いや、今までずっと我慢してたんだけど……。
「オロロ~、オロロロロロロロ~」
「「「「「……はい?」」」」」
いいや限界だ! 泣くね! わんわん泣くね!
もうね、ケーキ出てきたあたりからやばくてね、一言も喋ってないんだよ。だってね、みんなが超優しいんだよ。あれだわ、はやての誕生日にはやてが泣いた理由が今身に染みて分かったよ。
「しゅ、シュウ君? 泣いてるの?」
隣で号泣し始めた俺を不審に思ったか、なのはが少し焦りながら聞いてくる。
「だって、だってよ。誰かに誕生日祝ってもらった記憶なんてないから嬉しくて。かろうじて記憶にあるのが親父に『ほれ修也、誕生日プレゼントだ。伊勢海老の味噌うまいぞ~』って。味噌ってなんだよ! せめてそこはカニ味噌だろ! それ以前にただのおせちの一部じゃねーか!」
「あ、そこなんだ……」
その後、みんなは俺が泣き止むのを待ち、その後も俺の誕生日パーティーは続いた。
ともかく、今までの人生で一番楽しくうれしい誕生日だったのは間違いなく、深く記憶と心に刻まれた1日になった。
後1話でゲームの話に入る予定です。ただ、ゲーム1作目の方はどうしたものか……。少し戦闘して終わりな気がする。
ゲーム編に入るまでアンケートを受け付けていますので、是非よろしくお願いします。