創次元ゲイム ネプテューヌビルダーズ ゲイム業界を復活せよ 作:太陽炉
「ダズビル、改めて聞くけど……。ここの建物は本当に君が作ったんだよね?」
「本当に何回も聞いてくるな。そうだって言っているだろ。」
「……ということは君には人間が失った物を作る力があるということになる。君はまさかゲイムギョウ界録に書かれた創造の力を持つ伝説の存在……ビルダーなのかい?」
「ビルダーってのがどんなのかは知らないがたぶんそうなんじゃないか?少なくとも物は作れるぞ。」
「う~む………君って割ととぼけた顔をしているし、そう簡単に信じられる話じゃないね。」
……ノワールといいユニといいなんで皆して俺の顔をディスるのだろうか?伝説の存在は顔で決められてしまうのか?イケメンじゃないといけないというのか?できれば顔ではなく行動と中身で判断してほしいけど自分の第一印象はこの際諦めることにした。
「……そうだ!ダズビル、君にやってみてほしいことがある。」
「なんだ?俺にできることならやってみるが……」
「遠く離れた場所から僕を連れてここに戻ってくるのは大変だっただろ?」
「まあそうだな。」
そんなに遠くなかったし大変ではなかったような気はするが……。
「ゲイムギョウ界録によれば岩山に住むモンスター、キメラが持つ羽が数枚あれば移動がとてつもなく便利になる特別な道具が作れるみたいなんだ。」
「具体的にはどう便利になるんだ?」
「町からどれだけ離れていても瞬時に町に帰ることができるんだ。」
「おっ、そいつは確かに便利だな。遠くに行った時には特に。」
「だろ。君がビルダーだというのならキメラの羽で道具を作って僕に見せてほしい。」
「ああ。手に入れたら作ってみるよ。」
あっ。でも俺、作り方とか知らないな。どうしたものか。
『あなたの力なら素材を手に入れることで新しい道具の作り方もひらめくかもしれません。』
そうなのか。だとしたら問題ないな。しかしビルダーは物作りにおいて作り方をひらめくこともできるのか。改めて自分の持つ能力を凄いと思った。
『キメラは岩山の上のほうにいるはずです。コンパスで居場所を探し、依頼された道具を作るのです。』
よし。早速ノワールたちを連れてキメラ退治といきますか。
ノワールとユニとケイを連れて山のふもとまで来た。しかしそこで問題に直面した。
「やまのふもとまで来たのはいいけどここをどうやって上るの?斜面が急すぎて登れないわ。」
「確かにね。これじゃあキメラを討伐することができない。困ったね。」
「ダズビルさん、どうにかしてここを登れるようにすることはできませんか?」
「……この辺りの土を崩して土ブロックにしてしまおう。その土ブロックを階段のように積み重ねて上まで行こう。」
「その案でいいと思うわ。」
「問題ないね。任せるよ。」
「お願いします。ダズビルさん!」
俺は早速土を崩してブロック状にしていきそれを積み重ね階段代わりにして登っていく。
後ろからノワールたちもついてきた。伝統的なRPGの光景である。
「下を見るなよ。落ちたら大変なことになるからな。」
「大丈夫だ。そんなへまはしないよ。」
「ダズビルこそ、土ブロックの数は大丈夫なの?登り切る前になくなっちやったじゃ話にならないわよ。そんな土ブロックの数で大丈夫なの?」
「大丈夫だ。問題ない。」
「なんかフラグが立っちゃったような気が……。」
ユニ、それは気のせいだ。時間は戻りはしないし、今のところみんな一番いい装備で来ているから大丈夫だ。
そんなこんなで山の頂が見えてきた。無事にみんなが登ったのを確認して俺たちは景色を見渡した。どこまでも広がる世界がそこにはあった。
「すごい……世界ってこんなにも大きいのね。」
ノワールは山の上からの景色に感嘆の表情を浮かべている。
「こんなにも広い世界で私たちは生きているんですね。」
ユニも感動しているようだ。
「2人はこういった景色はあまり見たことがなかったのか?」
「見たことはあったかもしれないわ。でもこんな嬉しい気持ちで見たことはないわ。」
「どうして?」
「生きるか死ぬかのその日暮らしだったからよ。モンスターに見つかったら追われて……食べるものなんて探してもろくになくて……安全に寝ることができる場所を探して……感動する暇なんてなかったわ。」
「……そうだったのか。すまん、その……無神経なこと聞いちまって……。」
「気にしないでくださいダズビルさん。私たちはダズビルさんに救われたから……だから今こうして笑っていられるんですよ。」
「ユニ……。」
「ダズビルに救われたという点では僕も同じだね。君のおかげで僕はこの世界に希望を見いだせたんだから。」
「ケイ……。」
「そうよ。あなたのおかげで私たちは先の見えない明日に歩き出そうと思ったのよ。だから……気にしないで。」
「ノワール……ああ、わかった。」
みんな……優しいな。この優しいみんなの笑顔を……思いを………俺は守りたいな。
よし、景色も見終わったところで俺たちはキメラ討伐を始めることにした。
キメラは山頂に生息しているだけあってすぐに見つけることができた。俺たちは岩の陰から見る。
「結構いるな。20体はいるか?」
「そうね、1体ずつ相手にするならともかくこうもまとまっているとこちらが全滅する恐れがあるわ。」
「分散するのを待ったほうがいいのかな?」
「そのほうが賢明だろうね。キメラは口からメラという呪文を放ってくる。一斉に発射されたらひとたまりもないだろうね。」
分散するのを待つのもな。何か策はないものか………。
「1人が囮になってキメラの団体をおびき寄せて残りのメンバーで奇襲をかけるってのはどうだ?」
「危険よ!失敗したら最悪、命を落とすわ!」
「分の悪い賭けは好きじゃないな。やめておいたほうがいい。」
ノワールとケイから反対された。いい案だと思ったんだけどな。
「大変!キメラの1体がこっちに近づいてくるわ!」
監視していたユニが切羽詰まった声で伝えてきた。まずいな、このままではみんな見つかってしまう。
「仕方がない。ここは俺が囮になる。みんなは俺を追ってくるキメラに後ろから奇襲をかけてくれ。」
「あっダズビル!」
岩陰から飛び出す。俺に気づいたキメラが仲間を呼ぼうと鳴こうとしたがその前にこん棒を頭に叩きつけた。キメラの頭蓋が割れる音がした。
「まずは1体……っ!」
俺に気づいたほかのキメラが口を開けて火の玉を作り出した。ケイが言っていたメラって呪文だな!
身の危険を感じとっさに走り出す。俺がいた場所に火の玉が集中的に放たれた。当たった場所には小さなクレーターがいくつもできていた。
「あれを食らうわけにはいかないな。」
俺はヒット&アウェイの要領でキメラを相手していく。逃げ回りつつ運が良ければ倒す、だが俺がやるべきなのはこいつらの注意を俺に向けることだ。本命は……。
「今よユニ!ケイ!」
「てえええええええええい!!」
「後ろががら空きだ!」
待機していたノワールたちがキメラを倒していく。突然の奇襲に驚いたのかキメラたちは混乱しているようだ。
「奴らが混乱している今がチャンスだ!畳みかけるぞ!!」
混乱したキメラたちは文字通り烏合の衆。特に苦戦することもなく全部討伐することに成功した。
「ふう。何とかなったな。」
「何とかなったなじゃないわよ!あなたが飛び出したときは驚きのあまり心臓が飛び出るかと思ったのよ!!」
「そうですよダズビルさん!心配したんですから!!」
「お、おう……その………なんというか……すまん。」
2人のあまりの剣幕に俺は謝ることしかできなかった。
「まあまあ2人とも。結果的には無事に終わったんだから怒るのはそのくらいにしてあげてくれ。早くキメラから素材をはぎ取ってしまおう。」
「そうね。まだ言い足りないけどここにいつまでもいるわけにもいかないし今回はここまでにしてあげるわ。」
ほっ、どうやら助かったようだ。
「続きは町に帰ってからにしましょうねダズビルさん。」
「急に町に帰りたくなってきた。旅にでも出ようかな。」
「馬鹿なことを言ってないで作業を進めてくれ。」
へいへい。キメラの死体から羽をむしり取っていく。この羽数枚でキメラのつばさって道具ができるんだよな。早く使ってみたいもんだ。
すべてのキメラから羽をむしり終えた。大量である。
「それじゃあ目的も果たしたし帰って飯にしようぜ。」
「そうね。行きましょ。私もお腹ペコペコだわ。」
「待ってお姉ちゃん、ダズビルさん。あそこに何かあるよ。」
「あれは、キメラの卵かな。」
ユニはキメラの巣にある卵を見つけたようだ。
「新しいキメラが出てくる前に割っておくか?」
「いや、もう卵を温めるキメラがいないから新しく生まれてくることはないだろう。それよりも持ち帰ったらどうかな。使い道があるかもしれないし。」
「そうだな。なんに使えるかわからないけどひとまずこれも持って帰るか。」
俺はキメラの卵を手に取って町に向かった。
町に帰ってきた俺は早速キメラのつばさの作成に取り掛かった。大量に持ち帰ってきたので多く作ることができた。これなら当分の間困ることはないな。
「どうだいダズビル、キメラのつばさは出来上がったのかい?」
気になったケイが待ち切れず見に来たようだ。
「おう出来上がったぞ。ほれ、これがそうだ。」
そう言って俺はケイにキメラのつばさを見せた。
「これは間違いない。ゲイムギョウ界録に記されたキメラのつばさだ!ダズビル……君は本当に創造の力を持つ伝説のビルダーなんだね!」
「ああ、そうみたいだな。」
「光が失われ、世界が闇に閉ざされてから人々は何年も待ち続けていたんだ。いつの日か守護女神によって世界を再建するビルダーが使わされることを。」
守護女神に?俺はイストワールという妖精に導かれてここに来たんだがな。
『キメラの羽という新しい素材を手に入れたことで新しい道具の作り方をひらめきましたね。』
相変わらずいきなり話しかけてくるなイストワールは……。
『町人との会話や新しい素材を手に入れることで新しい物の作り方をひらめくことがあるはずです。辺りをよく観察して見たことのない素材はとにかく一度手に入れてみるとよいでしょう。』
行動あるのみってことか。
「ダズビル……僕は君とともに成し遂げたいことが二つあるんだ!」
「何だその成し遂げたいことってのは?」
「一つは強固な防壁に守られたかつての国ラステイションを復活させること。そしてもう一つはラステイションがなぜ滅びたのかその原因を探ることだ。」
「ラステイションが滅びた原因?」
「かつてラステイションは硬い防壁に囲まれていただけではなく、国を守護する女神に何かあったときには国を守るゲイムキャラと町の守り手として巨大なゴーレムが存在していたはずなんだ………。」
ゲイムキャラにゴーレムか。
「そんな鉄壁の守りを誇ったラステイションがいったい何故跡形もなく滅びたのか、僕はラステイションの民の末裔としてその事実をどうしても知りたいんだ!」
俺も知りたくなってきたな。過去のことは忘れちまってるけど俺もラステイションの民の末裔かもしれないしな。
「僕たちの進む道はゲイムギョウ界録と君の力が導いてくれるはずだ。ダズビル……改めてよろしく頼むよ。」
「ああ、俺もケイの知識を頼らせてもらうぞ。」
「ふっ、望むところだと言わせてもらうよ。」
ケイとのやり取りをした後、ノワールが俺を訪ねてきた。
「ねえダズビル。その……聞きたいことがあるんだけどいいかしら?」
「どうした?俺に何が聞きたいんだ?」
「ダズビルって、ずっと物を作ったり何かを考えたりしてるからよくお腹を空かせているんじゃないの?」
「確かに腹がすぐに減るんだよな。」
「やっぱりね。それでちょっと考えてみたんだけど、町に料理ができる場所があればおいしくてお腹にたまるものができると思うのよ!」
「料理ができる場所か。確かに俺もうまいものが食いたいしあって困るものでもないな。」
「でしょ!ダズビル、素材を料理できる方法について何か思いつかない?何か思いついたら調理器具と素材を入れておく収納箱を用意して料理ができる部屋を作ってみて!」
「ああわかった。早速作ってみるよ。」
料理を作るにはやっぱり焼くのが王道だよな。たき火を料理用に改造してみるか。
たき火を作りそこに丈夫な草で縛った木の台を作る。これなら丸焼きと煮だきができるな。意外とすぐにできた。たき火にそのままに木の台を設置しただけだから当然か。
さてこれが使える調理部屋を作るとしますかね。調理部屋は家の隣に作ることにした。いつも通り土で壁と屋根を作りわらの扉を設置する。中にたいまつを置いて明かりを確保。
そして調理部屋に必要不可欠な料理用たき火を設置しその横には素材とできた料理を置いておく収納箱を隣接しておく。料理部屋の完成だな。
料理部屋が完成してノワールとケイが訪ねてきた。
「凄いわダズビル!料理ができる部屋を作ってくれたのね!ここでなら美味しい料理が作れそうだわ!ありがとうダズビル!」
「どういたしまして。」
「やはり物を作る力は素晴らしいね……。それと良かったねノワール。これで君のお腹の音も鳴らなくて済むね。」
「ちょ、ちょっとケイ何言ってるのよ!」
ノワールは顔を赤くしていた。
「どういうことだケイ?」
「実はノワールは物を作るようになってからお腹がよくすいていたらしくてね。それで僕がゲイムギョウ界録に記されていた料理について教えたんだ。まさかこんなに早くダズビルに料理部屋を作らせているとは思わなかったけどね。」
「ち、違うわよ!私はただ、ダズビルがいつもよく働いているからお腹を空かせているんじゃないかと思って料理部屋を提案しただけなんだから!!け、けっして私自身がお腹がすいたから何かおいしいものを食べたいな~なんて思ってた訳じゃないんだからね!!!」
ノワール……顔どころか耳まで真っ赤にさせて言われても説得力がないぞ。
「ふっまあいい。そういうことにしておいてあげよう。それよりダズビル、この料理用たき火で一体何が作れるんだい?」
「食材を焼いたり煮たりすることができるぞ。焼きキノコとか目玉焼きぐらいならこれで作れそうだ。」
ごくり。
「……。ノワール、早速作って食べてみるか?」
「そ、そうね。せっかく料理ができるようになったんだし作らないと意味ないわね。あと実際に食べて味を確かめてみないとね。」
「となると食材が必要だね。そろそろユニが戻ってくるはずだけど……」
「ケイ、言われた通り採ってきたわよ。」
ユニが籠を持って部屋に入ってきた。
「待っていたよユニ。ちょうど料理を始めるところだったんだ。頼んでいたものをダズビルに渡してくれ。」
「わかったわ。はいダズビルさん。」
そう言ってユニは籠を渡してきた。中にはキノコがたくさん入っていた。
「ケイ、このキノコは一体なんだ?」
「夕食用にユニに取ってきてもらったんだ。町の近くにある水場に生えていることを知っていたんで使えると思ってね。」
「なるほどな。じゃあ今日はユニが採ってきたこのキノコを使ってキノコパーティにするか!」
「賛成よ!楽しみねユニ!」
「うん!」
「それじゃ待ってろ作るから。」
「私も手伝うわ。せっかくの料理ができるんだもの。作らないと損だわ。」
「私も手伝います!」
「僕も混ぜてくれ。」
「ああみんなでやろう。」
みんなでキノコを串に刺していく。次は料理用たき火に串に刺したキノコを香ばしく焼く。これで焼きキノコの完成だ。これをローテーションですべて焼いていく。
「いい匂い……。」
「ええ。まったりとしてこってりとしていて、それでいて上品な香ばしい匂いがするわ。」
焼きキノコにそこまで言うか。
「食欲をそそられるね。」
「お前らよだれが出てるぞ。口元拭いとけよ。」
ハッとして口元のよだれを慌てて拭いていく。心なしか3人とも顔を赤くしていた。
できた焼きキノコをみんなに渡す。皆に行き届いたところで食べ始めた。
「うまいなこの焼きキノコ!」
「そうだね。ただ焼いただけでここまで美味しくなるなんて……。」
「これならいくらでも食べられちゃうわ!」
「あっ、もうなくなっちゃった……。」
「慌てて食べなくても大丈夫だぞ。次々焼いてるからな。……なあケイ、ゲイムギョウ界録にはキノコ料理のこととか書いていないのか?」
「多分書いていると思うよ。でもこまだまだ解読が進んでいなくてね、どこに書いてあるのかわからないんだ。」
「ちょっと読ませてもらってもいいか?」
「すまない。この本は僕の大切なものだからね。そうやすやすとほかの人に見せたくはないんだ。それに古代の文字で書かれているから読めないと思うよ。」
「そうか、残念だ……。」
たぶん読めると思うんだけどな。でも無理あり取り上げて読むのもあれだし諦めよう。
「僕はこの町をさらに発展させる糸口をつかむためにも、必ずこのゲイムギョウ界録を読み解くつもりだ!解読が進んだら君にも伝えるから気長に待っていてくれ。」
「わかった。楽しみにしているよ。」
「ねえダズビル。話をするのもいいけどそろそろ焼けたんじゃない?」
「そうですよ。早くしないと焦げてしまいますよ。」
ノワールとユニに言われて料理用たき火を見てみると確かにキノコがこんがりと焼けていた。俺は焼きキノコを催促してくる黒の姉妹に苦笑いしつつ焼きキノコを渡すのであった。
こうして楽しく談笑しながら今日という日は過ぎていった。