~TAKE YOUR HEART~   作:10祁宮

3 / 9
世紀末覇者先輩、ドア突破しすぎ問題
仕方ないね、世紀末だからね…………(他のキャラより明らかにイメージしやすい

怪我人を眠らせて運ぶのはMGS3プレイヤーの大半が経験したはず………したよね?
というかMGSシリーズは素晴らしいから未プレイの人は是非プレイして欲しい
特に3からのPWの流れは神だった……(際限ない脱線


Turning Point/3

明智を連れて先に逃げ出したスカル達は執拗に襲いくるシャドウを撃退しながら着実にパレスの出口へと近づいていく。

 

全体の防御力、素早さを底上げする〈マハラクカジャ〉と〈マハスクカジャ〉、物理と魔法をそれぞれ反射する〈テトラカーン〉に〈マカラカーン〉が効果を失う度に掛けなおすクイーン、フォックス、ノワールの三人は先陣を切って戦う。

 

誰かが疲れの色を見せる度に素早く回復し、場所によっては車に変身し一気に距離を稼ぐモナ、明智を背負って手が空いていないスカルとそのカバーに入り、時折目覚めそうになる明智を眠らせるパンサー、皆を誘導し戦闘には参加しないナビは後方で極力戦闘には巻き込まれないようにする。

 

自然と役割分担し息の合ったチームワークで進み続ける彼らの前にとうとう見覚えのある大扉が見えた。正面入り口の大ホールに繋がる扉だ。

この扉の先にあるホールさえ突破すれば、もうシャドウが出てくることはない。勢いづいた皆は更に奮戦し一気に駆け抜ける。

 

まどろっこしいとばかりにクイーンが大扉を蹴破り、フォックスがその刀の一閃にて待ち構えていたシャドウ達を斬り捨てる。離れた場所からやってこようとするシャドウ達はノワールが取り出したグレネードランチャー(、 、 、 、 、 、 、 、 、 、)でまとめて吹き飛ぶことになった。

いかにも淑女然とした彼女が使うにはあまりにも破壊的なその銃の威力。ノワールはその残弾をここぞとばかりに撒き散らす。吹き荒れる爆風と轟音を無視し、ほんの少しの間生まれた敵のいない空白地帯を走り、階下の入り口へ続く階段を駆け下りる。

 

階段を下りきった先には横並びに扉があった。正真正銘の出口。ついにこのパレスを脱出できるというまさにその瞬間。

 

 

 

 

 

「あっ」

 

 

 

 

 

 

最後尾を走っていたナビが転んだ。

ナビは急いで立ち上がろうとするが、仲間のなかでもダントツに体力の無い彼女は既に限界で、へたりこんでしまう。その彼女を格好の獲物と見てとった無数のシャドウが殺到した。そして先頭の白いライオンのようなシャドウがその牙を大きく剥き出して抵抗できないナビへと飛びかかり、

 

 

 

「我が威を示せ! 【ゾロ】ォ!」

 

「奪えェ! 【キッド】ォ!」

 

「踊れ! 【カルメン】!」

 

「蹴散らせ! 【ゴエモン】ッ!」

 

「駆けろ! 【ヨハンナ】ッ!」

 

「惑わせ! 【ミラディ】!」

 

 

 

間髪を入れずモナ、スカル、パンサー、フォックス、クイーン、ノワールが召喚したペルソナによって跡形もなく消し飛ばされた。

 

レイピアを持つ黒いマントの怪傑、【ゾロ】。

船に乗りマストを片手で掴んだ骸骨の海賊、【キッド】。

真紅の踊り子、【カルメン】。

赤い隈取りをして大見得を切る義賊、【ゴエモン】。

青い炎を吹き出す鋼鉄のバイク、【ヨハンナ】。

妖しき異形の淑女、【ミラディ】。

 

姿形に共通点はなく、その攻撃方法もそれぞれ異なる。

【ゾロ】がレイピアを振るとそれに合わせて突風が吹き荒れる。【キッド】はフックになった自らの手を掲げ雷を降らせる。【カルメン】が扇を振るとその動きをなぞるように劫火が燃え盛る。

【ゴエモン】が大きく一歩踏み込むとそこから円が広がるように衝撃波が生じる。【ヨハンナ】がエンジンをふかすと青白い爆発が各所で起こる。【ミラディ】はそのスカートの一部がスライドして出てきたマシンガンからありったけの銃弾を吐き出す。

 

その一斉攻撃にナビに近づいていたシャドウどころか、離れた場所に出現していたシャドウも全て殲滅された。

 

「………………み、んなぁ……あ…………りが……ぅぅ……」

 

話すこともままならないほど荒い呼吸でナビは弱々しく礼を言った。

その体を走って戻ってきたクイーンが抱え上げる。そして呼び寄せた【ヨハンナ】へと跨りナビに声をかける。

 

「ナビ! 私の背中にしっかりつかまってて!」

 

「うん……………………わかった…………」

 

「行くわよ! 【ヨハンナ】ッ!」

 

ナビが背中にしがみついてくる感触を確認したクイーンは【ヨハンナ】のアクセルを全開にして出口に直進する。

そのまま一気に扉をぶち破り、外へと飛び出していった。

その後を他のメンバーも追い次々と扉を抜けていく。最後に扉を抜けたノワールはくるりと振り向き、すぐそこまで迫っていたシャドウの群れにニコリと微笑んで——扉を勢いよく閉じた。

 

彼女はそのままズルズルと扉にもたれかかるようにして座り込む。

ナビだけでなく彼女や他のメンバーも走り通しで限界に達していたのだ。

よりかかりあいながら座っているナビとクイーン、膝をついているフォックス、壁に手をつき倒れるのを防ぐパンサー、明智をゆっくりと背中から下ろしてから大の字に仰向けになるスカルとモナ。

全員が何も言わずただひたすら空気を貪っていた。

 

 

 

誰もが何も言わず息を整え、ようやく全員の呼吸が普段通りに戻ってきた頃に、

 

「…………ん……」

 

眠っていた明智がゆっくりと瞼を開いた。

それを見た全員が安堵の笑みを浮かべる。

 

「よぉ……お前も、起きたか…………」

 

「……ここ、は………………ッ!?」

 

ややぼんやりとして疑問を発した明智は次第に頭が回りはじめたようで、目を大きく見開いて体を起こす。

そして辺りをキョロキョロと見渡し、最初に声をかけてきたスカルへ信じ難いものを見る視線を送る。

 

「……お前ら、本当に俺を連れてあそこから脱出してきた、ってのか…………!?」

 

「おうよ……どうだ、参ったか……」

 

「参ったか、ってお前……!」

 

得意げに言うスカルに何かを言おうとした明智は後ろから投げかけられた声に振りかえる。

 

「なかなか、骨が折れたぞ……」

 

「そうね……さすがに、もうダメかと思ったわ………」

 

ニヤリと笑いながらそう話すフォックスとクイーン。

パンサーとノワールも口を開く。

 

「アンタをここまで運んできたのは、スカルで、それをサポートしたのが、私よ…………ちょっとは、感謝しなさい……」

 

「あれだけのシャドウが、倒しても、倒しても、延々と湧いてくるのは、もう二度と御免ですね……疲れ、ました……」

 

モナもその言葉に頷く。

 

「そうだな……メメントスでもないのにあんだけシャドウを轢いたのは初めてだぜ…………それと、ナビにも感謝しろよ? 休む暇もなく、できるだけ安全な道を探し続けてたんだからな……」

 

その言葉にナビを見る明智。

その視線に反応を見せず、微動だにしないままぐったりとしているナビに戸惑いを見せる。

 

「お、おい…………そいつ……」

 

戸惑う明智につられてナビの方を見た全員がああ、と小さく頷く。

 

「まあ、仕方ねぇわな……」

 

「そうね……あれだけ体を酷使したんだもの……」

 

「やれやれ……」

 

苦笑する面々を見回し理解不能と言いたげな顔をする明智に気付き、理解している皆を代表してスカルが説明する。

 

「ナビなら大丈夫……寝てるだけ(、 、 、 、 、 )だからな」

 

「………………は?」

 

ポカンと呆気にとられた明智。

今まで見せたことの無いその間の抜けた表情に皆が次々と笑い声を漏らす。

 

「ククッ……驚くよな? コイツ、本当にいきなり眠りはじめるんだよ」

 

「私達も最初はビックリしたわね。何かの病気なんじゃ、って慌ててお医者さんにも診てもらって、マスターにも連絡を入れて……」

 

「なのに医者には特に問題は無いと言われ、後に来たあの御仁からは『たまにこうなるんだ』、の一言……」

 

「ナビは体力が無さすぎて、疲れすぎるとこうしてバッタリ眠り始めて、しばらく起きなくなるの。マスターは『電池切れみたいなモンだ』って言ってたわ……」

 

「私はこの目で見るのは初めてですけど……本当に突然眠っちゃうんですね……ふふっ」

 

それぞれの穏やかな物言いにそれが事実だと納得した明智は肩の力を抜いた。

しかし、それでも尚自分が無事でいることに納得がいかないようにガシガシと頭を掻いた。

 

「なんでそこまでして俺を助けようとすんだよ……非合理的過ぎるだろうが。俺は、何人ものヤツらを廃人にしたり暴走させてきた、外道だぞ……」

 

「お前も案外頑固なとこあるよな……もう散々言っただろ。お前だってあのクソ野郎に人生歪められた一人なんだ。お前のやったことは許されないし、許すつもりも無い。けどよ………」

 

「あなただってやり直すことはできる。……お父様の命を奪ったこと、絶対に許さない。だからこそ、死なんて安易な逃げ道には行かせないわ。生きて、罪を贖いなさい」

 

「それに俺達が獅童を狙うのはあの男が真正のクズというだけではない。他にある理由のうち一つは、我らがリーダー……ジョーカーのため。彼がお前も連れていくと決めたんだ。ならば、少なくとも俺はその判断を尊重する」

 

スカルとノワール、フォックスが口々に明智を諭す。

その中でもフォックスの話には聞き流しがたい事実があった。

 

「ジョーカーの、ため……? あいつがいったいなんだと言うんだ?」

 

「ああ、そういやアンタは知らなかったんだっけ?」

 

「そうね……今のあなたになら、教えてもいいかもね。彼もきっとそう言うでしょうし」

 

小さな見落としに気づいたようにパンサーとクイーンがそう言い、全員が目配せをし頷いた。

そして今度はモナが明智へ語り始めた。

 

「アイツはな、我輩達と出会う前に傷害事件を起こして逮捕されている。アイツの前歴も、東京に来た理由も全てはそのせい、ってワケだ……お前もそこまでは知ってるだろ?」

 

「……ああ」

 

明智が頷くのを一瞥して再びモナは口を開く。

 

「酒に酔った男に絡まれる女性を助けようとして男を突き飛ばし、転倒した男は怪我を負った。正義感を履き違えた愚か者、直情的で何をするかわからない乱暴者……アイツはそういうレッテルを貼られ、苦しみ続けているんだ」

 

そこで一呼吸おいてモナは続ける。

 

 

 

全ては冤罪だってのにな(、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、)

 

 

 

「…………!!」

 

明智は息を呑んだ。

 

「酒に酔った男に絡まれた女性を助けようとしたのは事実。だが、アイツは何もしちゃいない。ただ男が転んで自分で怪我をしただけ。それを逆恨みした男にジョーカーは濡れ衣を着せられた……」

 

「本当の被害者だったはずの女性は脅され、逆にその男の証人となり、警察も男の圧力によって軽々とジョーカーを悪人にしたてあげた」

 

「…………こんなことをやりかねない男の名、お前には心当たりがあるんじゃないか?」

 

明智は呆然としながら呟いた。

 

「獅童、正義………………?」

 

それに大きく頷きモナは息をつく。

 

「だから、我輩達は獅童を倒したい。精神暴走事件、廃人化事件の黒幕にして汚い政治家。それだけじゃなく、大切な仲間の因縁の相手だ。怪盗団は何があろうとヤツを止めてみせる」

 

そう締めくくりモナが黙るまで誰もが俯き、口を挟むことはなかった。

そして静寂の中モナは思う。

 

(これはお前の復讐なんだ。そこにお前自身がいなけりゃ話になんねぇ……とっとと戻ってこい、ジョーカー………………)

 

口にしない思いを噛み締め、モナは聳え立つ獅童のパレスをじっと見つめ続けた————




それぞれに見せ場を作るというか、ちゃんと喋らせるのって意外と難しいですね
杏とか本編最後の方かなり影薄かった印象ありますし……
後から入るキャラにテコ入れが入るのは仕方ないことではあるんですが
最初からいたキャラが相対的に控えめになっていくのもモヤモヤしますねー

竜司は『良くも悪くも真っ直ぐなキャラ』って感じを貫いたので見せ場もありましたが
杏は『サバサバしたギャルJK』とかそういう路線でいくのかと思いきや、
『意外と真面目で素行も良いけどやや頭は悪いキャラ』ってなってて中途半端というか
制作側がキャラを定めきれなかったような感じに思えます
そのせいであまり印象に残ってないんですかね…………
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