~TAKE YOUR HEART~   作:10祁宮

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スキルを使った後たまに見れる仮面が外れたジョーカーの真っ黒に染まった顔と、スキルを選択してから対象の情報をLで確認、キャンセルした後の真のスタイリッシュ騎乗が本当に好き
特に真の方は運関係なくいつでも見れるから最高


Turning Point/8

「お前達がいなくなった後、俺はとにかく延々と押し寄せてくるシャドウを斬っては刺して、斬っては刺しての繰り返しだった。どれだけの数を相手したかは正直なところよく覚えてない。とにかく多かった。防御に特化させた【アラハバキ】がいなければ物量に潰されてただろうな」

 

「それからもしばらくシャドウと戦い続けてたんだが……途中でさすがにこれ以上馬鹿正直に戦っててもキリが無いと見切りをつけた。そして出来れば使いたくなかった奥の手を出すことになった」

 

「…………奥の手?」

 

訝しげな明智から目を逸らす暁。

 

「…………俺には、なんというか特殊な……空間? 部屋? があって……というよりそこに行ける能力があるって言うべきなのか? あー、どうだろう……そもそも俺自身あれが何なのか……うーん…………」

 

「……………………」

 

明智は要領を得ない曖昧な説明にますますしかめっ面になる。それを見た暁は慌てて弁解めいた説明を付け加える。

 

「や、まあその、俺は自分のペルソナを更に強くしたり合体させて違うペルソナを生み出すことができるんだよ。お前の銃弾を弾いた【アラハバキ】もそれで強化したんだ」

 

「…………それで?」

 

「えーと、それでだな、俺自身も分かってないんだけど、そのペルソナを合体したり強化することができる時に、合体する相手が存在しない合体もできる、とでも言いますか……」

 

「………………お前はさっきから俺を馬鹿にしているのか? それともマトモに説明する気が無いのか?」

 

話せば話すほど訳のわからない事を並べたてる暁に次第に苛立ち始めた明智。

 

「いや違うんだ! その、自分でもあまり理解できてない部分だから他人に説明するのもどうしても難しくて……」

 

困り顔をした暁が本気だと理解し、明智は苛立ちを抑え嘆息する。

 

「…………じゃあ端的に事実を並べろ。ハッキリと説明できる事実を。まずお前はペルソナを強化、合体できる。それで? 他には何かあるのか?」

 

「わかった。他には……そうだな、ペルソナを武器や防具といった道具として変化することもできる。無論、認知の世界の中でしか使えないけどな。あと、一度宿したペルソナは合体したり道具に変えたりすると消滅するけどもう一度宿すことができる。…………対価として現金が要求されるが」

 

「……もはや何でもアリかよ。まず第一にペルソナなんてモンは人間の内面の産物だろ? …………なんで対価が現金なんだよ。つかその現金はいったいどこにいくんだ?」

 

話を聞くうちに顰めっ面がだんだんと呆れ顔になり、最後は再び眉をひそめて疑問を投げかける明智。その疑問に首を傾げる暁も困惑した表情を浮かべる。

 

「俺にもさっぱりだ。所持金の中からいつの間にか消えてる。…………それにそもそも俺達はなんで認知の世界に存在するシャドウが現金なんか持ってるのか知らないからな。いや、金という概念が存在し、大衆に認知されている以上あってもおかしくは無い…………かもしれないが。だけどその金は現実に戻ってもそのまま使えるんだぞ。いや本当に、いったいシャドウってなんなんだろうな……」

 

「………………確かに、な……」

 

「「……………………」」

 

今更ながらの大きな謎。

それは考え始めるとどこか空恐ろしいものを感じさせる。

触れてはいけない禁忌のような匂いを感じた二人は揃って首を横に振る。

 

 

 

「…………この話はやめるか」

 

「……ああ、そうだな」

 

 

 

神妙な顔で息をつく二人。

 

「それで話の続きなんだが、ペルソナの合体にも種類があってな。2体のペルソナを合体させるのがまず一つ目。二つ目は3体以上のペルソナをまとめて合体させる方法だ。基本的に合体した後のペルソナは合体する前のペルソナの平均くらいか、あるいはそれより強くなる」

 

「だから弱いペルソナと弱いペルソナで合体させたところでそれほど強いペルソナが生まれるわけじゃない。だけど強いペルソナと強いペルソナを合体させたなら、かなりの強さを持つペルソナを生み出すことが可能なんだ。……ここまではいいか?」

 

「ああ、理解した。続きを話せ」

 

明智に確認をとった暁は一度頷き、また口を開く。

 

「しかし二つ目の方法——複数体のペルソナの合体は少し事情が異なる。こっちはたとえ素材になるペルソナが弱いものしかいなくても、それなりに強いペルソナが生まれる。特定のペルソナを揃えなければならない、という制限はあるもののなかなかに凄いぞ。どのペルソナも並のペルソナにはまず劣らないからな」

 

「なんというか……つくづくお前が羨ましくなる話だな。まったく……」

 

自嘲するように小さく呟く明智の声を聞きとれなかった暁は怪訝そうに明智を見る。明智は何も言わず手で話を続けるように促す。

 

「それでまあ、これだけあれば充分だと思うんだがな……」

 

「……………………まだ、あるのか」

 

言いにくそうにする暁を眺める明智は呆れを通りこしてウンザリしたような声を漏らす。

 

「いや、俺に言われてもな……まあとにかくその通りだ。まだ三つ目の方法があるんだ。 それがさっき言った……」

 

「——合体相手のいない合体、か」

 

「そうだ。ペルソナ1体をもとに行うんだが……この方法の最大の特徴は、何のペルソナが生まれるかわからないということなんだ」

 

「……どういうことだ?」

 

「そのままの意味だ。強いペルソナをもとにしたはずなのに最弱に近いペルソナが生まれたりする。逆に平凡なペルソナから無茶苦茶に強いペルソナが誕生することもある。一種の博打みたいなものだな」

 

「……なるほどな」

 

納得した様子の明智。

しかし暁は苦い顔で言葉を連ねる。

 

「ただしこの方法では普通の合体では起こらない例外が存在してな……」

 

「例外?」

 

「本来なら自分では扱いきれないようなペルソナがいきなり宿ることがあるんだよ。普通の合体なら、自分の力量以上のペルソナは作れない。強いペルソナには持ち主にも相応の“格”が要求されるってことだ」

 

「それは…………そうだろうな。俺のペルソナも最初から強かったわけじゃなかった」

 

「そう、それが普通だ。地道にペルソナを強くする。俺の場合はそこに自分が強くなって強いペルソナを作りだすという選択肢もできた。できたんだが……この合体で生まれたペルソナはランダム性の代わりとでもいうように強さの制限が無い」

 

「ここまで言えばわかると思うが……お前と戦ういくらか前に、そういう強すぎるペルソナが生まれたんだよ。勿論、戦いがある限り弱いペルソナより強いペルソナの方がありがたい。最初は俺も喜んだ。けどな………………」

 

「……強いペルソナはその代償も重い、ということか」

 

暁の言葉から察した明智はそう言葉を継いだ。

 

「そういうことだ。その時生まれたペルソナ、【ペイルライダー】は確かに強い。強いんだが、その分燃費は極悪と言っても過言じゃない」

 

「話を戻すぞ。【ペイルライダー】のスキルを使った時、あの場所にいたシャドウは呆気なく全滅した。……今思うと壮観だったよ。でもその時の俺にそんなことを考えていられるほどの余裕は無かった。温存していた体力を一気に削りとられて立っていられなかったからな」

 

「………一発のスキルで、それほどか」

 

「ああ……威力も、その分の燃費も凄まじい。だから実際のところ、脱出した俺が倒れたこととシャドウからのダメージはほぼ関係ない。スキルの代償で体力が(、 、 、 、 、 、 、 、 、 、)ほぼ尽きかけたのが原因だ(、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、)

 

真面目な顔をして訥々と語る暁に引き込まれていた明智はそこで聞き逃せない一言を耳にした気がした。

 

「……ん? 待て、今お前、自分のペルソナで体力が尽きかけたと言ったのか?」

 

「え? ああ、うん。言ったぞ。極力使うのは避けてたんだけど、最後の最後でかなりの強敵が現れてなぁ。かなりデカかったのに加えてパワーもスピードもあった。しかも、左右が壁の隅に追い詰められて絶体絶命の危機に陥ったんだ。それでどうするか悩んだ結果、まず【アラハバキ】で一瞬の足止めするのと同時にシャドウの視界を遮らせ、【アラハバキ】に突っ込んできた瞬間、一気に足の間をスライディングで潜り抜けて後ろに回り込んだのさ。それで【アラハバキ】を【ペイルライダー】にチェンジして一気に大 技(メガトンレイド)でトドメ! …………いやぁ、あの時はもう無理かと思ったけど綺麗に逆転してやったよ。代償に残ってた体力の大半がもってかれて死にかけたけどな。そっちもそっちでなかなか焦ったよ。あれが出口近くじゃなかったら脱出できたかも怪しいかな……あれ、どうした?」

 

暁は語る途中から身振り手振りで当時の状況を熱演しだす。得意げな声で演技を締めくくった彼は俯いて拳を震わせる明智に気付いた。

声をかけられた明智はギリ、と歯を食いしばりゆっくりと顔を上げ————

 

 

 

「うぐゥッッッッ !?」

 

 

 

次の瞬間、暁の腹には明智の固く、堅く、硬く握り締められた拳が鋭く突き刺さっていた。

たまらず前に倒れる暁を受け止めることもせず、そのまま怒りに燃える目で見下ろしながら明智は叫ぶ。

 

 

 

「一人で残ってあんだけ仲間を心配させて、最後に死にかけで戻ってきた挙句に今まさに俺に面倒をかけてる理由が、自分のペルソナに体力ほとんど吸われたからだった、とか、ふざけるのもいい加減にしろよこのクソがァァァッッッッッ!!!!」

 

 

 

極めて真っ当なその憤怒の発露に対して理不尽さを感じながらも暁は声もなく悶絶する。

むしろ拳の一発だけで留めている明智はこの場においては相当に有情であると言えるだろう。

 

「…………お、お前、本当にふざけるなよ………………! アアァッッ、クソがッ! こんな、こんな馬鹿みたいな理由で…………!! さっきまで深刻な顔して語りやがるからこっちも相応の心構えでいたってのに…………!!」

 

「……………ッ! ……………………ッ!」

 

倒れた暁に追撃をしようまでとは思わないが、かといって到底怒りが収まるわけがない明智はどうしようもなくなり、ただ罵声を上げて全身を怒りに震わせていた。

それを聞きながらも暁は弁明することもできず、ただ腹を押さえて足をジタバタさせていた。

 

奇しくも暁が床で悶絶している様子は朝の光景の再現のようであったが、そこに立つ怒りに燃える明智が朝との明確な違いを示していた。

 

しかし朝と同じく、そこについ寸刻前まであった緊張感や神妙な空気は既に欠片も存在しなかった。




本来こんなギャグっぽい雰囲気にもってくつもりじゃなかったんですが、スキルで体力減ったから瀕死だったって事実を伝えて明智がキレないとは全く思えなかったのでかんなことに。
俺達は……いったい何を間違えたんだ……?(震え声

そう言えばこの竜司のセリフもPVでしか出てきませんでしたね……多分。途中で作品が大きく方向転換したそうですし、やっぱりボツになったセリフとかも多いんでしょうか?
※作中にあったとのご指摘を受けました。勘違いでした、申し訳ありません。
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