え、だってロリじゃないもの   作:レンレン

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幼い頃はみな幼女

「ここ……だよな」

 

とりあえずデバイスに出させた地図と道順通りに進んだら家に着いた。

 

割と立派なそれは一人で暮らすには大きすぎると思う。

 

いきなりミッドに飛ばされはしたものの、これはこれでアリかもしれない。

 

なんて思う僕だったが、ひとつの問題を思い出す。

 

「そういえば、鍵とかどうすればいいんだろうか?」

 

侵入する訳にもいかないし、かといって渡されたデバイスにも伝言なんかはないらしい。

 

「うーん………」

 

「あの、どうかなさいましたか?」

 

玄関の前で頭を悩ませていると声をかけられた。

 

振り返ってみると、そこには女の子がいた。

 

青がかった長い髪で、どこかの制服らしきものを着ている。

 

顔立ちから見て、僕より年下だろう

 

だが真面目そうなことがキリッとした表情から見て取れる。

 

「ああ、この家に住めと母から言われたのですが、鍵なんかは渡されていなくて……」

 

「この家に、ですか……? えっと失礼ですが、あなたは?」

 

「あぁ、紹介が遅れました、川添 怜と申します。」

 

「はじめまして、私は隣の家に住むギンガ・ナカジマと言います。 私の母がこの家の管理を任されてい

るので、よければいらっしゃいますか?」

 

不幸中の幸い、と言ったとこらだろうか

 

仕方がないので彼女の母親に話を聞きに行くことにした。

 

 

 

そうしてナカジマさんに案内されて家まで行くと、奥からエプロンを付けた人がやってきた。

 

どうやら、この人がクイント・ナカジマさんらしい。

(随分と若々しい気はするが、桃子さんやリンディさんの例があるため追求はしない。)

 

引っ越しのことを伝えると、急にテンションが上がってリビングまで案内された。

 

「うふふ、まさか先輩の子がやってくるだなんてねー。 私の年代の管理局員には伝説的な人なのよ?」

 

「は はぁ……」

 

随分とフレンドリーというか、気さくで接しやすい人だった。

 

とは言え、身内の成功談を聞かされるのは恥ずかしい。

 

どうやら母さんは昔からハチャメチャな人だったようだ。

 

なんでも気に入らない上司を口と手でボコボコにしたのが伝説の始まりらしい。

しかも上司がキレて解雇しようとしたところで不正の数々を公表。

その上司は心身共にボロボロだったとか。

 

 

任務でクイントさんとペアを組んだこともあったと彼女は言う。

違法研究所の制圧が任務だったらしいが、突入時はもぬけの殻だったとか。

そこで母さんの出番だ、『なんかこの向こうにいそう』とか言って砲撃を発射。

隠し部屋と研究者を見つけて逮捕する大金星。

 

 

 

などなど

 

引退後にも、通りすがりという理由で絶体絶命のクイントさんの命を救ったというのは意味が分からなかったが。

 

クイントさんは、そんな母さんから家の管理を頼まれたらしい。

 

今でも掃除なんかをしてくれているようだ。

 

 

 

昼過ぎにやってきた筈なのに、色々な話をしていると夕方になってしまった。

 

すると、クイントさんが口を開いた。

 

「晩御飯を食べて行かない?」

 

と。

 

最初は『迷惑はかけられない』と断っていたのだが、クイントさん曰く、俺が住む家の冷蔵庫には食材なんてないとのこと。

 

そうなると話は別だ。

 

夕食を食べるか食べないか、この二択は僕にとって酷すぎた

 

もちろん、せめてもの礼にと準備を手伝ったりはした。

 

 

 

ちょうど準備が終わった時、ドアを開く音が聞こえた。

 

足音や聞こえる声から、どうやら二人くらいのようだ。

 

「たっだいまー、ついそこで父さんに会ったから一緒に帰ってきちゃったー………って、どちら様?」

 

先に入ってきたのは妹さんらしい。

 

元気よく入ったが僕の姿に首を傾げている。

 

「ったく、スバル。 靴は脱いだら揃えろと言って………」

 

今度はお父さんらしい。

 

がっちりした体つきに渋い声をお持ちのようだが、俺の姿に固まってしまった。

 

「あー、はじめまして。 川添 怜といいます。 この度はお隣りに……」

 

「娘(ギンガ)はやらんぞ!!」

 

 

 

その瞬間、世界の全てが止まった気がした。

 

 

 

「おおおおおお父さん!? いきなり何言って…!?」

 

「ええい、お前はまだ16歳なんだぞ!まだ結婚は早い!!」

 

「ええっ、ギンねえ結婚するの!?」

 

「あらあら」

 

 

クイントさんに止められるまで、勘違いは10分以上続いた。

 

 

 

 

 

 

「いやあ、悪かったな。 てっきりギンガが彼氏でも連れて来たのかと思ってな」

 

「もう、父さんったら……」

 

ようやく誤解が解け、ゲンヤさんが苦笑いしながら謝ってくる。

ちなみに頭には大きな瘤ができている。

 

 

「じゃあ、そろそろご飯にしましょうか。」

 

「え……まだ家族の方が揃ってないんじゃ?」

 

にこやかにそう言うクイントさんに些細な疑問をぶつけてみる。

 

そんなことを聞いた理由は準備された夕食の量だった

 

皿にがっつりと盛られた料理の山……いやタワー。

 

バランスが取れているのが不思議なくらいに盛ってある。

 

これだけの量があるんだ、もっと大家族だと思ったんだが…

 

「いいえ、これで全員集合よ。 …あぁ大丈夫。 よく食べるから、うちの----」

 

うちの『旦那』かな?

 

確かにゲンヤさんって体格はいいけど一人でこれは流石に…

 

「----娘二人が♪」

 

「……………え?」

 

 




おまけ


想像を絶する勢いで食事も終わり、しばらく雑談をしてからナカジマ宅を出る。

見送りのためにギンガさんがついてきてくれた。

「今日はすみませんでした、父が失礼なことを…」

それは先程の勘違いだろうか、それとも半ば無理矢理に酒を勧めてきたことだろうか。

勿論、そのどちらもという可能性もあるが

「いえ、素敵なお父さんじゃないですか。 お二人を愛していらっしゃるのがよく分かります。 まぁ、これだけ魅力的な娘さん達なら当然かもしれませんね」

「い いえ、そんな……魅力的だなんて///」

照れてしまったのか、ギンガさんは少しだけ俯いた。

家が元々お隣りということもあり、すぐに玄関先に着いたギンガさんは俺にシンプルな鍵を手渡した。


「で では、これが鍵です。 何か分からないことがあれば、相談してくださいね。」

「ああ、何から何まですみません。 それじゃあ、おやすみなさい。」

「はい、おやすみなさい。 あの、次からは敬語じゃなくてもいいですから…そ それでは失礼します!!」





おまけのおまけ


--ギンガ side--

バタンと音をたてながら、私は慌てて自宅の玄関に駆け込む。

「はぁはぁ……顔が熱い」

この頬の熱さは走ったから?

それとも……


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