魔法少女リリカルなのは ストラーノ   作:ゆきだるま

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俺のテンションがスカイハイ。
奴らがいるのもスカイハイ。


第二話

 

空から零れ落ちた黒い点は、纏っていた靄を振り払い中に込めていた“人”の姿を現出させた。

 

 

「彼我の距離980、920、830! 落下速度より向こうが生長する方がはええぞキメェ!」

 

 

「面倒な代物だなオイ! ブロック・10×10!」

 

 

落ち行く“人”の前面を覆う様に現われた百個のブロック。真紅に塗れた硬質そうな角ばったそれは、先ほどまで視界にあった大樹から飛び出した木の葉を悉く防ぐ。

 

 

「どうやらやっこさんは集合体の様だ。親玉の幹はSランク近い値を叩き出してるが、そこから分離してんのはCランクが精々、枝の方もBランクがいいとこだ。整地には何の問題も無いぜ?」

 

 

“人”の右腕に填められた腕輪が、心底楽しそうに言う。すると“人”も目尻と口角を吊り上げて、喉を鳴らして笑みを上げる。カカッ! それを合図に両腕を引く。拳は腰の位置にあり、込められた力は今か今かとトリガーが引かれるのを待つ。

 

 

「ブロック……シュートォォォォォォォォォォォッ!」

 

 

腕輪の奇声に乗って弾き出された拳は、鈍い音を鳴らしながら前面のブロックを凄まじいスピードで打ち出していく。弾き出された弾丸は風切り音を響かせて標的である大樹の枝や葉を吹き飛ばし、轟音と共に幹に減り込んで落下地点を均す。そうして“人”が降り立った頃には、綺麗に並んだ10×10の足場が出来上がっていた。

 

 

「ケケケ、周りの枝葉は旦那にビビッて仕掛けてこねえようだ。生長も止まって、後は旦那の裁量次第だぜ?」

 

 

「ここから枝葉を相手に大立ち回りをしたら結構楽しかったんだろうが……まあ、いい」

 

 

“人”の右手首に填まった様に、ブロックと同じく真紅に輝く三角形が突如現われた。それはゆっくりと回転を始め、やがて頂点が円を描き出す。

 

 

「ぶち抜くぞ、殴貫撃!」

 

 

“人”が右腕を振るって幹を殴りつけた瞬間、突き刺さった拳が三角から放たれた真紅の光に包まれる。

 

 

「ブンナグゥゥゥゥゥゥゥゥルゥッ!」

 

 

再度腕輪の奇声が唸ったと同時、光が弾け破砕音と轟音が幹の中から生まれた。勢いよく進む内にそれは大きくなり、遂には――

 

 

「おうおう、弾けた弾けた。思ったより上にあったねえ」

 

 

「あんまり下にあると根まで壊して修復不能になってたかもしれんしな、むしろ丁度いい」

 

 

幹の中心部が爆発。余波で崩れ落ちる天辺から飛び降り、爆心地に降り立った“人”の前には、宙に浮かんだ穏やかな光を放つ蒼い宝石。

 

 

「こいつがジュエルシードか、ロストロギアってもんは本当に凄まじいねえ」

 

 

手に取りまじまじと見つめる様は、驚きと少々の苦味が滲んでいる。少し加工すればペンダントにでも使えそうな大きさの宝石は、思いを汲み上げて形にすると言われる古代の遺物。そして、眼下に広がる瓦礫の街を生み出した元凶。日の光を反射して光る様は、純度の高い宝石にしか見えないというのに。

 

 

「これ売ったら幾らになるかね?」

 

 

「ロストロギアって付加価値が無くても八桁は固いな。暴走しない程度に魔力込めて闇市場に流せば億は下――」

 

 

腕輪が言葉を切り、“人”は宝石から中空へ視線を向ける。ジュエルシードともう一つ、彼らには本命があった。それは猛スピードで爆心地に接近してくる、白基調の制服を纏った“女の子”。

 

 

「あの、その宝石、返してもらえませんか?」

 

 

明るい茶色の髪をツインテールにし、一目見て可愛さを理解できる目鼻立ちの整った容貌に焦りを含ませながらも、意思の強い目で訴えかけてくる少女。ジュエルシードを見た時よりも大きな驚きを抱きながら、“人”は問いかける。

 

 

「どうしてだいお嬢ちゃん。これは今、俺が手に入れた物なんだがね」

 

 

「それ、私の友達の探し物で。だから、その子に返してあげたいんです」

 

 

探し物、ねえ。零れた呟きは少女の胸に不安を生む。分の悪い賭けであることは分かっている、こうして今話が出来ている現状が幸運であることも。だから、立ち止まれない。人の思いに応えたから、今此処に自分が居るのだと、自分の心に言い聞かせて、少女は動く。

 

 

「お願いします。どうか、その宝石を返して下さい!」

 

 

頭を下げる。体格からして十歳前後であろう少女が見せられる唯一最高の誠意を前に、“人”は思考していた。今回の目的は今手に持つ宝石と目の前の少女であるが、優先度は目の前の少女が勝る。そして現段階において、少女が害意を持った人間でない事は分かった。害意を持った人間なら考えの足らぬ者は攻撃を仕掛け、賢しい者は先に“行動”することを嫌う性質がある。勿論、どちらでもないからという理由で決め付けるのは得策でないかもしれないが、“人”は誠意を前にそれを無体に扱える程、性根の腐った輩ではなかった。

 

 

「お嬢ちゃん。頭上げて、それから自己紹介してくれるかい? 俺も訳あってこれを集めているんでね、せめてお嬢ちゃんがどういう人間か知っておかないと、後で怒られちゃうからさ」

 

 

少女の目線に合わせてしゃがみ、穏やかな口調で語りかけると、面を上げた少女は期待を抱いたのか少し嬉しそうにしていた。『やっちまった』とは誰の言葉か。

 

 

「私、高町なのはって言います! えと、今八歳で、家が喫茶店をやってます!」

 

 

「なのはちゃんね、元気いいなあオイ。俺はフレディ=アイン=クロイツ。今二十四で、時空管理局ってとこで働いてる。結構偉いんだぜ?」




なのはちゃんとフレディさんが出会いました。向こうで書いてた時と全然違う流れになりました。あとお気に入りが向こうの数超えました。何があったんだ一体……
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