魔法少女リリカルなのは ストラーノ   作:ゆきだるま

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暁にて、我がライバル迅君が連載中の魔法少女リリカルなのはA's The Awakeningに登場する竜二君と直人君、そしてデバイスのアスカ参戦。既に向こうではフレディさんが暴れているので、良かったらそっちもシクヨロ。関西弁ギャグパート書きやすいわあ。


第二話

 

 

 

「プロジェクトFか。まったく、何時の世にも馬鹿は絶えんということか」

 

 移動中の車内で三人から報告を受けたレジアスが吐き捨てる。

 

「俺みたいな輩の飯の種だ、あまり嫌ってくれるなよ」

 

「そうしてやりたいが、私達にとっては頭の痛い話なのだ。嫌わずして、やってはいけん」

 

 おどけるフレディに、グレアムが応える。

 

「まあ、それはそれとしてだ。ユーニアに吐かせた奴は誰か分かったのかよ?」

 

 ユーニア=フライハイト二佐。対凶悪犯罪者特務部隊“副隊長”を務め、フレディにジュエルシード事件介入を通達した女性の名前である。

 

「……アナスタシア=オイフェ」

 

 レジアスが答えた名に、フレディが表情の険を深め、アロンソとリンディが驚きを露にして固まっている。グレアムは既に知っていたのか飄々としているが、目だけが探る様な意を持ってフレディに向いている。

 アナスタシア=オイフェ一佐。時空管理局本局所属、航空戦技教導隊“隊長”を務め、空戦ランクSS+を所持するフレディと並び管理局最高戦力の一角である女傑。

 

「何でアイツの名前がそこで出てくる?」

 

「あくまで吐かせた人間の名前だ。事件介入の通達をした人間は別に居る。……もう死んどるがな」

 

 その言葉に、アロンソとリンディも表情を厳しくした。対してフレディは表情を緩め、興味を失った様だ。

 

「ちなみに理由って何よ?」

 

「来月に行われる聖王生誕祭への参加要請だ。アロンソはともかく、お前に関してはあの時期から打診しておかないと不味いということでアナスタシアに、白羽の矢が立ったらしい」

 

 紛らわしい話だな。お前が毎年行っとればこんな事にはなっとらん。二人の会話は軽い調子になったことで、アロンソとリンディの表情が少し緩み、グレアムもフレディから視線を外した。先程まであった硬直した空気は無くなったが、事はそんな簡単に流して良いものではない。

 

「それで、介入を命じたのは誰なんです?」

 

「トッド=ロウ中将だ。通信記録を洗った後に事情聴取を行おうとした矢先、自分の執務室で死んでいるのが見つかった。調査の結果服毒自殺であることは分かったが、それが本人の意思かそうでないかはハッキリしとらん。ここ三ヶ月程の動向を隅から隅まで洗ったが、怪しいのがユーニア二佐への通達だけ、だからの。馬鹿にされている様で腹立たしいが、本当にそれだけしか分かっておらん」

 

 リンディからの問いかけに答えたレジアスは、重たくなった気分を押し出す様に息を吐く。一番の情報源となったであろう人物が死に、その背後関係が洗えないなど、治安維持機関を束ねる人間としては頭の痛い話題でしかない。想像の向こう側に居る黒幕を相手取るなど、後手にさせられる側としては獅子身中の虫と同義なのだ。

 

「グレアム大将、“次”の気配は見えておりますか?」

 

「差し当たって、ロストロギア及び同等クラスの物品の護送には三佐階級の者を就けている。今の所横槍が入ったと言ってもいつもの話で済むレベルであるから、それほど警戒を密に出来ている訳ではないが。それから、君達を除いた一佐階級の者達の動向も調べさせたが、有力な情報は上がっていない。準備期間なのか、時期を見ているのか、何れにしろ……兆候は見えていない」

 

 グレアムとアロンソのやり取りで、場の空気が一段落した。此処で話し合える事は終わった、それを示す様にアロンソとリンディ、それからレジアスを交えた子供談義が始まり、子供の居ないグレアムと興味の無いフレディは備え付けの小型冷蔵庫からワインを取り出し、私的に飲みに行く時間の都合を付けたり、グレアムがミッドの近況を語ったりしていたのだが、その内の一つがフレディの琴線に触れたのか、薄く笑みを浮かべた後、グラスに残っていたワインを飲み干して呟く。

 

「アイツ等来てたのか。俺が居ない時に、ねえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハリー! ハリー! ハリィィィィィィッ! はよ、はよ証明書発行してぇなお姉さん!」

 

「下手に逃げると傷口広げるだけよ? 大人しく此処で待ってた方がいいと思うな、私は」

 

「ちゃうねんてあかんねんてあの人にそんな殊勝な態度したかて無駄やねんてせやから証明書はよぉぉぉぉっ!」

 

 時空管理局地上本部証書発行受付にて、二人の青年が地面に直に正座して何度も何度も額をぶつける勢いで頭を下げながら、受付嬢に懇願していた。多くの人間はその様を見て奇妙な物を見る目で距離を置いたりヒソヒソ話をしながら離れていくが、何人かの人間は彼等に対して十字を切ったり合掌していた。

 

「マスター、もう諦めましょうよ。大人しく殴られましょうよ。大丈夫、私が膝枕しながら治してあげますから!」

 

「じゃかあしいわい! あの人に殴られたら痛いとかそういうレベルちゃうねん昇天すんねん! 俺ら何回も祖父ちゃん祖母ちゃんに会うとんねん!」

 

「自分が殴られないからって許容すんのマジやめて! 俺らにとっちゃ死活問題やから!」

 

 彼らが喋っているのは、地球言語で関西弁と呼ばれるものだ。二千年以上昔から都として栄えてきた土地の言葉だけあって、ベースとなる言い回しに歴史由来の言葉が数多く混じる為に出身地方の判別が割りと簡単なのが特徴。分かりやすく言えば、中心から西に行けば行くほど言葉が荒くなる。というか、そう聞える濁音交じりの音や、語尾が上がりやすい音になっている。近年ではテレビの普及で差異は小さくなってきていたりするが。

 

「ほう、死活問題。そうかそうか、今殺してやろうかお前等?」

 

{アァァァァァァァァイィィエフレディサァァァァァンンッ!?}

 

 そんな二人を嘲笑う様に突如背後から声を掛けてきた男に対し、青年二人は脱兎。示し合わせた訳でもなく、別々の方向へ逃げようとした二人だったが、それを予知していたかの様に男は出鼻を挫き、低い姿勢から片手で頭を掴んで引き釣り上げた。誤字にあらず。そして青年達は痛みに耐えかね悲鳴を上げる。一言一句違わず、声の主の名を叫びに混ぜて。

 

「竜二くぅぅぅぅん、直人くぅぅぅぅん、どうして逃げた?」

 

「いや、その、ほらっ、危険感じたら取り敢えず逃げろーいう賞金稼ぎの本能いうやつです! あああああああああ!」

 

「先輩のアホッ! 何本音ぶちかましてああああああああ!」

 

 コリコリ。何か大事な部分を激痛と共に弄られている二人は悲鳴を上げるも、受付嬢と先程いきなり現れた女性は我関せずといった具合に世間話を始めているし、他の連中はフレディが現れて逃げ出すか、十字を切ったり合掌したりしていた。

 

「アスカァッ! おんどれのんびりくっちゃべってんと助けえや!」

 

「嫌ですよー。女の子にフレディさんの相手させようとしないで下さいよー壊れちゃいますよー」

 

「性的な意味で」

 

「ボケかます暇あったらこの人止めて! 頼むし! お願いやし! やらへんのならせめて止めれる人連れて来てぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 竜二君がアスカと呼んだ女性が綺麗なトスを上げれば受付嬢が素晴らしいスパイクを決め、それが悔しい直人君はツッコミを入れつつ再び助けを懇願する。関西人の悲しい性、ボケが来ればツッコまざるを得ない。

 

「おいおいお前等、久しぶりに会った恩人に対して随分な態度じゃないか。俺から逃げようとする根性も含めて」

 

「ちゃうんです! ホンマ、手続き済んで金貰ったら直ぐにでも挨拶に向かう予定で!」

 

「そうです! 最近飯やら酒やらも御一緒出来てないんで、二人の稼ぎ合わせて奢らしてもらう予定やったんです!」

 

 嘘である。ホントは全然別の事に使う予定だったのだが、フレディに見つかってしまった以上、口に出してしまった以上、それは本当にせねばならない。自分の命と財布。どちらに天秤が傾くか、分かりきった話だ。

 

「そうかそうか、そりゃ殊勝な考えだ。いいだろう、今夜よろしく頼むぞ」

 

「あ、ありやとやーす……」

 

「毎度おおきに……」

 

 フレディから解放された二人は地面に膝と手を付き息を整えていた。関西人の性、リアクションは強めに取らざるを得ない、が災いして叫び過ぎた為に。

 

「はい御二人ともお疲れ様。証明書出来てるよー」

 

「お姉さん、アンタ今日だけは怨ましてもらうで……」

 

「天使のような悪魔の笑顔とかマジ勘弁やわ……」

 

 二人は疲れをありありと浮かべながらも受付嬢から貰った書類に軽く目を通すと、四つ折にして懐にしまう。そしてフレディに向き直ると、ほぼ同じタイミングで頭を下げた。

 

「改めまして、お久しぶりですフレディさん」

 

「何や今回も無茶やらかしたと聞いてますが、元気そうで安心しましたわ」

 

「おう。お前らもなかなかの額を稼いだ様で安心した。今日は前よりワンランク上の店に連れていってやる」

 

 相変わらず目敏いっすなー、と返したのは八神竜二。俗に賞金稼ぎ《バウンティハンター》と呼ばれる職種の彼は、その中でも特A級にランクされる凄腕であり、魔導師ランクも総合でS-を所持するベルカ式魔導師。

 そこ近くにATMありますかね? と返したのは山口直人。彼もまた特A級の賞金稼ぎ、そしてS-ランクの魔導師であり、竜二とコンビを組んで活動している。ちなみに彼は、ミッド式とガルディアン式の混合である。

 

「わー、楽しみです! 何処に連れて行って頂けるんです?」

 

「肉の美味い店だ。たらふく食って、柔らかい体になった後のお前さんを抱くのも悪くないなあ?」

 

「キャー、マスター助けてー! 私食べられちゃいますー!」

 

「お前は黙っとれ! ていうかお前の分は払わんし、そもそもお前プログラムやから肉食ったところで痩せも太りもせんやろがっ!」

 

 そして最後にアスカ。その正体は現在でも未だ研究段階にあるベルカ式ユニゾンデバイス、正式名称を星天の書、製造されたのは何と千年以上前というびっくりするほどアンティーク! な彼女は八神竜二のデバイス、アスカとして主にマスターで遊びながら現代を満喫中。

 

「フレディさん助けてー! マスターがイジメルー!」

 

「生憎何度抱いても具合の変わらねえ女は好みじゃねえんだ」

 

「はうあ! 私プログラム!」

 

「仮にも本部の受付で何やっとるんだお前等は……」

 

 フレディに遅れること数分、グレアムと今後に関する軽めの打ち合わせを終えて本部へ足を踏み入れたレジアスは、玄関の端の方で馬鹿騒ぎを起こしている連中を見て軽い頭痛を覚え、大事に至らなさそうと見て、無視を決め込み奥のエレベーターへ向かった。

 

 

 




落差が酷いね、うん。
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