某日、アメリカである寄生菌が蔓延した。
それは、死んだ人を生き返すものだったが、生き返った人は明らかに人ではなかった。
体が腐敗しているのにもかかわらず体の機能は逆に高くなっていたが細菌の進行が進めばもはや人と呼べる代物ではなくなる。
人から人へと感染していきアメリカは落ちた。
人々は感染者から逃れるように町にバリケードを作り引き籠った。そして、民間人は町を防衛する人々に守れていた。いや、防衛という支配に置かれていたのだ、法が効くわけもなく無法地帯と化したアメリカは荒んだものへとなり果てていた。町という町で暴行や強姦、殺人が頻繁に起こり人の尊厳という物はもはやゴミのように道に捨てられ文字通り自由の国というのがふさわしいといった感じだ。
さて、まず感染症について考えて行こう。
感染症は人や動物といった生き物を媒体としてうつっていくものだ。
では、ここで一つ問題を呈していこう。
仮に、アメリカの寄生菌に対し免疫を持った人間がほかの国へ行ったとした場合、そして、その免疫が完全に進行を阻止するものではなく進行を遅らせるものだとしたら一体どうなるか?
天文学的確率で考えてもそうとう低い確率だが゙0゙ではないということば起こりうる事゙なのだ。
ここまで言えば大抵の人は察しが付くだろう。
アメリカに寄生菌が蔓延した数日後、日本でも寄生菌が蔓延したのだ。
日本の政府は動き出すのが遅かった。
別に無能とかそういうのではない、だってそうだろう、最初に感染したのが総理大臣なら手の打ちようがほとんどないではないか。
感染した経緯は至って単純だった。
アメリカの大統領が免疫を持っていて日本の総理大臣との会談の終わり際に行われた握手で大統領の爪が総理大臣の手に食い込んでしまい感染したのだ。
細菌の災害が起こる前に感染していた大統領との会談は本当にタイミングが悪く、日本もまたアメリカと同様荒んでいった。
人の体で例えると天皇は心臓で、総理大臣と日本の政府は脳だ。
内側が壊れてしまっては外側、つまり、民間人たちはどうしようもなかった。
アメリカのような銃社会ではない日本は感染者に対抗するすべをあまり持ちえていなかった。
人と感染者が錯綜し死が死を生み出しいくそれはまさに地獄だ。
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ここは、日本の首都東京。
かつて、一番栄えていた時代を思わせるような光景はどこにもなく建物にはツタが巻き付かれありとあらゆるところに廃車や人間の死体といったものが転がっている。
一人の男をその間を駆け抜ける。
その速さは陸上部顔負けの速さだったが男の顔は険しかった。
金色にたなびく髪の毛、優しい目をし整った顔立ちの男は静かに呟いた。
「…fuck」
fuckの意味は『へまをやって、・・・をだいなしにする。』というものが含まれている。
男は食料を探しに出て行った際建物で物音を立ててしまい感染者たちに気付かれてしまったのだ。
走って物音を立てたら感染者たちが追ってくるのでは?と考えた人はとてもいい考えをしてる、現に出くわした感染者がランナーやストーカーといったものなら静かに移動をして逃げるが今はクリッカーという感染者に追われているのだ。
人間が感染し初めになるのがランナーというものだ。
集団行動を好み、感染してからわずか二日で大抵こいつになる。
次に、ストーカーだ。
名前通り物陰に潜み攻撃してくる。ここまで寄生菌が進行していると視力が低下し、逆に聴力が発達してくる。
そして、先ほど述べたクリッカー。
頭部が原形を留めないほどに変形しており、視力を完全に失っているが、代わりに聴力が発達している。名前の由来であるコンピューターマウスのクリック音に似た鳴き声を発し、コウモリと同様に音波の反射から獲物の位置を感知する。ランナーや、ストーカーよりも力が強いので注意が必要だ。
つまり、このクリッカーから追われている男は素早くその場から離脱し音が聞こえなくなるところまで移動しているのだ。
「ここまでくれば大丈夫か?」
走っていて目に着けた隠れやすい建物で身を隠しながらあたりを見回す。クリッカーたちが辺りを徘徊しているが気付かれている様子はなくそれは撒けたことを意味していた。
「…しかし、食料は確保したはいいがこれではジリ貧だな、ッ!?」
頭を掻き毟りながらこれからどうするかと考えていたその時後ろから物音がした。その瞬間俺はまずったかと心の中で舌打ちをする。
ここにも感染者がいたのか…。
そう考えながらバレていないことを願った。
しかし、予想の斜め上を行った結果がこの男に襲い掛かってきた。
音をした方向を眺めていると一つの影が迫ってきた。その影は幾分小さく映っていて太陽の光がその正体を鮮明に映し出す。
「なんで、女の子がここに?」
目の前には少し痩せこけた見た目12,3歳の女の子が満身創痍といった感じでそこに立っていた。
綺麗に束ねている髪が地面と唐突に接触した。
つまり、女の子がいきなり倒れたのだ。
こういう時普通は慌てふためく状況だろが今は違う。
俺はただ一人、思う。
「めんどくさい…」と。
なぜ倒れたか確かめるために俺は近づいて声をかけてみた。
原因はすぐに発覚する。
殺伐としたこの部屋に似合わない音が反響し、その出所が女の子の腹からだとすぐに気づいた。
「おな…か、すい…た」
区切り区切りの声は俺の溜息と共に消えて行った。
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「ふぅ!お腹一杯!ごちそうさま!!」
「大声を出すな、気付かれる」
大量の空になった缶詰を見つめながら俺は注意する。
安全な部屋に担ぎ込んだ俺は女の子の要望通り食べ物を与えてやるとご飯を待ち望んでいた空腹の犬のようにがっつき始めた。
「けど、私以外に生存者がいたなんて驚き」
それは俺もだ。
口には出さないがそう思う、こんなか弱い女の子がこの地獄を生き延びているのだ。
「ところで、これからどうするんだ?」
俺が聞くと女の子が目をパチクリさせながら身を縮ました。
「一緒に、言っていい?」
「却下だ」
即答ってひどくない!?と突っ込んできたが指を鼻にあてて静かにしろというジャスチャーを促す。
「俺一人で精いっぱいだ、悪いがほかを当たってくれ、ほかがいたらな」
少し皮肉を交えながら女の子の目を見据えた。
けれども、それに動じず女の子はひとつ条件を提示してきた。
「じゃあ、取引といこうよ」
こんな状況で成り立つ取引などないのだが一応頷いておく。
今までならあしらっていたが本能が聞けと囁いたのだ。
―――私を守る代わりに、全人類の命の保証ってのはどう?
突然のことに何を言っているんだお前はと言おうとしたが女の子の目が嘘を言っていないことを実しやかに示唆していた。
「…一体どういうことだ?」
俺が訊くと女の子は服に隠れている腕を見せてきた、それには少し傷があるのが分かる。
「なんだこれ?」
「感染者に噛まれた」
ッ!?こいつ感染者か!?
即座にその場から離れ、女の子との距離を広げる。
「待って!これは一週間前の傷なの!」
「嘘をつくな!?」
普通感染したならば二日で発症する、ましてや一週間などもはやクリッカーとなっていてもおかしくない、けれども、こいつは普通だ。
噛まれて発症しないのはごく一部、大統領のように免疫持ちの特例だけ…
そこまで思い至り一つの結論に達した。
「まさか、免疫持ちか?」
「察しのいい人は好きだよっ」
女の子がにぱっと笑う。
確かに、こいつをワクチンを作る機関に渡せばなにか一つ進展が起きるかも知れない。
「…はぁ、わかった、一緒に行こう」
俺は諦めながら答えを出した。
全人類の命だ、腹を括るしかない。
そう考えながら俺は女の子のところまで足を進める。
「俺は
俺は、自身がハーフだということを告げながら自己紹介をする。
女の子は俺の態度に満足したのか満面の笑みを浮かべる。
「私は
どこからともなく一匹の鳥が空高く羽ばたいた。
恵理のcvは高橋李依さんでお願いします(迫真)
追伸
理恵の見た目
身長は160㎝前後、髪は後ろで束ねているポニーテール。