シロクロ!   作:zienN

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第10話 部活名は。

「よし、そういうことだから、さっさと書くもの書いて敦也を助けに行こう」

「了解!ぱぱっとやっちゃおう!」

「そうですね…」

 

涼香のスイーツトークの炸裂から2分弱。

これが終わったら、部活設立記念の名目で敦也も連れて4人で写真で見たどでかいシュークリームを食べに行くという提案によって涼香を黙らせることに成功した。

 

昨日の今日でよく食えるな…。

そして、すまん敦也よ。

お前は二神さんのための尊い犠牲として、今日もあの甘いシュークリームと対面してくれ。

無理だって?大丈夫、今日は俺も二神さんもいるから。

 

頭の中で敦也に語りかけ、いざ、申請用紙へ。

 

「と言っても、部活名書いて出すだけなんだけど」

「名前かあ」

「名前…」

 

「………」

 

不意に流れる沈黙。

あれ?これ詰んでない?

 

「はっきり言って何も思いつかないな」

「えーっと。どんな活動するんだったっけ?」

「生徒の悩みを聞いて相談に乗ってあげる…でしたっけ?」

「あ、そうだった」

 

なんか、アレだな。

活動がアバウトすぎる。

 

「…お悩み相談窓口部、とか?」

「一応あってるけど、長すぎというか収まりが悪いというか。後、同好会ね」

「カウンセリング同好会、っていうのはどうですか?」

「間違っていないけど俺たちにそこまでのことができるわけはないから、そんなガチな名前だとちょっと…」

「じゃあ、奉仕部は!?」

「…なんか、それは違う気がする。奉仕ってわけじゃないし。後、同好会ね」

 

サイコホラー部。メンタル同好会、青年心理同好会、認知臨床心理部、愚痴られ屋。

それらしい名前がポンポン出てくるが、どれもしっくりこない。

後、涼香、いい加減同好会って言おうね?そして最後のは部ですらない。

 

色々と名前を出し続けてまた時間がすぎる。

どれだけひねり出そうとも、うまく当てはまる部活名は出てこない。

 

「くろくんもうだめだよ〜。いい名前が出てこないよぉ」

「…一条くんもう出ないです」

 

二人の疲れた顔を見て悟る。

ああ、これはもうしぼり出せそうにないな。

俺も諦めて、テーブルに置いた鞄を肩にかける。

 

「もう出ないからさ、先生のところ行って、みんなで考えようか」

「あ、それいいね!いこう、二神さん!」

「え、あちょっと!」

 

涼香に手を引かれ、教室を飛び出す二神さん。そんな二人に遅れないように、俺は今出て行った二人によって勢いよく閉められた扉のドアノブに手をかける。

 

ガッ。

 

「…ん?」

 

何故か鍵が開かない。ちょっと待ってもしかしてだけど…。

 

「二神さん!?もしかして鍵閉めてった!?あの短時間によくできたな!ねえ俺、まだ中にいるんだけど!?ちょっと!戻ってこい、涼香ぁ!!」

 

 

 

 

 

 

「俺としたことが、まさか内側の鍵の存在を忘れていたとは」

 

バンバンドアを叩きながら叫んでいたせいか、隣の部からの壁ドンで冷静になり、俺はドアの内側に鍵があったことを思い出した。

 

とりあえず敦也のところに向かおう。

駆け足で廊下をかけると、途中の廊下で先に行った涼香と二神さんが自動販売機の前で立ち止まっていたのが見つかった。

 

「お、くろくん遅かったね!なんか叫び声が聞こえたけど、どうしたの?」

「いや、なんでも。外でチア部が俺のこと応援してたみたいだから、全力で感謝の気持ちを叫んでたんだ」

「へえ〜、モテモテだね!」

「…ぷっ!」

 

勘違いで叫んでたのが恥ずかしかったので嘘をついた。

おい、涼香。モテてたら今頃彼女とデート行ってたわ!

部活なんてやってないわ!

二神さんも、何笑ってるんだ?

モテモテ?ご冗談を(笑)っていう意味の笑いじゃないよね?

 

「それで、何やってんの?」

 

怒りと恥ずかしさを秘めて、紳士的に質問する。

 

「えっとね。先生と敦也くんに、何か買って行ってあげようと思って。何がいいと思うかな?」

「向こう、紅茶あるじゃん。いいんじゃないの?」

「違うの飲みたくなるでしょきっと。何か買って行ってあげよう?」

 

季節とはだいぶ離れたおしるこを指差しながら、涼香が言った。

まあ、おしるこは飲みたいとは思わないけどさ…。

 

「なるほどね。じゃあ、ここは俺が出すよ」

「お、くろくん太っ腹だね!」

 

まあな、モテる男はレディにお金を出させるものではないのさ。

財布からお金を出して、投入口に入れる。

 

「先生はこれだよね!」

 

涼香がすぐにボタンを押したのは程よい甘みがクセになる女性に特に人気の紅茶。

でも、さっき紅茶出されといて、それで紅茶選ぶって、幾ら何でもその選択だけはナンセンスじゃないの?

 

「四季さん、先生の好物知ってるんですね…」

「え?」

「まあね〜。付き合い長いからね」

 

Vサインで応じる涼香。

ただの甘味テロかと思ったが、どうやら先生の好物だったようだ。

ナンセンスとかいってごめんなさい。

 

「次は敦也の分ね」

 

謝罪の意味も込めて再びお金を投入する。

 

「敦也くんはこれだよね」

 

押したのは黄色いパッケージのコーヒー。

苦味なんて宇宙の彼方においてきたんじゃないかと思える程の甘さが売りの飲み物。

 

「…」

 

敦也これもらって、それでこの後シュークリーム食いに行くよって言ったら、どんな顔するんだろうな。

 

「さ、いこっか」

「敦也、どうか無事で」

 

二神さんと仲良く歩く涼香に聞こえないように、俺は小さく呟く。

ふと窓の外を見ると、オレンジ色に染まり始めた空に、うっすらと友人の顔が見えたような気がした。




最後まで読んでいただきありがとうございますm(._.)m
部活名…結構悩みました汗
どうにか名前は決められましたが、そんなに大事ではないので、今になってみればそこまで悩むものでもなかったなあ、と思わざるを得ないです。
余談ですが、何故かうちの高校の自販機は紙パックのジュースばかりでした。缶ジュースなんて並ぼうものならその日のうちに売り切れちゃいますね。学校のすぐ外の自販機には一通り揃ってたのに…不思議です…。
それでは、またm(._.)m
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