あまり上手い文章ではないでしょうが、暖かい目で見守っていただけたら幸いです。
では、『絢爛の神舞も異世界からやって来るそうですよ?』をよろしくお願いします。
(※注、死亡に近い表現あり)
※差し替えました。
ここは暗い夜に覆われた世界。
空は分厚い雲に支配され、寒々しく、食べ物もまともにないような世界。
ニティアはこんな世界に産まれた笑うことが好きな女の子だった。
「ほら、皆も笑って」
人々は彼女の前を通ると、その笑顔につられて一緒に笑顔になった。
けれど、それは彼女の近くにいるときだけだった。近くを離れるとすぐに笑顔が消える。
だから彼女は舞うことを覚えた。
ニティアの舞を見ると、人々はちょっとだけ長く笑顔になってくれた。
「さあさあ!皆も踊って、舞って、はしゃいで、騒いで!」
「この世界にはこんなに楽しいことが残っているんだよ!」
けれど、彼女は舞えば舞うほど、人々を笑わせれば笑わせるほど、そんなことはないと気づいていった。
世界に楽しいことなんて残っていないと。
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「さあ、さあ!お楽しみは始まったばかりだよ!」
それでも彼女は笑顔で舞い続けた。
理由なんて無い。ただ彼女自身がそう思ったからだ。
彼女は笑らって、舞い続けた。
すると人々は彼女のことを疎み始めた。
この世界の何が楽しいのか。
常に飢えて、凍えて、奪い合う。そんな世界の何が楽しいのか。
ニティアほど人々の心は強くなかったのだ。
人々はニティアのことを無視するようになった。
「みんなー!ニティアの舞が始まるよ!踊って騒げば嫌な気分も吹き飛ぶよ!」
ニティアはそれでも舞い続けた。
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「どうか神さま、この世界に光をください」
彼女は舞いながら願うようになった。
「どうか神さま、ここに住む人々の心を温めてください」
彼女の祈りが天に届いたのか、神が彼女の心の中に直接降りてきた。
「神さま、貴方は私の願いを叶えてくれますか?」
けれど、無情にもその神は答えた。
『私には不可能だ』と。
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「神さま、私の願いを叶えてくれる神さま。どうか私の声を聞き届けて下さい」
彼女は舞い続け、その身に神を降ろし続けた。
彼女が何度目かの神を降ろしたとき、ある神から一柱の神の話を聞いた。
「ラヒルメ……?その神様ならこの世界に光をもたらしてくれるのですか?」
その神は答えた。
『ラヒルメなら容易いだろう』
そして、神は続けて問うた。
『本当にこの世界に光を与えるのかい?この世界の人々はお前を憎んでさえいるぞ?それに―ラヒルメを降ろそうとして失敗したら君の心と身体が焼かれてしまうよ。
それでもラヒルメを呼ぶのかい?』
「でも、この世界に光が生まれるんでしょう?人々の心が温かくなるんでしょう?それなら何も迷うことはないです」
『わかった』
はっきりとした彼女の言葉に、神は満足したように去っていった。
彼女は、黒く閉ざされた空を見つめ、再び舞い始めた。
「さあさあ!ニティアの楽しい踊りが始まるよ!みんな、一緒に踊ろうよ!」
救おうとしてる人々に見向きもされなくても、
「踊って、騒いで、愉快に過ごそうよ!仲間に入りたいものは寄っといで!」
彼女はただ一人で躍り続けた。
「神様だって寄っといで!こんなに楽しいことはまたとないんだよ!」
ただ一心に、世界に光が与えられ、
「さあさあ!神様だって!寄っといで!」
人々の心が救われることだけを願って。
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「…くっ!はあはあ…神さま…おねがいです……世界に光を」
ニティアがラヒルメを呼び始めてどれ程たったろうか。
気絶するまで躍り続け、起きたらまた躍り始める。
そんな毎日を過ごしていた。
そして、ニティアは何度かラヒルメを降ろすのに失敗していた。
その都度、心を焼かれ、身体が焼かれた。けれど、ニティアは、その心の痛みも身体の火傷も我慢して躍り続けた。
人々は何日も狂ったように舞を続ける彼女を、痛々しい姿で躍り続ける彼女を、遠巻きに見ていた。
最初は訝しげに見ていた彼らだが、段々とニティアを心配するようになっていった。
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『妾をしつこく呼ぶものは誰だ?』
失敗を重ね、その身体が黒く炭化し左目が焼きつぶれた頃、―ラヒルメは降りてきた。今まで降ろしてきた他の神とは違い、実体を持って。
「…か、かみ…さま。おね……が…い……します。どう…か、……ひかりを……、ひかりを……くだ…さい」
ラヒルメが降りてくると同時に地面に倒れこんでしまう。けれど息絶え絶えになりながらも、身体を起こし、必死にラヒルメにすがる。
『ほお?そなたが妾を呼んだのか?こんな世界を救うために?感心じゃのう』
ニティアの願いに感心半分、呆れ半分といったラヒルメ。
『しかし残念じゃな。妾は滅びの光を与える者。ぬしの願いを叶えるのは容易いが、妾の在り方としては叶える訳にはいかないのお』
「そ、そんな……!おねがいします。わたしにできることなら……なんだって……しますから」
『その身体で何が出来る?はっきり言ってぬしは長くないぞ?そんな相手の願いを叶えて何になる?』
「おねがいします、おねがいします」
『いい加減にするんじゃな。妾を降ろしておると残された時間がさらに少なくなるぞ?』
「もう、わたしにできることはあなたにすがるしかないんです……おねがいします」
『ふん、それでもダメじゃな。妾は起きたばかりで……?』
すげなく断っていたラヒルメは突然言葉につまり、何かを考え始めた。
暫く経った後、ラヒルメは答えた。
『気が変わった。どうやら妾はぬしには借りがあるらしい。今回は特別にぬしの願いを叶えてやろう』
「え?それじゃあ……」
『ふん、甚だ不本意じゃが、ぬしの願いどおり空の雲を払い世界に光を与えてやろう』
「……!ありがとうございます!ありがとうございます!」
『……ふん、悪いがぬしの身体を治すことは妾には出来んぞ』
「ふ、ふふ……わたしは…ねがいがかなえば……じゅうぶんです。ありがとうございます」
『…はあ、ぬしは本当に強いのお。では、始めるぞ』
ラヒルメが手を空にかざすと、空を覆う厚い雲に穴が開く。そこから穴は急速に大きくなり、青空が広がっていった。
『ふむ、こんなものかの』
空から雲が無くなり、太陽の光が十分に世界に行き渡った頃、ラヒルメはそう言った。
「はい、ありがとうございます」
『ぬしの願いはちゃんと叶えたぞ。それではな』
「はい……本当にありがとうございました」
ラヒルメが去ると同時に、ニティアは身体を起こすことも出来なくなる。
遠巻きにニティアを見ていた人々はニティアに駆け寄ってきた。
ニティアがやろうとしてたことと、成したことを理解した彼らは彼女に感謝の気持ちを覚えるとともに、今までの仕打ちを後悔した。
「……あれ?……みんな…どうした…の?なん…で、ないてる…の?」
泣きながら自分を囲み、謝る彼らに、ニティアは不思議そうに言う。
「もう…かなしいことは……ないんだよ?だから……わらって、わってよ」
少しずつ息が弱々しくなっていきながらも、途切れ途切れにいつも通り、ニティアは笑ってくれとせがむ。
泣きながらも、人々は口の端をあげて、無理矢理でも笑顔を見せる。
「ふふ…みんな……ありがとうね」
ボロボロになった姿でもニティアはいつも通りの笑顔を見せた。
「ああ…ひかり……って……あたたかい……ね」
そう言って彼女は目を閉じた。
そして、彼女の身体は細かい光となって空にほどけていった。
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「あれ?ここはどこだろう?」
ニティアが次に目を覚ましたとき、彼女は何もない空間にいた。
「火傷も治ってるし、左目も見える。どうしてだろう?周りにも誰もいないし」
よくわからない空間に突然いた彼女は、戸惑いながらも自分の状態をちゃんと認識していた。
「うーん、本当にどう言うことなんだろう?もしかして、ここが死後の世界なのかな?だとしたら思ったより恐くないところだなぁ。……ん?」
自分の居るところを死後の世界だと考えていると、何かを見つける。
自身の上の方から降ってくる、白く、薄いもの。
「あれは……手紙?しかも私宛だ」
彼女はその手紙を手に取ると、その手紙の宛名が自分宛だと気付いた。
“絢爛の神舞 ニティア様”
「絢爛の神舞?なんか仰々しいこと書かれてるけど、うんたぶん私宛だよね!開けちゃおう!」
『悩み多し異才をもつ少年少女に告げる。その才能を試すことを望むならならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの“箱庭”にこられたし』
「箱庭?って何処だろう」
手紙を読み切り、疑問を口に出すと同時に、ニティアは光に呑まれた。
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