絢爛の神舞も異世界からやってくるそうですよ?   作:玖兵衛

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今話も開いていただきありがとうございますm(__)m

今回オリジナルのギフトゲームを作りましたが、あまりその要素は出てきていません。申し訳ないです。


第二話 ~絢爛少女とギフトゲーム~

場所は箱庭2105380外門 ぺリベッド通り・噴水広場前。

 

そこに一人、ダボダボのローブに跳ねた髪の小さい男の子がいた。

 

「ジン坊っちゃーン!新しい方を連れてきましたよー!」

 

黒ウサギと女性二人が男の子の方へ近づいてくる。

 

「お帰り、黒ウサギ。そちらの女性二人が?」

 

「はいな、こちらの御四人様が――」

 

クルリ、と振り返る黒ウサギ。

カチン、と固まる黒ウサギ。

 

「……え、あれ?もう二人ほどいませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から“俺問題児!”ってオーラを放っている殿方と絢爛な着物を着て、周りを笑顔にするような、不思議なオーラを纏った女の子が」

 

「ああ、十六夜君とニティアさんのこと?十六夜君は“ちょっと世界の果てを見てくるぜ!”と言って駆け出して行ったわ。あっちの方に」

 

「ニティアなら、十六夜が駆け出した暫く後に“やっぱり私も見てくる!”って言って走ってちゃった。あっちの方に」

 

二人が指差すのは、上空から見えた断崖絶壁の方向。

 

「な、なんで止めてくれなかったんですか!」

 

「“止めてくれるなよ”と言われたもの」

 

「ニティアのキラキラした目を見たら止められなかった」

 

「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」

 

「“黒ウサギには言うなよ”と言われたから」

 

「ニティアさんにも“私のことも内緒にしといてね!”と釘を刺されてしまったしね」

 

「嘘です、絶対嘘です!実は面倒くさかっただけでしょう御二人さん!」

 

「「うん」」

 

ガクリ、と前のめりに倒れる黒ウサギ。好奇心のままに行動するする者が半分、面倒だと言って報告をしてくれない者も半分。

呼び出したはいいけれど、問題行動しか起こさない四人に黒ウサギはこの先のことに不安しか覚えなかった。

 

「くぅ、ニティアさんはマトモそうだと思いましたのにぃ!」

 

「た、大変です!“世界の果て”にはギフトゲームのため野放しにされている幻獣が」

 

「幻獣?」

 

「は、はい。ギフトを持った獣を指す言葉で、特に“世界の果て”付近には強力なギフトを持ったものがいます。出くわせば最後、とても人間では太刀打ち出来ません!」

 

「あら、それは残念。もう彼らはゲームオーバー?」

 

「ゲーム参加前にゲームオーバー?……斬新?…でも、ニティアがゲームオーバーしちゃうのはかなり残念」

 

「冗談を言っている場合でも、しんみりしている場合でもありません!」

 

ジンは事の重要性を訴えるが、二人には柳に風。

黒ウサギは仕方なさそうにため息をつき立ち上がった。

 

「はあ……ジン坊っちゃん。申し訳ありませんが、御二人のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

「わかった。黒ウサギはどうする?」

 

「問題児たちを捕まえに参ります。事のついでに――“箱庭の貴族”と謳われるこのウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります」

 

悲しみから立ち直った黒ウサギは、赤いオーラを発しその身を染めていく。そして近くのものを足場にして駆け上がり、外門の柱に飛び付くと、

 

「一刻ほどで戻ります!皆さんはゆっくりと箱庭ライフを御堪能ございませ!」

 

と叫んだあと、目にも留まらない速度で三人の視界から消えていった。

一時的に静かになった通りに、

 

「……。箱庭の兎は随分速く飛べるのね」

 

という感心した声が響く。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「こ、これはどういうことですか……?」

 

黒ウサギがニティアたちを追い掛け始めて40分ほど経ち、ちょっと焦り始めた黒ウサギの目には信じたくない光景が写っていた。

 

「さあさあ!よっといで!ニティアの舞はここからが本番だ!ここからもっと楽しくなるよ!」

 

『ワハハ、随分愉快な人の子じゃ!こんな気持ちで酒が飲めるのは、随分と久し振りじゃよ』

 

開けた森の広場の真ん中で、座り込んでお酒を飲む一際大きな鬼の前で、ニティアが舞を舞い、その姿を周りで様々な幻獣が見物していた。

 

『ううん?おお、月の兎さんではありませんか。貴女もこのギフトゲームを見に?』

 

目の前の光景を飲み込めずに固まっている黒ウサギに話しかけるのは、ユニコーンと呼ばれる幻獣だった。

 

「ぎ、ギフトゲーム?」

 

『ええ、何でもあそこにいる人間から鬼に持ち掛けたらしいですよ。最初は単に無謀な挑戦かと思われてたのですが、これが存外そうでもなさそうなんですよ。ギアスロールはあそこに』

 

ユニコーンが示す方向には、一枚の羊皮紙がある。

 

『ギフトゲーム名“鬼の宴会”

 

 ・プレイヤー一覧 ニティア 

 

 ・クリア条件 鬼に楽しい気持ちでお酒を飲んでもらう

 

 ・クリア方法 鬼を楽しませる

 

 ・敗北条件 鬼が楽しめなかったとき

 

宣誓 上記を尊重し、誇りの下、ギフトゲームを開催します。

            “”印』

 

『むむ、酒がきれてしもうた!残念じゃがここで宴会はしまいじゃの』

 

黒ウサギがギアスロールを読むのと同時に大鬼が宴会の終了を宣言した。

 

鬼の宣言を聞くと、ニティアは舞を止め、鬼に訪ねる。

 

「えっと、じゃあギフトゲームていうのはどうなるの?」

 

『もちろん主の勝ちじゃよ!まこと見事な舞を見せてもらった!ワシは心底満足したぞ!ああ!勝者には報酬をやらんとな。よし、これをやろう』

 

鬼は上機嫌でニティアの勝利を告げると、腰に差してあった小槌を取り出し、ニティアに渡した。

 

「わあ、綺麗な小槌!こんなの貰っちゃっていいの?」

 

『何、ワシは鬼じゃからのお。その小槌はまだ持っておるから気にせず持っていくといい』

 

「じゃあ、ありがたく貰っていくね!」

 

『ワハハ、本に元気な娘っ子じゃのう。また会うたらその舞を見せとくれの。じゃあ、もうワシはいくでな、気を付けて帰るんじゃぞ?』

 

「うん!ありがとう!鬼のおじさんも気を付けてね!」

 

『鬼のワシに挑んでくるものなどそうおらんよ!じゃあの!』

 

鬼はニティアに別れを告げ、笑いながら帰っていく。

 

その後ろ姿が見えなくなる頃には、辺りにいた幻獣たちもその場を去り、ニティアと黒ウサギだけがその場に残っていった。

黒ウサギは若干の放心状態から我に帰り、ニティアに詰め寄る。

 

「ちょっ、ちょっとニティアさん!どういうことですか!ギフトゲームって!何で鬼とギフトゲームをしていたんですか!」

 

「あれ?黒ウサギ?いつからここに?」

 

「えっと、ちょうどゲームが終わる直前ですかね…って違います!ちゃんと経緯を説明してください!」

 

「ああうん、いいよ。えっと、あの鬼のおじさんとギフトゲームをすることになった理由はね。

あのおじさんが一人で難しい顔してお酒を飲んでいたから、笑顔になってほしいなって思って、話しかけたら、私が笑わせてあげることになったの」

 

「じ、自分から話しかけたのですか!?」

 

「え?うん、そうだよ」

 

「……………………恐くなかったんですか?」

 

「うーん、恐いとかはあんまりなかったかな。そんなことよりも笑顔になってほしいなって、思ってたから」

 

「はあ、わかりました。次からは気を付けてください」

 

ニティアの言葉に毒気が抜かれたのか、黒ウサギは彼女を許すことにしたらしい。

 

「はーい。あれ?結局、黒ウサギは何しに来たの?」

 

「それはもちろん貴女たちを連れ戻しに来たんです!」

 

「ああ、じゃあ十六夜くんも見つけなきゃね、何か手掛かりはあるの?」

 

「まだ、“世界の果て”の方に行ったとしか情報はありませんね。なので、道すがら、森の魑魅魍魎や幻獣に聞いてみようと思います」

 

「?幻獣さんならさっきいっぱい居たのに聞かなかったの?」

 

「さっきは、ニティアさんが鬼に挑んだと聞いて頭から抜けちゃったんです!」

 

「ふふ、もしかしたら十六夜くんも何かに挑んでるかもね」

 

「や、止めてくださいよ。洒落になりません」

 

黒ウサギは悪い予感を感じて鳥肌を立てた。

 




小槌の正体は次の話で明かします。
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