――新暦65年、2月某日 とある自然世界にて
〈マザースウィフトよりハミングバード51へ、目標の内、魔導師三名がそっち方面へと逃走中〉
「こちらハミングバード51。今こちらでも飛行する反応を三つ捕捉。迎撃します」
本日、本局1256航空隊は、とある自然世界に潜伏する次元犯罪者集団の補縛の為に出動しており、ヒサト・クラフト“二等空尉”を隊長とし、リオハルト・リクスナー“准空尉”が副隊長を務める1256航空隊第五分隊は現在、目下一面が緑の木々で覆われた地域をサーチして、目標となる次元犯罪者たちの捜索を行っていた。
その途中、他の分隊が目標勢力を発見し、交戦へと移った。
その際に、ヒサト達第五分隊ほか三個分隊は予備戦力扱い並びに未発見の存在等の取り逃しをしない為に、周囲の捜索を継続せよとの指示を部隊長より受け、交戦域南方での広域サーチを行っていた。
魔導師ランクSSS――そう、ヒサトは先日、晴れて魔導師ランク空戦SSSを取得したのだ――やランクAAA+を緒戦に投入しない事をいぶかしむ人もいるだろうが、少人数で広域をカバーした哨戒をしつつ、いざという時、取り逃した者たちを少ない人数で迎撃し、撃墜あるいは応援が来るまで食い止められる隊を周囲の外側に配置しておくというのは、とりたておかしいものでは無いとヒサトは思っている。
むしろ万全を期すからこそ、広域サーチができるヒサトとハルトのいる第五分隊は周辺警戒を割り振られたのだと思ったし、今こちらの方へと接近する存在は自分たちより数の少ない三人だが、最悪の場合、自分たちの倍のお客さんがやってくることも有り得ることだ。
まあ、1256航空隊は本局直属の精鋭部隊であるし、投入した部隊が返り討ちにあって全滅したならともかく、尻に帆を掛けて逃げる輩が固まっているならば、その際はすぐ後ろから追跡している隊がいるだろうし、実質は問題無いと思われる。
「ハルトの遠距離バインドから俺が各目標へと砲撃。その後は俺とハルトがなるべく相手を分断するようにして一人ずつ対応。残った一人をショウがシュテルをサポートする形で仕留めろ。皆了解したか?」
ヒサトの指示に、各々は短く頷き了承の意を示した。
ハルトはほぼ不可視の拘束魔法術式の構築に取りかかった。
「ハルト」
「了解」
ハルトはヒサトの指示で、気付くか気付かないかの刹那の距離に来た目標へ拘束術式を展開。
目標の足が止まったのを確認するやいなや、ヒサトは自らの前方に三つのミッド式魔法陣を展開し、それぞれに自らの魔力を集束させて砲撃魔法を放つ。
魔法陣より放たれた、三本の緑色の柱が目標周囲を切り裂き、突き抜ける。
「よし、行くぞ。ゴーゴー!」
「……いや、今ので目標、三つとも落ちた件について」
ヒサトの勇ましい掛け声に対して、ショウが呆れた顔でツッコむ。
確かに三つの人の形のようなものが森へと落下しているのが確認できた。
「あー、……警戒は怠らずに接近し、確保だ」
あまりに手応えが無さ過ぎたというか、あっさりし過ぎていた為、拍子抜けしつつもヒサトはそう指示を出した。
鎧袖一触。敵のランクは分からないが、本隊から上手く逃げられる程度の飛行魔法を行使できる点から、負けはしないだろうがてこずる可能性も考慮していたヒサトは、三者ともに命中、撃墜という結果に対して、むしろ内心で幻影などの罠への疑いを強めたぐらいだ。
上のお偉いさんからしてみれば、有象無象の違法魔導師ごときはお前一人で蹴散らしてもらえないと困ると言うかもしれないが、ヒサトが今、重点をおいているのは指揮官技能の習熟なのだ。
正直なところ、分隊隊長という指揮官に任命された際、『組織において、人はその無能レベルまで昇進する』という、いわゆるピーターの法則について頭によぎる事があったのだが、これまでの管理局において、無能な指揮官というものにはとんと心当たりは無い。――StSのことは何も見て無いし、管理局のトップが諸悪の根源だなんて海のリハクでも見抜けないだろうから仕方ない。
まあ、単にヒサトは指揮官という立場に未だ慣れてないということだけである。
〈目標三名を補縛。今からそちらに転送します〉
〈了解。引き続き周辺警戒を頼む〉
確保した犯罪者たちを転移魔法で本部へと転送したヒサトたちは、再び周囲の哨戒へと移る。
青い空の中、今日も彼らは飛ぶ。
「ヒサト。明日の休日、何か予定ある? 」
3月も既に後半、世の少年少女達は終業式を終えて、新学期へ向けての期待や準備に追われているだろうこの頃、そんな春先の昼下がりに、ハルトは何やら用があるのか、翌日の休みの予定をヒサトに尋ねた。
「ん? 午前中は技術部に足を運ぶつもりだし、午後は夕方からレイファラ部隊長に付き合って食事に行く予定があるけど」
「……そっか、映画のチケットを貰ったから一緒にどうかな、と思ってさ」
「ふむ。俺が言うのも何なんだが、友達付き合いも確かに大事だけど、そういうのは出来れば女の子を誘ってあげようぜ」
ヒサトはそう言って、少し呆れたように見える表情をして、友人をからかった。
「あー、いや、結構枚数が有ってさ。それにほら、知り合いの女の子なんてさ、僕にはあまりいないし」
「ふーん。まあ、君なら今にもそのうち女にモテるようになるだろうけどね。で、映画なんだけど、昼前後ならば、俺も付き合えるには付き合えるけど」
「なら、そうしよう」
ハルトはヒサトの提案に、ホッとした、嬉しそうな表情で頷く。
「他の皆はもう誘ったのか」
「いや、ヒサトが最初だよ」
「……そこは最初にシュテルでも誘ってあげようぜ」
「ねえ、ヒサト。枚数が多いって言ったじゃないか」
(別に一回で使い切れる訳でも無かろうし、友達同士で見に行くのと、女の子とデートに行くという二回見に行く方法もあるんだぞ)
やけに女の子とのデートを推すヒサトに、ハルトは抗議するように怒ったが、それに対してヒサトは、別に二回行っても良かろう、と内心でツッコむ。
まあ、自分の事を差し置いてあれこれと焚きつけるのも無粋かもな、と思い直したヒサトは心中に湧いた事については実際に口に出す事はせず、只、シュテルとショウも誘ってはどうかとだけ提案した。
「うん。そうするよ。じゃあ、明日の十時半に映画館前に集合ってことでお願い」
「わかったよ。……遅れそうなら連絡する」
ハルトは集合時間を言い、そのまま走り去って行った。
その様子をヒサトは微笑ましげにじっと見送り、彼が見えなくなると踵を返し、どこかへ去った。
翌日の朝。
ヒサトは技術部にて、形の上ではほぼ完成と言っても良い、自身のデバイスの試運転及び調整を行っていた。
「クラフト君、君のデバイスの調子はどうだい?」
「ええ、とても良いです。……これほど早くできるとは、正直思っていませんでしたよ」
ヒサトは技術部の研究者の問い掛けに、満足そうに答える。
周囲には何やらごちゃごちゃした装置やら何やらが散乱していた。
「フフッ、そうか。こちらとしてはモノがモノとはいえ、一年以上も開発につき合わせてしまって心苦しく思ってたのだがね。でも、手間暇かけて開発した分、それは我々も自信を持って送り出せるシロモノになったと思うよ。草案となるアイデアを出した君の友人にも、『面白いものをありがとう』と伝えておいてくれるかな」
「ええ、了解しました」
「それじゃあ、今日のデータを元にして最終調整に移るよ。実戦データの収集もしなきゃならないから、開発への協力はまだ続けてもらうだろうけど、一応の完成品は来月末には君の手元に届けられるように頑張るから期待しておいてね」
ヒサトのデバイスの開発担当責任者なのであろう、無精ヒゲが生えてはいるが、顔つきからしてみればまだ若い見た目のその研究者はいよいよ大詰めを迎えてきたこの開発計画を思い返しているのだろうか、何やら感慨深そうな表情で、そうヒサトに言った。
ヒサトはその研究者ほか忙しなく動いている職員に一言挨拶をした後、ハルトとの待ち合わせ場所に、そそくさと早足で向かった。
待ち合わせ場所には既に、ハルトとショウ、そしてシュテルの三人がそろっていた。
時間はまだ待ち合わせ予定の十分ほど前なのだが、結果として待たせてしまったことをヒサトは三人に詫びた。
「別に我々も今来たところだし、問題無いがね」
ショウはそう言った。
「皆揃った訳ですし、そろそろ入りましょう」
「そうだね、そうしよう」
シュテルの言葉にハルトが同意し、四人は他の客に混じり映画館へと入って行く。
中へと入り、通路側からシュテル、ハルト、ヒサト、ショウの順に座る。
「しかし、あれだな。この世界の質量兵器への忌避というか、魔法至上主義的な考え方の強さには、いささか疲弊するね」
映画が始まってしばらくしてから、ショウはポツリとそうこぼした。
「……そうかな? 非殺傷設定というモノだけ見ても、それがいかに有用なのかを考えれば、俺は魔法の偉大さに対して異議を唱える事は無いがな」
ショウのこぼした独りごとに、ヒサトはその手に持ったキャラメルコーンを貪りながら反応した。
「ヒサトなら、現状の魔法至上主義的風潮の問題点はそういう事で無いのは分かっているだろう。問題なのは、魔導師というものがほぼ完全に個人の生まれ持った資質によってほぼ戦力としての優劣が決定付けられる故に、本来組織としての利点である筈の戦力的な頭数の優位性をほぼ生かせていないというか、現に今現在も慢性的な人材不足に陥っている訳だ。それを解決するには、やはり何らかのツールによる全体的な戦力の底上げが必要になると私は考えるのだが」
「うん、そりゃそうだよね。もう少し個人資質によらない、誰でも扱えうる武装について、模索してもいいんじゃないかとは思うよ。……まあ、ある意味“アルカンシェル”がそれに当たるんだろうけど。……何にせよ、結局は使う人間のモラルの問題なんだけどな」
ショウとヒサトの二人は周りに聞こえぬよう、小声でこそこそと話し合う。
ハルトとシュテルは画面上で繰り広げられる白熱のバトルシーンに釘付けであった。
「……とにかくだヒサト。君が出世して、時空管理局を変えてくれる事を今から期待しているよ」
「そんなこと言われてもなぁ。そういった改革とか刷新みたいな皆を引っ張って行くってものは俺のキャラじゃ無いし。ショウ、君が頑張るという選択肢は無いのかな」
「そう言うなよ。君が突っ走って、私が助力をする方がずっと効率が良いのは分かってるだろう? そもそもだ、必ずしも出世することが何かしらの目的を達する為の手段に限定される訳では無い。出世するのが目的で、高い地位に就いた後で、側近からの献策やら人気取りのための手段だとかでそうした案をぶち上げるのも政治家に良くあることだ」
「その言い方だと俺はすごく俗物っぽいんだが……。大体だ、管理局で出世する事はあくまで安定した生活を確保する手段の一つであって、他の生き方も色々と算段があるってのは君も分かっているよな」
ショウの身も蓋もない言い方に対して、ヒサトは目を細めて、咎めるように抗議した。
「分かっているよ。只、こうして誰かのサポートをしたがるのは何分、前世からの私の性分ゆえ、そのあたりは分かっておいてもらいたい」
ショウはそう言って肩をすくめると、『この話については今日はここまで』とでも言うように、映画を見ることに集中し出し、ヒサトもそれに倣って映画の方へ意識を向けた。
映画が終わった後、四人は少し遅めの昼食を取り、そのままのんびり他愛のない話をしてたりした。
ヒサトは予定があるので、名残惜しい気持ちはあったが途中で三人と別れ、部隊長の待つ場所へと行く。
「すみません、お待たせしましたか」
ヒサトそう言って部隊長が運転する、四ドアセダンの青い車の助手席に乗り込んだ。
「いやいや、むしろこんなに早く君が来るとは思っていなかったよ。休日なのに付き合わせてしまって、ほんと悪いね」
レイファラ部隊長はそう言って車を出す。
ヒサトは紺のスーツに身を固め、何時にも増してキリッとした雰囲気の部隊長へ顔を向ける。
「いえ、部隊長に日頃して頂いてる諸事の心遣いを鑑みれば、たいしたことではありません」
「フッ、そうか。そう言ってもらえると幾分か心が軽くなるな。それと……、この後は肩肘張ったものになるだろうが、今はプライベートだ。“部隊長”だとか堅苦しい言い方では無く“メグ”とでも気安く呼んでもらって構わないよ」
「ハハハ、性分ですからご勘弁を。ところで本日はどこまで?」
「ああ、正直近い場所だからわざわざ車を引っ張り出す事も無かったんだがな。ドライブデートってのもいいものだとは思わないか」
部隊長は視線を前に向けつつも、冗談めかした感じで軽く微笑みながらそう言った。
「……レイファラ部隊長なら別に俺みたいな子どもにツバつけなくても、イイ男とデート出来るんじゃないですか」
「フフフ、残念だがそういった運はこれまで無かった、いや仕事にかまけてた所為かもしれんが、とにかくそんな事は今まで無かったさ。……君は好きになった子には、勇気を出して思いを伝えるようにしたまえよ」
部隊長は軽く肩をすくめる。その姿はどことなく達観した雰囲気にヒサトには思えた。
「さっ、着いたよ」
どう見てもお高そうな店の駐車場に部隊長は車を止めると、そう言ってドアを開け、外に出るようにヒサトを促した。
(わざわざ部屋に戻って着替えておいて良かったよ)
ヒサトは内心で独りごちた。以前もショウやハルトと一緒に部隊長に連れられて、このような所に来た事があるのだが、こうした趣深いというか、上品な所はどうにも今の自分には場違いだろうとヒサトは思うのだ。
別にヒサトは貧乏性だとか庶民派を気取る訳では無い。傍からどう思われていたかは分からないが、それなりの教養を両親から施してもらっていたと、ヒサト自身は前世でも感じていたはずだ。
……前世の両親については散々慈しみ育ててもらったはずなのに、もう、思い出そうとしてもそれが本当に両親なのか分からない程、記憶が曖昧になってきている。
――嫌な事はずっと忘れない癖に、幸せは何でも無いように忘れてる。そう思うと、ヒサトは少し憂鬱な気分になった。
「おいおい、こういったところに来るのは初めてじゃ無いだろう。人を待たせているかもしれないのだから、早く入るぞ」
部隊長の言葉にハッとし、ヒサトは彼女の後に続いて入店をした。
「どうもお待たせしました中将」
「問題無いぞ。……そちらの少年が、君が自慢していた例の逸材かね」
『中将』と呼ばれた人物の問い掛けに、レイファラ部隊長はニコリと微笑みながら頷く。
今、部隊長とヒサトの前にいる深緑の短い癖毛の、初老になろうかというその男性は本局運用部の部長、エルッカ・リーカネン中将である。
部隊長より事前に聞いたところによると、リーカネン中将は某陸の中将と同じ、非魔導師系のたたき上げタイプな人間のようだ。只、気さくな人柄とのことでもあるので、内心がどうかはともかくとして、面倒な事は聞かれないだろうとヒサトは思っている。
「ヒサト・クラフト二等空尉であります。この度は、中将閣下にお会い出来て光栄です」
「そうか。ま、堅苦しい事は抜きだ。せっかくだし、色々と話そうではないか」
「ハッ、よろしくお願いします」
そうして『仕事は大変じゃないか』とか『趣味は何か』など、比較的当たり障りのない話をしながら食事を共にした。
「ヒサト君、時間も遅くなってきているし、君はそろそろ戻るといい。宿舎のポートに転移の許可は取ってあるから、確認の上で使ってくれたまえ」
「はい、ありがとうございます部隊長。では、リーカネン運用部長、レイファラ部隊長、私はこれで失礼します」
ヒサトは二人にそう言って、その場を去る。
後には中将と部隊長だけが残った。
「ふむ、私が見た限りでは、それなりに礼儀正しい若者だな。だが、いざという時に彼を御することは君にできるのかね」
ヒサトが去った後、リーカネン中将はレイファラ部隊長にポツリと尋ねた。
「……そうですね、彼はドライで気難しい一面を持ってますし、お世辞にも組織に絶対の忠誠を誓うタイプでは無いと、本人もこぼした事があります」
「そうか。他に問題は?」
「友人の影響なのか質量兵器をそれなりに許容する風な考えだったり、上昇志向が強いようですね。後、部隊ごとに保有できる魔力ランクの制限や出力リミッター措置について懐疑的な思想を持っていますね。とりわけリミッター措置については否定的な考えのようです」
部隊長はそう言って意味ありげに、くすりと笑った。
「つまり、根本的には面倒で、扱い辛い人物なのかね、彼は」
「いえ、そんなことも無いです。彼は自分本位な気質に見えても、その実、根っこの部分は信頼に対して誠実な対応をする人柄ですよ。何だかんだで指揮官としての努力や勉強をしたり、部下の面倒をきちんと見ようとしている辺り、彼の責任感の強さは明確です。思想に関しても、彼自身は別段強く主張する訳じゃ無く、個人的見解の域は出ない程度のようですしね。まあ、押し付け過ぎない程度に期待をかければ、良い答えを返してくれる男ですよ、彼は」
いぶかしむ中将に対し、部隊長は優しいまなざしで、自信ありげにそう答える。
部隊長の碧色の目は、ただ店内の静かな光を希望のように映していた。
「やれやれ、今日も一日、いつものように変わり映えの無い日々が続きます、てかね」
「いきなりどうしたの、ショウ? 」
三月も終わりに近づいたその日、ショウが唐突にそう言った。
「いや、下らん話だがな。ほら、もうすぐアレだろ」
「アレ? ああ、確かに世の中はもうすぐ新学期だよね。もしかして、新しい部隊員が来たりする情報でもあるの」
ハルトのその言葉に、ショウはもどかしそうな表情で溜息をついた。
「シュテル、今年は他に何かあったっけ」
「いえ、私も知りませんが」
ハルトは何かしら忘れてる事があるのかと思いシュテルに尋ねたが、彼女も特に思い当たる節は見当たらないようで、ショウの様子に首をかしげた。
〈いや、単にもうすぐ『リリカルなのは』が始まるんだな、と思っただけだから〉
〈ああ、そうなのか。ごめんごめん。僕そう言うのは疎くて〉
〈いやいや、こっちこそ思わせぶりな事を言ってすまなかったよ〉
ショウはハルトに対して念話で話かけ、説明をした。
そこにヒサトが何やら複雑そうな表情をしながらやって来た。
「あー、皆。任務が入ったから全員集合だって」
そう言うヒサトの様子はどうにもいつもの覇気が無い。
何か懸念事項があるのかと思い、ハルトは尋ねる。
「どうしたの。任務に何か心配ごとでもあるのかい」
「いや、まだ詳しい事は俺も部隊長から聞かされた訳じゃないんだが、任務自体は前にもあった、古代遺物管理部に随伴する武装隊の役割だ。多少任務時間が長くなるだろうけど、それ以外は多分普通だろう」
「じゃあ、何を懸念しているのか単刀直入に話したまえ」
どうにも要領を得ないヒサトの言い回しに、ショウは率直に聞いた。
それに対してヒサトは、一呼吸置いてから言葉を発した。
「出動先、第97管理外世界らしいよ」