最近、恋姫夢想か戦国恋姫の小説を書こうと思い立った玄斗と申します!
戦国恋姫はXもプレイしておりますのでそちらの物語に沿って進みます。
(基本はそこまで違いはありませんが……)
主人公はあらすじにある通り『水野勝成』となります。
歴史好きなら知ってる方もいると思いますが、楽しんでいただけると幸いです!
1話 新たなる外史のはじまり
作られた外史―――。
それは、新しい物語の始まり。
外史の紡ぎ手である『新田剣丞』によって終端を迎えた物語にもまた、外史が存在する。
これは、数多ある外史の中のひとつの可能性。
この外史は、彼によって大きく変動していくこととなる。
「……嫌な雨だな……」
急に雨を降らせた天を睨み付ける少年。年の頃は元服したばかりといったところだろうか。燃えるような紅の髪を首の後ろで一つに纏めている。長さは腰くらいまであり、鋭い目付きも相まってその姿は獣のようにも見える。
頭髪と同じく身に纏う衣服も紅を基調に揃えられている。右の肩に漆黒の肩当を、同じく具足も漆黒に金の縁がつけられており、周囲を慌しく走り回っている男たちとは立場が違うのだろうと感じられる。
「ったく。こんな場所で休憩を挟むとか……今川の殿さんは馬鹿か?」
己の軍勢の大将でもある『今川義元』のことを堂々と馬鹿にしているのが耳に入ったのだろうか、近くを通りかかった男がぎょっとした顔をする。それはそうだろう、その言葉が大将やその側近たちに聞こえでもすればその場で叩き切られてしまうだろう。
そんな言葉を口にしながらも少年は堂々としていた。
「はぁ、こんな戦に参加するくらいなら
何度戦ってみても死合ってみても(誤字ではない)、傷一つ付けられない相手のことを思い浮かべた後に今から戦うであろう相手のことを思い出す。
尾張の大うつけ『織田信長』は本来の意味でのうつけではない。少なくとも、彼はそう評価していた。もしかすると、あの
「ま、考えても仕方ないか。おとなしく素振りでも…っ!?」
それは、戦場で培ってきた勘ではなく本能的なものだったのだろう。今川の本陣、それも恐らくはど真ん中にあたる場所に何かを感じ取ったのだ。少年はニヤリと口元をゆがめると側に置いていた刀を手に取り駆け出す。その姿に何事か、と周囲の足軽たちが見るが既にその姿は見えず。
同時に名乗りが響き渡る。
東海一の弓取り、今川殿、討ち取ったり、と。
「しっかし、勘って当たるもんだな」
風のように駆けながら少年は呟く。慌てる足軽には目もくれずに駆けていた彼の視界に見慣れた二人が現れる。
「後退して殿様と合流するわよ!」
「むーっ、分かったです……」
長い黒髪を頭の高い部分から流している少女と、鹿の角のような頭巾をかぶった少女。
「おう、綾那、歌夜!お前らは撤退するのか!」
「あ、藤十郎なのです!」
「藤十郎さん!殿様と合流して……」
「歌夜!悪いが俺はちょーっと合流が遅れるって姫さんに伝えておいてくれ!」
ニッと笑顔を浮かべると黒髪の少女・歌夜に手でヨロシク、といった合図をしてそのまま走り去る。
「あーっ!!歌夜!藤十郎がいったのです!」
「あ、綾那!一旦引かなきゃダメって言ってるでしょ!?」
「う~、でもでも!……藤十郎が帰ってきたら殴ってやるです」
なんとか友人を止めることができた歌夜はほっとため息をつくと、私も一発くらい殴ってもいいかなとこっそりと呟いた。
「あそこかっ!!」
小高い丘の先。そこに立つ馬印は
「恨みはないが……っ!?」
刀を抜き放ち、丘を一気に駆け上がろうとした藤十郎は突如襲い来る強大な殺気に動きを止める。咄嗟に後ろに跳躍すると、先ほどまで彼が立っていた場所の地面は大きく抉り取られたようになっている。
「ちぃっ……はずしたか」
藤十郎の前に現れたのは衣服というよりは最早布切れといったほうが正しいのでは?と思うほどの薄着に羽織を肩からかけただけの女性。藤十郎の記憶にはないが、その存在感が誰なのかを思い出させる。
「織田で気をつけろ、って言われていたのが
攻めの三左。
「ほぅ、そういう
自分のことを知っている理由が少し気になりもしたが、それ以上に相手が攻めの三左と気づいて警戒を強める。周囲にいる兵が織田家の兵なのか、今川の兵なのかは分からないが誰も近づけず息を呑んでその光景を見守る。
睨み合う可成と藤十郎。視線が絡み合い、一瞬一秒が数分のように感じる。
「いい眼だ、孺子。一撃で死ぬなよ?」
ニヤリと可成は笑うと、藤十郎に向けていた槍が文字通り
首を軽く傾けその槍を避ける。当たるか当たらないかの絶妙な回避から一気に接近し刀を振るう。
「いい腕だ!!」
「……嘘だろ、おい」
刀を素手で掴み取られた藤十郎が軽く頬を引きつらせる。
「だがな、ワシを試すとは……赦せん!!」
背筋を走る悪寒に藤十郎が刀から手を離したその瞬間だった。
今までに聞いたことのない不思議な音。空から降り注ぐ激しい光。それは瞬時に収まったが。
「ちっ……逃げ足の速い孺子だ」
つい先ほどまでいた藤十郎は既に可成の前から姿を消していた。
「危ない危ない。あれは間違いなくやられるところだったな」
丘に向かっていたときと同じように逆方向に走りながら藤十郎が苦笑いを浮かべる。拳を握り締めていたアレは間違いなく。
「この年で拳骨なんて喰らってたまるかって」
そう、命をかけた戦いの中で可成はまさかの拳骨という手段に出ようとしたのだ。
「……ってか、手抜いてるのもばれてたし、とはいえあの攻撃についてこれるとはなぁ……あと、安い刀でよかった」
手を抜いていた、というより厳密には本気を出せないといったほうが正しいのだが、藤十郎はそう呟く。
「ま、後のことはまた今度考えるとしてまずは姫さんに合流か」
先ほどまでとは違ったざわつきを感じるが、それには気も留めずに藤十郎は自らの主……松平元康の元に向かうのであった。ただし、何故か目的地とは違う方向へ。
「それで、藤十郎は帰ってくるのが遅れた、と?」
「……はい、すんません」
本人としては真に遺憾ではあるのだが、現在元康の前で正座させられていた。元康の隣にはなにやらご立腹の様子の綾那と歌夜、そしてもう一人の女性がいた。
「全く!相変わらず水野の者は猪侍ばかりで扱い辛いこと限りないですなぁ」
「……別にお前に使われてるつもりはないぞ、
「悠季、少し静かに。あと藤十郎はこちらをしっかり見なさい」
「……いや、だからな姫さん」
藤十郎が向き直るとじっと見つめる紫色の瞳が。その眼にうっ、と言葉を詰まらせる。
「私のことは葵と呼ぶように何度も言っているでしょう?」
「いや、姫さんは姫さんだし……」
はぁ、とため息をつく葵は軽く頭を押さえる。
「……どうせ聞かないでしょうけど、葵と呼ぶように。それと、藤十郎は帰ってくるのが少し遅れたと言っていたけれど、戦から一月も経っているの。何も音沙汰がなければ心配するのは当たり前でしょう」
「……それは色々と事情がありまして」
「はて、その事情は我々に、葵様にも伝えられないことなのですか!まるで謀反を企んでいるようですなぁ!」
「はいはい、悠季のその妄想力は凄いと思うぞ」
また軽く言い合いを始める藤十郎と悠季に葵は何度目かのため息をつく。内心では藤十郎が帰ってきて安心しているのだが、主としてそういった姿を素直に見せることを葵はしてはいけないと自身を律していた。
「むー……」
「どうしたの、綾那?」
「悠季の奴、藤十郎と遊んで楽しそうなのがです」
「「遊んでない!!」」
「ほら!ずるいのですー!」
綺麗に声が重なった二人は互いに睨み合い黙り込む。
「……藤十郎。周囲の者たちの目もあります。これだけ遅れて何も罰さない訳にはいきません。一時の間、戦場に出ることを禁じます。私の屋敷でおとなしくしているように」
「はぁ、仕方ないか……ん?」
「葵様っ!?このような狼のような野良犬のような男という汚らわしい生き物を葵様のお側に置くというのですか!?」
「いや、悠季それ言いすぎだろ」
あたふたと動揺しながら悠季が葵を止めようとするが、全く聞く耳を持たない。
「藤十郎は一人にするとすぐにフラリと何処かに旅に出る癖があるのは知っているでしょう。それなら私が直接見ておくほうがいいという判断です。藤十郎のことは幼い頃から知っているから大丈夫よ、悠季」
「ですがっ!……ふむ、そういうことならば仕方ありませんね」
突然意見を変えた悠季を訝しげに見る藤十郎、綾那、歌夜の三人。こういった反応をするときは大体よからぬことを思いついたときがほとんどだからだ。
「藤十郎への処分はこれで終わりとします。……藤十郎、いいわね?」
松平家の主として、というよりは幼い頃から知っている『葵』としての言葉に藤十郎は言葉もなく頷くしかないのであった。
史実では水野勝成は戦国後期の人物です。
だから信長の野望ではステータス低いんですよね(ぉぃ
ただ、色々と面白い逸話などもある人物でもありますので
興味のわいた方は調べてみると楽しめるかも知れません!
拙い文章ではありますが、楽しんでいただけるようにがんばっていきます♪