戦国†恋姫~水野の荒武者~   作:玄猫

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師走は忙しいですね……。

頑張って一週間更新はやっていきます!


6話後編 姫様、はじめて料理をする【姫野】

「って!何で姫が料理なんてしなくちゃいけないし!?」

 

 小波との戦い?が決まって少し後。冷静になった姫野は部下の前で叫ぶ。

 

「……ま、まぁ、頭。決まったことは仕方ありません。御本城様……いえ、今は元ですが。決まったことは我々では覆すことが出来ないですから、どうするかを……」

「そ、そんなことは分かってるし!」

「それで頭。私は頭が料理しているところを見たことが無かったのですが、承諾したということは得意ということで?で、あれば風魔で最高の食材を集め……」

「……わよ」

「はい?」

 

 ぼそぼそと何かを言う姫野に聞き取れなかった上忍は聞き返す。

 

「だからっ!!姫は料理なんてしたことないって言ってるし!!」

「……はい!?」

 

 

 ……姫野から食材をとってくるように命令された上忍は一人ため息をついていた。

 

「はぁ、食材を集めてくるのはいいのだが……頭は大丈夫だろうか……。うぅむ、あの方が誰かに師事するところなど想像できない。むぅ、先代が居られれば良かったのだが……。というか、何を作るのかも言っていないからあらゆる食材を網羅せねば……これは風魔の総力あげての戦いだな」

 

 そういって上忍は部下たちを呼ぶ。……風魔忍軍始まって以来の大仕事が始まる。……食材集めではあるが。

 

 

「料理なんて、簡単だし!こんなこともあろうかと街で買ってきた指南書があるし」

 

 取り出したのは一冊の本。表紙には『嫁入り前の女子必見!彼の胃袋を掴む百八の神技集!』と書かれた一見すると胡散臭いものだった。

 

「ふふふ、この本で料理を作って藤十郎を唸らせてやるし!……そうと決まれば」

 

 パラリと本をめくって真剣に読んでいく……。

 

 

「頭、食材の準備が……頭?」

「……」

 

 無言でパラパラと本をめくっていく姫野を見て、上忍が固まる。

 

「ま、まずい。まさかこれは……!」

 

 パタン、と本を閉じるとすっと立ち上がる。

 

「……」

「か、頭?」

「料理は……」

 

 ボソリと呟く姫野。

 

「料理はっ!!愛だしっ!!」

 

 握り拳を振り上げ力強く謎の宣言をする姫野を唖然と見る風魔忍軍。

 

「と、止めろ」

「は?」

「頭を止めろ!!大惨事が……!場合によっては同盟が崩れるぞっ!!」

「料理はー!!」

 

 よく見ると、姫野の目はまるでグルグルと回るような渦巻きのようなものが見える。

 

「愛だー!」

「止めろ!!」

 

 

 はっと気がつく姫野。周囲を見ると死屍累々の風魔忍軍。

 

「……何やってんのよアンタたち」

「……頭が元に戻ってよかったで……す」

 

 ガクリと倒れる上忍を見て訝しげに首を傾げる。だが、周囲を見てみると見渡す限り……とまでにはいかないが、山菜や鮮魚、色々な肉など多種多様な食材が積み上げられていた。

 

「よく分からないけど……まぁ、仕事はしたみたいだから許してやるし」

 

 ……以前にも姫野が本を読んで似たような状況を作ったことがある。普通に読んでいるだけならば大丈夫なのだが、物語などを今回のように没入して読んだ後にその本で読んだことを体現してしまうのだ。……想像上の忍者の戦いを描いた物語を読んだ後の惨事を収めるのに先代やその先代……姫野の祖母まで出ての決戦のようになったのは上忍にとってはいい……いや、最悪の思い出だ。そんな姫野が料理本?を読み少し方向性が違うとはいえ没入したのだ。地面に倒れ伏した上忍もそれを思って少し安心していたのだが。

 

「……って!!この本全然料理の作り方とか書いてないし!!」

 

 そういって本を地面に叩きつける姫野。姫野の読んだ本には著者の名前なども記されておらず、冷静になってみれば怪しさ満点のものだった。内容も料理というよりは想いを重視したものだ。

 

「他には何か……ん、料理の本あるじゃん」

 

 

「はい、作ってみたから食べてみるし」

「……へっ?」

 

 姫野が近くに居た(・・・・・)忍者に声をかける。その手には見た目は普通の煮物があった。

 

「い、いいんですか?」

「いいから、早く食べてみる!」

 

 そういって口の中に箸で押し込むように煮物を押し込む。周囲にいたほかの忍者は羨ましそうにそれを見守る。

 

「どう?」

「……っ!?!?!?」

 

 顔を、目を白黒とさせながら喉元を押さえて崩れ落ちる忍者。

 

「あー、やっぱ失敗か。まぁ、何か変な奴入れちゃったし。さて、次は」

 

 姫野の視線が他の忍者たちに向く。全員顔を背けるが。

 

「はい、アンタ」

 

 一瞬で目の前まで現れた姫野に驚愕する二人目の犠牲者。

 

「ほら、た・べ・て!」

 

 悲鳴を上げて次々と倒れ伏していく風魔忍軍。

 

「う~ん、意外と成功しないもんねぇ。……あ、最後だ」

「……」

 

 対する姫野の料理(?)も残りは一つ。その姫野の目はまっすぐに上忍を見ている。

 

「……」

「……」

 

 無言で見合う二人であったが、無言で上忍はその料理を口に自らはこぶ。

 

「こ、これは……っ!?」

 

 目を見開いた上忍は驚愕し、叫ぶように語りだす。

 

「……一つ一つの食材をしっかりと煮込んでいるが形を崩さない程度にとどめている。しかし、しっかりと味がしみ込むまで煮込んでいることによって味もしっかりと……こ、これは……う、うまい!!」

「ふっふ~ん!どうよ!」

「頭、料理できるようになったんですね!うぅ……これで先代に……」

「……大丈夫そうでよかったし」

「頭、これは何の煮付けなんです?あまり食べたことのない感じだったのですが……」

 

 ふいと視線をそらす姫野。

 

「頭?」

「……あー、姫、用事思い出したから行くわ。後よろしく~」

 

 不自然に立ち去る姫野に首を傾げる上忍であったが、異変はすぐに訪れた。

 

「!?な、ど、毒も通じない私の身体に異変、だと……!?」

 

 体中が激痛に襲われた上忍も地面にうずくまる。

 

「ぐっ……藤十郎どの……御武運……を」

 

 

 力なく倒れた上忍。ここで風魔忍軍は壊滅的な打撃を(身内から)受けるが……翌日から姫野の命によって再び食材集めに奔走することになる。




姫野に変な属性がついてしまった!
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