「世話になったな」
「楽しかったです、多くの歓迎感謝致します、久遠姉さま」
「おけい。我も葵とこれほど深く話をする機会はなかったからな。我にとっても有意義な時間であった」
「だね。藤十郎にボコボコにされちゃったけどいい経験になったよ」
「ははは、次は俺を超えて見せろ」
「いや、さすがに無理だろ!?」
笑いながら肩を叩く藤十郎に笑いながら言う剣丞。
「ふふ、二人とも我らにはあんな雰囲気はなかなか見せんからな。正直、羨ましくもある」
「ですね。……久遠姉さま、火急の際には直ぐに連絡を。我ら徳川は予定通り四国を攻めますが、陸路側にも大大名の毛利なども居ます。全面戦争となると……非常に厄介な相手でしょう」
「うむ。だが、我ら織田とて猛将揃いであるからな。出来得る限り被害を減らすよう進めるつもりだ。出来れば穏便に、な」
「四国は戦う気のようですから、我らも……」
「ははは、葵と久遠どのは気がつくと仕事の話ばかりしておるな」
「「あ」」
藤十郎に言われ、気がついたといった様子の二人が声を合わせる。
「あはは、もっと久遠も肩張らずにのんびりやればいいんだよ」
「貴様はもう少ししっかりしてほしいものだがな。……しかし、小夜叉の奴。結局姿を現さんかったな」
「構わんさ。……桐琴には近いうちに顔くらい出せと伝えておこう」
「頼む。……まぁ、あ奴が素直に来るとも思えんがな」
久遠がため息交じりに呟くのを聞き流すと、白石に乗る。
「では、またな」
「あぁ。出来れば戦場以外で、な」
城を出て少し進んだ辺りだろうか、差し掛かった辺りで藤十郎が馬を止めて馬から下りる。
「藤十郎、彼女が来たの?」
「あぁ。これだけ殺気を出しているんだ、まぁ来るだろう」
「……おい、藤十郎」
そういって木陰から現れたのは小夜叉だ。
「おぉ、久しいな小夜叉。俺が織田にいる間まるで猫のように隠れてたみたいだが?」
「てめぇ!誰が猫だ、誰が!」
「はは、元気は有り余っているようだな。で、何用だ」
「……母は、いねぇのか」
「どうした、小夜叉ともあろう者が母恋しくなってしまったか?」
「んだと!?あいつはオレが殺すんだ!勝手におっちぬなって言ってやろうと思っただけだ!」
「桐琴は殺しても死なんさ。あいつは俺が死ぬまでは死なぬと誓ったからな」
「な、ならいいんだよ!てか、テメェとの決着もまだついてないんだ!」
「ふむ、そうだなぁ。四半刻なら遊んでやってもよいぞ」
ちらと視線を葵に向ける。葵は静かに頷き返す。
「上等だ、コラァ!」
槍を振りかざし突撃してくる小夜叉。二人の槍が交差する。
「ん、これは……小夜叉が暴れておるな」
「ってことは藤十郎かな?……また仮が増えたね」
城から二人で森の付近を見下ろす久遠と剣丞。最近……といっても関ヶ原での戦いから、長い間元気をなくしていた小夜叉であったがこれで少しはましになるだろう。
「まだまだ、小夜叉も子ということだな」
「あはは、それ小夜叉が聞いたら怒るよ?」
「はっはっはっ!まだまだ小夜叉は夜叉にはなれんな!」
「ちくしょー!テメェ、それずるいだろ!?」
「聞こえんなぁ?俺は俺の技を使ったまでだ。……さて、これ以上嫁を待たせるわけにはいかんからな。……達者でな、小夜叉。これからの剣丞を守るのは……」
「うるせぇ。言われるまでもねぇよ!オレは剣丞の弁慶だからなっ!」
「うむ。頼むぞ」
小夜叉がふてくされながらも見送ってくれた後。
「藤十郎も素直じゃないわね」
「何のことだ」
「ふふ、別にいいけど」
藤十郎が小夜叉をたきつけるように戦いを始めたことを言っているのだろう。桐琴を有る意味では救い、有る意味では奪った藤十郎なりの優しさなのだろうか。その後の戦いで一切の加減をしないのはらしいといえばらしいが。
「それで藤十郎、次は何処に行くの?」
「京に寄って一葉どのたちと会うことになっている」
「分かったわ。公方さまなのね」
「うーむ、何か嫌な予感がする」
「……奇遇ね。私もそう考えていたところよ」
小夜叉ちゃんが話しに入りきれてなかったのでオマケです。
次は公方さまです。
きっと、おとなしく公方さましてるんでしょうね(白目