カレン「聖壺大戦」   作:聖壺

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第3話

「世界最大級の規模を誇るネット掲示板『2ちゃんねる』」

「そこでの書き込みを元に生み出されたキャラクターたちをサーヴァントとして使役し、競い合わせるゲーム『聖壺戦争』」

「――そして、2陣営に分かれ、サーヴァント7騎対7騎でのチーム戦を行う、上級者向けの新モード……『聖壺大戦』」

 

慎二「――そのβテストに僕を力を借りたいだなんて……お前、なかなか見る目あるじゃないか」

 

天草四郎「ありがとうございます。なにぶん、今回想定している敵は前回の『聖壺戦争』のテストプレーヤー達。経験と言うものは万の知識を持ってしても打ち破れぬ高い壁です」

天草四郎「そんな彼らのことをよく知るあなたとならば、我々もそう簡単に遅れを取ることもないでしょう」

慎二「衛宮も桜も……こんな面白そうなことを僕に黙っていたなんて。まぁいい、この『聖壺大戦』で鬱憤を晴らすとするさ」

慎二「魔術師としても、マスターとしても……僕のほうが上だってこと、衛宮に分からせてやらないとな!」

天草四郎「頼もしい。その意気です」

慎二「……ところで、このゲームは7対7のチーム戦だって聞いてたんだけど……マスターは僕とお前の二人しかいないのか?」

天草四郎「ええ。まだテスト段階ですから。あなたのサーヴァント以外の、残り6騎分のサーヴァントは私がマスターとなり使役します」

慎二「一緒にログインしたあの変な外国人、あいつはマスターじゃないのか?」

天草四郎「彼にはこの世界のシステム管理をお願いしています。どうやら彼はゲームそのものよりも、この世界の構造に興味を示しているようですね」

慎二「……いやさ、別に不安ってわけじゃあないんだよ。僕が衛宮に負けるなんて、あり得ないし」

慎二「……たださ、実際に戦闘を行うのはサーヴァントなわけだろ?いくら僕が優秀なマスターだからって、サーヴァントが弱くちゃどうしようもないと思わないか?」

天草四郎「ご心配なく。あなたに割り当てた……失礼。あなたに呼び出して頂いた『セイバー』は、我々の陣営のサーヴァントの中でもトップクラスの実力者です」

慎二「本当か~?とても、そうは見えないんだけどなぁ」

 

「ははは、頼りないサーヴァントですまないね、マスター」

 

――慎二が召喚したサーヴァントは、最優のクラス、『セイバー』

しかしながら、慎二の傍に立つその姿は、とてもその片鱗を感じさせない。

照れたように笑うその笑顔は、人懐っこさすら覚える。

戦闘に入ればスイッチが切り替わるタイプなのかもしれないが、あくまで憶測の域を出ない。

そして、何よりも慎二を不安にさせたものは、セイバーの象徴たるその「剣」であった。

 

慎二「その手に持ってるやつ、どう見ても包丁だよな?まさかそれを剣だと言い張るつもりか?」

?セイバー「そのとおりだよ。僕はこれで、全ての敵を打ち払う」

慎二「……それにさ、僕も実は『2ちゃんねる』多少は利用してるんだけど……こんな奴見た覚えがないんだよなぁ。まぁ、僕の知らない、オタクしか見てないようなマイナーな板の出身なのかもしれないけどさ」

天草四郎「おや、意外ですね。あなたも『2ちゃんねる』ユーザーだとは」

慎二「なぁに、情報収集のためには人が多いところで調べるのが一番、ってだけさ。僕くらいになると、常に最先端の情報を手に入れてないと気がすまないからね」

慎二「……それにしても不安だなぁ。本当に頼りになるのかよ、お前」

 

いつもの調子で、自身のサーヴァントに言葉を投げかける慎二。

しかし、それに対する反応は、先ほどとはまるでかけ離れたものであった。

 

「――――『お前』……?」

 

――ただの一言。

それだけで慎二が言葉を失うのには十分だった。

つい先程まで照れた笑いを浮かべていたそのサーヴァントの顔からは

一切の表情が消え去り、喜怒哀楽も分からぬまま

底の見えない濁った沼のような目で、じっと自らのマスターを凝視していた。

――一切の感情が読めないにもかかわらず、慎二が感じたものは圧倒的な威圧感と、『恐怖』

『このままでは、確実に自分が殺される』という、確証のない確信である。

 

慎二「あ、わわわ、わかった!おま……せ、セイバーの好きなように戦っていいから!ぼ、僕が悪かった!」

?セイバー「――ふーん。じゃあ、そうさせてもらうよ」

天草四郎「……これはまた、意外でしたね。あなたほどの人が、簡単に折れてしまうとは」

慎二「……ふん。不本意だけど……自分の言うことを聞いてくれないサーヴァント相手に手を焼くのには慣れてるんだ。全く、今回もこれじゃ、先が思いやられるよ」

天草四郎「それもまた経験ゆえに、というわけか……なかなかままならないものです」ボソッ

 

?セイバー「それより、マスター。さっき僕の包丁について聞こうとしてたよね?」

慎二「へぇ!?あ、ああ……そう、だったかな……?」

?セイバー「こいつはね、僕が包丁ことなんか何も知っちゃいなかった頃なのに……」

 

?セイバー「――握った瞬間、『ああ、こいつで人をさばいてみたい』とビビッときた包丁なんだ」

 

慎二は、改めて恐怖した。

そう語るセイバーの顔に浮かぶのが、怒りや憎しみ、または狂気的な笑顔、といった類のものではなく

ただ純粋に、昔を懐かしむような――ある種の爽やかさすら感じるような表情であったからだ。

 

――心の底から、イカれてやがる

こいつは、一体何なんだ――?

 

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