天草四郎「……」ピクッ
慎二「?どうかしたのか」
天草四郎「どうやら、ゲストがこの世界に招かれたようですね」
慎二「そうか……来たんだな?衛宮たちが」
天草四郎「ええ。どうやらそのようですね」
慎二「よし!早速迎え撃って……」
天草四郎「まぁ、待って下さい。得たのは彼らがログインしたという情報のみ。現在地も呼び出したサーヴァントも、何もわかっていない状況です。むやみに動くべきではないでしょう」
慎二「う……ま、まぁね。お前の言うことも一理あると思うよ」
天草四郎「焦らずとも、あなたのセイバーならばどんなサーヴァント相手でも引けをとらないでしょう。今はアトラムさんからの連絡を待ちましょう」
慎二「連絡って……何の?」
天草四郎「コントロールルームでは、常にゲーム全体を見渡せる監視モニタが備わっています。彼ら全員の位置座標が判明したら、彼にこの端末宛に送ってもらうよう頼んであるのですよ」
慎二「へぇ。案外、抜け目ないんだな」
天草四郎「まぁこのくらいのことは、彼らにとってはいいハンデでしょう」
慎二「そういえば、お前の契約したサーヴァント6騎は今どこにいるんだ?」
天草四郎「ああ、そのことでしたら……今、遊撃に出しています」
慎二「へぇ?」
天草四郎「何分、この世界は作られたばかりでまだゲームとしては未完成なもので……バグによって侵入不可能なエリア等が存在するのですよ。安全のため、そういった場所を探らせているのですよ」
慎二「侵入不可能って……ヤバイのか?それって」
天草四郎「ええ。最悪死にます」
慎二「はぁ!?」
天草四郎「ですが、ご安心を。そうならないための偵察です。我々の護衛はセイバーさえいれば事足りますからね」
慎二「おい、それって……衛宮たちもヤバいんじゃないのか!?」
天草四郎「……彼らにも、その旨は伝えてあります。どうか安心して下さい」
慎二「……だったら、いいけどさ」
天草四郎「お友達思いなのですね、あなたは」
慎二「フン。対戦相手がいないゲームなんて、つまらないだろ」
天草四郎「ええ、ごもっともです。ですが危惧することはありません」
天草四郎「この戦いは……決して我々を退屈させないでしょうから」
士郎「カレン!よかった!やっと合流できた!」
カレン「あら、あなただけですか?この状況、自分の身の危機でしょうか?」
士郎「そんな冗談飛ばせるなら、特に問題ないみたいだな。とにかく、敵に見つかる前に合流できたのは良かった」
カレン「……それより。あなたの後ろにいるその奇妙な生物は……サーヴァントですか?」
士郎「ん?ああ、紹介し忘れてたな。セイバーだ」
「よろしく」
士郎の召喚したサーヴァントは、最優のクラス、『セイバー』
確かにその手には、セイバーのクラスに相応しく
分厚く刀身の長い、巨大な片刃の剣が握られていた。
しかし、その持ち主は頭髪こそ特徴的なものの、頭身が低く
どこか緊張感が感じられない、『緩さ』を持ち合わせていた。
士郎「なかなか話がわかるやつなんだよ、こいつは。きっとカレンとだって、うまくやれるさ」
カレン「話がわかるかどうかよりも、戦闘能力のほうが大切だとは思いますが……まぁよいでしょう」
士郎「そうだ!この世界に入った後、地図を確認しようと思って端末を起動させようとしたんだけど……全く反応が無いんだ。カレンのも、そうなのか?」
カレン「ええ。おそらくは私達の端末の設定が弄られているのでしょう。姑息な手です」
士郎「このままじゃ、みんなと合流するのはかなり厳しいぞ。カレンと会えたのだって、奇跡みたいなもんだ」
カレン「サーヴァントさえ召喚できてしまえば、ある程度は安全を確保できますが……それでも、各個撃破されたら厄介ですね」
壺セイバー「そういえば君はまだ、サーヴァントを呼んでいないのかい?駄目だよ。女の子が一人でいたら、危ないよ」
カレン「……随分とのんびりとしたサーヴァントですね。ですが、誤解を解いておきましょう」
カレン「私は、既にサーヴァントを呼び出しています。――そして、既に、刺客として放っています」
士郎「え!?刺客って……どこに?というか、何の目的で……?」
カレン「私の呼び出したサーヴァントは、『アサシン』。であれば目的は一つでしょう」
士郎「……暗殺、か。まさかいきなり、慎二を……?」
カレン「いいえ。言ったでしょう。このゲームは設定が改変されていると。つまりコントロールルームを担当する、『管理人』の役割を担当する人物がいるはずです」
カレン「その人を始末し……そうですね、まずは端末を使用可能にしましょうか。最悪通信機能さえ付与できれば、集合も可能でしょうし」
士郎「――わかった。それまでの護衛は、セイバーに任せてくれ。頼んだぞ、セイバー」
壺セイバー「うん。承知したよ。それに僕は、どちらかというと守るほうが得意なサーヴァントだからね」
アトラム「ネット掲示板を通じて収集したマナを、こうしてネットワーク上に蓄積し、一つの空間を作り出すとは。聖堂教会の連中も突拍子もないことを考えつくもんだ」カタカタカタ
アトラム「しかし、……古い魔術師連中にとっては、盲点だっただろうさ。そもそも、奴らはネットワークというものに理解を示しているのかすら怪しい」
アトラム「この方法ならば、仮に神秘が薄れ、地上からマナが枯渇したとしても……魔術の伝承、再現が可能だ。勿論、ネットワーク上のみではあるが……そこは発想を逆転すべきところだな」
アトラム「今後、活動の拠点を電子世界に移せばいいのさ!そうなればいくら魔術師として優秀であったとしても、新しい『技術』を受け入れられない者は進化の輪から外れる……そんな時代が訪れる!」
アトラム「見ていろ、科学技術を受け入れられないボンクラ共め!これからは、旧き魔術師(メイガス)ではなく、新たな時代を生きる魔術師(ウィザード)の時代が来る!そして、その礎を築くのは、このアトラム――」
バタン
アトラム「……?コトミネか?一体、何しに――」
天草四郎「……おかしいですね。アトラムさんからの連絡がまだ来ません」
慎二「何だぁ?サボってんのか?アイツ」
天草四郎「こちらから連絡を入れてみましょう。何事もなければ良いのですが……」
ブルルルルルル
ガチャ
天草四郎「良かった、繋がった。アトラムさん。コトミネです。そちら、異常はないですか?」
『……』
天草四郎「……!……どうやら、あなたはアトラムさんではないようですね」
慎二「へぇ!?」
天草四郎「答えていただきましょうか。アトラムさんを何処へやったのですか?」
『……アトラム……?』
『アイツはもう消した!』