太陽の陽射しが最も強くなる8月の午前中、俺たちは学校の屋上で練習をしていた。
最近は俺も慣れてきたのか簡単なところならダメ出しが出来るようになったので9人が踊って俺が指摘する方法をとっている。
「善子、今のところは気持ち早く!」
「ヨハネ、空間移動を使います」
「ルビィちゃんはもっと動きを大きく!」
「ピギィ」
「マリーは少し速い!」
「オーケー!」
「うん!よくなってきた。一旦休もう」
オーバーワークは故障のもと。俺はキリがいいところで練習を切り上げた。
みんなは踊るのをやめ水を飲み、息を整えて休憩に入った。
そんな中、あまりの暑さに倒れこんだ者がいた。
「善子、やっぱりマントは取れ!倒れてからじゃ遅い」
「これは堕天使のアイデンティティ、取るわけには」
「取れ!」
「やだ!」
「取れ!」
「やだ!」
取る、取らないで俺たちは言い合いを始める。最終的にお互い平行線で同じ言葉をただ言い続けるだけになってしまった。
「善子さん、愛護さん。変な言い争いで体力を使ってはいけませんわ」
「そうだよ、今は休憩中なんだから。てことでみんな100円出して」
「やってきたのですね、本日のアルティメットラグナロク!」
ダイヤと果南にさとされすぐに言い合いをやめ、アイス買い出し係を決めるジャンケンをするんだが…
「ジャンケンポン!」
みんな同時に手を出す。
「また、負けた!」
善子特有のチョキを手を善子は眺めながら呟く。
そう、この子は本当に運が悪い。
「はい、これお願いずら」
敗北した善子に花丸ちゃんがお金とリストのメモを渡す。
「もー、わかったわよ。いってきます!」
潔く善子は渡されたものを持ってコンビニに向かった。
「あー、なんかさ。いつも行かせて可哀想じゃないか?」
「あっ、愛くんそれ言っちゃう?」
「まあ、確かに可哀想だと思うけど」
「負けたのは善子ちゃんズラ」
まあ、みんな不正をしてるわけでもないし仕方ないっちゃ仕方がないんだが…
「やっぱり、俺一緒に行ってくるわ」
俺は善子を追って走り出した。
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鞠莉視点
愛護はアイスを買いに行った善子ちゃんを追って走り出した。
「行っちゃたね」
「愛くんって善子ちゃんのことよく気にかけてるよね」
「もしかして、愛くんは善子ちゃんにほの字だったりして」
「まさ…「曜、それ本当!」ま、鞠莉ちゃん?」
私は曜の言葉が気になり、曜の顔に限界まで顔を近づけてみんなの会話に割って入った。
「えっと…ひとまず、鞠莉ちゃん近い」
曜はそんな私を見て苦笑いしながら答えたのでひとまず少し離れた。
「それで、さっきのことは本当?」
「いやいや、冗談だよ。だって愛くんの善子ちゃんはの接し方って世話のやける歳下を相手してる感じじゃない?」
「really?」
「本当、本当!」
曜は少し引き気味だけどちゃんと否定してくれたので私はホッとして息を吐いた。
「鞠莉さん、前から思ってたのですが」
「鞠莉って、愛護のこと好きなの?」
ホッとしたのつかの間でダイヤと果南から思わぬことを聞かれて私の顔は真っ赤になった。
「ダイヤと果南ったら何を言い出してるの。愛護は私のbutlerだからちょっと気になっただけよ……って言い訳は見苦しい?」
「無理がありすぎますわ」
私は勘弁して話すことにした。そうなると、やっぱりみんな年頃の女の子らしく興味津々で聞き始めた。
「「「えーーーー!!!」」」
「愛くんが好きだったから執事に指名した!」
「でも、愛くんは会ったことなかったって」
「それは愛護が忘れてるだけです。本当に覚えてないのけっこうショックだったんだから」
「あはは、で、何で愛くんのこと好きになったの?」
「たしかにそれは気になる!」
みんな、さっきの私みたいに顔を近づけてくる。
「ええっと、言わなきゃダメ?」
「「「もちろん!」」」
みんなは声を揃えて答える。
「わ、わかりました。話します!」
こうして、わたしは愛護との出会いの話をすることにした。
単純に主人公のご都合主義でモテさせるのは嫌だったため過去の出来事に理由を持たせようとしました。やっぱり、理由とかきっかけがあるから面白いと思います。