「グループ名?」
「そう、今日ルビィちゃんにグループ名はなんですか?って言われて」
現在、練習のために俺たちは動きやすい服装をして砂浜で体操している。なぜか、俺もやらされてるのが気になるが、まあ、日頃運動してないしいいか。
それにしてもあの後、ルビィちゃんたち三人に会ったのか。あと、五人は知り合いだったんだな。
「てか、決めてなかったのかよ」
「だって〜、そういうこと考える暇もなかったんだもん」
「まあ、そうかもしれないけど…候補はあるのか?」
「う〜ん?やっぱり学校の名前入っていた方がいいかな?」
「というと?」
「浦の星スクールガールズ?とか」
「そのまんまじゃない」
「そういう梨子ちゃんは?」
「あっ、そうだよ。東京の最新の言葉とか」
「うんうん」
「じゃあ、三人海で出会ったから「スリーマーメイド」は?」
一瞬、空気が凍る。そしたら、聞いた千歌と曜はまったく触れることなく体操を続けた。
触れてやれよ、かわいそうだろ
「今のなし‼︎」
「まあ、俺はいいと思うぞ」
「愛護くん、変なフォロー入れないで‼︎」
悪い、あまりにもかわいそうだったから…
「じゃあ、次曜ちゃんは?」
「制服少女隊‼︎とかどうかな?」
またもや、一瞬空気が凍る…
「ないかな」
「そうね」
「そうだな」
「えーー‼︎」
すると、千歌がどこから取ってきたのか木の棒を持ってきて、色々書き始めた。曜たちも思いついたのがあれば、木の棒を取り次々と書いていった。途中俺も適当に書かされたが…結局、いいのが思いつかず。ていうか、途中からやけくそで書いたやつあるだろ。
「こういうのはやっぱり言い出しっぺじゃない?」
「賛成‼︎」
「戻ってきた〜」
「じゃあ、制服少女隊でいいっていうの?」
「スリーマーメイドよりかは…」
「あれはなし‼︎」
決まらないな〜、今まで何書いたっけ?ん?こんなのあったか?
「なあ、みんな。これ誰書いたか覚えてるか?」
「どれどれ?これなんて読むの?」
「アキュ、アキュアワーズ?」
「アクアかな?」
「なるほど、aquaとoursをかけてあるのか?」
「いいよ、これ‼︎」
「これにするの?誰が書いたかもわからないのに?」
「それがいいんだよ。名前を決めようとしたらこの名前に出会った。これってすごく大切なんじゃないかな」
「そうだね」
「このままじゃ、いつまで経っても決まりそうにないし」
「うん、この名前。三人に合ってるんじゃないか?」
「うん、じゃあこの出会いに感謝を込めて、今から私たちは浦の星女学院スクールアイドル「Aqours」‼︎」
●●●
「ただいま」
「遅い、愛護。お腹がすきました」
「だったら、少しぐらい手伝ってくれるか?」
「OK‼︎、初めての共同作業ね」
「はいはい」
いつもなら、部屋着に着替えるところだがそんなことしてたらマリーがうるさいのでブレザーとネクタイを外してエプロンを着けた。
すると、マリーもフリルがついた女の子らしいエプロンを着けて来た。
「どう?愛護」
「似合ってるよ」
「本当に思ってる?」
「いや、思ってるって。普段の行動はあれだがマリーは、まあ、可愛いよ」
「愛護、それ本気で言ってる?」
「そんな、嘘つくほど器用じゃない」
「あ、ありがとう」
何だよ、急に元気なくなっていつものカタコト口調でもないし顔も赤いな。体調悪いのか?
マリーの額に手を当てた。うん、熱はないな。
「なに⁉︎愛護⁉︎」
「いや、顔赤くしてたから熱でもあるのかと思ってさ。悪い、断わってやるべきだった」
「大丈夫。じゃあ、let's cooking 」
「はいはい」
「愛護先生、今日は何作るの?」
「唐揚げ、早くできるしな」
「fried chickenね」
体調、悪いと思ったのは気のせいか、カタコト口調にも戻ったし
「マリーって何ができる?」
「さあ?」
「さあ?ってじゃあ添えるキャベツ切れるか?」
「わかったわ」
よし、俺は鶏肉切って衣つけて、味噌汁も作るか…
「痛っ!愛護〜」
「まじかよ‼︎こんな数秒で指切るか普通⁉︎」
仕方なく俺は救急箱を取りに行き、マリーの手当をした。
「マリー、もう包丁持つな」
「えー」
「マリーが怪我したら困るんだよ」
「えっ、愛護それって、私が大事ってこと?」
「ん?大事?まあ、大事だな」
「本当‼︎」
どうしたんだ?怪我したかと思えばなんか元気だし、女の子の考えが全然わかんねえ
「嘘じゃない。一応、雇い主なんだから大事だろ」
「あっ、そういう意味だったんだ」
は?他に何の意味があるんだよ。てか、なんかテンション下がってるし、やっぱりわからん。
「あー、マリー作業続けるぞ」
「でも、愛護包丁持つなって」
「切る以外にも仕事はあるんだよ」
俺はジップロック的なやつに切った鶏肉を入れてあと、小麦粉とか色々入れてマリーに渡した。
「はい、衣つけてくれ。満遍なくなるようにな」
「うん」
じゃあ、作業続けるか…
そして、俺たちは完成させてテーブルに並べた。
「じゃあ、いただきます」
「いただきます」
「やっぱり、愛護の料理は美味しい」
「今日は、マリーも手伝っただろ」
「でも、私のhelpなんてほとんどないし」
「そんなことない。助かったよ」
「そう⁉︎どういたしまして愛護」
「また、作るか…一緒に。時間あるときに…今度はちゃんと教えるから」
柄じゃないなとか思いながら言ってみる。するとマリーは目を丸くして俺をじっと見ていた。
「なんだ?」
「うん、作りましょう‼︎愛護、しっかり教えてね」
この時の笑顔は今までっていうても一ヶ月も経ってないと思うけどマリーの笑顔の中で一番輝いていて可愛いかった。まあ、本人には絶対言わないが。
●●●
それから、Aqoursの三人はライブを成功させるため、宣伝、曲作りに振り付け、全てに妥協することなく順調に準備を進めていた。
そして、今はほぼほぼ完成したため振り付けなどの最終確認をしている。まあ、俺が口出すことではないから、俺は千歌の家の台所を借りて疲れが取れるようにちょっとした甘いものを作ってる。マリーがコーヒーを飲むときに作ってあげているお菓子がこんなとこで役に立つとは思ってなかったな。
「よし、出来た‼︎」
俺はさっそく千歌の部屋に持って行った。
梨子と曜はすごく集中して振り付けの話し合いをしていて俺が入ってきたのにもまだ気づいていない。
「二人とも、いったん休憩したらどうだ」
「あ、愛くん。あれ?そういえばどこ行ってたんだっけ?」
「これ、作ってた。疲れたときには甘いものかなっておもって」
俺は作ってきたものを二人の前に置いた。
「これは?」
「プリン作ってみた」
「すごーい、女子力高いね愛くん」
「曜、あんまり、嬉しくないんだが…」
「本当にすごい…」
「梨子?感動してないで食べてくれない?恥ずかしい」
「あっ、ごめん。じゃあ、いただきます」
曜と梨子がプリンを食べて、美味しいと言ってくれた。やっぱり、作ってよかった。これで少しは役に立ったかな?
「千歌ちゃんも起こしてあげたほうがいいかな?」
「別に、いいだろ。プリンは冷蔵庫入れて置いてあげるし休ませてあげよう」
「そうだね」
「でも、あんな体勢じゃ疲れも取れないよな」
千歌は今、机に顔をのせて寝ている。あれは疲れが取れるどころか身体を逆に傷めかねないしな。可愛そうだが一瞬起こしてベッドに移動してもらうか。
「千歌、千歌」
「なーにー?」
「寝るならベッドで寝た方がいいぞ」
「う〜ん」
ダメだ寝ぼけてる。仕方ない運ぶか。
「じゃあ、千歌俺の方にもたれてくれないか」
「愛くん?何するの?」
「千歌を運ぶ。よっと」
千歌がもたれてくれたので背中と膝裏に手を回して持ち上げた。思ったよりも軽いな。
「愛くん、カッコイイ‼︎千歌ちゃんの王子様みたいだよ」
曜が俺に少しからかいの意味が入った笑顔でグッドサインをしてきた。なんか、梨子は顔を赤くしてるけど。
「千歌の王子様か…ごめんだな」
「えー、千歌ちゃん可愛いのに」
「可愛いのは否定しないが…俺が王子ならもうちょっと姫様っぽく振舞ってほしいな」
「あはは、千歌ちゃんお騒がせなとこあるもんね。それにしても、愛くんずいぶんスムーズに持ち上げたね」
「まあ、慣れてるから」
「慣れてる?えっ!どういうこと?どういうこと?」
やばっ、マリーもよく仕事中に寝たりするから運ぶのに慣れてるのは事実だけどマリーと暮らしてるの隠してるしなんか変な誤解を招きそうでやばい‼︎
「愛くんにはよくお姫様抱っこする恋人とかいるの?」
ほら、みろ食いついてきた。
「待て、まず千歌を運ばせて」
「しょうがないなあ」
俺は千歌をベッドに乗せた。ちくしょー、幸せそうに寝やがって。てか、結構大声で喋ってたのに起きないなんてやっぱり、疲れてたのか。
「で、なんだ?」
「愛くんって、恋人とかいるの?梨子ちゃんも気になるよね」
「う、うん」
「いない、てか浦の星に来てからこの話題かなり話してるんだが」
「やっぱり、みんな気になるんだね」
「ほんと、女子ってそんなん好きだよな」
「うーん、愛くんがかっこいいからじゃない?」
はあ?俺がかっこいい?何言ってんの言ってなかったが俺の身長は168センチメートル。平均ないんだぞ。チビだぞ。そんな奴、どこがかっこいいんだよ。
「曜、お世辞を言っても何も出ないぞ」
「愛くんだって時々だけど私たちに可愛いって言ってくれるでしょ」
「俺のはお世辞じゃない。三人とも可愛いと思ってる。」
「あの、愛くん。そんな即答されると…」
「頼むから照れるな、言ったこっちが照れるから。梨子もな」
はあ、千歌も寝てしまったし時間も時間だし、帰るか
「俺、帰るな」
「えっ!もうそんな時間?ほんとだ‼︎バスどうしよう」
最終便のバスがもう出発してしまってるらしい。曜の家はここから十キロ程度離れてたよな。いつもなら千歌のお姉さんに頼んでるらしいが今日は少し無理みたいだ。歩いて帰れる距離じゃないし、頼んでみるか
「曜、ちょっと待ってろ」
「えっ?」
俺は部屋から出て電話をかけた。もちろん、電話先は…
『ciao‼︎』
「その挨拶が適用される時間帯じゃないと思うぞ」
『細かいことは気に「頼みがある」…愛護、人の話を切らないの』
「お前が言うな」
『で、頼みごとって何?』
「バスの最終便が切れたから曜が帰れないらしい。車出してやれるか?」
『元々、愛護を迎えに行かせるつもりだったのがあるけどそれに乗せてあげたら?』
「わかった。ありがとうな」
『愛護、ちょっとずつgentlemanになってきてるね』
「ありがとう」
『じゃあ、ちょっと待ってね。すぐ向かわせるから』
「ああ、本当にありがとう」
『ふふ、愛護enjoyしてるね』
「enjoy?」
『うん、最初は三人のhelp、そんなに乗り気じゃなかったでしょ』
「そういうことか、まあ確かに三人の頑張りに感化されたとこはないとは言えないかな」
『そうね、じゃあ後でね。帰ったらcoffee入れてね愛護』
そうして、電話が切れた。俺は千歌の部屋に戻り曜に車が来ることを伝えた。
●●●
俺は今、曜と一緒に車内にいる。
「何、緊張してんだ?」
「愛くん、この車すごい高い奴だよね、運転手さんもなんかいかにもって人だし」
「まあ、確かにな」
「愛くんの家って、もしかしなくてもお金持ち?」
「俺の家は普通の一般家庭だよ」
「いや、運転手がいる一般家庭とかないから」
「マリーの家のだよ。これ」
「マリーって鞠莉さんのこと?新理事長の」
「なんで、愛くん鞠莉さんの家の車呼べるの?」
「えーと」
別に隠しておくことでもないしいいか、同じ家に二人で住んでるってことは隠しとけば変な誤解もないだろうしな。
「マリーは俺の雇い主なんだよ」
「雇い主?」
「そう、俺は一応マリーの執事ってこと」
「そうだったんだ。だから、浦の星に通ってるんだね」
「そういうこと」
会話が途切れて沈黙が生まれた。はあ、いつも騒がしいからこういう空気なれない。
「ねえ」
「なんだ?」
「ライブ、成功すると思う?」
「逆に曜はどう思うんだ?」
「成功するといいな」
曜は心配そうに車の外を見渡す。
「この辺、人少ないし…」
「俺は大丈夫だと思うぞ」
「えっ?」
「こっちに引っ越して思ったんだけどさ、みんな暖かいからさ」
俺は曜の頭にそっと手を置いた。
「だから、大丈夫‼︎絶対成功するよ」
俺は出来る限りの笑顔を見せた。あんまり、人が元気を与えたりできる笑顔とかできないから気持ち悪くなってるかもしれないけど、俺なりに安心させるために
「ありがとう、愛くん」
曜も笑顔を返してくれた。やっぱり、この子は笑顔がいいな絶対俺なんかのよりも数百倍人に元気を与える力がある。
「愛くんって、やっぱり面倒見いいよね。執事ってちょっと合ってるかも」
「そうか?まあ、ありがとう」
「でも、執事というよりもお兄ちゃんって感じかな。お兄ちゃんって呼んであげようか?」
おい、元気になったと思ったら早速いじって来やがった。励ますの失敗したか?
「んな、変な趣味俺にはない」
「なんてね、あっもう着くね」
家の前に着くと曜は運転手にお礼を言うと車を降りた。
「じゃあね、今日はありがとう。おやすみお兄ちゃん」
「結局呼ぶのかよ」
「じゃあ、二人きりの時だけにするね」
「いや、やめろ‼︎」
曜は俺の言葉を無視して帰っていった。
てか、何が二人きりの時だけだよ。今、バリバリ運転手さんいるじゃん。はあ、やっぱ疲れる。いい意味でも悪い意味でも。
曜が家の中に入るのを確認すると運転手さんに車を出してもらった。
「青春ですな、お兄ちゃん」
「変なボケかまさないでください」
「いやはや、お嬢様が仰った通りの方ですな」
「マリーが?なんて言ってたんですか?」
「それは、お嬢様の口から聞いてくだされ」
「そうですか」
そのあとは、運転手さんと他愛もない話をしながら家に帰っていった。
曜ちゃんって、兄貴分的な面倒見いい人にはお兄ちゃんって言ってからかいそうなイメージが私の中にあったので呼ばせてみました。
次回、やっとライブします