「これで歌うの?」
今、みんなは千歌の意見により、俺と曜が中心に作った新しい衣装の試着をしていてそのスカートの丈の短さに梨子が文句を言ってきた。
「まあ、短いとは思ったけど千歌の指示どおりに作ったから文句は千歌に言ってくれ」
俺がそう言うと梨子は千歌に文句を言い始めた。
「大丈夫だって、ほら」
千歌はスカートをめくりしたに体操服を着ているのを見せた。
「女の子がそんなことしないの」
千歌の行動に女の子として注意をする梨子。
「はあ、いいのかな?本当に」
「調べてたら、堕天使アイドルってなくて結構インパクトあると思うだよね」
「確かに昨日までとだいぶ印象違うもんね〜」
曜はみんなを見回しながら言った。まあ、確かに千歌と曜がやりたいことはわかる。
でも、短いスカートなどにルビィちゃん、花丸ちゃんも落ち着かないみたいだ。
「本当にこんなの着てやっていいの?」
「可愛いねー」
「そういうことじゃない」
千歌はまったく心配じゃないらしい。
「そうよ、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だよ、ステージ上で堕天使の魅力をいっぱい伝えよう」
「堕天使の…魅力…」
千歌のワードにウズウズしだす善子ちゃん。だが、すぐに我に帰った。
「ダメダメ、そんなの絶対ドンびかれる」
「大丈夫、絶対人気出るって」
千歌の根拠のない自信を聞き、結局善子ちゃんも手伝ってくれるらしい。
そのあと、梨子がしいたけに追われてパニックになったが、まあ、無事に話し合いは終わり俺たちはそれぞれの家に帰っていった。
そうして、数日後…
衣装も完成し善子ちゃんを加えて撮影した動画をサイトにアップすると、順位が一気にランクが3桁台まで上がったのだった。しかし…
「キュート!」
「どこが、キュートですの!こういうのはハレンチと言うのですわ!」
マリーとダイヤさんに呼ばれて生徒会室に行くとダイヤさんに怒鳴られました。
「私がルビィにスクールアイドル活動を認めたのは節度を持って取り組むといったからですわ!」
ああー、やっぱり怒ってるなー。
「愛護さん!」
「はい!?」
急に呼ばれて驚いて声が裏返ってしまった。
「あなた、衣装作りも手伝っているんでしたわね」
「ああ」
「だったら、なんで作る前に注意しなかったんですの!私はあなたを信頼してルビィを預けたのに裏切られた気分ですわ」
えっ、なにそれ初耳なんですけど。そこまでダイヤさんに信頼されてたのかよ俺。それならもっと気をつけたのに。
「すいません」
「まったく、キャラが立ってないとかでこんなことをするのはいただけませんわ」
「でも、実際順位は上がったんです」
「そんなの一瞬に決まってますわ。今の順位を確かめてみるといいですわ」
ダイヤさんに渡されたパソコンを見ると確かにもう順位は下がり始めていた。
「これでわかったら、もう少し考えてから行動するべきですわ」
「ダイヤ、ちょっと言い過ぎだと思うけど。まあ、ダイヤの言い分もわかるからこれからは気をつけるように理事長命令です。」
全員、ダイヤさんに叱られマリーに注意されると小さく返事をすると生徒会室から出ていった。そして、それと一緒にマリーも部屋から出てった。
「愛護さん、あなたはなんでまだいますの?」
俺が残ってることに疑問を持ったダイヤさんが話しかけてきた。
「いや、ただ単にお礼をと思って」
「なんのですの?」
「彼女たちをしっかり叱ってくれることにです。俺、スクールアイドルのことほとんど知らないから雑用しかできないから」
「ふん、これぐらい大したことありませんわ」
「でも、助かってるのは本当ですからありがとうございます」
「前から思ってたのですけれど、なんで一歩引いた立ち位置にいるんですの?部員なのですから一緒に切磋琢磨したらいかがですの?」
「俺の本業はマリーを護ることですから」
「はあ、普通の高校生が言ったらかっこいいセリフだったでしょうけど、あなたの場合本当にそうでしたから笑えませんわ」
「そうですね。改めてアドバイスありがとうございます。じゃあ」
俺はダイヤさんに挨拶をし部室に戻っていった。
●●●
今、Aqoursのみんなは砂浜で今日の反省会を開いている。
「失敗したなー。でも、ダイヤさんの言う通りだよねー、こんなんじゃμ'sにも失礼だよね」
「別に千歌さんが悪いわけじゃ」
「そうよ、悪いのは…堕天使」
責任を感じてる千歌をフォローに入ったルビィちゃん。しかし、そこに善子ちゃんが割って入った。
「やっぱり、おかしいよね。高校生にもなって通じないよね……これでスッキリした。明日からは普通の高校生としてやっていけそう」
「それじゃ、スクールアイドルは?」
ルビィちゃんが質問すると…善子ちゃんは一瞬戸惑ったが
「やめておく。なんだか、迷惑かけそうだし。短い間だったけど付き合ってくれてありがとう。楽しかったよ」
少し、寂しそうといえば寂しそうな笑顔を見せて善子ちゃんは帰って言った。
「なんで、堕天使だったのかな?」
梨子は率直な疑問をつぶやいた。
そして、それに花丸ちゃんが答えた。
「まる、わかる気がします。ずっと普通だったんだと思うんです。私たちと同じであまり目立たなくて、そういう時思いませんか?これが本当の自分なのかな?って元々は天使みたいにキラキラしてて何かのはずみでこうなってるんじゃないかって」
「そっか…」
「確かにそういう気持ちあった気がする…」
ルビィちゃんと梨子がそういったことがあったのを思い出した。
「幼稚園の時の善子ちゃんずっと言ってたんです。私は天使でいつか羽が生えて空に帰るんだって」
そして、みんな黙り込みそのまま話すこともないので今日は解散した。
●●●
次の日、俺は朝一に沼津の方にやってきた。
理由は単純。善子ちゃんを勧誘しに。そして、俺はマリーに聞いた善子ちゃんが住むマンションにやってくると聞き慣れた声が聞こえた。俺は反射的に隠れてそちらの方を見た。
「堕天使ヨハネちゃん、スクールアイドルやりませんか?ううん、入ってください。Aqoursに堕天使ヨハネとして」
あいつら、何やってんだ?いや、たぶん俺と同じ理由なんだろうがなんでダイヤさんに怒られたあの衣装着てるんだ?
そう思った瞬間、善子ちゃんは逃げ出し、五人はそれを追いかけ始めた。
「はあ、まじかよ。これは追いかけた方がいいよな」
そうして、俺は気づかれないように尾行し始めた。さすがに女子と男子の体力の差で引き離されることなくついていけた。そして、結構大きい声で千歌が喋ってるから内容まで聞こえてきた。
「善子ちゃんはいいんだよ。善子ちゃんのままで」
「どういう意味〜⁉︎」
「私ね、どうしてμ'sが伝説を作れたのか、どうしてスクールアイドルがそこまで繋がってきたのか考えてみてわかったんだ。ステージの上で自分の好きを迷わずに見せることなんだよ!お客さんにどう思われるとか人気がどうとかじゃない。自分が一番好きな姿を輝いてる姿を見せることなんだよ。だから、善子ちゃんは捨てちゃダメなんだよ!自分が堕天使を好きな限り!」
千歌が叫ぶと善子ちゃんは走るのをやめ、五人と向かい合った。
「いいの?変なこと言うよ」
「いいよ」
曜が即答する。
「時々、儀式とかするかもよ」
「それぐらい我慢するわ」
梨子が優しく返す。
「リトルデーモンになれって言うかも!」
「それは……でも、やだったらやだって言う」
千歌は真っ直ぐな瞳で答えた。
「だから…」
千歌は善子ちゃんが捨てたはずの黒い羽を差し出した。そして、それを善子ちゃんは受け取った。
これで、スクールアイドルAqoursの六人目のメンバーが加わりアイドル、堕天使ヨハネが誕生した。
「はあ、今回は出番なしか」
「そのようね」
「うわ!」
声がすると思ったらマリーもなぜかここにいた。
「マリー!何してんだ」
「愛護がこんな朝早くに出かけるから面白そうと思ってついてきちゃった♪」
「お前は、夜遅くまで仕事してたんだから寝てなきゃダメだろ。すぐ、帰るぞ。今から帰ったらまだ仮眠は出来る」
「don't worryよ愛護。それに愛護だって私の付き添いで同じ時間まで起きてたじゃない」
「仕事量が違うだろ。まったく、何してんだよ」
「でも、本当に大丈夫よ」
「廃校のことで忙しいんだろ?」
「……うん」
「だったら、休め。倒れたら護りたいものも護れなくなる」
「……うん。ありがとう愛護」
そうして、俺たちは車に乗り運転手さんに出してもらった。
そう、今浦の星は廃校の危機に迫られてるのであった…