宮守の神域   作:銀一色

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鹿児島編です。
プレミアムフライデー……?ハッ(白目)


第177話 鹿児島編 ③ 霧島神境

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視点:小瀬川白望

 

 

「うう……」

 

 そして現在へと至る。私がぐったりしながら恨めしそうに隣に置いてある『つぶつぶドリアンジュース』を見ていると、突然女の人に声をかけられた。

 

「あの、すみません……大丈夫でしょうか?」

 

 私はその声が聞こえてきた方向を見ると、そこには巫女服を着た女の人……いや、私と同い年くらいの女の子が立っていた。後ろの方を見ると、同じような格好をした女の子たちが今目の前にいる巫女さんを除いて四人ほどいた。コスプレ……というわけではなさそうで、本物の巫女さんのようだ。

 

「え、ああ……まあ」

 

 私はそんないきなりの巫女さんたちとの遭遇に戸惑いながらも、目の前にいる巫女の問いかけに答える。どうやら周りから見た今の私の状態は心配されるほど酷い状態だったらしい。

 

「それは良かったです!」

 

 私の返答を聞いた巫女さんは笑顔でそう言った。見たところ、純粋な人のようだ。というか、純粋でない巫女さんなどいるものなのか。そういった事を考えていると、後ろの方にいた巫女さんたちの中から一番背の低く、そして一番露出度が高い巫女さんが私のところまでやってきてこう言った。

 

「そこにある缶ジュース、飲まないんですかー?飲まないなら私が貰いますよー」

 

「えっ、いや、あの」

 

「喉乾いてたんですよー。すみませんね、頂いちゃいますよー」

 

 私が何かを言う前に露出度が高くて背が胡桃くらい小さい巫女さんは私の隣に置いてある『つぶつぶドリアンジュース』を持ち、そのまま一気に飲もうとする。だめだ。多分これの中身がなんなのか確認せずに飲もうとしている。私は巫女さんを止めるべく声をかけようとしたが、時既に遅し。その巫女さんはグイっと口へ含んでしまった。あれこれ全然飲めるじゃん!みたいな事が起こるわけもなく、巫女さんは飲んだその瞬間口から噴き出してしまった。まあ普通のジュースだと思って飲んでみたらドリアンでした。となれば噴き出してしまうのも仕方のない事だろう。

 

「ッ、?!?!?」

 

「わっ」

 

「あちゃー……」

 

 噴き出した巫女さんは未だに何が起こったのか分からずに手に持つ『つぶつぶドリアンジュース』の缶を見つめる。そして中身の正体を知った巫女さんは驚愕しながら私の方を向いてこう言った。

 

「なんてもの飲んでるんですか貴方はー!?」

 

 ……それに関してはただの好奇心としか言えないのだが、本当に私は何てものを買ってしまったのか。まあ巫女さんが飲んでくれたおかげで缶の中身もなくなったようだ。私はベンチの近くにあるゴミ箱の中へ忌まわしき『つぶつぶドリアンジュース』を捨て、私に向かって怒ってくる巫女さんの方を見る。自業自得といえば自業自得なのだが、私が中身を教えなかった事は悪いと感じてるし、そもそもあんなもの買わなければ良かったのだ。だから一概にこの巫女さんが悪いとは言えない。私はその巫女さんに謝ろうとしたが、それは後ろにいた三人の中の一人の巫女さんに遮られる。

 

「すみません……初美ちゃんが勝手に貴方のものを飲んでしまって……」

 

 私がその巫女さんを見て初めて思った事は、胸が異常にデカイという事であった。今まで色々な人の胸を見てきたが、これほどまでにデカイ胸を持った人は見た事がなかった。そんな胸のデカイ巫女さんは、初美ちゃんと呼ばれたさっきドリアンジュースを飲んだ巫女さんの頭を右手でグリグリしている。初美さんは「い、痛いですよー!?」と言って涙目になっている。

 

「いや……そんな、大丈夫です……」

 

 私はそんな初美さんに向かって心の中で謝りながら、胸がデカイ巫女さんの方を見る。すると巫女さんは頭を下げて、「自己紹介が遅れました。石戸霞です。そしてこの子が薄墨初美ちゃんで、さっき貴方に声をかけたのが神代小蒔ちゃんで、後ろの方にいる赤髪の子が狩宿巴ちゃん、緑色の髪の子が滝見春ちゃん。五人全員が巫女をやっています」と軽く私に自己紹介した。私は初美さんに謝罪の意を込めて自分の持っていたい◯はすを渡した後、霞さんに向かって「私は小瀬川白望……」と言った。

 そして自己紹介をした後、どうしたら良いのか分からなかった私はとりあえず霞さんに向かって右手を差し出し、こう言った。

 

「よろしく……」

 

 霞さんも「よろしくね」と言って右手を掴み、握手をする。が、その瞬間霞さんがバッと右手を離した。

 

「……?」

 

 私は驚いた表情で霞さんの事を見るが、さっきまで温厚な感じであった霞さんの目は鋭くなっていた。よく見ると、初美さん、小蒔さん、後ろにいる巴さんと春さんまで、私の事を睨みつけるようにして見ていた。

 私になにかあったのであろうか、と思い思考を巡らせるが、すぐに思いつく事があった。それは赤木さんの事である。幽霊ともいえる赤木さんの存在が、もしやこの巫女さん達にバレてしまったのではないか。そう思い霞さんたちの事を見ていると、霞さんは私に向かって「……少し、ついてきてくれるかしら?白望さん」と言った。

 

 

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視点:石戸霞

 

 

「……はい」

 

 私の要望を承諾した白望さんを連れ、私たちが来た道を戻る。抵抗されるかな、とも思ったがすぐに受け入れてくれたところを見ると、そんなに危なくない存在なのであろう。邪悪な気配は一切感じられなかった。

 しかし、そうだというのに私が警戒を解かなかったのは、私が握手した時に白望さんから感じた気配は、先ほど感じた気配と全くの別物であったからだ。いや、力の強大さでいえばどちらも同じくらいなのであろうが、こっちはさっき感じた邪悪な気配とは違い、まるで死んだように凍りつくような気配であった。

 私たちが本来探していたものとは違かったが、それでもこの気配は異常だ。もしかしたらさっきの邪悪な気配と白望さんには何か関係があるのかもしれない。そう思って白望さんを連れてきたのだ。

 

(もしかしたら……この子が取り憑かれてる可能性もあるかもしれない。放っておくのは些か危険ね……)

 

 私はそう思いながら後ろをついてくる白望さんを見る。白望さんの状態は至って普通であり、取り憑かれている、とは思えなかった。が、それはあくまでも見かけ上のものだ。実際はどうなのかは分からない。念には念を入れて、白望さんに何かが憑いていないかを調べ、その後で措置を決める。これが私たちができる最善の手だ。

 そういって歩くこと数分、私たちはこの近くで一番近い山の中へと入った。白望さんがその事に対して疑問に思ったのか、「一体どこに連れてく気……?」と私たちに聞いてきた。

 

「霧島神境です」

 

 白望さんの隣にいた巴ちゃんが真剣な表情で答える。白望さんは「霧島……神境?」と言うと、巴ちゃんは続けてこう言った。「意味が分からないとは思いますが、少なくとも鹿児島ではないところです」と。白望さんはますます疑問そうな表情をしていたが、私たちは既にその霧島神境についていた。

 

「あれっ……さっきまで山の中じゃ……」

 

 白望さんはそういって辺りを見渡している。まあ、余程のことがない限り普通の人間が入れることの出来ない場所だ。それもさっきまで山の中であったのに、いきなりこんな開けた場所へ来た事に驚かない人などいないだろう。もっとも、白望さんは驚いたというよりかは疑問に思う程度であったが。

 

「ようこそ。ここが霧島神境よ」

 

 そうして鳥居をくぐった私は、不思議そうに、しかし何かを考えているかのような表情をしている白望さんに向かってそう言った。

 

 




次回も鹿児島編です。
シロの近くに幽霊として存在する赤木と、シロが抱える闇の中に存在する鷲巣様、両方をいっぺんに見たら霞さんたちはどう反応するのでしょうか。
因みに握手の時感じた気配はシロ本人の気配だったりします。
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