リクエストについては、期限は無いので、ドンドンリクエストしてね!!(宣伝)
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「宮守の神域」でシノハユ第0局
*IFストーリー的なものと見てください。
インターハイの激戦から数年が経ち、私はプロ雀士となり、私の名を世界に轟かせていた。
世間からは『最強にして無敗』『華の麻雀』『怪物』など、私の異名や称号は幾つも有る。そんな中で、私が一番気に入っている称号は言わずもがな『神域』である。実際どうかは断言できないが、この称号を手にした時は私はやっと赤木さんと同じステージに立てた、と感じた。
プロ雀士というのはやはり忙しく、来る日も来る日も麻雀の日常であった。まあ、打ってて楽しいのだから私は文句などは無い。
それにたまに大会とかの解説とかを任される事もある。面白い人とかも結構見かけるので、私は好きだ。
私が著者の本も幾つかあり、結構な売り上げらしい。実際、それを読んで参考にできるかと言われると微妙だ。こんな打ち方に変えることなど不可能だ。私のように最初からあの打ち方で始めなくてはいけない。
…それでも売り上げが伸びるのは日本の麻雀ブームが冷めていない所以であろう。
まあ、私も赤木さんに似たのか、金のことはあまり興味が無いし、普通の生活が送れれば有り余る金は邪魔でしか無いと思っている。
まあ、そんな話はどうでもいいか。
所変わって私は月の光に照らされる夜道を、ある店に向かう為に歩いていた。現在時刻は午後十時。普通なら私は今頃お風呂とかに入ってグダグダしている時間帯にも関わらず、私は出かけていた。
理由はただ1つ、ある者に呼ばれたからである。プロ雀士としての仕事を終え、帰宅しようとしたら一通のメールが私に届いた。差出人は辻垣内智葉からだ。色々誤字脱字があって読み辛かったが、恐らく急いで打っていたのだろう。
何で今日呼ばれたのだろう…と思ったけど、そういえば今日が丁度インターハイの閉会式から5年後の日だったっけ。今年はちょっと遅めにインターハイが始まるから、あんまり実感が湧かなかったけど、あれから5年も経ったのか…
そんな事を考えていると、目的地の店の前まで辿り着いた。扉を開けて入ると、店員さんが私に向かって挨拶をする。
「いらっしゃいませ」
店内には辻垣内智葉、愛宕洋榎、宮永照、その妹の咲が既に席に着いていた。他の客は居なく、貸切みたいな状態になっていた。
「遅かったじゃないか。シロ」
智葉が私の方を見て言う。その言い振りからして、私が一番遅かったようだ。
ここにいる全員がプロ雀士になっているので、別に久々の再会というわけでもなかったが、こうしてオフで会うのは久々だったので、皆心待ちにしていたようだ。無論私も。
「お、咲」
だが、照の妹、宮永咲には結構久々に出会った気がする。まだプロになって三年目という事もあり、私達と比べるとまだそんなにも試合数は多くないからであろう。…咲の同年代と比べれば、咲が一番忙しいそうだが。
「…お、お久しぶりです。シロさん」
咲がぺこりと私に向かってお辞儀をする。幾つになっても、その礼儀正しさは変わらないようで安心したが、
「咲…なんか大人っぽくなった?」
少しの間見なかっただけで、咲は結構成長していた。何か、大人びた感じが物凄い。
「5年前まではあんなちんちくりんだったのになあ〜咲ちゃんも成長したもんやで!」
洋榎が咲の肩に手を回し、お酒を飲む。洋榎、残念ながら今この中で一番子供っぽいのはお前だ。洋恵の席の前のテーブルに並ぶジョッキの数を見るに、相当飲んだなコイツ。
「もう大人ですから!」
咲が胸を張って自信ありげに言う。…前言撤回。咲よ。やはりお前はまだ子供だ。大人はそんなこと言わない。
「どれだけ大きくなっても咲は私の妹。まだまだ子供だよ」
照が相変わらずの甘そうなパフェを頬張りながら咲に向かって言うが、あんまり説得力が無いのはしょうがないといったところか。
「私も大人です!成人式迎えましたから!お酒も飲めるし!…苦っ」
咲が無理をしながらジョッキにあるビールを飲む。だがどう見てもそれは美味しそうに飲んでいるとは言い難い。子供が親のビールを勝手に飲んでいる光景を見ているようだ。
「…変わらないな。皆」
智葉が私達の方を見てしみじみとした感じで呟く。確かにそうだ。皆あれから成長はしたものの、根は全く同じである。
「同窓会…みたい」
照がパフェを食べ進める手を止めて言う。
「まあ、全員学校違うけどな!」
洋榎がビールを飲みながら喋る。…そういえば、咲と照も違う学校だったな。
「まあ、なんだ。乾杯…でもするか?」
智葉が提案する。皆はそれに頷くと、テーブルに置かれたジョッキを持って、智葉が乾杯の音頭をとる。
「コホン。じゃあ、5人の再会を祝して…」
「「「「「乾杯!」」」」」
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乾杯から十数分が経ち、私達は色々な事をくっちゃべっていた。近況報告とか、インターハイの思い出話とか。
そんな感じで話し合っていた私達だが、ふと咲が呟いた。
「そういえば確かインターハイ個人戦の最終戦…小学生の時の大会の決勝戦と同じ面子でしたよね」
そういえばそうだった。インターハイの個人戦最終戦も、小学生の時の全国大会の決勝戦も、私、智葉、照、洋榎で卓を囲んだのであった。
「…あの時は会場が大盛況だったな。メディアの奴らも騒いでたしな。『6年の時を超えた因縁の対決!』…って」
「アレ、仕組んでたとかあらへんのか?今思い返しても、出来過ぎてるやろあんなん」
「さあ。偶然だったら凄いけど…でも対戦表が決まったのって白望がメディアとかにまだ無名の選手だって思われてた団体戦が始まる前だった気がしたけど」
「知ってる人は知ってるんじゃない?メディアの人も結構な数いるし、いそうな気はするけどね。勿論麻雀協会の人とかにも。6年も私の事を覚えているのもすごいけどね」
4人がそれぞれの記憶を思い出す。懐かしいな。あの頃は…今も十分楽しいが、それとは違った楽しさがあった気がする。
そうして昔の話に浸っていた私達だが、ふと智葉が立ち上がり、こう言った。
「…打ってみるか?」
その言葉を聞いた私達も立ち上がり、卓のある場所に移動する。
「この4人で打つなんて場面、滅多にないしね」
私が言うと、洋榎も照も笑い、
「負けへんで、お前ら。最下位はこれ終わったらラーメン奢ってもらうで〜」
「ラーメン…いいね。食べたい」
4人が卓の前に立つ。席順決めはいらない。私が仮東、照が南家、智葉が西家、洋榎が北家。小学生の時も、インターハイの時もどっちもこの席順だった。
「うわぁ…豪華。こんな対局放送したら視聴率ウハウハだね」
咲が卓の近くの椅子を近くまで持ってきて座る。位置は私の後ろ。いずれ闘う私のデータでも集めようとしているのだろうか。まあ、どうでもいい。やるからには本気だ。他の3人も目を鋭くさせ、卓を見つめる。
『世紀の対決』とも謳われた私、智葉、照、洋榎の対局。
1度目は全国小学生麻雀大会決勝。2度目はインターハイ個人戦最終戦。そしてこれが3度目。
咲以外に、私達を邪魔する者は誰もいない。かくいう咲も、黙って私達を見ている。
(…やるか)
賽が振られた。
こんな感じでどうですかねー?
次は本編、準決勝を書きたいですね!(願望)