宮守の神域   作:銀一色

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今回おっどろくほど短いです。
麻雀もしませんし、完全に導入回です。
でも、(次回は麻雀するから)仕方ないね。


第10話 塞の神とカクラサマ

 

 

 

 

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岩手 学校

 

 

「あーー」

休日が明け、岩手に帰ってきた私は、学校で情けない声を出して机に倒れかかった。

 

周りからはいつもの私の様に見えるが、実は全然違う。

昨日大阪から帰ってきた私が早く寝ようとした時、赤木さんが【今から打とう】といきなり言い出した。

 

眠気に襲われていた私は半分寝ながら牌を用意して、打つことにした。

 

しかし、私はその眠気を一瞬で吹っ飛ばされる事になる。

 

赤木さんが何故かは知らないけど本気なのだ。

捨て牌は気持ち悪いし、何より安牌がわからない。

この休日、赤木さんと打ってこなかったので、安牌がわからないのがとても辛かった。

 

最終的にどれを捨てても和了られる様な錯覚に陥り、何とか赤木さんの連荘を止め、そのまま麻雀卓に倒れこむように寝た。

 

そういうわけで今はトラウマを癒している最中だ。

 

危なかった。あと一局で私は失神していただろう。

 

それにしても何故あんな本気で打ったのだろうか。本気を出したら牌が触れなくなるとか言ったのは赤木さんじゃあないか。

 

これ以上赤木さんからの理不尽を受けたら、私は死ぬであろう。精神的に。

 

 

そんな事を考えてグダグダしてた私を強引に起こそうとする輩が来た。

 

「ほら、シロ。理科室行くよ。」

 

臼沢 塞。私の幼馴染である。真っ赤な髪にお団子ヘアーが特徴の人。

随分なお節介焼きで、私によく構ってくれる。

有り難いのだが、今私は心の中で赤木さんの恐怖と闘っているのだ。まだ授業が始まるまで時間はある。

 

「まだ間に合うから…」

そう返すと、塞の後ろからひょこっと出てきたおかっぱの身長の低い少女が私に注意する。

 

「ほら立つ!シロがそう言っても説得力ない!」

 

鹿倉 胡桃である。こちらも幼馴染。塞よりも世話好きで、マナーにとても厳しい。あと身長がとても低い。彼女のコンプレックスの一つである。

 

「しょうがないなあ…」

仕方なく立つ。親友の頼み(?)ともあればしょうがないであろう。

 

 

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学校 廊下

 

理科室に行く途中。私はふと思った。

「そうだ。」

 

「どしたのシロ。」

 

「麻雀しよう。塞、胡桃。」

 

「「!?」」

 

前にも言ったが、私は一回麻雀から身を引いている。そのことについて深く言及しなかったこの2人はすごく優しいな。と思っていた。

 

しかし、今は違う。昔の私とは違うという事を、赤木さんの地獄の特訓の成果を披露しようではないか。

 

 

「いいの?シロ」

塞が驚きながらも私に質問する。

 

私は「勿論。打とう。麻雀。」と返す。

 

「…シロはてっきり、麻雀が嫌いになっちゃったのかと思ってた。」

胡桃が安心したような声で言う。

「じゃあ打とう。今日。放課後!」

 

私達は放課後の約束をする。

 

その時、

 

キンコンカンコーン

 

 

タイミングが悪い時にチャイムが鳴る。

 

「やべっ!行かなきゃ!」

塞が走り出す。

 

「ほらシロも行く!」

胡桃が私の手を掴み走り出す。

 

「…廊下は走っちゃダメじゃないの?」

私の問いにぐぬぬと胡桃が数秒悩み、

「うるさいそこ!不可抗力だからいいの!」

と強引に私を引っ張って走るのを続けた。

 

 

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放課後

視点:小瀬川白望

 

放課後になるなり、颯爽と校舎から出て、近くの雀荘へと寄った。

 

雀荘と言っても、胡桃の祖父母が経営している雀荘なので、特別場代はタダらしい。

 

雀荘に着いた私達は、常連の若手の男の人を交えて4人打ちすることになった。

 

卓に置かれた四つの風牌を取り、席決めを行う。

その結果私が仮東で、上家に常連さん、対面に塞、下家に胡桃という配置になった。

 

次に私が親決めのサイコロを振り(*自動卓ですがこのような表現とします)、起家は塞。

 

塞がサイコロを振り配牌とっていく。

 

私は帰ってきた。

 

私が逃げた『麻雀』というものに、本当の意味で帰ってきたのだ。

 

さあ、始めよう。否、もう一度やり直そう。

 

『祭り』を。

 

 

 

 




次回は本気出して書きます。
そして今日中に投稿します。(多分)
無理だったら途中で分割か延期です。

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