宮守の神域   作:銀一色

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東京編です。
ルー語難しいです……(涙目)


第219話 東京編 ㉒ 風邪

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視点:神の視点

 

 

「買い物って……何を買うの?」

 

 小瀬川白望は自身の腕を掴んで歩く戒能良子に向かってそんなことを聞いた。戒能良子は「ふうむ……クローズとかはどうでしょうか?」と返答する。

 

「クローズ……?ああ、服ね」

 

「That's rightです。てっきり貴方は麻雀やギャンブルばかりの人生だと勝手にシンキングしてたんですが、普通に教養はあるんですね」

 

「それくらい分かるよ……」

 

「それはソーリーです。……あまりにも貴方はストロンガーでしたので。人智を超えるほど。人間らしい一面を見れてサティスファクションです」

 

「サティス……ファクション?」

 

 流石に中学二年生には少しばかり難しい単語だったのか、小瀬川白望は戒能良子に向かって聞き返すと、「満足、という意味ですよ」と戒能良子が付け加える。そんな会話を終えた小瀬川白望は戒能良子の事を見て戒能良子の独特な話し方についてこんな不満らしきものを心の中で漏らしていた。

 

(ところどころ英単語とか混じってるから……なんか話すだけでも疲れるなあ)

 

 まあ、そうは言ってるものの結局は渋々ながらも付き合ってくれるのが小瀬川白望なのだが。……それが小瀬川白望が他人に好かれる理由の一部、なのかもしれない。無論小瀬川白望は知る由もないが。

 そして戒能良子が見つけた近くにあった洋服店に入り、戒能良子曰くショッピングを楽しむこととなった小瀬川白望と戒能良子。小瀬川白望にとってはあまりファッションだの流行りだのは興味が無いらしく、自分が着る服は戒能良子に一任していた。

 

「白望さん、こういうのはどうでしょう?中々にグッドなクローズだと思ったのですが……」

 

 戒能良子はそう言って自分が選んだ服を小瀬川白望の身体に合わせて、外見の方を確認する。まあ実際小瀬川白望はよほど外れたファッションでも無い限り大概似合ってしまうので、あまりどれが特別似合うというのは無いのだが、そこら辺は全て戒能良子が判断していた。

 

「フムフム……ではこれを試着してきてくれませんか?」

 

 戒能良子が小瀬川白望にそう言って服を渡す。渡された小瀬川白望は戒能良子に促されて試着室へと入る。そして小瀬川白望は戒能良子から受け取った服を着ようとすると、少しばかり露出が多いような気もしたが、一年ほど前に怜によって着させられたあの変なセーターよりはマシだろう。そう割り切って小瀬川白望は着る。

 

「……どうかな」

 

 そして着終えた小瀬川白望は試着室から出てきて、待機していた戒能良子に向かってそう言う。戒能良子はそんな小瀬川白望をまじまじと見て「グレイト……エクセレントです」と呟く。

 そんな戒能良子を呆れたような目で見た小瀬川白望は、ふと寒気を感じた。何かを察知したようなそんなものではなく、ただただ普通に寒気を感じたのだ。昨日から身体は本調子ではなかったのだが、それが風邪で、そしてまさかコレで悪化してしまったとでもいうのであろうか。

 

(あー……ちょっとヤバいかも)

 

 小瀬川白望自身風邪を引くなど滅多に無いことで、挙句それが悪化してしまったため今の小瀬川白望の容態は悪かった。小瀬川白望が少しばかり肩を震わせていると、戒能良子はそれに気づいて「オールライト?少し寒かったですかね」と言って小瀬川白望の額に手を当てようとする。原始的な判断方法ではあるが、何もしないで放置するよりかはマシだろう。

 

「いや……大丈夫だから」

 

 しかし、小瀬川白望はその手を払いのける。彼女にも折角戒能良子がショッピングを自分と楽しんでいるというのに、水を差すのは良く無いと思ったのだろう。だが、戒能良子からしてみれば我慢しているようにしか見えなかった。

 

「ちょっ……!」

 

 あの感じを見る限り風邪を引いているのに変に気を遣って我慢しているのだろうと予測した戒能良子は小瀬川白望の事を壁に押しやり、彼女の両腕を壁に押さえつけて額と額を合わせる。多少強引ではあるが、こうでもしないと小瀬川白望は無理をし続けるであろう。それで更に悪化されても戒能良子も困るので、こうするしかなかった。

 

「……ホットですね」

 

 やはり戒能良子が読んでいた通り、小瀬川白望の額は熱かった。それも結構な温度であった。発熱のせいなのか、それともいきなり額同士をくっつけられて恥ずかしがっているのか、顔を少し赤くする小瀬川白望は「これくらい全然大丈……」と言いかけ、突然フラリと倒れそうになる。

 

「おっと……」

 

 そんな小瀬川白望を戒能良子は腕で支える。そして小瀬川白望に向かって「体調はバッドのようですね……マイハウスでナーシングしてあげますよ」と言う。小瀬川白望は戒能良子にこれ以上迷惑をかけまいと断ろうとするが、戒能良子は小瀬川白望が何かを言う前に試着室にある小瀬川白望の服を持って、レジの方に向かって店員に「着たままバイするので、タグをカットして下さい」と言う。そうして戒能良子は小瀬川白望の服を貰った袋の中へと入れ、店を出る。

 

「別にそんなことしなくても良いのに……」

 

 小瀬川白望は店から出ると、フラフラとした足取りで戒能良子に向かってそう言う。戒能良子は「ノープロブレム。それより、マイハウスまで行くのもハードでしょう。私がおぶるので、ライドして下さい」と返答する。

 小瀬川白望は最初こそ拒否しようとしたが、確かにここからどこにあるのかも分からない戒能良子の家まで行くのは厳しいと判断したのか、戒能良子におぶられることにした。

 

(一応私への負担は軽減させているとはいえ……それを考慮してもライトですね)

 

 戒能良子は小瀬川白望をおぶるために何かを呼び出し、戒能良子にかかる負荷を減らしているので大丈夫なのかという事は全く問題なかった。むしろ小瀬川白望が軽くてそっちの方が心配になるほどであった。

 

(色々とハードな生活なんでしょうね……少しウォーリーです)

 

 昨日見た彼女の恐るべき一面を鑑みると、彼女も相当厳しい特訓、鍛錬を積んでいるのであると容易に想像できる。彼女の住む世界がまず常人には耐えられない世界であるため、彼女の疲労も溜まっているのであろう。そんな彼女の事を心の内で少し心配になりながらも、とにかく早く落ち着ける状態にしなければと歩を進める。

 

(戒能さんには悪い事をしたなあ……)

 

 そして対する小瀬川白望は自分のせいで負担をかけてしまったと後悔していた。自分の体調管理くらい意識せずとも出来ていると思っていたが、意外にもできてなかったようだ。

 

(赤木さんが風邪になった事なんて聞いた事無いし……もうこんな事をしないようにしないと……)

 

(それに……おぶられているこの状態が凄い恥ずかしいし……)

 

 高校生におぶられる中学生という異様な状態に小瀬川白望は少し恥ずかしがりながらも、今更降りるというわけにもいかず、結局戒能良子の家までおぶられることとなった。

 

「ウェルカムマイハウスです。……とは言っても、今はそんな事をしている場合では無いですね」

 

 戒能良子はそう言いながら寝室らしき部屋まで小瀬川白望を運び、ベッドの上に寝かせる。そうして布団を被せると小瀬川白望に「タオルと体温計をbringしてきますね」と告げ、寝室から出て行った。

 

(……照と会うのが今日じゃなくて良かった)

 

 そして小瀬川白望は明日に会う約束をした宮永照の事を考えていた。危うく今日の午後とかだったらキャンセルになっていたかもしれない。まあまだ明日行けるという事も不明なため、今日は回復に専念するしか無い。そう思った小瀬川白望であった。




看病プレイ……ですかねえ(意味不明)
次回も東京編。

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