ああ、休日が終わる……
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視点:神の視点
「さあ、行こうか。白望」
「行きましょうか。白望さん」
「えっ、ああ……そうだね」
宮永照と渋谷尭深が小瀬川白望の両側について腕を掴んでそう言う。小瀬川白望は2人にいきなり掴まれたため少しほど驚くが、心の中で(2人とも笑顔だし、いつの間にか仲良くなったのかな……?)と事実とは正反対の事を考えながら2人の事を見る。実際は仲が良いという事は微塵もなく、恋敵として火花を散らしあっているだけなのだが。もちろん笑顔で互いの事を見ているのも、作り笑顔であり、薄皮一枚剥げばそこには闘志に燃える恋する
当然ながら、小瀬川白望はそれが作り笑顔である事に気づくわけもなく、2人は仲が良くなったのであろうというある筈のない空想を頭の中で考えていた。そんな小瀬川白望の事を見てか、赤木しげるは心の中でこう思ったそう。
【(……本当になんでコイツが刺されねえのか、そしてコイツがなんでこれほどにも恋に疎いのか……確かに俺もそういうのは興味は無かったが、ここまで疎いって事はないな……分からねえな、コイツらは本当に……)】
赤木しげるでさえも何故小瀬川白望がそういう他者からの好意、愛情というものを受け取る事ができないのか分からなかった。本人でさえもまず感じることができないという事に気付いていないため、何故なのかは誰にもわかる事はないのだ。
【(……全ての原因ってわけでもないんだろうが、コイツは優しすぎる……無論、勝負の時はそういう情をかなぐり捨てて非情に徹するんだろうが、それ以外の時のコイツは違う……俺のような一匹狼ではなく、人に優しく接する事のできる人間……今は無理でも、将来コイツは俺が手にした"友"とはまた違った、俺が得られなかったものを得れるかもな……)】
「さあ、どこに行きましょう?白望さん」
「そ、そうだね……2人は何処がいい?」
「「私の家!」」
小瀬川白望の問いに対して宮永照と渋谷尭深は同時に同じ言葉を発する。小瀬川白望は困惑しながらも、両者の思いを聞き入れ、結局困ったのでどちらの家にも行くという事に決まった。それを聞いた宮永照と渋谷尭深は心底不満足な結果であるといった表情をしそうになったが、それを堪えて笑顔で「じゃあそうしようか。ね、渋谷『さん』?」 「そうですね、宮永『さん』」と言った裏のある言葉を交わしながら、最初は渋谷尭深の家に行く事になった。
(なんだこれ……何が何だか分からないけど……凄くダルそうな気配が……)
小瀬川白望はようやくここで2人の違和感を感じるが、結局何故なのかは分からず仕舞いで思考は中断され、宮永照と渋谷尭深の両者に腕を引かれながら小瀬川白望は連れて行かれるのであった。
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「ようこそ、白望さん……宮永『さん』」
「お邪魔します、渋谷『さん』」
「え、ああ……お邪魔します……」
小瀬川白望は未だに宮永照と渋谷尭深の間に妙な違和感を感じているものの、ここで口を挟んでも2人に怒られそうな感じがしたので言うことを止めようとした。が、小瀬川白望はどうしても気になってしまい、思わず2人に仲が悪いのかと聞いてしまった。
「いえ、そんな事はありませんよ、ねえ?宮永さん」
「うん。そうだよ……渋谷さん」
「そ、そう……ならいいけど……」
(やっぱり……この2人、ダルい関係だなあ……)
次回も東京編。
日曜なのに忙しい……案の定今回短い……私の日曜はどこ……ここ……?