宮守の神域   作:銀一色

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前回に引き続きです
恒例のあの回。


第307話 高校二年編 ㉓ 湯

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視点:神の視点

 

「……は、はあ!?なに言うとるんや!?」

 

 園城寺怜の入浴の誘いにまず反応したのは江口セーラであった。江口セーラは顔を一段と真っ赤にして立ち上がると、園城寺怜を指差してそう叫ぶ。しかしここで引き退る園城寺怜ではなく、ふふふと不敵な笑みを浮かべた後に江口セーラの肩をガシッと掴むと、小さな声でこう囁く。

 

「なに言うとるんは自分の方や、アホ」

 

「な、なんやて……?」

 

「はー……ええか?風呂っていうのはな、合法的に人の裸体が見れる有難い行為なんや。それをお前は、イケメンさんのあんな所やそんな所を見ずにこの『お泊り』というイベントを終える気なんか?」

 

 園城寺怜が江口セーラを言い伏せるようにして力説すると、江口セーラはただでさえ赤くなっている顔が更に赤みを増し、耳まで紅潮すると「そんな不純な理由で泊まろうと思ったんちゃうわ」と反論するが、それを聞いた園城寺怜はムッとした表情をして「不純とは心外やな。好きな人を知りたいって思う気持ちは全然不純なんかやない。寧ろ人間として当然の反応や」と言い返す。江口セーラはそう言われて少し返答に困っていると、園城寺怜の目がキラリと光ってここぞとばかりに江口セーラにこう詰め寄る。

 

「それとも……あれか?セーラはイケメンさんの裸が、全然気にならんって事か?」

 

「んなっ、いや……」

 

「いやあー……そうやったんなら仕方ないわ。じゃあウチとイケメンさんで()()()入ってくるわ〜」

 

 そう言って口笛を吹く園城寺怜に、江口セーラは堪え切れなくなったのか「分かった……分かったわ。……入るわ」と拳をワナワナと震わせて小さな声で呟いた。それを聞いた園城寺怜は心の中で(……やっと素直になったか。強情な奴め)と呟き、「よっしゃ、入るで!イケメンさん!」と小瀬川白望の腕を引き、風呂場へと駆け込むようにして入っていった。

 

 

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(……服がベタつくなあ)

 

 園城寺怜に半ば強引に洗面所に連れて来られ、意見を発する間もなく風呂に入る事となった小瀬川白望は仕方なく脱衣を始める。汗で濡れたせいで肌にベタつく服に対して嫌悪感を感じながらも、小瀬川白望は淡々と服を脱ぐ。

 

(や、ヤバいわあんなん……まともに見れへん)

 

(触った時に分かっとったけど……ホンマにデカいなあ。これで高校生なんだから恐ろしいわ)

 

 そんな小瀬川白望を、江口セーラは脱いだ服で顔を隠すかのようにバリケードを構築し、そこから隠れるように。園城寺怜はスカートに手をかけているのを制止させ、食い入るようにして小瀬川白望を見ていた。二人がそうして腕を止めている間にも、小瀬川白望は次々と身に付けているものを外していく。そして小瀬川白望の服が外されている度に、二人の欲望のボルテージは高まっていく。

 そして一糸纏わない姿になった小瀬川白望はまだ脱ぎ終えていないどころか全く脱いでいなかった二人に対して「……先入ってていい?」と聞くと園城寺怜は「あ、ああ。ええで。先入ってや」と促した。そうして促された小瀬川白望が浴室に入り、空間を隔てるドアを閉めた途端、園城寺怜と江口セーラは急ぐようにして服を脱ぎ、小瀬川白望の後を追うようにドアを開け、浴室に入っていった。

 浴室では小瀬川白望が頭を洗おうとしていて、そこに園城寺怜がシャンプーボトルを持って小瀬川白望に向かってこう言った。

 

「頭洗ってあげようか?」

 

「ん、いいの?」

 

 小瀬川白望がそう聞き返すと、園城寺怜は「さっきおぶってもらったお返しや」と言うと、シャンプーボトルから溶液を手に取り、シャンプーボトルを江口セーラに渡してこう頼んだ。

 

「じゃ、ウチの頭洗ってくれや。セーラは後でイケメンさんに洗ってもらうとええで。それでええやろ?イケメンさん」

 

「うん……いいよ」

 

 そうして小瀬川白望の頭を園城寺怜が、園城寺怜の頭を江口セーラが洗うという三連結状態で頭を洗い始める。そして園城寺怜は小瀬川白望の頭を洗っている最中、心の中で(髪、ふわっふわやな……)と髪の感触を楽しみながら洗っていた。

 そしてその後は今度は小瀬川白望が江口セーラの頭を洗い、その次に身体を洗い、浴槽の中に入った。

 

 

 

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「ああ……いい湯や」

 

 浴槽の中で園城寺怜は浴室の天井を見上げながらそう呟き、身体を湯の中に沈める。それに同調するように小瀬川白望は「そうだね……」と言う。

 

「……ほれ、セーラ。どこ見とんねん」

 

 視点を天井から水平に戻した園城寺怜は浴槽の中でそっぽを向いている江口セーラの背中を小突いて声をかける。江口セーラは園城寺怜の方を振り返って「ようそんな平然と見れるわ……」と言う。

 

「そう言わずに、裸の付き合いくらい仲良くやろうや。なあ?イケメンさん」

 

「……そうなんだ」

 

 そう言って園城寺怜は江口セーラの肩を引っ張ると、園城寺怜は江口セーラを小瀬川白望に近づけさせる。小瀬川白望は園城寺怜に促されて江口セーラを優しく抱擁すると、顔を赤くしてこう叫んだ。

 

「ひ……ひゃあああ!」

 

「お、良い声やな」

 

「……セーラって見かけによらずにスベスベしてるよね」

 

「そ、そんなん言うな〜……///」

 

 江口セーラは顔を湯に埋めんばかりに俯向くが、園城寺怜はその上に江口セーラを小瀬川白望と自分で挟むように抱きつき、江口セーラを完全に包囲する。それによって江口セーラは逃げようにも逃げられず、しかし嬉しさを顔に滲ませながらも、三人の少女の裸の付き合いはその後も十数分は続くこととなった。

 

 




次回に続きます。

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