宮守の神域   作:銀一色

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前回に引き続きです。
エロい怜は今日も平常運転。


第308話 高校二年編 ㉔ 泥酔

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視点:神の視点

 

 

「ふう……」

 

 裸の付き合いという名の入浴を済ませた小瀬川白望は寝巻きを身に付けて、テーブルを前にして床に座り込む。そして小瀬川白望はテーブルに突っ伏しながら一息つくと、園城寺怜が両手に何かを持って小瀬川白望の側にその持っている片方のをそっとコトンと置くと、園城寺怜は「風呂上がりの一杯や」と言う。小瀬川白望が首を曲げてその園城寺怜が置いたものを見ると、それは飲み物が入ったコップであった。中身は何かはわからないが、何やら空気がパチパチとしているところを見るに炭酸ジュースなのだろうと小瀬川白望が推測すると、園城寺怜に「セーラはどこに行ったの……」と聞いたところ、園城寺怜はコップに注がれているものを口に含んだ後、「部屋で髪整えとると思うで〜」と答えた。

 

「……顔赤いけど、何かあった?」

 

「いや〜……?何もないわ〜」

 

 いつもとは違う反応を示した園城寺怜に若干の不信感を抱きながらも、園城寺怜に渡された飲み物を口に運ぶ。味覚がおかしくなったのかは分からないが、炭酸ジュースだと思って飲んだというのにジュースとは思えない苦味を感じた。小瀬川白望は首を傾げながらも、いちいち気にするのも面倒だと思った小瀬川白望はグッと飲み干す。

 

(怜には悪いけど……あんまり美味しくないなあ……苦いし)

 

 心の中で渡された飲み物に対して文句を言うが、取り敢えず園城寺怜から渡された飲み物を小瀬川白望は全部飲み干した。しかし、飲み干したものはいいものの、飲み干して数秒が経ったと思いきや、急に小瀬川白望の身体に異変が現れる。

 

(何だこれ……熱いし、何か……良い気分……)

 

 小瀬川白望の身体は体温が上昇し、それだけでなく何やら爽やかな気分になっていくのを感じた。時間を重ねていくごとに小瀬川白望の頭もぼーっとしはじめる。そして小瀬川白望がようやく自分の飲んだもの……園城寺怜から渡された飲み物に疑惑を感じた頃には、脳の処理能力も程よく削り取られた頃であった。

 

「と、怜……?」

 

「らあに……?イケメンさーん……」

 

 園城寺怜は呂律が回らない様子で小瀬川白望の呼びかけに反応すると、顔を真っ赤にしながら小瀬川白望に抱きつこうとするが、小瀬川白望は身体の重心を保てずに園城寺怜に押し倒されるような体勢になると、小瀬川白望は押し倒されていることに対して何も感じず……いや、脳が麻痺しているせいで何も感じれずに園城寺怜にこう質問する。

 

「怜……私が飲んだの……何……?」

 

「あー……あれな……?」

 

 園城寺怜がそう言って顔を小瀬川白望に寄せる。園城寺怜の息からは何やら変な臭いがしたが、それが何かを識別すること今の情報処理ができない小瀬川白望にはできなかったが、小瀬川白望は園城寺怜から発せられる言葉によってその正体を知ることになるはずだった。しかし、その前に園城寺怜は何かを言い躊躇うと、ニヤリと笑って勢い任せに小瀬川白望に接吻を交わす。

 

「……んッ!?」

 

 小瀬川白望が驚きのあまり目を見開くが、園城寺怜は無我夢中になって必死に小瀬川白望の唇を貪る。二人の吐息やら唾液やらが混じり合い、どんどん小瀬川白望の思考能力は働かなくなっていく。そうしてようやく園城寺怜の唇が離れたかと思うと、蕩けた顔で小瀬川白望が飲んだ飲み物の正体を明かす。

 

「……お、さ、け、や。お酒。炭酸ジュースかと思ってたら間違ってたみたいやなあ……」

 

「お……お酒?」

 

 小瀬川白望が戸惑いながら空になったコップを見る。どうやら苦味を感じ、飲んだ後に急に熱くなったのも、爽やかな気分になり、頭がボーッとしたのも全部引っ括めて先ほど飲んだ酒のせいのようだ。その事実を知って呆然としている小瀬川白望だが、園城寺怜は接吻を続行せんとし、小瀬川白望に顔を近づける。しかし小瀬川白望は手で園城寺怜の顔を押さえ、流石に我に返ったのか園城寺怜に向かってこう言う。

 

「ちょ、怜……何するの……」

 

「んー?イケメンさんとキスするんよ。別に減るもんやないやろ?なあ、なあ?」

 

 園城寺怜がそう言って先ほどから接吻を妨害する小瀬川白望の手を掴み、邪魔者がいなくなったのを確認すると鼻息を荒くしながら小瀬川白望の唇に迫る。小瀬川白望も抵抗の意思は見せているものの、酒に酔っているせいか力が入らず、病弱非力な園城寺怜に押さえつけられるほどであった。その抵抗しようとしているのにまともに抵抗できていない小瀬川白望が園城寺怜からは誘っているように見え、更に園城寺怜を欲情させた。

 

「むふふ……んぁ!?」

 

 そして小瀬川白望と園城寺怜の唇が触れそうになった瞬間、園城寺怜の身体が宙に浮く。小瀬川白望が驚いて園城寺怜の方を見上げると、そこには園城寺怜を羽交い締めにする江口セーラが、顔を真っ赤にしながら立っていた。

 

「な、何するんやセーラ!後もうちょっとでベッドインやったのに!」

 

「何か妙な気配がしたと思ったら……何か変な臭いするし、酒でも飲んだんか……と思ったらシロにも飲ませたんやな。怜」

 

「くそっ、くそ!離すんやー!」

 

 

 園城寺怜が江口セーラの羽交い締めから抜け出そうとするが、ただでさえ病弱非力で、尚且つべろんべろんに酔って力が入っていない園城寺怜が江口セーラの羽交い締めから抜け出せるわけがなかった。江口セーラは取り敢えず園城寺怜をソファーに座らせると、未だ仰向けに倒れている小瀬川白望の腕をとってこう声をかけた。

 

「大丈夫か?シロ」

 

「セーラ……」

 

 江口セーラに腕を引かれ上体を起こした小瀬川白望は、顔を赤くするのを隠すように江口セーラの胸元に向かって抱きついた。江口セーラは驚いたあまり先ほど園城寺怜が小瀬川白望にやったように、今度は小瀬川白望に押し倒される形になった。江口セーラは自身の胸元に顔を埋める小瀬川白望に声をかける。

 

「ちょ、どしたん?シロ?」

 

 

「……」

 

 しかし江口セーラがどんなに声をかけても小瀬川白望からは何も返答が来ず、どうすればいいのかと江口セーラは顔を赤くして焦っていたが、暫くすると小瀬川白望から寝息が聞こえてきた。

 

「全く……怜、後でちゃんと謝っとけよ」

 

 園城寺怜に向かってそう言ったが、小瀬川白望と同じく園城寺怜からの返答は聞こえなかった。江口セーラは小瀬川白望を起こさないように首を起こして園城寺怜の方を向くと、園城寺怜はソファーの上で眠りについていた。

 

(……起きたら説教やな)

 

 




未成年の飲酒、ダメ絶対。
次回に続きます。

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