もうすぐ南入が見えてきた…
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視点:上埜久
東3局1本場 親:上埜 ドラ{2}
小瀬川 31000
小走 15400
上埜 33200
白水 20400
前局、私は満貫ツモで逆転トップになった。
しかし、トップと雖も2位との差は僅か2200。
ノミ手の直撃で吹っ飛ぶ差だ。安全圏には程遠い。
(というより、この卓だったらどんな点差でも安全圏ではないでしょうけどね…)
上埜:配牌
{三四六八九九②④236東西西}
2、3、4の三色が狙える比較的良い配牌だ。{西と九}が対子な為、断么まで持っていくのはキツそうだが、そう無茶も言ってられないだろう。
そうして私が{東}を打った瞬間、対面から牌が2枚倒れる。
「…ポン」
小瀬川:手牌
{裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏} {東横東東}
小瀬川さんが飜牌を鳴く。
(速攻…?)
そう冷静に分析していた私だが、次の瞬間にその冷静は砕け散る。
打{2}
小瀬川さんが打ったのはドラ。ドラの{2}。通常、飜牌鳴きのドラ打ちはそんなに驚く事でもない。
しかし、それが最初の最初…1打目でなければの話だ。
ドラを切る時の理由は、幾つかはある。
その周辺の牌が全部ない状態や、他の色に染める為や、聴牌する時の溢れ牌などが挙げられる。
…つまり、小瀬川さんの手は既に聴牌もしくは目前まで迫っており、尚且つ高打点という可能性が高い。
小瀬川さんのドラ打ちに若干場は凍りつくが、小走さんがその{2}を鳴く。
「チ、チー!」
小走:手牌
{裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏} {横234}
打{発}
断定はできないが、小走さんも速そうだ。おそらくこの不穏な雰囲気から抜け出したいのだろう。
序盤から既に急展開が始まり、多少戸惑いながらも私にツモが回る。
上埜:手牌
{三四六八九九②④236西西}
ツモ{4}
{23}の搭子が面子へと進化する。溢れた{6}を、さっき軽々しく切った{東}の何倍も警戒しながら切る。
白水
打{九}
白水さんも私の{6}切りと同じように警戒しながら{九}を切る。{九}は私が2枚持っているが、これを鳴いてはこの手は死んでしまう。いいとこ鳴き三色ドラ1に仕上げれば良い方。もしくは役無しになってしまう可能性だって十分にある。
が、
「チー」
{裏裏裏裏裏裏裏裏} {七八} {東横東東}
小瀬川さんが{七と八}を倒す。
(まずっ…!)
これはまずい。ここで{九}鳴きとなると、彼女の手は東チャンタ三色でほぼ確定。聴牌はしているだろう。
(ここで和了られたら、小瀬川さんの独壇場になる…!)
そう悟った私は、考えるよりも先に{九}を倒す。
「ポン!」
チーとポンが同時に起きた時、優先されるのはポン。つまり小瀬川さんのチーを阻止する事に成功する。
(鳴いたのはいいけど…ここからどうするか…)
上埜:手牌
{三四六八②④234西西} {九九横九}
そう。鳴くまではよかったのだ。だが、鳴いたことによってこの手は一瞬にして融通が利かなくなった。
(取り敢えず、聴牌しても和了れる形にしないと…)
そうなると搭子のどちらを切るかに絞られる。鳴き三色に使う{②④}は残さないといけないので、必然的に{六八}の搭子を切る事になる。
打{八}
「ーーーー」
何かが聞こえた。誰かが声を発した。
正確には、"対面の小瀬川白望がロンと発した"。
「え?」
ありえない。だって、お前は、さっき、鳴こうとしていたじゃないか。
聴牌していなかったから、鳴こうとしたのではなかったのか。
「…聞こえなかった?」
悪魔がもう一度口を開く。私に、皆にちゃんと聞こえるように。
「ロン」
小瀬川:和了形
{七八八九⑦⑧⑨789} {東横東東}
「東、三色。2300。」
「ど…うし…て?」
気がつくと私は声に出していた。
それに対し、悪魔は笑みを浮かべ、
「…私が鳴こうとしたのは、あなたを鳴かせようとしたから。」
悪魔が淡々と説明を始める。
「人が、いつも自分の思うように行動するとは限らない…」
「信じるなよ…私を。」
「…」
私は怯えていた。振ってしまった事に怯えているわけではない。打点の高さに怯えているわけではない。
もっと、別。小瀬川白望の中にある別の何かに触れた気がした。
次元が違う。
この人には、確率だとか、絶対だとか…多分、そんなものは一切通用しない。
でなければ、あんな打ち方などできない。
そんな、私が{九}を2枚持っている前提の行動など、できるわけない。
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視点:白水哩
*流石に心理描写は標準語にします。
(なんだこの和了…こぎゃんのお手上げだ)
隣で震えている上埜を尻目に、小瀬川の和了形を見つめる。
牌だけ見れば、そんな震えるほどでもない。
問題はその過程だ。
もし、あの場面で上埜が動かなければ、小瀬川の策は死んでいたのだ。
(いや…鳴くと確信しよったからこそか。つくづく驚かされる人ばい。)
上埜が振り込んだので、親が私に回る。
今の状況だと、和了るのは厳しい。
(なら、この東場は…捨てるまで…!)
東4局は和了するよりも、小瀬川の独壇場になる前に奴の親を終わらせる…私の親諸共。
(しっかし、あの小瀬川のセリフ…痺れた…ウチにも言って欲しか…)
私の中で何かが目覚めた気がしたが、気にしないでおこう。
容赦のないシロの猛攻が3人を襲う…!(かも)
哩さんはドMだと思います。(失礼)