宮守の神域   作:銀一色

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東3局1本場です。
もうすぐ南入が見えてきた…


第23話 全国大会第1回戦 ⑦ 誘発

 

 

 

 

 

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視点:上埜久

東3局1本場 親:上埜 ドラ{2}

 

小瀬川 31000

小走 15400

上埜 33200

白水 20400

 

 

 

前局、私は満貫ツモで逆転トップになった。

しかし、トップと雖も2位との差は僅か2200。

ノミ手の直撃で吹っ飛ぶ差だ。安全圏には程遠い。

(というより、この卓だったらどんな点差でも安全圏ではないでしょうけどね…)

 

上埜:配牌

{三四六八九九②④236東西西}

 

2、3、4の三色が狙える比較的良い配牌だ。{西と九}が対子な為、断么まで持っていくのはキツそうだが、そう無茶も言ってられないだろう。

 

そうして私が{東}を打った瞬間、対面から牌が2枚倒れる。

 

「…ポン」

 

小瀬川:手牌

{裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏} {東横東東}

 

小瀬川さんが飜牌を鳴く。

(速攻…?)

そう冷静に分析していた私だが、次の瞬間にその冷静は砕け散る。

 

打{2}

 

小瀬川さんが打ったのはドラ。ドラの{2}。通常、飜牌鳴きのドラ打ちはそんなに驚く事でもない。

 

しかし、それが最初の最初…1打目でなければの話だ。

 

ドラを切る時の理由は、幾つかはある。

その周辺の牌が全部ない状態や、他の色に染める為や、聴牌する時の溢れ牌などが挙げられる。

…つまり、小瀬川さんの手は既に聴牌もしくは目前まで迫っており、尚且つ高打点という可能性が高い。

 

小瀬川さんのドラ打ちに若干場は凍りつくが、小走さんがその{2}を鳴く。

 

「チ、チー!」

小走:手牌

{裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏} {横234}

 

打{発}

 

断定はできないが、小走さんも速そうだ。おそらくこの不穏な雰囲気から抜け出したいのだろう。

 

序盤から既に急展開が始まり、多少戸惑いながらも私にツモが回る。

 

上埜:手牌

{三四六八九九②④236西西}

ツモ{4}

 

{23}の搭子が面子へと進化する。溢れた{6}を、さっき軽々しく切った{東}の何倍も警戒しながら切る。

 

白水

打{九}

 

白水さんも私の{6}切りと同じように警戒しながら{九}を切る。{九}は私が2枚持っているが、これを鳴いてはこの手は死んでしまう。いいとこ鳴き三色ドラ1に仕上げれば良い方。もしくは役無しになってしまう可能性だって十分にある。

 

が、

 

 

「チー」

 

{裏裏裏裏裏裏裏裏} {七八} {東横東東}

 

小瀬川さんが{七と八}を倒す。

(まずっ…!)

これはまずい。ここで{九}鳴きとなると、彼女の手は東チャンタ三色でほぼ確定。聴牌はしているだろう。

 

(ここで和了られたら、小瀬川さんの独壇場になる…!)

そう悟った私は、考えるよりも先に{九}を倒す。

 

「ポン!」

 

チーとポンが同時に起きた時、優先されるのはポン。つまり小瀬川さんのチーを阻止する事に成功する。

 

(鳴いたのはいいけど…ここからどうするか…)

 

上埜:手牌

{三四六八②④234西西} {九九横九}

 

そう。鳴くまではよかったのだ。だが、鳴いたことによってこの手は一瞬にして融通が利かなくなった。

 

(取り敢えず、聴牌しても和了れる形にしないと…)

 

そうなると搭子のどちらを切るかに絞られる。鳴き三色に使う{②④}は残さないといけないので、必然的に{六八}の搭子を切る事になる。

 

打{八}

 

 

 

 

「ーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

何かが聞こえた。誰かが声を発した。

 

 

 

正確には、"対面の小瀬川白望がロンと発した"。

 

 

「え?」

 

 

 

ありえない。だって、お前は、さっき、鳴こうとしていたじゃないか。

聴牌していなかったから、鳴こうとしたのではなかったのか。

 

 

「…聞こえなかった?」

 

悪魔がもう一度口を開く。私に、皆にちゃんと聞こえるように。

 

「ロン」

 

小瀬川:和了形

{七八八九⑦⑧⑨789} {東横東東}

 

 

「東、三色。2300。」

 

 

 

 

「ど…うし…て?」

気がつくと私は声に出していた。

それに対し、悪魔は笑みを浮かべ、

 

 

「…私が鳴こうとしたのは、あなたを鳴かせようとしたから。」

悪魔が淡々と説明を始める。

 

「人が、いつも自分の思うように行動するとは限らない…」

 

「信じるなよ…私を。」

 

 

 

 

 

 

「…」

 

私は怯えていた。振ってしまった事に怯えているわけではない。打点の高さに怯えているわけではない。

 

もっと、別。小瀬川白望の中にある別の何かに触れた気がした。

 

次元が違う。

 

 

この人には、確率だとか、絶対だとか…多分、そんなものは一切通用しない。

 

でなければ、あんな打ち方などできない。

 

そんな、私が{九}を2枚持っている前提の行動など、できるわけない。

 

 

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視点:白水哩

*流石に心理描写は標準語にします。

 

 

 

(なんだこの和了…こぎゃんのお手上げだ)

隣で震えている上埜を尻目に、小瀬川の和了形を見つめる。

牌だけ見れば、そんな震えるほどでもない。

問題はその過程だ。

もし、あの場面で上埜が動かなければ、小瀬川の策は死んでいたのだ。

 

(いや…鳴くと確信しよったからこそか。つくづく驚かされる人ばい。)

上埜が振り込んだので、親が私に回る。

今の状況だと、和了るのは厳しい。

(なら、この東場は…捨てるまで…!)

東4局は和了するよりも、小瀬川の独壇場になる前に奴の親を終わらせる…私の親諸共。

 

 

(しっかし、あの小瀬川のセリフ…痺れた…ウチにも言って欲しか…)

私の中で何かが目覚めた気がしたが、気にしないでおこう。




容赦のないシロの猛攻が3人を襲う…!(かも)
哩さんはドMだと思います。(失礼)
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