宮守の神域   作:銀一色

368 / 473
前回に引き続きです


第356話 一回戦編 ⑧ Bブロック

-------------------------------

視点:神の視点

 

 

 Bブロックではシード校を除いて、宮守女子に続いて二校目となる二回戦進出を決めた清澄高校の中堅かつ部長を務めている竹井久が清澄高校の控え室へと極度の緊張から解放されたのか、胸を撫で下ろしながら戻ってきた。そんな全体のリーダー的存在である竹井久の帰還に清澄高校のメンバーが祝福をあげる。

 

 

「お疲れ様だじぇ、部長!」

 

「お疲れ様です」

 

「意外と大丈夫そうでしたね。染谷先輩が心配していましたけど、安心しました」

 

 原村和が竹井久に向かってそう言うと、染谷まこが原村和に口元で指を立てながら「シーッ!わざわざ言わんでも……」と少し小っ恥ずかしそうに言う。それを聞いていた竹井久はふふっと笑って、染谷まこに向かって「心配ありがとうね。まこ」と返した。

 

「……二回戦は久、あんたの知り合いがいるところと当たるんか?」

 

「ええ、そうなるわね……あの宮守と。ついに」

 

 そう言って竹井久は須賀京太郎の事を見る。すると目があった須賀京太郎だが、竹井久が言っている人物を理解しているようで、目が合うなりコクリと頷いた。

 

「まあ、二回戦はそれ以外にも強敵揃いだけどね。シード校の永水と、シード校から外れたとはいえ、強豪校であることには変わらない姫松高校。この二校も宮守に負けず劣らずの化け物揃い。総合力で言えば確実に私たちが一番弱いわ」

 

 竹井久は清澄高校の現状を客観的に伝える。聞けば聞くほど気の遠くなって行く話ではあるが、竹井久は「……だけど」と前置きし、こう続ける。

 

「私達も個人個人が全力……いえ、全力以上の力を出せれば勝つ確率は上がってくる。瞬間的に全力を超えることができれば、どんな相手でも勝てるわ!」

 

 そう言って清澄メンバーを鼓舞する竹井久。無論、本人も未だ緊張によって支配されている。その証拠に、先ほどの試合も結果は他校を飛ばして副将と大将を表に出す前に終了という最高の結果ではあったが、愛宕洋榎が見抜いていたようにまだ万全とは言い難く、愛宕洋榎曰く『腑抜けた麻雀』であった。

 そんな竹井久をよそに、片岡優希と話をしていた原村和はトーナメント表の宮守女子という文字を見ながら、頭の中でこんな事を呟いていた。

 

(……ようやく。白望さんと会える日が来ましたね。責任、とってもらいますから)

 

(な、なんかのどちゃんが怖いじぇ……?)

 

 

-------------------------------

 

 

「日頃から……チャンタの安さには疑問を感じとってた。……せやけど、今回ばかりはその安さに感謝せなあかんな」

 

(……?何言っとるんじゃ……?)

 

 

 姫松高校の初陣、その中堅戦。主将であり絶対的エースの愛宕洋榎はそんな事を呟きながら自分の手牌を見つめていた。一方の振り込んだ鹿老渡の佐々野いちごは、安手で流せて良かったと安堵していたが、次の瞬間、その安堵が一転、絶望へと叩き落される。

 

 

愛宕洋榎:和了形

{九九九一一一9} {⑨⑨横⑨⑨} {横111}

 

 

「清老頭、や……!」

 

(……は、は……!?)

 

 佐々野いちごは驚愕しながら愛宕洋榎の清老頭を見つめる。愛宕洋榎は興奮する胸を押さえつけながらも「32000ーー。思ったより痛いんちゃうんか?」と点数を宣告する。

 この役満が炸裂するまで、点棒では鹿老渡が姫松を上回り、優位であったのだ。その優位が、一発の役満で吹き飛ぶこととなる。絶望しきった佐々野いちごをよそに、愛宕洋榎は心の中で興奮しながらこう叫んだ。

 

(生まれて初めてのインハイでの役満……それがシロちゃんに見せられた清老頭……!シロちゃんのはもっと凄かったけど、これを和了れるなんて、最高、最高、最高や!)

 

 結局この役満を皮切りに、ムードは一変姫松高校のムードとなる。勝負も大将の末原恭子まで回ったものの、終わってみれば姫松高校の圧勝で二回戦進出が決まった。

 

 

-------------------------------

 

 

「おー……あちらの方は凄い頑張ってるね」

 

「皆さん素敵です……」

 

 

 一方、明日に初陣である一回戦を控えていた有珠山高校はテレビを見ながらそんな事を呟いていた。すると獅子原爽がテレビを見ていた岩舘揺杏の事を呼ぶと、こう言い出した。

 

「そういえば、この前の衣装」

 

「おお、どうだった?」

 

 岩舘揺杏が獅子原爽に向かってそう聞くと、獅子原爽は照れを隠すかのように後ろを向いて、「最高に可愛かった。一生モンだよありゃあ」と答えた。

 

「そうか……そりゃあ良かったな」

 

「……ありがとうな」

 

 獅子原爽がそう言うと、岩舘揺杏はトーナメント表を見ながら「……ウチらが宮守と当たるには、少なくとも準決勝まで勝ち進まなきゃいけないな」と獅子原爽に向かって言う。

 

「そうだな……だから、ちゃんと私まで回せよ?」

 

「……分かってるよ。ウチらを舐めるな。な?成香?」

 

「えっ!?あ、はい……素敵に頑張りたいと思います!」

 

 そう本内成香が答えると、獅子原爽は桧森誓子と真屋由紀子の方を向いて「チカ、ユキ。お前らも大丈夫か?」と聞くと、口を揃えて「大丈夫」と返ってきた。どうやら、有珠山高校も初戦の準備は既にできているようであった。




次回に続きます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。