感想に対しての返事は明日以降になりそうです。
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視点:神の視点
(お、爽……)
前日一回戦を首位で終え、二回戦進出を決めたばかり……とは言っても副将の臼沢塞が他校を飛ばして終わらせてしまった為、自身の出番がなく、二回戦以降へと持ち越された小瀬川白望は自身の知人がいる中で唯一まだ二回戦進出を決めていなかった。そんなBブロックの有珠山高校の一回戦、その大将戦が行われているのにちょうど気付いた小瀬川白望は、先ほどまでずっと寝ていたという事が一目で分かるパジャマ姿のまま、姉帯豊音の隣にスッと座ると、「シロ、おはようだよー……っていうか、もうこんにちはだけどねー?」と姉帯豊音に言われる。
「全く。いくら試合が無い日だからと言って、何時間寝るつもりなのよ」
「うーん……その気になればいくらでも寝れるけど」
「いや、塞の言いたい事はそういう事じゃないでしょ……」
臼沢塞の問いに至って真剣に答えた小瀬川白望であったが、隣にいた鹿倉胡桃にバッサリと切られる。小瀬川白望は目をショボショボさせながらも、しっかりと獅子原爽の対局をジッと見つめるのであった。
「シロ、コノヒトツヨイ?」
「ん……どうだろ……結構前の記憶だけど、何か色々なものを従えてたような……」
小瀬川白望がエイスリンの質問に対してそんな事を呟いていると、獅子原爽がその直後に和了った。熊倉トシが「今の和了はソレなのかい?」と聞くが、小瀬川白望は首を傾げて「いや……爽が使った時はもっと分かりやすい変化があるから、違うと思う……」と否定する。
(温存……なのかな。色んな種類の能力……確か『カムイ』とか言うんだっけ。幾らでもいそうだから温存する意味はないと思うけど……何か制限でもあるのかな)
小瀬川白望はなかなか能力を使おうとしない獅子原爽のことを見てそう考察をするが、小瀬川白望のこの考察は的を得ており、獅子原爽がカムイを使ってしまうと、使ったカムイが北海道へと戻ってしまうため、無限に使えるわけではなかった。
そしてその後も獅子原爽がカムイを使う事はなく、無難に有珠山高校が二回戦進出を決めた。しかし、それはあくまでも大将戦の話であり、一回戦全体で見るとそういうわけでもないようで、どうやら小瀬川白望が見始めた大将戦こそ獅子原爽が無難な闘牌を繰り広げていたが、中堅戦までは有珠山高校が三位につけていたらしく、副将戦で一位を奪還していたらしい。そのことを宮守メンバーから聞かされた小瀬川白望は(ふーん……爽以外にも面白そうな人がいるもんだね)と心の中で呟いていた。
(……明日は、白糸台と新道寺が当たるんだっけ)
小瀬川白望はカレンダーとトーナメント表を見比べるようにして見ると、心の中でそう呟く。前回の春の全国大会で白水哩と宮永照が闘った時は宮永照が勝利を収めたが、今回の団体戦では互いに当たるということはないようだ。
(白糸台の先鋒は照……新道寺の方は花田さん……まさか九州の方まで行ってるなんてね……しかも哩と姫子がいるところに……偶然ってものなのかな)
以前会った時は長野県にいた花田煌が、どういうわけか福岡の新道寺に進学しており、しかも白水哩と鶴田姫子と同じ高校というとても偶然とは言い難いような不思議な事に小瀬川白望はどこか感慨深いものを感じていたが、その話は一旦置いといて、小瀬川白望は姉帯豊音に向かって「……三日後の二回戦。相手は今までの数倍強くなるけど豊音、自信ある?」と問い掛ける。
「神代さんとか、ちょー強い人もいるけどー……頑張っちゃうよー」
(こういう時……小蒔みたいに神様を降ろせる戒能さんとかがいれば話は変わってくるんだろうけど……仕方ない)
「そっか。その自信が本当かどうか、今から確かめようか。胡桃、エイスリン。ちょっと卓について」
「し、シロー……?」
「私は小蒔みたいに神様は降ろせないけど……仮想神代小蒔として打つから、やろうか」
無論、この後姉帯豊音が疲労によって突っ伏すまで対局が行われたのだが、それはまた別の話である。
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視点:神の視点
「あ……新道寺の白水さんからメールだ」
一方、明日にシード校の白糸台にとっては初戦である二回戦を控えていた宮永照は、同級生であり部長(兼御世話係)の弘世菫とともに室内でゆったりと過ごしていた。そんな中、明日二回戦で白糸台と当たる新道寺女子の主将、白水哩からメールが届いていた。宮永照が携帯電話を開いて二十数秒後、首を傾げて宮永照が本を読んでいた弘世菫に対して「ねえ菫。なんて書いてあるのこれ」と言って携帯電話を弘世菫に突き出す。佐賀弁で埋め尽くされた白水哩のメールを目を細めながら見つめた弘世菫ではあったが、無論いくら勤勉な弘世菫であれど佐賀弁を解読できるわけもなく、本をパタンと閉じて「……多分、『明日は頑張ろう。負けないからな』って感じじゃないのか?」と宮永照に向かって言ったが、宮永照が困った顔をして弘世菫にこう言い返す。
「そんなアバウトじゃ、返信に困る」
「そうは言ってもだな……なんだったらそのまま放置でもいいんじゃないのか?」
「それは、ダメ。相手に失礼」
「……白望から来た時は悶えて結構な時間放置していた時もあったのにか?」
弘世菫がそう言うと、宮永照は顔を真っ赤にして「それは……でも、ちゃんと返したは返したよ」と反論する。それを聞いた弘世菫が「悪い悪い。揶揄いたかっただけだ」と言うと、こう続けた。
「まあ、どんな感じで送っても構わないだろう。事実上の宣戦布告なわけだしな」
「そう言うものかな……まあ、いいか」
宮永照が若干満足してなさそうな表情のままいかにも無器用そうな手つきで返信メールを打ち、そのまま送信すると「ふう」と溜息をついて床にペタリと座ってしまった。
「珍しいな。緊張で疲れてるのか?」
「どうだろ……」
「……あんまり無理するなよ」
弘世菫が何気なくそう宮永照に言うが、宮永照は「……多少無理くらいは、しないといけないよ」と即座に否定する。
「白望はあの時、本当に死んでもおかしくないくらい無理をしていた……私には、そこまでの覚悟はあの時無かったと思う。だからこそ、負けた。インターハイに優勝するには……白望に勝つには、自分の身を投げ捨てる覚悟を持たなくちゃいけない……」
そう淡々と述べる宮永照に、弘世菫は先ほどの宮永照の溜息とは意味がまた違った溜息をつくと、宮永照の肩をポンと叩いて「それはあくまでも対局中の話だろう。私が言いたかったのは疲れてるのを無視してそのまま倒れたり、風邪とか引くなよって意味だ」と言った。
(……全く。私にはついていけないよ。バケモノたち相手には)
次回に続きます。