宮守の神域   作:銀一色

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第393話 二回戦B編 ② 的中

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視点:神の視点

東一局 親:清澄 ドラ{5}

 

清澄 100000

宮守 100000

姫松 100000

永水 100000

 

 

(ほんまや……本当に清澄が起家……)

 

 

(シロの言ってた通りだねー……)

 

 遂に始まった二回戦Bブロック第一試合、サイコロを回して起家となった清澄を見ながら、姫松の上重漫と宮守の姉帯豊音は同時に事前の情報通りだという事を心の中で確認する。上重漫は姫松の参謀である末原恭子から、姉帯豊音は小瀬川白望から言われてきた事がちょうど現実として起こっていた。

 

(末原先輩の言ってた東風ブースト……暴れ回られるのは色々と面倒やけど……それ以上に宮守の姉帯がどう動くかや……)

 

『ええか、漫。確かに片岡の東風の強さは筋金入りや。せやけど、それ以上に宮守の姉帯に注意せえ。片岡が起家でも、な。……まあ、大半は起家やろうけど』

 

『注意って……具体的にどうすればええんです?』

 

『簡単な事や。一局見送る、これだけでええ。その一局で姉帯に最初から攻め気があればそのまま姉帯に片岡の親を蹴ってもらうのを任せてもええし、姉帯が様子見しとるようやったら永水と協力して片岡を止めるか、最悪野放しにしとっても大丈夫や』

 

『野放しでもええって……得意な東風戦で自由に動かしてもええって事ですか?』

 

『そうや。とにかく宮守が点棒を取らせないようにする。そのためには多少清澄や永水に点が行っても構へん。……回りくどいやろうけど、仕方あらへん』

 

(……宮守に点棒を取られないように、かあ)

 

 上重漫は前日に末原恭子から言われた助言を思い返しながら、視線を片岡優希から姉帯豊音へと向ける。彼女の明らかに宮守の制服では無い、黒を基調とした服装も相まってか不気味さが異様に漂っていた。

 

(姉帯が攻めてくるか……それとも様子見か……)

 

 姉帯豊音の動向を探りながら、上重漫は配牌を開く。一局様子見を指示されている上重漫にとってはあまり配牌など関係はないのだが、悪いとも言えぬし良いとも言えない何とも言い難い配牌を見て上重漫は若干ため息をつく。が、そう思っていた矢先に片岡優希から声が発せられた。

 

 

「最初から飛ばして行くじぇ、親リーだじぇ!」

 

 

清澄:捨て牌

{①西横三}

 

(は、はっやあ……!?)

 

 周囲の驚きを他所に、片岡優希はリー棒をスッと置く。なんと、いきなりの親リーチが宣言されたのだ。それも、局が始まって未だ三巡目。確かに聞いていた話通りの展開ではあるが、いざそれが自分の目の前で行われるとなると驚いてしまうものではある。

 それはどうやら姉帯豊音も同じようで、心の中で(思ってた以上に速いねー……確かにシロの言ってた通り、これだけ速いんじゃあ仏滅か先勝じゃないとちょっと止めるのは難しいかもー……)と呟くが、姉帯豊音はこれに驚きつつも動じはせず、(でも、それはあくまでも私だけだったらの話だよねー……)と言って神代小蒔の方を見ながら、微笑する。

 

「ここかなー?」

 

宮守

打{5}

 

(無筋ど真ん中……しかもドラっ……!!)

 

 上重漫は親リーに対しての姉帯豊音の第一打がドラでありど真ん中の牌である{5}を見て驚愕するが、それに全く動揺を示さずに対面にいた神代小蒔が手牌から二枚{5}を倒して「ポン」と宣言する。

 

 

永水:三巡目

{裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏} {赤5横55}

打{南}

 

(そんで永水が鳴いてドラ4……!)

 

 今度は永水の神代小蒔の方に目線を向けながら、上重漫は思考を働かせる。これで上重漫が警戒しなくてはならなかったのは親リーの清澄、事前に言われていた宮守、そしてドラ4が見えている永水となった。結果的に全員を警戒しなくてはならなくなった上重漫は少し混乱するが、その悩みは直ぐに解決される事となる。片岡優希の和了によって。

 

 

「ツモ、4000オールだじぇ!!」

 

清澄:和了形

{六六七七八八②②⑥⑦678}

ツモ{⑤}

 

裏ドラ表示牌

{東}

 

 

 リーチツモタンピン一盃口の満貫をツモ和了ってまず東一局を終わらせる。上重漫は片岡優希の和了を見て(あっぶな……あそこで鳴かへんかったら一発三色のついた親倍満も有り得た手牌やで……)と安堵するが、すぐに上重漫は今の片岡優希の親満貫が偶然によるものではないということに気付く。

 

(ま、まさか……姉帯も神代もこれを分かってて、強打でもなく、手を進めるためでもなく、和了られるのを分かっててやったっちゅうんか……!?)

 

 その事に気付いた上重漫は驚愕する。先ほどまで、展開について行けていない事には薄々感じていたが、この勝負についてこれていなかったどころか、自分だけ見当違いなところを見ていたのだ。おそらく親リーの時点で姉帯豊音と神代小蒔は最悪親倍、そうでなくともいずれ片岡優希に和了られることを察知していたのだろう。だからこそ、最悪のパターンを回避するために行動に出ていたのだ。それなのに上重漫だけが、警戒相手が増えたと錯覚し、今の片岡優希の和了にも同様してしまったのだ。

 

(ズラしたのに和了ってきた……牌譜で見たのはズラしたら同巡では絶対に和了れていなかったけど……何から何までシロの言う通りだよー)

 

 姉帯豊音は牌譜で見た片岡優希の弱点を突いた戦略を片岡優希に躱された結果となってしまったが、実はそれも小瀬川白望は織り込み済みで、いずれ修正してくるだろうという事を読んでいたのだ。そして小瀬川白望はその事によって今まで通用していたズラしによる対処法があまり効果を成さないという事まで姉帯豊音に伝えていたのだ。その予言がズバリ的中していた事に対し、姉帯豊音はある種の恐怖を小瀬川白望に抱いていたのだが、直ぐに気を引き締めて東一局一本場へと臨んだ。

 

 

 

 

 


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