今回でやっと第1回戦が終わります。
長かった…
2016/12/29 追記
読者の方からの指摘により内容を改善。話の大筋は変わってないものの、シロの手牌に変化ありです。
指摘してくださった人に感謝です。
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南4局 親:白水 ドラ{①}
小瀬川 38100
小走 12000
上埜 25900
白水 24000
二転三転…全く展開の読めない全国大会第1回戦第6試合。
そんな少女達の死闘も、遂に最終局面、オーラスを迎えようとしていた。
白水:配牌
{三六九①①②④9東南西北白発}
白水の配牌は幺九牌が九種十牌と、配牌の時点で既に国士無双三向聴となっている。実際、白水は満貫ツモで逆転が可能な状況ではある。その状況下で、この役満は些か過剰戦力だ。
(…)
だが流局して、この配牌よりも良くなるとは決して限らない。そして何よりこの国士無双はいわば運命が選んだモノと言っていいだろう。ならばこれで闘わないわけがない。
というより、今白水が気にしているのはこんな国士無双や向聴数などの事ではない。小瀬川だ。小瀬川の状況で、この死闘の決着が決まるといっても過言ではない。
そんな小瀬川の配牌…
小瀬川:配牌
{六①⑦7889白白発発中中}
奇しくも、小瀬川の配牌も役満の大三元が狙える配牌で、同じく三向聴。
だが、この配牌は決して偶然などではない。断じて偶然ではなく、むしろ必然的である。小瀬川は、このオーラスに向けて布石を打ってきた。だから、白水と互角の配牌に持ってくる事が出来た。
その布石とは、南3局でのあの白水の振り込みである。あの振り込みは、小瀬川のリーチによって起こった意図的な振り込み誘導である。あの振り込みがなければ、場は完全に白水の独走状態となっていた。多分、小瀬川が大三元三向聴の配牌を持ってくるのはまず無理であろう。あの振り込みがあったからこそ、今同等の条件で渡り合えているのだ。
それに、あの振り込みを実現させるには白水の思考をコントロールする必要があった。通常なら小瀬川がリーチをした程度で、小走の警戒を怠る事はしない。では何故怠ってしまったのか?それは単純で、ただのリーチではなかったからだ。小瀬川はこれまで何度も聴牌のブラフによって場を凌いできた。そういう人間がリーチを打てば、まず真っ先に警戒される。例えそれがノーテンだろうと確信していたとしても、だ。
だからこそ、白水は小走の警戒を怠ってしまったのだ。だからこそ、小走に振り込んでしまったのだ。
南場を丸々使っての大々的な布石。全てはこのオーラスで、対等に渡り合う為。
(同じ状況下…来なよ、白水さん。小細工なしの本物の勝負をさ…)
(やっぱい立ちはだかるか、小瀬川…確かに一辺倒の勝負そいぎ、締まりがつかなか…)
白水も、小瀬川の配牌の状況は大体はわかった。今までは自分に傾いていた流れが、水平になるのが感覚で理解した。今度はブラフではない。場をしのぐだけの小細工などではない。本物の真剣勝負である。
国士無双と大三元。似ても似つかない2つの役満が、今真正面からぶつかる事になる。
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白水
打{三}
親の白水が{三}を切ってオーラスが始まる。次に小瀬川が山から牌をツモり、それをツモ切り。打{⑥}。
五巡が経過し、未だ展開は進まず、共に三向聴止まり。両者の捨て牌が中張牌で埋め尽くされているが、それに何の違和感も感じさせない。それほど、場は白水と小瀬川の役満の一騎打ちという場である事がわかる。
そして6巡目、最初に動くは白水。
白水:手牌
{六九①①②④9東南西北白発}
ツモ{一}
{一}をツモってくる。国士無双を完成せしめる必要牌{一}。これで白水は三向聴という均衡状態から抜け出し、二向聴になる。
打{六}
これで一歩リードしたかのように見えた白水だったが、それに食らいつくかのように、直後小瀬川も手を進める。
小瀬川:手牌
{六①⑦7889白白発発中中}
ツモ{中}
打{六}
こちらも大三元という役満を成就する為のキー牌である{白発中}の内の一牌、{中}をツモってくる。白水が進めば小瀬川も進む。まるで二人三脚の様な状態である。
そして続く7巡目も、白水、小瀬川共にキー牌を掴み、これで一向聴。
白水:手牌
{一九①①②④9東南西北白発}
ツモ{⑨}
打{④}
小瀬川:手牌
{①⑦7889白白発発中中中}
ツモ{発}
打{⑦}
この巡目で両者早くも役満を聴牌間近の一向聴へと駒を進める。そしてこれで真に対等になったと言える。
白水が聴牌へと進める事のできる牌{中}と{1}の内{中}は既に小瀬川に三枚潰され、残り1枚。{1}も既に小走と上埜の捨て牌に三枚出ていて、残り1枚で、合計2枚である。一方小瀬川も残りのキー牌はあと{白}のみ。白}はその内2枚は自分の対子、そして白水に1枚あり、また索子の{789}のどれかをツモれば小瀬川は聴牌となる。一見小瀬川が優位に見えそうでもあるが、その内の{7と9}は白水の捨て牌と、小走と上埜に潰されていて、{8}が2枚残っているものの、その場合{8}待ちとなるため、実質{8}は1枚のみと言っても過言ではないだろう。これで小瀬川と白水のどちらが先に手を進めるかという、後には戻れない闘いへと変化する。
2巡の間に両者が一向聴へと手を進めたが、その後は膠着状態が続いた。しかし両者の捨て牌に、中張牌以外の牌が置かれる事は決して無かった。
そして11巡。遂に聴牌を成す者が現れた。
小瀬川:手牌
{①7889白白発発発中中中}
ツモ{白}
先手を取って聴牌に至ったのは小瀬川。白水の一歩先へ足を踏み入れた。これで大三元が確定する。
小瀬川は1000点棒を取り出して、宣言する。
「リーチ…ッ!」
小瀬川:捨て牌
{⑥五3八⑧六}
{⑦⑤二七横8}
そして小瀬川はこれに留まらず、手牌を前へと倒す。それが指し示す事は、オープンリーチという事。
「オープン…!」
小瀬川:手牌(オープン)
{①789白白白発発発中中中}
小瀬川が手牌をオープンする。待ちは{①}である事を宣言し、決してブラフのリーチでは無い事を証明する。
とは言っても、白水はブラフだという事はハナから疑ってないが。
そしてその直後の12巡目に一歩先を越された白水も、役満聴牌を成就する事に成功する。
白水:手牌
{一九①①②⑨9南西北白発中}
ツモ{東}
小瀬川に三枚潰された{東}をツモり、執念の様な何かで小瀬川に追いつく。
白水も小瀬川に対抗するかの様に、1000点棒を投げ、手牌を全て晒す。
「リーチ!!」
白水:捨て牌
{三37⑤4六}
{④七⑧72横②}
「オープン!!!」
白水:手牌(オープン)
{一九①①⑨9東南西北白発中}
これで両者共にオープンリーチをかけ、後はどちらが先に掴まされるかの殴り合いである。先に掴んだ方の負け、掴まなかった方の勝ちという、戦略だとか駆け引きなどの小細工は一切無い。ただ純粋に引いた方の負けである。
一打一打が、両者の精神を削っていく。切り出した牌は、まるで両者の命のようなモノと言える。
そしてそれが長引くにつれ、時間の経過は遅くなっていく。実際には10秒にも満たない僅かな時間であるが、今両者にはその10秒が誰よりも長く感じているだろう。
両者は永遠にこの時間が続くのかと思っていた。勝負は終わらないと思っていた。だがしかし、物事には必ず終わりという物が存在する。存在してしまう。
それは突然にやってきた。白水が自分でツモった牌を盲牌すると、それを晒した13枚の手牌の横に置き、震えるような声で言う。
「小瀬川…楽しかった…ウチはこいまで、麻雀にこぎゃんにも勝ちたかっていう執念ば持ったのは初めてだ…礼ば言うよ。小瀬川…」
そして晒した手牌の横に置いた牌を掴み、自分の河へと叩きつける。
「お前と会えて良かった…!!!」
白水:捨て牌
{三37⑤4六}
{④七⑧72横②}
{4八④三} {①}
小瀬川はそれに応えるように、ゆっくりと、ゆっくりと申告する。
「ロン…ッ!役満。32000…!」
小瀬川 71100
小走 12000
上埜 25900
白水 -8400
これで南4局が終了し、半荘終了。小瀬川の一位通過が決定する。
死闘決着…!
やっと終わりました。第1回戦。
でもこれ第1回戦なんですよね…
本当の地獄(長編的な意味で)はここからだ…
追記
合計UA数がさっきふと見たら25000超えてました。30000超えたら何かリクエストでも受け付けますかね。需要あるかは知りませんが!!!
(因みに感想欄でのリクエストは禁止されているので、ご理解とご協力をお願いします。万が一リクエストを受け付ける場合は、活動報告等で行うので、リクエスト受付は始まり次第、ご報告します。)