宮守の神域   作:銀一色

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あまり話が進まないですね……


第409話 二回戦B編 ⑱ 立ち回り

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視点:神の視点

南三局 親:宮守 ドラ{八}

姫松 119800

永水  74200

宮守 110600

清澄  95400

 

 

 

「……意外と、上手く立ち回れてるね」

 

 

 宮守女子の控室で二回戦一番の鬼門としている中堅戦の様子を眺めていた小瀬川白望は厳格そうな表情でそう呟く。しかし、それを聞いた姉帯豊音が「でも、二位になっちゃったよー?」と少し心配そうな表情を浮かべて言う。確かに、次鋒戦でのエイスリンの奮闘によって姫松とは三万点近く離すことができた点差を、半荘一回分も経たずに詰められたどころか、逆に一万点弱離されることとなってしまったのだ。

 もちろん、小瀬川白望もこの事に対する危機感は当然ありはするのだが、それよりもまだこれほどで済んでいるのかということの方が大きかった。恐らく、然程愛宕洋榎の独壇場とならなかったのは鹿倉胡桃が永水の滝見春や清澄の竹井久といざという時は協力体制を構築しているからであろう。その連携も上手く機能しているが故のこの結果であろう。流石の愛宕洋榎と雖も、三対一ではなかなか思うように暴れまわることはできないようだ。というより、こんな不利な状況でもこの結果を叩き出せる愛宕洋榎をむしろ褒めるべきといったところか。

 

 

「でも、後半戦もあると考えると結構点が離れるかもなあ……それでも大丈夫?塞」

 

 

 振り向いて小瀬川白望は後方に立っている臼沢塞に向かって問いかけると、臼沢塞は熊倉トシから授かったモノクルを手に取りながら「……大丈夫よ。永水の四喜和は私が塞いで見せるわ」と返す。小瀬川白望はそれを聞くと、ふっと笑って「頼もしいね……」と言う。

 

 

「でも、塞ぐアレは気を付けて……塞、豊音を止めようとして何回か危なくなったことあったでしょ……」

 

 

 小瀬川白望がそう言って注意を促す。ただでさえ姉帯豊音の能力は強力すぎるが故に臼沢塞に甚大な負担がかかっていたが、臼沢塞の相手となる永水の薄墨初美の『裏鬼門』は力の強さで言えば姉帯豊音の『六曜』よりも大きいと予想される。いくら『裏鬼門』は二半荘の中で四回程しか使えないとはいえ、それ全てを臼沢塞が塞ごうとすれば彼女にかかる負担は大きくなるだろう。最悪の場合、力を消耗しすぎて倒れてしまう可能性も無いとは言い切れない。それを懸念して小瀬川白望はそう言ったのだが、臼沢塞は深く一息ついてこう返した。

 

 

「……シロに心配されちゃお終いよ」

 

 

「どういう意味……」

 

 

「……六年前、どれだけ私達に心配かけたと思ってるのよ」

 

 

 そう言われた小瀬川白望は六年前の事を頭の中で思い返す。確かに、六年前に小瀬川白望は無理しすぎたが故に一度生死の境目を彷徨った事があった。その事を出された小瀬川白望は少し声がつまるが、臼沢塞はふふっと笑みを浮かべて「まあ、私に任せときなって」と小瀬川白望の肩をポンと叩く。すると対局室では、親の鹿倉胡桃が1600オールをツモ和了った。

 

 

 

『ツモ、1600オール!』

 

 

「ほら、胡桃も頑張ってるし、ね?」

 

 

「……それなら、いいけど」

 

 

 

 

 

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「……はるる、結構しんどそうですねー」

 

 

「相手が相手だもの……仕方ないわよ」

 

 

 石戸霞が滝見春の事を見ながら薄墨初美に向かって言う。あの中で滝見春は唯一の一年生であり、しかも他の三人は全員三年生と、年齢という観点だけでも格差があるのにも関わらず相手が鹿倉胡桃、竹井久、愛宕洋榎と、かなりの実力者が揃っているのだ。むしろ、それでもこの失点で留めている事が奇跡に近いのだが。

 

 

「すみません……やはり私がもっと頑張っていれば……」

 

 

 それを聞いていた神代小蒔が申し訳なさそうに呟くと、「小蒔ちゃんはよく頑張ったわよ」と言って石戸霞が慰める。が、それでも尚神代小蒔が「いえ……でもそれは私個人の力ではないので……」と言う。

 

「気にしなくても大丈夫よ。私だって、自分の力だけでシロに勝てるとは思ってないから」

 

 

 石戸霞がそう言うと、鷲巣巌が『……ワシから言わせてみれば、その若さして神を従える事ができる貴様らの血統、素質は十分羨ましがられるものだと思うがな』と言った。

 

 

「貴方が人を褒めるなんて、珍しいわね」

 

 

『フン……凡人から見れば、の話じゃ。図に乗るなよガキが』

 

 

「あらあら……やっぱり手厳しいのね……」

 

 

『そもそも……ワシが貴様に力を貸すのは、あの生意気で忌々しい小娘を叩き潰すためだからであって、決して貴様らの為などという事では毛頭無い……!それを分かっとるんだろうな……?』

 

 

「ふふふ……分かってるわよ」

 

 

 石戸霞が微笑しながら鷲巣巌に向かって言うと、鷲巣巌はチッと舌打ちをして『……食えん奴め』と呟いた。

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