宮守の神域   作:銀一色

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第410話 二回戦B編 ⑲ 指摘

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視点:神の視点

中堅戦前半戦終了時

姫松 126100

永水  68600

宮守 109200

清澄  96100

 

 

 

『前半戦を終え、トップを走っているのは姫松高校。中堅の愛宕洋榎選手が前半戦だけで+35800という好成績を残して首位に返り咲いています』

 

 

 中堅戦の前半戦が終了し、実況の佐藤裕子アナウンサーはマイクを前にして冷静な声色で淡々と実況を進める。隣にいる解説の戒能良子は『バット……他の三人もグッドな立ち回りができてますね』と付け加える。

 

 

『……というと?』

 

 

『かなりポイントで見れば愛宕選手がゲットしていますが……要所要所では他の三人はベリーグッドな働きをしていました。最初の東一局一本場が最たる例でしょうか』

 

 

『成る程……』

 

 

『よって、必ずしも愛宕選手の独壇場……という事ではナッシングです』

 

 

 戒能良子がそう言うと、佐藤裕子は『つまり……後半戦、縺れることもあるという事ですか?』と疑心を抱きつつ質問する。戒能良子は『フム……』と考えているような素振りを見せると、しばらくしてこう答えた。

 

 

『それは、かなり厳しいですね。愛宕選手の事をセーブしているだけであって、凌駕していることではないので……』

 

 

『そうですか……』

 

 

 

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「ごめん!姫松にかなり離されちゃった!」

 

 

 鹿倉胡桃が控え室に戻って開口一番にそう謝罪する。それを聞いていた姉帯豊音が「あまり調子良くなかったよねー……全然注意できてなかったし」と言うと、鹿倉胡桃は「注意?」と首を傾げて聞き返す。

 

 

「ウン、キヨスミノアレトカ!」

 

 

「あ、あー……あれね……あまりの事で注意しそこなったよ……」

 

 

 エイスリンの言う『キヨスミノアレ』とは、竹井久がツモ和了った時にコイントスのようにツモ牌を上方向に弾き、それを叩き落として急降下させる、通常考えればマナー違反も甚だしいプレイングの事であった。その事を言われてようやく思い出しながら、マナーには人一倍厳しく敏感な鹿倉胡桃がそう呟く。彼女の好調のバロメーターとも言えるマナー注意が出なかった事を考えると、彼女は相当調子が悪かったのだろう。

 

 

「……でも、洋榎の抑え方はあれで良かった。それでも結構削られたけど、基本的にあれで大丈夫……」

 

 

 しかし、小瀬川白望は愛宕洋榎に対しての対応は良かったと評価すると、「まあ、注意が無いと胡桃っぽくないし、遠慮せずにやっても良いと思うよ」と鹿倉胡桃に向かって告げる。

 小瀬川白望は過去に何度も鹿倉胡桃に麻雀以外にも……というよりほぼ麻雀以外の私生活に対して指摘を受けてきているため、やはり彼女の鋭い指摘が出てこなかったのに違和感を感じているのだろう。それを聞いた鹿倉胡桃は「うん、分かったよ!」と頷いた。

 

 

「まあ……仮に胡桃が沢山削られても、塞と私でなんとかするから、気を張らずに頑張ってね」

 

 

「縁起でもない事言わないそこ!」

 

 

 小瀬川白望にそうビシッと指摘した鹿倉胡桃は、再び対局室に向かって控え室を後にした。そうして鹿倉胡桃が出て行った後、小瀬川白望はふふっと笑みを浮かべて「……どうやら、大丈夫そうだね。胡桃」と言うと、臼沢塞は「そうだね……って、もしかしてさっきのもわざと言ったの?」と問うと、小瀬川白望は「さあ……どうだろう……」と誤魔化すようにそう返した。

 

 

「全く、監督の私が出る幕がないね……嬉しいのやら悲しいのやら、微妙な気持ちだよ」

 

 

「まあ、特に塞や胡桃とは古い付き合いですから……」

 

 

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「どうや?前半戦だけで+30000やで?ウチ、超頑張ったで?」

 

 

 同じく控え室に戻ってきた愛宕洋榎は戻ってくるなりそう自画自賛するように言うと、末原恭子が「お疲れです、主将」と言って出迎える。

 

 

「ホンマに凄いですね……先輩」

 

 

「せやろ?凄いやろ?」

 

 

 上重漫が感嘆の声を上げると、愛宕洋榎は賞賛の言葉に気分を非常に良くする。すると真瀬由子が「でも、洋榎的には結構自由にできてなかったんやないー?」と聞くと、愛宕洋榎は振り向いて「そう!そうやねん……!点数だけで見れば超良いんやけど、内容がそうでもないねん……」と言う。

 

 

「でも、実質三対一みたいなもんやし、仕方ないんちゃう?」

 

 

「違うねん……絹。三人相手だから仕方ないんやないんよ。相手人数に関係無く自分の思う麻雀でキッチリ闘えんと、ホンマもんのエースにはなれん。例えどれだけ点棒を稼いでも、や」

 

 

 愛宕洋榎が妹の愛宕絹恵に向かって自身のエース論を語っている時、末原恭子は溜息をつきながら(普通は、どんな内容であれ三対一であの成績を残せる事自体バケモンなんやけどな……)と心の中で呟きながら、「ま、足元すくわれんように頑張って下さい。いつも通りやれば100パーセント勝てるはずなんで」と愛宕洋榎の肩をポンと叩くと、愛宕洋榎はこう返した。

 

 

「せやな……ウチらしく、いつも通り打ってくるわ」

 

 

「……任せたで、洋榎」

 

 

「よし、任されたわ」

 

 

 

 

 

 

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