宮守の神域   作:銀一色

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第425話 二回戦B編 ㉞ ラクショー

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視点:神の視点

南四局 親:宮守 ドラ{①六発}

姫松 118200

清澄 107200

永水  68200

宮守 106400

 

 

 

宮守:流局

{二四五八九九③④⑨126白}

 

 

 

姫松:流局

{二三四六七①②③22678}

 

 

 

清澄:流局

{一四五赤五九④⑦⑦⑨4中中発}

 

 

 

永水:流局

{一二⑤⑥⑥8南西} {横東東東東} {裏北北裏}

 

 

 

「テンパイ」

 

 

 

「「「ノーテン」」」

 

 

 

 南四局、この局も原村和が既に{北}を暗槓していた薄墨初美に{東}を大明槓させる事によって、『裏鬼門』を発生させるが、直ぐに臼沢塞が『塞い』で薄墨初美を自由にさせずに、流局まで微塵も緩める事はなかった。

 しかし、流石に東四局とこの局で、ほぼ二局分臼沢塞は能力を使用している。ただでさえ『裏鬼門』という強力な能力を、二局まるまる封じるというのは臼沢塞にとってかなりの負担となっていた。親の臼沢塞はノーテンを宣言し、前半戦のオーラスを終える。そして何も言わずに直ぐに立ち上がって対局室から出ようとする。部屋から出るまでは平然とした様子を取り繕っていたが、部屋から出てドアを閉めると直ぐに溜息を吐き、息を切らして壁に寄りかかる。そして負の感情を思いっきり心の中で吐露する。

 

 

 

(はあっ、はあっ、はあ……思ったより……しんど……い)

 

 

 

(清澄も……ワザと永水を鳴かせてるし……全く、私を本気で潰す気ね……上等だわ……)

 

 

 

 そして二回目になると流石に臼沢塞も原村和が故意で薄墨初美の事を鳴かせている事に気付き、東四局の時とはまた違った意味で恨めしく思い、それと同時に自分の事を鼓舞する。

 しかし、そうは言ってもやはり彼女も相当しんどいのか、足をふらふらと覚束せながら控え室に向かって歩いていく。しかし、もはや控え室まで行くのもままならないのか、途中で疲れ果てて壁に背を向けてその場に座り込んでしまう。

 

 

 

(はぁ……まさか前半戦でここまで消耗させられるとはね……清澄の作戦通りってことか……はは……)

 

 

 

 臼沢塞はそこまで心の中で呟くと、疲れからか次第に臼沢塞の瞼が閉まろうとする。だが、臼沢塞は自分の意志ではそれを止める事ができず、結局そのまま眠ってしまった。

 

 

 

 

 

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(あ……塞……?)

 

 

 

 前半戦が終わって、すぐさま控え室から出てきて臼沢塞を迎えに来ていた小瀬川白望は、曲がり角を曲がったところで、臼沢塞らしき人物が壁に寄りかかったまま座り、動いていないのを発見した。小瀬川白望は遠目からその人物を臼沢塞と断定すると、何があったのかと走って臼沢塞の元へと向かう。

 

 

 

(塞、寝てる……?)

 

 

 

 小瀬川白望は臼沢塞が目を閉じているのを確認し、こんな廊下のど真ん中で寝ている臼沢塞を見て余程疲れていたのだろうと推し量り、あえて直ぐに起こさずに、自然と眼が覚めるのを待つ。

 小瀬川白望は眠っている臼沢塞を眺めながら、つられて自分も眠くなってしまうのを抑えながら見守る。すると、二、三分経って臼沢塞は目をゆっくりと開けた。

 

 

 

「ん、んん……ってあれ!?シロっ!?」

 

 

 

「あ……おはよ」

 

 

 

 臼沢塞は勢いよく立ち上がり、顔を赤くしながら小瀬川白望に向かって「お、おはよじゃなくてさ……なんで起こさなかったのよ……」と言うと、小瀬川白望は首を傾げながら「いや……気持ちよく寝てたから、起こすのも悪いかなって」と言う。

 

 

 

「まあそれはありがたいんだけどさ……」

 

 

 恥ずかしそうに臼沢塞がそう言うと、二人は言葉を交わす事なく、自然と二人で廊下を歩き始めた。向かう先は控え室でも、対局室でもない。どこに向かっているかも分からないままただ漫然と歩いていた。そして歩いている内に、臼沢塞が小瀬川白望に向かってこう言い始めた。

 

 

 

「……私さ」

 

 

 

「……何?塞」

 

 

 

「私、ようやく分かった気がするんだ」

 

 

 

 そう言う臼沢塞に対し、小瀬川白望は疑問そうに「……何が?」と聞き返す。それを聞いた臼沢塞はふふっと笑うと、小瀬川白望の事を見ずに、空を仰ぎながら「……前までは、全然分かんなかったけど、ようやく分かった気がする……」と呟く。

 

 

 

「六年前、全国大会の決勝戦でシロが闘ってた時……私と胡桃は本当に心配してたけど……初めて、シロの……心配される側の気持ちが分かったよ」

 

 

 

「どんなに心配されても、どんなに迷惑をかけても……譲れないものはある、って……」

 

 

 

 

「でも、塞……」

 

 

 

 小瀬川白望が心配そうに臼沢塞に向かって言おうとするが、臼沢塞は「大丈夫よ」と言って制す。そう言われてしまった小瀬川白望は、黙って続きを聞く。臼沢塞は自身を心配する小瀬川白望に気遣い、冗談交じりにこう言う。

 

 

 

「大丈夫。もし私がやらかしても……シロがなんとかしてくれるでしょ?」

 

 

 

「……うん。もちろん。塞がどんな状況で私に回しても……私は一位で終わらせるよ」

 

 

 

「はは、頼もしいわね……まあ、私は私にできる全てをぶつけてくるだけよ」

 

 

 

「でも、大丈夫……?清澄が潰しにきてるけど」

 

 

 

「確かにそれはしんどいけど……ま、なんとかするわ。シロに任せっきりじゃ、あまりにも面目無いわよ」

 

 

 

 臼沢塞はそう言うと、急に足を止める。どうやら、気が付かぬうちに対局室前まで戻ってきていたらしい。そうして黙って臼沢塞はゆっくりとドアに手をかけると、後ろ向きに小瀬川白望に向かってこう呟いた。

 

 

 

「……思えば、凄い偶然よね」

 

 

 

「……そうだね」

 

 

「最初にシロが赤木さんと出会って……そして色々な人と知り合った。高校からは熊倉さん、豊音、エイスリン……いくつもの偶然が重なって、私たちはここにいるって思うと……膨大な話よね」

 

 

 

「……言いたいことは分かるよ」

 

 

 

 小瀬川白望がそう言うと、自分の思っていた事を見透かされてしまった臼沢塞は少し笑うと、「やっぱ、あんたには敵わないわね……」と言うと、最後にこう言い残して対局室に向かって行った。

 

 

 

「まあ、ラクショーってことで」

 

 

 

 

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