宮守の神域   作:銀一色

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ババ抜き編です。
勝者はルーレットで決めさせていただきました。

次回からアンケートを使う場合は、二、三日前から活動報告の方にてアンケートを行いますので、その都度連絡致します。


第32話 準決勝前 ② 勝者

 

 

 

 

 

 

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視点:小瀬川白望

 

 

 

私の夕食までの時間を(勝手に)賭けたトランプ大会。種目はババ抜きで、最後までjokerを持っていた人が勝者という変則ルールでの勝負。

 

私と竜華は二手に分かれ、揃ったのに捨てないという、負ければ勝ちのルール上での反則行為を見張ることになった。

 

私の方から監視するのは塞、胡桃、智葉、久の4人。竜華側からは怜、やえ、白水の3人だ。

 

智葉が常人の何倍も速いシャッフルでトランプを切る。両手でパラパラやるアレとかもまるでいつもやってるような感じでやってのける。

…智葉ってギャンブルのディーラーさんなのかな。そんな感じがするくらい速かった。

まあ、家とかがアレな感じだし、驚きはしないけども。

 

そして切り終わった智葉が順々にトランプを配っていく。負ければ勝ちのこの勝負、最初の枚数が多ければ多いほど有利というわけでもないだろうが、少なすぎるのは不利であろう。1枚だけだった場合、最速一巡で終了…なんて事も起こりかねない。もっと言えば最悪全部揃っているなんてパターンも確率上ない事はない。…実際それが起こるかどうかは置いといてだ。

 

 

全員に全てのカードが行き渡り、皆が揃っているカードをどんどん中央に晒していく。

 

皆がカードの整理が終わり、誰から引くかのジャンケンが始まる。

 

さっきまでは、一番最初のゲームはトランプを配った智葉から時計回り。次ゲームからはjokerを最後まで持っていた人。即ち負けた人から時計回りというルールだが、私と竜華が抜けたため新しく決めることになったようだ。

…別に最初のように智葉からとか、さっき負けた久でもいいのに、と思ったがここでは口出ししない方が良いだろう。

 

 

 

 

「「「「「「「 最初はグー!」」」」」」」

 

 

 

 

「「「「「「「ジャン!ケン!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「ポイッ!」」」」」」」

 

 

 

 

出した手は皆バラバラであり、あいこになる。

 

 

「「「「「「「あーいこーで」」」」」」」

 

 

 

 

「「「「「「「しょっ!!」」」」」」」

 

 

 

次もバラバラ。またあいこになる。

 

その次もそのまた次もあいこが続く。回数が増えていくにつれ、皆のタイミングもズレていき、最終的にはグダグダになってしまった。

 

 

そろそろ何回あいこになったのかを数えるのが面倒になってきたまさにその時、均衡が破れる。

 

「はいストップ!」

 

胡桃が次のジャンケンに移ろうと引っ込めようとする皆の手を止めるように大きな声で言う。

 

皆の出した手の種類はグーとパーの2種類。そして怜だけが1人パーを出している。それは即ち、怜の一人勝ち。これで怜から時計回りで引くことが決まり、順番は

 

怜→久→智葉→胡桃→塞→白水→やえ→怜…

 

という順番になった。

 

「うわっ。ウチが最初かぁ…ついてないわー」

 

怜が渋々久のカードに手をかけ1枚カードを引き、始まる。

 

 

 

 

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視点:小瀬川白望

 

 

あれから数分が経ち、どんどんとアガった人。もとい敗者が出てきた。

その敗者たちは地面に崩れ落ちている。お前らは私に何を求めていたんだよ。

 

そして遂に残りは怜と智葉の2人となり、智葉がjokerと♦︎の7を持っており、怜が♣︎の7を所持している。今引く番は怜。ここで怜に出来ることと言えば、jokerを引いてアガりを回避することしかない。

 

「ぐっ…」

 

怜が念じるようにしてカードを手で触れ、一気に引く。

引いたのはjoker。つまり怜は回避に成功したのである。

 

「ぐぐっ!」

 

智葉が苦い表情をする。これでピンチは智葉に回った。

 

…そういえばさっきから智葉の背後には黒服達がいて、智葉を見守るようにして両手を合わせている。お前らいつの間に、そしてどっからやってきたんだ。

 

「「「「お嬢…!」」」

 

果てには智葉に向かって声援(?)送っちゃうし。マジでお前ら何なんだよ。

 

 

まあ黒服達はほっといて、とうとう智葉が引いたようだ。引いたカードはまたもjoker。

 

「…よしっ!!よし!」

 

智葉がガッツポーズをする。これで再び怜にピンチがやってきた。

 

「引くで…!」

 

シャッフルを済ませた智葉が2枚のカードを怜に突き出し、怜が選ぼうとする。

 

「引けるかよ!ここまでが出来過ぎ!さっきのjokerまで!奇跡はもう起こらない!」

 

黒服、お前は黙れ。まーたややこしくなるだろう。

 

 

「…おりゃああ!」

 

怜が吼え、カードを引く。そしてそのカードは三度目のjoker。またもや危険を回避した。

 

「…ぐぐぐ!」

 

智葉の顔が一気に曇る。普通ならあり得ないサシ勝負での四度目。それほどまでにこの2人の執念というものだろうか、得体の知れない何かは凄いのだろう。

 

 

そして怜が2枚のカードを見ずにシャッフルして、テーブルに置く。これで心理戦を遮断し、純粋な50%。

 

「…こっちだ。」

 

そして智葉が(智葉側から見て)右側を選択する。それを確認した後、怜も(智葉側から見て)左側に手をかけ、一緒のタイミングでカードを開く。

 

 

「「せーのっ!」」

 

 

智葉が開いたカードは、♣︎の7。そして怜が開いたカードは、joker。

 

 

つまり、この勝負怜の勝ちである。

 

「よっしゃ!やったでイケメンさん!」

 

怜が私に向かって思い切り抱きつく。それに対し智葉はばったりと倒れてしまった。

 

 

「…おめでと。」

 

私が勝者に対し祝福の言葉をかける。私は景品なので、嬉しさは感じないが。

 

 

「じゃあ、そういう事や。夕食まで好きにさせてもらうで。ほな、またな〜」

 

私の腕を引っ張り、怜は皆に見せびらかすように言ってホテルを出る。

現在時刻はおよそ16時。ホテル内の夕食時間は18時から。つまりこの後二時間は私は怜の自由にされるのである。

 

私が怜に連れられた場所は、ホテルの一室であった。

 

 

「ここがウチとりゅーかの部屋や。」

 

どうやらここが怜達の部屋のようだ。

 

 

「それで、何するの?」

 

私が怜に質問する。その問いに対し怜は満面の笑みで、

 

「膝枕や。」

 

と返す。

 

「…え?」

 

いきなり想定外の答えに、私は思わず聞き返してしまった。

 

「膝枕は膝枕や。流石に二時間ずっと膝枕ってわけにもいかんけど、少しの間膝枕させてーや。」

 

 

「…いいよ。」

 

 

「それでこそイケメンさんや!」

 

 

 

…膝枕か。胡桃の充電と同じ感じのものなのかなぁ…?

 

 

 




次回は怜とシロの二時間と、敗北者達の座談会です。

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