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視点:神の視点
東二局四本場 親:宮守 ドラ{東}
清澄 93600
宮守 100100
姫松 114300
永水 92000
「……宮守女子の大将、小瀬川選手がこれで四連続和了。打点はそこまで高くはないものの、他を寄せ付けない打ち筋は圧巻の一言ですね」
大将戦が白熱している一方、実況を務めている佐藤裕子アナウンサーはマイクに向かって語り掛けるように淡々と実況を進めていく。しかし、実際佐藤裕子の興奮はとてもではないが冷めざるものであった。言葉だけとってみれば淡泊とした感想だが、心の内では小瀬川白望の打ち筋に恐怖し、また心を打たれていた。それにもかかわらず、それを表に出さないのはアナウンサーたる所以か。そして実況の途中で隣で解説を担っている戒能良子に話を振ると、戒能良子は「レッツシー……えっと、まあ、エクセレントの一言ですかね……」と、普段からあまり喋るような人ではない戒能良子であったが、この時に限ってはいつも以上に多くを語らずに、曖昧な返事で済ませた。まさか今の今まで解説者という職務をすっぽかして小瀬川白望の事を見るのに夢中になっていたため、いきなり振られる形になってしまったので適当に返してしまったとは言えなかった。
そんな曖昧かつ漠然、抽象的なアンサーに佐藤裕子も戸惑いを見せていたが、佐藤裕子もまさか戒能良子がモニターに映る小瀬川白望に恋をしているなどとは思ってはいなかったようで、彼女特有の雰囲気というか、応対なのだろうと強引に解釈して進める。それと同時に、戒能良子は下を向いて自責の念を心の中に吐く。
(リグレット……ソーフールですね。あくまでも今の私はプロフェッショナルとしての私。プライベートな事情を持ち込むとは、プロ失格です……)
そうして自分を戒めた後、先ほどの失態を挽回するべく戒能良子は口を開いて「バット……他の三人も二アリーなところまで来ていましたよ。スローリィですが、ゆっくりと迫ってます」と付け加える。隣で聞いていた佐藤裕子も、「確かに、先ほどから他の三校も後少しという場面も見られてますしね」と付け加える。
(まあ、その後少しを埋めるのがベリーハードなんですけどね……)
(アザワイズ……ここでストップさせないとジ・エンド。シャットアウトされてしまいますね……)
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(さて……いよいよヤバくなってきたわね……)
『やはり、最初から使っておくべきだったんじゃないのか?このままだといたずらに点棒を削るだけ……いくら温存とはいっても、役満の複合がないこの条件では、限度というものがあるぞ……』
東二局も四本場に入りかかろうとしていたところ、永水の大将の石戸霞は鷲巣巌に向かってそう言われると、石戸霞は少しばかり苦しい表情を浮かべながら(そうね……若干、後悔してるわ。でも)と言い、こう続ける。
(そもそも、あなたも乗り気だったじゃない。殺す気で行けって言ったのはあなたでしょう?)
『そうじゃが……貴様、本気か?』
(……本気かって、どういう事かしら?)
『本気で殺すと思って打っとるのかと言っとるんじゃ。さっきから見ているが、覇気が感じられんぞ覇気が。まず、三体一という構図も気に食わん。それでやって止めれるなら未だしも、止めれないなどとは言語道断……ッ!本気で奴を殺すという執念があれば、三体一でなくとも、一人でどうにかできる好配牌の一つや二つ、引けてもおかしくないじゃろ……!貴様には執念が足りん……ッ!』
(……執念、ね)
『そう……執念。奴を殺す。ここで殺す。息の根を止める……ッ!貴様には奴に対して恋心とかいう訳の分からん物を持ってるそうだが、知ったことか……!忘れろ……!どうせ死にはしない……ならば気兼ねなく……追え……!追え……!!執拗に追い殺すんだ……!』
『あくまでも己が手で決着をつけろ……三体一など雑魚のやるもの。そんな甘っちょろい協力などでは奴の狂気は跳ね返せん……毒を制するならばこちらも毒……!』
(……なるほど、ね。分かったわ)
鷲巣巌の叱咤を受けた石戸霞は少しほど考えた後、そう返すと深く深呼吸した。そうして自分の小瀬川白望に対するあらゆる想い、感情全てに封をすると、石戸霞は改めて小瀬川白望の事をチラリと見た。先ほどのように想い人を見る目ではない。明確な敵、倒さねばならない敵として見ていた。そして同時に、ここで止める。何が何でも止める。そういった執念をその身に宿した。
(……行くわよ、
(ん、霞……)
すると同時に、小瀬川白望も石戸霞の異変、というか意識の改革に気づいたのか、チラと目を合わせる。明らかに先ほどまでとは自分を見る目が違う。本気で潰しにいく。そういった目をしていた。小瀬川白望は配牌を取りながら(……成る程。いいね。やっぱりこうじゃなきゃ面白くない……こうじゃなきゃ、収まらない……)と言い、石戸霞に相対する。狂気と執念が今一度ぶつかり合う事となった。
結局今回も殆ど進まないままでしたね……
引き伸ばしみたいにならないよう頑張ります