宮守の神域   作:銀一色

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第458話 二回戦大将戦 ㉗ 復調

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視点:神の視点

東三局一本場 親:清澄 ドラ{四}

姫松  92900

永水 118800

清澄  87300

宮守 100000

 

 

 

 

 

『英断…………まさに英断………………!』

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 波乱の東三局一本場。その波乱の渦の中心に立っている小瀬川白望は石戸霞の事を獲物を狩る獣のような瞳でじっくりと見つめる。そして、今頃自分のリーチを見て、危うく決めつけで行動するところだったと高笑いしているだろう鷲巣巌を頭の中に思い浮かべながら、心の中でこう呟く。

 

 

 

(が…………そうとも限らない……あなたのその英断は失敗だった……()()()()()()…………)

 

 

 

 

 小瀬川白望はそう呟きながら、自分の手牌に目を向ける。鷲巣巌をはじめとした、この場にいる全員が気になっていた小瀬川白望の手牌。二局とも聴牌できていなかったと推察される小瀬川白望が突然放ったリーチ。これがブラフによるノーテンリーチか否かで相手の頭を悩ませていたわけだが、この時小瀬川白望は実は張っており、ブラフによるノーテンリーチではなかった。

 

 

 

宮守:十巡目

{三三①②②③③④345東東}

 

 

 

宮守:捨て牌

{一西西7白中}

{8発②横八}

 

 

 

 

 しかし、張っているとは言っても役はリーチ以外に何もなく、ただの聴牌即リーでしかない。が、これこそが鷲巣巌が見誤った、一歩遅かった事の証明である。

 どういうことかと言うと、実は小瀬川白望はこの東二局と東三局では流れが上手く流れてはおらず、不調に陥っていた。それ故に、東二局も東三局も聴牌しなかったわけではなく、聴牌できなかったのだった。

 だからこそ、小瀬川白望はそれを悟られまいと、ノーテンリーチによるブラフや意味の無い鳴きなどはせずに、あえて何も動かずにじっと待った。全ては鷲巣巌を迷わせ、石戸霞が鷲巣巌の力を借りる決断を遅らせるため。小瀬川白望が不調だと分かれば、鷲巣巌は即座に力を使わせるだろう。不調な状態で鷲巣巌と闘っても結果は目に見えている。それをさせないために放った小瀬川白望の罠。完璧に騙さなくてもよい。騙せてもすぐに気付かれては意味がない。重要なのは、騙せるか否かではなく、迷わせて時間を稼ぎ、その間に少しでも調子を戻すことである。

 そして小瀬川白望の策は直ぐに実を結んだ。この東三局一本場では実際に小瀬川白望は張ることができたのだ。先程まで流れが離れたために聴牌にすら至らない有様だったが、この局では無事に張る事ができた。これが復調の兆しであり、小瀬川白望にとっては大きい収穫だった。

 

 

 

 

宮守:十三巡目

ツモ{三}

 

 

 

 

 局も終盤の十三巡目、小瀬川白望は待ち牌である三萬をツモった。聴牌だけにとどまらず、ツモ和了までする事ができた。明らかに調子、流れは上向きである。がしかし、意外にも小瀬川白望はこれを和了らずに見送る。

 確かにリーチとツモ以外役が無いとはいっても、今更高めの東を狙いに行くのは無理がある。まだ裏ドラも残されており、それにこれを和了れば戻りつつある流れをまた一段とぐっと引き戻す事ができそうにも考えられそうだが、小瀬川白望はあえて見送った。

 

 

 

(…………次巡、ツモるな)

 

 

 

 和了拒否の理由は端的に言えば、小瀬川白望はまだ隠しておきたかったのだ。鷲巣巌に対して先程から自身に流れが来ないでいて、そして今ようやく元に戻りつつあるという事を。

 確かに復調、流れが戻っている。そう言えば聞こえは良い。だが実際張ったのは十巡目で、張った手に至ってはかけた時間に対しては極めてアンバランスな安手。まだまだ本領発揮には遠い。故にあと一局、小瀬川白望は必要としていた。ここで手の内を明かして仕舞えば、前述しやように次巡で有無を言わさずに勝負に来るだろう。そうなれば防戦必須。ブラフも小瀬川白望が不調だと分かられていては意味が無い。

 が、そうだとしても結局流局になれば罰則の満貫払いをしなければ、聴牌を鷲巣巌に知られてしまう。当然の事ながら、手の内の方も大事ではあるが、普通の相手に与える満貫と鷲巣巌に与える満貫というのは点数の重みが違う。そのため、ここはどちらにせよ和了らなければいけないのだが、都合が良いことに次巡に宮永咲がツモるだろうという事を感じ取った小瀬川白望は、迷う事なく和了を拒否したのだった。これならば鷲巣巌には小瀬川白望の手の内は見せる事なくこの局を終える事ができる。

 

 

 

 

 

清澄:和了形

{五六七②③⑧⑧999} {裏南南裏}

ツモ{①}

 

 

 

 

「ツモ、嶺上開花。2400オール」

 

 

 

 

 そして小瀬川白望の読み通り、次巡の十四巡目に宮永咲が南の暗槓からの嶺上開花自摸で和了せしめる。鷲巣巌もこの局は宮永咲が和了ってくるだろうと既に予測済みであり、そこまで驚いていたわけではなかったが、代わりに別の事で怒りを露わにしていた。

 

 

 

 

『こ、このガキ…………!流局直前に和了りおって…………和了るんなら最初から和了れ……ッ!アカギの手牌が見れると期待したというのに…………』

 

 

 

 

 鷲巣巌からしてみれば、宮永咲が和了らなければ流局によって小瀬川白望の手が張っているのかどうかを確かめる事ができる唯一のチャンス。いくら和了るだろうと予測しても、こう流局の一歩手前で和了られると流石に頭にきたのか、鷲巣巌は恨みを込めて舌打ちをする。

 そんな鷲巣巌とは正反対に、小瀬川白望は宮永咲に対してギリギリのところで良く働いてくれたと賞賛する。が、続けざまに小瀬川白望は宮永咲に向かってこう心の中で呟く。

 

 

 

 

(……だが、そろそろ終わりにさせてもらおう。その親…………)

 

 

 

 

 

 

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