いつから1日1投稿だと錯覚していた?
(まあ実際文字数は少ないんですがね!)
今回は準決勝が始まるまでです。
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視点:小瀬川白望
全国大会3日目。開会式を入れれば4日目の今日は、準決勝と決勝が行われる。即ち、小学生の中で一番強い雀士が決まる日と言えよう。
もうすぐ、その高みへの一歩となる準決勝が始まる。私は既に待機室に来ていて、塞と胡桃と赤木さんは一回戦と同じく特別観戦室にいる。
時刻は9:40。今は準決勝第一試合が行われていて、智葉の試合だ。といってももう終盤だろう。もしかしたら既に勝負が決しているかもしれない。
(まあ、番狂わせは起きていないでしょ…)
おそらく、決勝に行くのは順当に考えて智葉だろう。ちらっと準決勝第一試合を見ていたが、それほど強い人もいなかったし。そうそう智葉を崩せる人間など存在しない。
それよりも、今は自分の事に集中すべきだ。
(竜華…か。)
清水谷竜華。怜と同じ時期に出会った彼女とは、一回も麻雀を打ったことはない。まあ、洋恵も照もそうなのだが。
無論ここまで勝ち上がってきている時点で、彼女も相当の雀士であることが想像できる。ましてや大阪府代表である。三本の指に入るほどの麻雀人口が多い都道府県である。確かに大阪府は代表が2名と、岩手より1人分多いが、麻雀人口で比べれば話にならないほど差がある。その中での上位2名の1人が竜華であるのだ。
そう考えれば、清水谷竜華という雀士の強さがうかがえる。
(クク…面白い…)
面白い。面白いじゃないか。まさに決勝に行くための椅子を取り合う相手に相応しい。
当然、最初っから本気だ。本気で潰しにいく。
準決勝第二試合が始まるのを、私は今か今かと待ち続ける。
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視点:神の視点
「ツモ」
辻垣内が自摸和了を申告する。場は後半戦南4局オーラスで、辻垣内が圧倒的トップ。
それが指し示すものは、辻垣内の勝利での対局の終わり。小瀬川の予想は的中していた。
『決まりました!辻垣内選手。他者を寄せ付けない終始安定した打ち筋で、去年に引き続き決勝進出です!』
準決勝から導入された実況が、半ば高揚しながら解説する。小学生でありながらの辻垣内の"闘志"に、実況は釘付けである。
(…フン。ここは未だ通過点に過ぎない。)
大盛り上がりの観客席と実況席に対して、辻垣内は冷静だった。そう、自分の目標は、この上。
間違いなく、小瀬川白望は勝ち上がってくる。清水谷竜華も相当な雀士だが、小瀬川白望の方がもっと異常である。これは、自分が恋している相手だからなどの希望ではない。紛れもない事実であるのだ。
(勝ち上がってこい。シロ。…いや、"小瀬川白望"。)
自分の壁であり、恋している小瀬川白望を見据えて、辻垣内智葉は対局室を後にする。
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視点:小瀬川白望
ブザーが鳴った。即ち、準決勝第一試合が終わったという事だ。
(…行くかぁ。)
特別何か変なゲン担ぎをするわけでもない。何かおまじないをするわけでもない。ただただ普通に、私は対局室へ向かう。
(奇跡だとか、偶然だとか…そんなものは必要じゃない)
闘志。それだけを提げて行けばそれで十分だ。
対局室の扉を開けると、竜華がそこに立っていた。
「シロさん。」
「竜華。」
私は卓の近く、竜華の近くまで行くと、竜華をまっすぐに見据え、右手を差し出す。
竜華も、私に応えるように右手を差し出し、
「悔いの残らないようにな。お互い。」
「…そうだね。」
グッと握手を交わす。竜華が握るその手は、確かに闘志が込められていたのが分かる。
他の2人も来たので、席決めを始め、私が北家で、竜華が南家となった。
そして、ブザーが鳴る。今日2度目のブザーだ。
(始めようか。竜華。)
準決勝第二試合 前半戦東一局 親:モブA
小瀬川 25000
モブA 25000
清水谷 25000
モブB 25000
2人の雀士が、真っ向からぶつかり合う。
次回から準決勝です。
シロと竜華の真っ向からの激突、お楽しみに。