今回、シロがとんでもない事言い出します。
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南一局 親:モブA ドラ{東}
小瀬川 48600
モブA 17500
清水谷 15800
モブB 18100
小瀬川一辺倒だった東場も遂に終わりを迎え、準決勝前半戦の南場に突入する。
前局、初めてあの小瀬川から直撃をとり、そして尚且つ親を蹴る事に成功した清水谷。それでもまだ30000点以上差はあるのだが、前局だけで20000点弱縮めたと考えると、現実的な話であるのは一目瞭然である。
そう。点差はあるにしても、この南場突入時点で今風が吹いているのは明らかに清水谷なのだ。完璧な形で振り込んだ小瀬川に清水谷の猛攻を真っ向から受け止めることができる流れは完全に小瀬川から消え去っていた。
だからこそ、この南一局。小瀬川は真っ向から清水谷に勝負は挑もうとはしなかった。
「…?」
ざわ…ざわ…
会場が騒然とする。対面にいる清水谷も、小瀬川が今行っている奇行を理解できていない。
何を隠そう、小瀬川が手牌を開こうとせず、配牌で取った13牌を伏せたままにしていたからである。
「…戒めだよ。」
動揺していた清水谷に向かって言うように、小瀬川が口を開く。
「あの南一局。完全に私は見誤っていた…その誤解があったからこそ、私は振り込んだ…だからコレはその戒め。…宣言しようか?清水谷竜華。」
自分の名前を呼ばれた清水谷が思わず身構える。次に彼女が言う事は、自分にとっての死刑宣告かとか思うと、つい小瀬川を見る目に鋭さが増す。
そして小瀬川が口を開く。その発言は、この場にいる全員が誰一人として予想できなかった発言であった。
「私はこの南場は一切和了らない。…いや、東場もだな。この南場と後半戦の東場は一切和了らない。」
全員がその意味不明な宣言に目を丸くする。それもそうだ。一切和了らないという事は、その分だけ好きにしていいという事だ。確かに清水谷にとっては有り難い事この上ない。だが小瀬川にとっては違う。この宣言は小瀬川に何の利益も生まない。それどころか、不利益しか被らない。完全に意味が分からない。
「もちろんその間に逆転しようがしまいが、私は後半戦の南一局まで一切動かない。…好きにしなよ。清水谷竜華。…ただ。」
「…後半戦の南場、後悔する事になるけどね。」
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特別観戦室
「どういう事だ!?シロ!」
先ほど百害あって一利なしの宣言をしたスクリーンに向かって激昂する辻垣内。それもそうだ。小瀬川は、半荘を丸々捨てると言っているようなものである。
それに疑問を持たぬ者などいないだろう。ただでさえ優勢なのは清水谷に、何の対策もしないどころか、逆に無防備になるなど、言語道断である。
「何であんな事…あんな事して何の得が…」
不意に呟く塞の声を聞いた赤木が、さっきまでのおふざけな口調から一転して、真面目な…否、冷徹な口調で語る。
【要は、縛ってんのさ。アイツは。極限の状態まで自分をわざと追い込んでいる。…意味はないかもしれないが、意味がないからこそ『戒め』になるもんさ。】
「で、でも…だからと言って半荘丸々は多すぎじゃないのか!?後半戦の南場まで、何万点差になるかわからんぞ!」
それを聞いた辻垣内が赤木に向かって叫ぶ。頭の整理がついていかず、つい大きな声で言ってしまった。
【…何万点だろうと関係ねえよ。どれだけ点差がつこうとも、勝負はまだ分からないって事さ。たとえ70,000点差つこうが、それくらいの差なら二局で吹っとばせる。心配するな。アイツは勝つさ。】
(【…案の定、足元をすくわれたな。まだまだ小学生って事か。】)
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「ツ、ツモ!」
清水谷:和了形
{一二三七八九①①789北北}
ツモ{北}
「ツモチャンタ。1000-2000!」
先ほどの小瀬川の宣言に若干日和ながらも、この局は清水谷がきっちりと和了。このツモで点棒は
小瀬川 47600
モブA 15500
清水谷 19800
モブB 17100
となり、点差を27900まで縮めた。とにかく、小瀬川が動かないと宣言していた後半戦の南一局までに逆転し、点差を広げておきたい。あの小瀬川の事だ。ちょっとやそっとの点差では、四局もあれば逆転するであろう。最低でも、50,000点は差をつけておきたいところだ。
一見、あと70,000点以上取らないと50,000点差にはならないが、小瀬川が動かないとなればそれはさほど難しい事ではない。
ただ、ひたすらに和了る。次局と後半戦の東二局の親番はしっかりと和了りを積み重ねて、連荘で差を広げたい。
(…容赦しないで。小瀬川さん。)
悪魔が動くまで、残り7局。
え?手抜きっぽいって?
…それよりも総合UA数40,000回超えましたね(急な話題変更)
決勝戦は一局一局密度が高くなるよう頑張ります(実際頑張れるかは書く日の気分次第)