結構長くなりそうです……
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視点:小瀬川白望
「ふう……」
私は一息つきながら、自分の部屋にかけてある丸時計を見る。そうして、私は大きなリュックを漁りながらメールを確認する。こうして私が何処かに行く準備をしているのは大概武者修行の旅だと思われがちなのだが、今回は違う。今回は修行ではなく、その反対。明日、私は高校生となった記念……と言っても今は夏で、三ヶ月ほど前の話なのだが、その入学記念ということで智葉に連れられて海に行くことになったのだ。
(……凄い人数来ることになったけど、智葉は大丈夫なのかな)
もともと、最初は智葉に私だけが呼ばれたのだが、何処からか情報が漏れてしまったおかげで、私の全国各地にいる知り合いに情報が回って、私の麻雀を通しての知り合いほぼ全ての人が集まる事となった。他の人たちとの面識がないはずの爽や松実姉妹達も来ることになっているらしく、どうやら私の知らぬ間に謎のネットワークができていたようだ。
結局、何十人も来る事となってしまった。それを電話で伝えた時智葉は微妙な声色をしていたが、ちゃんとオーケーを出すあたり流石と言えるだろう。人間的にも財力的にも。
(爽や霞、哩達は確か今日の段階で出発しているんだっけ……)
集合場所は東京駅で、明日のお昼前くらいに集合なのだが、明日出るようじゃ間に合わない遠くにいる人達、特に北海道や九州から来る人達は今日の時点でバスを利用して出発するらしい。流石の智葉と雖も、数十人分のそれぞれの電車や飛行機の座席は用意できなかったらしい。だから彼女らは今日の段階でバスで移動する事になったのだ。勿論の事財力的な話ではなく、智葉が予約しようとした時点で既に座席が埋まっていたらしい。……それでも智葉ならなんとかできそうな気もするのだが、私の感覚が麻痺しているのだろうか。
そんな事を思っていると、私の携帯が鳴る。メールの着信音だ。私は自分の携帯を確認すると、それは塞からのメールであり『明日の朝、ちゃんと間に合うようにしなさいよ!』という内容であった。勿論、塞も胡桃も明日共に海に行く事になっている。私はそんな塞のメールに対して、『分かってるよ』と返信する。こういうメールをくれる辺り、塞はお母さん……いや、どちらかと言うとお婆ちゃん感が途轍もない。まあこれを言ったら塞に怒られそうなので、言う気にはならないが。
塞があそこまで念を押している理由といえば、まあ単純に明日は朝から出発するからである。いくら北海道や九州よりかは近いとはいえ、岩手から東京までも十分に距離がある。私は基本朝起きるというのは嫌なのだ。だからこそ塞は私にそう言ったのだろうが。
「ふう……」
【……一体何人集まるんだ】
そしてそんな私に向かって、赤木さんはそんな事を言ってくる。正直なところ、誰が来るのかは全員分かるのだが、それが総勢何人になるのかは数えていないので分からない。一々増えるごとに智葉と確認していたのだが、余りにも増える人数が多すぎたため、人数計算は智葉に丸投げである。「だいたい二十人くらいかな?」と私は返し、とりあえず明日に備えて私は眠りについた。
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視点:小瀬川白望
「ふぁ〜あ……おはよ」
「結構ギリギリだったわね……」
「ほら、早くする!」
最寄りの駅に朝っぱらからやってきた私は既に先に来ていた塞と胡桃にそう言う。あれだけ塞に言われたものの、私が来たのは乗る予定の電車が来る2分前だった。
「ほら、早くしないと獅子原さん、だっけ?待たせる事になるよ!」
私はこれから電車に乗って盛岡駅まで行く事になるのだが、そこの盛岡駅で北海道から来る爽と合流する事になったのだ。それを聞いた塞と胡桃は若干嫌そうな顔をしていて、大丈夫かなと思ったがこの塞の発言を見る限り、心配は無用だったのかもしれない。
……そのはずだったのだが、そこから数十分後、塞と合流した爽はお互いの事を睨み合っていた。
「幼馴染がなんだ……お団子頭!」
「なっ、なによ!?悪いわね!……っていうか、アンタも変な髪型でしょうが!」
「ぐっ……この赤髪!」
「だからそれもアンタもでしょうがー!」
二人はまるで高校生とは思えないほど悲しい言い争いをしているが、私と胡桃は少し二人から距離をとって遠くからそれを眺めていた。……周囲の目がとても痛いのだが、あれを見るに多分気付いていないな。
「……どうする?シロ」
「うーん……メールだけ送って、私たちは先に行こうか」
そう言って私は塞と爽の二人に先に行って待ってるというメールを残して、胡桃と共に先に行こうとしたが、メールを受け取った塞と爽はメールを見ると真っ先に私と胡桃のところへ来た。
「全く……抜け駆けはズルいぞ?」
「胡桃も随分と積極的になってきたわね……」
(あ……これ凄いダルいやつだ)
この二人の状況を見るに、これは胡桃も混ざってもっとややこしくなりそうな気がした私は、胡桃に「……肩車、してあげるから落ちないように気をつけて」と言った。胡桃はびっくりしながら「子供扱いしない!」と言うが、いち早く現状をどうにかしないとと思った私は胡桃に有無を言わさずに肩に担ぐ。そうして、塞と爽の事を強引に抱え、ダッシュで新幹線のホームへと移動した。
「ちょ……これ……///」
「シ、シロー!?」
爽と塞から何か言われるが、私は気にせずダッシュする。そうして新幹線のホームまで来た私は、二人を離して、胡桃を肩から下ろした。
「はあ……はあ……」
いくら皆が軽いからといって、三人を担いだり抱えたりしてダッシュするのは相当きつい。行く前から既に疲れきった私は、新幹線の中で爆睡した。
……因みに、下ろしてからの二人は顔を赤くしてはいたが啀み合う事もなく、平和が訪れていた。まあ私は寝てしまっていたわけだけれども。……これは先が思いやられそうだ。
次回も恐らくこの続きです。
どうでもいい話ですけど、今日、パワプロ(相当前の)をやったのですが、やっていて無性にパワポケの方をやりたくなってきました。
確かもう完結したんでしたっけアレ。
まあハードがDSより前のやつはやったこと無いんですけどね……