宮守の神域   作:銀一色

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オーラス後編です。
オーラス後編ですけれど、まああっさりと終わります。したがって内容もそんなに多くは無いです。まあ、説明が足りなければ次回で補足します。


第51話 準決勝 ⑯ 三つの関門

 

 

 

 

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南四局 親:小瀬川 ドラ{四}

 

小瀬川 65,700

モブA -16,000

清水谷 80,000

モブB -29,700

 

 

清水谷:手牌

{二二二三四⑤⑥456789}

 

 

小瀬川と清水谷の熾烈な闘いの最終局、オーラスも最終局面へと移ろうとしていた。

清水谷は{④-⑦}の聴牌を既にしている。平和が既に役として確定していて出和了りも可能であり、誰かが河に置いた時点で有無を言わさず清水谷の勝ちが確定する。

 

 

小瀬川:手牌

{裏裏裏裏} {横546} {②横②②} {八横八八}

 

 

その一方、小瀬川は高くとも断么ドラドラもしくは役牌ドラ1が良いところで、ツモはおろか直撃でも逆転は不可能と、この局での逆転はほぼ不可能である。そもそも、下り坂の今、聴牌しているのかどうかすら怪しくなってきている。

 

 

 

 

清水谷:手牌

{二二二三四⑤⑥456789}

ツモ{中}

 

 

 

清水谷が聴牌したその直後ツモってきた牌は{中}。{中}と何かのシャボ待ちであれば、この{中}が当たる可能性はあるにはある。

だが、ここでもし振ってしまったとしても最高でも役牌ドラ1の2,900にしかならず、逆転には程遠い打点である。2,900というこんな先の欠けている刃では、脅しにすらなっていない。当然、清水谷はここで退くわけがなく打{中}。

 

そしてこの{中}に、小瀬川は何も発声をしなかった。

内心当たってしまうのでは無いかと危惧をしながら切った清水谷にとっては、その危惧が杞憂であったと確信し、心の中で密かに安堵した。

 

 

 

 

 

 

清水谷:手牌

{二二二三四⑤⑥456789}

ツモ{東}

 

 

そして清水谷の次のツモは{東}。さっきの{中}をパパッと切ったので、これもすぐに切るであろうと観客は総じて思っていた。が、清水谷はなかなかその{東}を切ろうとはしなかった。

 

確かに振っても2,900だ。そう、()()()2,900である。これで和了ってくれれば怖くない。

だが清水谷には、ある可能性が見えていた。{東}を切る事で、逆転される手にも化けてしまうというある可能性が。

 

 

{東}は場に生牌である。つまり、小瀬川が暗刻にしているという可能性があるわけである。つまり清水谷が{東}を切って、それを小瀬川が大明槓をする。その大明槓によって得た嶺上ツモでツモ和了りして、そして尚且つドラを一枚乗せることができれば、5()0()()()()()9(),()6()0()0()()()()()()。点差は19,200詰まることになり、小瀬川が逆転するという算段だ。

 

 

通常、こうなる可能性は紙のように薄い確率である。大明槓をしたとしても和了れないかもしれないし、ドラも乗らないかもしれない。そもそも、{東}が暗刻でなければこの話は始まらない。

だが、ゼロではない。ゼロではないのだ。可能性は確かに紙のように薄いかもしれないが、あるにはある。

 

 

清水谷はその可能性に翻弄されてしまう。もし大明槓をしてきてしまったら、もし嶺上開花でツモ和了りしてしまったら、もしドラが乗ってしまったら。そんな事を考えれば考えれるほどこの{東}が切れなくなってしまう。

 

 

(せやけど……ここで逃げるわけにも行かないやろ!!)

 

 

 

あれだけ負ける僅かな可能性を考えたが、そんな迷いを全て振り切って清水谷は{東}を切る。

 

 

 

対する小瀬川は、それを{東}だと確認したあと、手牌にある内の牌を三枚倒す。

その三牌は全て{東}。

 

 

 

「カン…ッ!」

 

小瀬川:手牌

{裏} {東東横東東} {横546} {②横②②} {八横八八}

 

 

大明槓。{東}の大明槓。それが指し示すものは、先程清水谷が考えていた最悪の結末に小瀬川は向かおうとしていた。

大明槓からの嶺上開花。そしてドラを乗せた責任払い。この三つの関門の一つ目を小瀬川が超えた。

 

 

小瀬川が嶺上牌に手をかけ、盲牌をせずに残された最後の一牌の隣に置く。

その牌は{中}。それを見た清水谷は一瞬安心しかけたが、その安心をぶち壊すかのように隣にある一牌を晒す。その牌は{中}。

 

 

 

「ツモ。嶺上開花、東」

 

小瀬川:和了形

{中} {東東横東東} {横546} {②横②②} {八横八八}

ツモ{中}

 

 

 

まさかの{中}での和了り。即ち、小瀬川はさっきの清水谷の{中}で和了っていたのだ。それをわざわざ見逃してまで、この機をずっと待っていた。全てこの三つの関門を超えるための御膳立てであったのだ。

 

 

 

これで三つの関門のうち超えたのは二つ。残るは槓によって得られる新ドラ。これでドラが一つだけでも乗れば、小瀬川の逆転が確定する。

 

 

「さて……新ドラ」

 

 

小瀬川が新ドラを捲ろうと、ドラ表示牌の隣の牌に右手の人差し指を向ける。

 

 

 

そして、ドラが捲られた。

 

 

 

 

 

ドラ表示牌

{三}{北}

ドラ

{四}{東}

 

 

 

 

 

 

 

「……ドラ4。嶺上開花、東、ドラ4。跳満の責任払い……逆転」

 

 

 

 

 

小瀬川 83,700

モブA -16,000

清水谷 62,000

モブB -29,700

 

 

 

 

 

準決勝が終了した。

 

 




とうとう準決勝が終わりましたね。
次は決勝……これも長くなる予感……!

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